第100回 岡山県ご当地グルメ(その1) カキオコ、33分1本勝負

特別編集委員 野瀬泰申


 お待たせしました、岡山県編のスタートです。岡山県では蒜山(ひるぜん)高原や日生(ひなせ)などこれまで中国地方以外ではあまり知名度が高くなかったまちが、B−1グランプリなどで急速に注目度を上げてきています。岡山や倉敷など大きなまちにももちろんご当地ならではの味がたくさんあります。広く知られた岡山の味から地元だけでしか食べられていなかった郷土食まで、地元の皆さんの声も集めながら、岡山の食文化の奥深さを明らかにしていきたいと思います。
 今週のおかわりは、デスクが東京で買うことができる岡山県産グルメを捜し歩いてをリポートします。あわせてご覧ください。
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(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら

暑いときにはスイカ!
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暑いときにはスイカ!

 毎日暑くて、やだ。やだやだ。とってもやだ。

 NHKテレビの画面の上と左に青い枠がかかり「高温注意情報」が流れている。群馬県のどこそこ、埼玉県のどこそこで36度、37度、いや38度にもなったぞと言い、熱中症で1000人以上が病院に搬送されたなどというニュースをアナウンサーが読んでいる。

 この間の土日は珍しく家にいたのだが、家の中で熱中症になりそうだった。昨夏に続いて節電モードの我が家ではあるけれど、辛抱たまらんというのでエアコン1台を解禁し、扇風機2台の援軍を得て生命の危機と戦った。

冷たいスイカ!
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冷たいスイカ!

 お金がかからず涼しいところはないものか。

 そーだ、スーパーに行こう。

 というわけで、買い物もしないのに売り場をうろうろするばかりの怪しいおじさんになっていたのであった。

 こう暑いと食欲も減退気味。しかしながら次のメールを読んだら、なんだかもりもり食べたくなってきたぞ。

のぼりが目印(松山の坂本さん提供)
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のぼりが目印(松山の坂本さん提供)

MNo.1

 2009年の冬、岡山に噂のカキオコを食べに行きました。
 岡山駅からは鈍行で日生へ向かいます。各駅停車しかないので1時間かかります。ああ…。

 月見れば 国は同じぞ 山隔なり うましカキオコ 隔なりたるかも

 日生駅16:55着 カキオコを食べる。
 日生駅17:28発。
 すごいプランですね。しかし私はやりとげました!
 駅から一番近い「オレンジハウス」へ。赤と青ののぼりが目印です。迷わず「カキオコ」と注文します(迷わず「カキオコ」と注文してください←ホントに書いてある)。

わーわー!(松山の坂本さん提供)
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わーわー!(松山の坂本さん提供)

 使い込まれた鉄板に生ガキが!!! わーわー!
 生地を軽く混ぜたキャベツを焼き、カキをのせ、数度ひっくり返してでき上がりです。すごく早い! あっという間に目の前の鉄板でご対面しました。
 キャー、何気なく切り分けたらカキが2つぶ入ってる〜〜!! 生地がトロっとしてキャベツがシャキっとして、たまりません。ソースとカキがこんなに合うなんて。維新以来の驚きです。

 我も見つ 人にも告げむ 岡山の 日生のまちの カキオコ処

2つぶ〜〜!!(松山の坂本さん提供)
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2つぶ〜〜!!(松山の坂本さん提供)

 カキオコとカキそば(焼きソバ)とカキネギを注文している人がいたので、私の前の鉄板ではカキが次々と焼かれていました。
 おねえさんがカキを鉄板にほおると、隣から年かさのおねえさんがぽいっとカキを足し、おねえさんは「もうそのくらいでええよ」と言っているのに、年かさのおねえさんはさらに2つほどカキを足していました。
 カキメニューとお好み焼きメニューが別になっているのが面白い。
 カキオコ、B−1グランプリで食べられるようになりましたが、やはり本場で食べたときの感動が忘れられません。そりゃあどこのブースも「ぜひ現地に食べに来てください」って言いますけど、これだけは本当に岡山の日生に行って食べるべきです(松山の坂本さん)

