第52回 群馬ご当地グルメ(その2) 湯気立つシュウマイ、上昇キリュウ

特別編集委員 野瀬泰申

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 群馬県編第1弾、伊勢崎の「もんじゃき」に遠い子供のころを思い出した方もいらっしゃるかと思います。今週は群馬のご当地グルメを語る上では欠かせない「みそパン」が登場します。
 番外編、「群馬県のアンテナショップでデスクがダイエット?」も一緒にご覧ください。

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カレーご担当者って私のこと?
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カレーご担当者って私のこと?

 このところの出来事をいくつか。

 私の手元に1通のプレスリリースが届いた。宛先は「日本経済新聞 カレーご担当者様」となっている。我が社には「カレー部」という部署はない。「カレー担当者」もいない。なのに私に届けられたのはどうして?

 先週紹介した「同僚からもらった下仁田ねぎ 生ドレッシング」を早速試してみることにした。サラダにかけて食べた感想は「これのどこがネギ?」。それもそのはず、容器をよく見たらどこかで買ったタマネギドレッシングであった。間違えてごめん。

入ってなくてよかった…
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入ってなくてよかった…

 前回の上毛かるたの中で「下仁田産」は「下仁田名産」の誤り。打ち間違えてごめん。

 漫画原作者の久住昌之さんとの対談本の企画が進んでいる。先日、某居酒屋で第1回の対談をしたのだが、久住さんはその昼に「今年初めて冷やし中華を食べました」とのこと。そこで対談は冷やし中華の話題に。

 久住さんの「冷やし中華に入っていてはいけないもの」のひとつが「クラゲ」。なぜなら「麺と区別がつかないから」。うーん、そうかもしれん。



コロリンシュウマイ(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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コロリンシュウマイ(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

MNo.8

 桐生市民の心の友、コロリンシュウマイです。私も30年前の学生時分は桐生人でしたので移動販売のアナウンスは今でも耳に残ってます。北海道男爵馬鈴薯とタマネギ、馬鈴薯でんぷんで作った(肉なし!)芯までモッチリのこれぞB級!!
 シュウマイはからし醤油ですが、これはソースと青海苔です。なお、蒸したての熱々は美味いのですが、1度冷めたらもうおしまい。蒸しなおしても電子レンジでもダメ。2度と柔らかくなりません。

こがねいも(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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こがねいも(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

 沼田市民の心の友「フリアンの味噌パン」です。味噌は焼きまんじゅうのタレに近い味ですが、沼田市民に限らず群馬県民が郷愁を感じるソウルフードです。 渋川のお土産・お遣い物と言ったら「こがねいも」。白あんまたは紫芋あん(これは最近)の和菓子ですが周りにニッキ(シナモン)がまぶしてあります。私は子どものころこれが苦手でしたが、ウチの小学生に食べさせたら「ウマイ!」って完食です(Poco@焼きまんじゅうさん)


 コロリンシュウマイは個店のメニューながら、昔から移動販売で親しまれ、桐生市民御用達になっている。本物のシューマイは肉が入ってそれなりに材料費がかかるが、肉なしジャガイモ&タマネギであれば、子どもも気軽に手が出たことであろう。

「シューマイにソース」なら姫路辺りが本場。こちらは肉入りの本格派だが。


沢田農協のブルーベリーらっきょう
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沢田農協のブルーベリーらっきょう

MNo.9

●みそパン 沼田市「フリアン」のみそパン。いろんなみそパンを食べたけれどフランスパンの触感と甘味噌のあんばいが絶妙で10代以降約35年間、いまだにマイ頂点に君臨しています。
●焼きまんじゅう(1) 子どものころは、沼田市の「玉屋」のが楽しみでした。出来たてを食べるのはもちろんですが、お土産で自宅で作れるように、まんじゅう、みそ、刷毛がセットになった箱入りをいただけるとわくわくしました。
●焼きまんじゅう(2) 同じく沼田市の「火群(ほむら)庵」です。勤務先のイベントの模擬店で食べたのがきっかけです。火群庵のと他のと半分ずつ扱っていたのですが、圧倒的な指名買いであっという間に火群庵売り切れ!
●沢田農協の漬け物=ブルーベリーらっきょう 漬け物嫌い、らっきょう嫌いの私がお茶うけに食べてしまう漬け物です。ほんのり甘く、ほんのり紫で漬け物っぽくない色あいです。
昨日見た中では「下仁田ねぎの生ドレッシング」が、へぇ〜と新発見でした(きむちさん)


 沼田市の「フリアン」。みそパンといっても焼きまんじゅうのように表面に味噌を塗ったものではなく、味噌を挟んだもの。フランスパンと味噌との組み合わせが生まれた理由を考えてみたが、別に考えなくてもいいような気がする。食べてみたいような気もする。

 この店にはコンニャクパンもあるという話を聞いたが、本当?


フリアンのみそパン(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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フリアンのみそパン(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

MNo.10

 奥が深いですね〜ぐんま。ぜひ注目してほしいのが「北毛地区」です。沼田に遠い親戚がいたので、小さいころ何度か遊びに行きました。縁あって、大人になってからも折に触れて旅をしたエリアです。
 もつ煮日本一?の「永井食堂」、ソースカツ丼の「ニコニコ亭」などなど。デスクと一芸さんの「馬食」コンビがふたりで「群馬食」するのにこれほど適したエリアはないでしょう。
 沼田でかすかに記憶があるのが「みそパン」です。フリアンパン洋菓子店の「みそパン」は、沼田市民のソウルフードだとか。
 ちょっと離れており、かつ「ご当店グルメ」のようですが、タルタルソースカツ丼もあります。安中の「板鼻館」です(ミルフォードさん)


 沼田に多少なりとも縁のある人なら、必ず口にする「フリアンのみそパン」なのである。かなり食べてみたいような気がしてきた。


パンの田楽?(いけずな京女さん提供)
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パンの田楽?(いけずな京女さん提供)

MNo.11

 沼田市のみそパンの特徴は、2つに切ったフランスパンに甘辛い味噌を塗ってはさんであること。京都人の私は食べてみて「パンの田楽みたいなもんかなあ」と思