魚市場「五味の市」
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魚市場「五味の市」

 私は日生に行ったときのことをありありと思い出す。まず港のそばにある魚市場「五味の市」に行った。バケツ1杯の殻付きカキが1000円ほどで売られていた。

 カキオコを食べに入った店で、おねえさんに「カキが安いですね」と言ったところ「外から来た人が安い安いと言うと値段が上がるのよ。言わんといて」と叱られたのだった。

 やがて注文したカキオコが焼き上がる。その模様は坂本さんの記述の通り。

日生カキオコ(松山の坂本さん提供)
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日生カキオコ(松山の坂本さん提供)

 「こんなにカキが入っていていいのか」と思うほどのぜいたくさであった。美味いのなんの。坂本さんのように「わーわー」とか「キャー」とか言いたくなったが、おじさんなので我慢して「ほーほー」とか「これはこれは」などとつぶやきつつ、ビールを飲んだのである。

 羨ましい?

 そこから転戦したのがメールに登場したオレンジハウス。食べたのは「チャンポン」であった。姫路でもおなじみの焼きそばと焼きうどんのミックスである。

日生のチャンポン
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日生のチャンポン

 この手のチャンポンに遭遇したのは維新以来だったので多少のショックを受け、コップ酒をあおった記憶がある。

 ただしカキにはシーズンがある。カキがなければこれがある。

エビオコ(近鉄野郎@日生さん提供)
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エビオコ(近鉄野郎@日生さん提供)

MNo.2

 (1)日生(備前市日生町)のエビオコ
 この時期、瀬戸内の漁師町・日生では、とれたての地物エビがいっぱい入ったエビオコ(エビ入りのお好み焼き)がよく食べられています。
 地物エビと輸入物との違いは、エビ風味の「濃さ」です。よく味わって食べると、瀬戸内のおいしさが口の中に広がります。でも、お好み焼きなので、熱々を食べていると、あまりよくわからないまま食べ終わることも。
 日生では、この時期、かき氷を提供するお好み焼き店も多くあります。熱いお好み焼きを食べた後、かき氷を食べるととても涼しくなってさっぱりします。

総社の玉豆腐(NPO法人吉備野工房ちみちさん提供)
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総社の玉豆腐(NPO法人吉備野工房ちみちさん提供)

 中には、かき氷とお好み焼きを交互に食べ るという「達人」もいます。
 (2)総社の玉豆腐
 総社市の中心部では、昔から丸い豆腐「玉どうふ」が普通に食べられています。私は、冷や奴が好きですが、最近創作グルメとして、ぜんざいにもなっています(近鉄野郎@日生さん)

ご当地グルメがうまい県(江端さん提供)

「グルグルおかやまB級グルメ」の動画へ

 近鉄野郎@日生さんは日生カキお好み焼き研究会の元祖会長。B−1会場や愛Bリーグの会議で何度もお目にかかっている。「ご当地グルメうまい県!おかやま」キャンペーンの旗振り役でもある。

デスク その近鉄野郎@日生さんが作詞作曲し、日生カキオコ合唱団が歌う「グルグルおかやまB級グルメ」のビデオクリップ(ここをクリック)を動画で見ることができます。6分半で岡山じゅうのB級ご当地グルメが分かるスグレモノの作品です。ぜひアクセスしてみてください。

エビオコとセットで「夏期オコ」 (近鉄野郎@日生さん提供)
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エビオコとセットで「夏期オコ」 (近鉄野郎@日生さん提供)

 昨年、姫路市で開かれた第6回B−1グランプリでは「ひるぜん焼そば好いとん会」がゴールドグランプリ、「津山ホルモンうどん研究会」がシルバーグランプリ、そして「日生カキお好み焼き研究会」が9位入賞と、岡山の3団体の活躍が県内の明るいニュースとして報じられた。

 まさに岡山は「ご当地グルメがうまい県」なのである。

 ところでカキ氷とお好み焼きを両方食べればこれも「カキオコ」でしょうか。

デスク 近鉄野郎@日生さんからの回答です。「日生カキお好み焼き研究会では、夏の名物として『カキ氷+エビオコ=夏期オコ』と寒〜いギャグで涼感を誘っています」

 総社の玉豆腐は豆乳ににがりを加えて固まる寸前のものを、底が丸い器ですくってつくる。食感はあくまでやわらか。江戸時代から食べられているという。

 やっぱり冷や奴がいいかな。

鶏チャーシュー(いけずな京女さん提供)
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鶏チャーシュー(いけずな京女さん提供)

MNo.3

 岡山県笠岡市では豚チャーシューではなく、鶏チャーシューのラーメンが食べられています。
 笠岡市は古くから養鶏と製麺が盛んな土地柄で、戦前からトリガラスープと煮鶏(鶏チャーシュー)を使った地ラーメン(笠岡ラーメン)が永く親しまれてきました。
 映画を見ながらおやつ代わりに食べたり、朝食としても好まれていたそうです(ヒロさん)

 そう、笠岡ラーメン。山形県河北町の「肉中華」のように鶏肉をチャーシューにしたラーメンがある。笠岡ラーメンもそのひとつ。

 笠岡にはシャコのフライを卵でとじた「シャコ丼」がある。以上2点、前から狙っていたのだ。

笠岡ラーメン(いけずな京女さん提供)
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笠岡ラーメン(いけずな京女さん提供)

MNo.4

 笠岡市は、かつて母の母の里があったところと聞いてました。いつか行こうね、と約束してたのですがついに果たせぬまま…。
 ですが今年の春、重大な転機を前に思い立ち、母の命日に訪問したんです。
 この時に実食した笠岡のB級ご当地グルメが「笠岡ラーメン」です。昔から養鶏場が多かったことから、親鶏のガラスープ、チャーシューに豚肉ではなく鶏肉を使用する独自の「中華そば」が発達しました。
 また笠岡は港町でもあり、歓楽街として大変栄えていました。中でも盛んだった娯楽が映画で、戦後まもなくに5つも映画館があったとのこと。

麺は細麺(いけずな京女さん提供)
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麺は細麺(いけずな京女さん提供)

 そして映画文化が最も華やかであった昭和30年代に登場したのが「笠岡ラーメン」。なので「映画と同時に中華そばを楽しむ」という大変ユニークな食し方が好まれていたそうです。
 透き通った黄金色のスープがよくからむ細麺。あっさりした中にも旨みのある鶏肉のチャーシュー。丁寧に仕込まれたシャキシャキメンマ。シンプルながら味わい深い、どこにもないまさに笠岡のB級ご当地グルメ。
 こんなに美味しいんやったら、お母ちゃん連れて来て食べさせたかったな。ぐすん。ちょっとだけセンチメンタルになってしまったの、お許しくださいませ(いけずな京女さん)

黄金色のスープ(いけずな京女さん提供)
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黄金色のスープ(いけずな京女さん提供)

 以上、2通のメールに共通しているのが「映画を見ながらおやつ代わりに」、あるいは「映画と同時に中華そばを楽しむ」という表現。

 ということは客席でずるずるやりながら映画を見た?

 あるいは休憩時間にロビーに出ると、そこにラーメン屋が営業していて、駅そばみたいに急いでずるずる?

 どちらにしても映画とラーメン。昭和30年代の懐かしい情景である。

たまの温玉めし(たまのSea温玉会さん提供)
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たまの温玉めし(たまのSea温玉会さん提供)

MNo.5

 岡山県玉野市特産の穴子を混ぜ込んだ焼きめしに、とろ〜り温泉たまごをトッピング!
 蒲焼きのタレの香りが食欲をそそる一品が“たまの温玉めし”です。現在、玉野市内17の飲食店で食べられます。
 昨年、広島県三原市で開催された「第1回みなとオアシスSea級グルメ全国大会」で並居る全国のSea級グルメを抑え堂々のグランプリに輝いた、たまの温玉めし。
 今年も10月に福島県いわき市で開催される「第2回みなとオアシスSea級グルメ全国大会」に参加予定です(たまのSea温玉会さん)

デスクが食べた穴子の白焼き
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デスクが食べた穴子の白焼き

 穴子を混ぜ込んだ焼きめしは昔から玉野にあったのだろうか。それとも創作料理? いずれにしても美味いに違いない。穴子の蒲焼き味の焼きめしですよ。不味かったらおかしいでしょ。

 駅弁に向いているかも。

 みなとオアシスは国土交通省地方整備局が管轄する港の交流施設。港の駅みたいなものであろうか。海のない久留米で生まれ育ったので、私はなんとなく海が好きである。それも瀬戸内の海が大好きである。

 その玉野市からもう一品。

デスクが食べたサワラの西京漬
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デスクが食べたサワラの西京漬

MNo.6

 岡山県玉野市のご当地グルメ「たまげた」。中国地方では舌平目のことを「げた」と呼ぶそうで、玉野市のげた、だからたまげた。
 WEBサイトをのぞいてみたら、「たまげたバーガー」や「たまげた丼」など、意欲的なメニューが並んでいました。
 いやあ、たまげた。
 あと、岡山県で印象に残っているのがサワラの生食文化。連想ゲームで「さわら」とくれば、自分はきっと「西京焼き」と答えてしまうでしょう。
 だいぶ前ですが、岡山でサワラの刺身をいただいたときに、失礼ながら「ピンと来ない」と発言したところ「こっちでは当たり前ですよ」と座の一同から言われ、びっくりしたことを覚えています(ミルフォードさん)

 玉野で舌平目は「げた」。有明海沿岸では「くっぞこ(靴底)」。何か踏みつけられてるな。

これはサワラのたたき
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これはサワラのたたき

 日生での思い出その2。サワラの刺し身とすき焼きである。

 サワラは東京で生のものを見ることが少ない。傷みやすい魚なので輸送中に身が崩れるからだそうである。

 しかし水揚げ港がある日生など岡山県内では刺し身で食べる。私も食べた。

 魚のすき焼きは食べBでもときどき登場するが、日生ではぜいたくにも薄切りしたサワラの身を甘辛い醤油味の汁で煮て、ぽんぽん食べた。

 羨ましいですか?

沖縄のジーマーミ豆腐
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沖縄のジーマーミ豆腐

MNo.7

 岡山ですが、学生時代を過ごした懐かしいところです。
 インパクトがあって、いまだによくわかっていない代物があります。それは、ピーナツ豆腐。岡山の友人に聞いてもあまり良い答えがもらえません。
 結構弾力がある豆腐で美味しいけど何を付けて食べたらいいのか…(カラスダニ@松山さん)

 ピーナツ豆腐なら倉敷であろうか。私は知ってはいても食べたことがない。沖縄のじーまーみ(地豆=ピーナツ)豆腐とどう違うのだろうか。

 最後は甘い物。

大手まんぢゅう
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大手まんぢゅう

MNo.8

 県の最南端に位置する倉敷市児島の塩尻喜月堂の「塩羊羹」です。天領倉敷の瀬戸内沿岸は塩田だったことから、このような商品も生まれたようです。
 同様に岡山銘菓といえば、薄皮饅頭の「大手まんぢゅう」が有名ですが、倉敷には「藤戸饅頭」という薄皮饅頭があります。大手まんぢゅうよりもやや大きく、食べ応えあり。地元では行列のできるお店です。
 また倉敷市児島の甘月堂の「いちご大福」。諸説ある全国のいちご大福発祥の店の一つですが、いちご以外にもいろいろなフルーツの大福があります(さぬきうどんさん)

 岡山にも伝統的なお菓子がいろいろある。

 甘い物は一芸クンに任せるとして、しつこいようだが法事パンについて知りたい。どうして法事のときにパンを出すのか。いつごろから始まったことなのか。

 地元のパン屋さん、教えてちょうだい。

 ということで岡山県編は快調に滑り出した。

 引き続き岡山メールを待つ。


(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりはおかわり 東京都心で岡山県産グルメ探訪(デスク)です。合わせてご覧ください。

実食編 「嫁泣かせ」に泣かされる

岡山県編(その2) デミカツ食べて「デミ活」だ

岡山県編(その3) 餅つき大変、パンにしよっ!

岡山県編(その4) 青い海から青うなぎ


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2012年8月3日

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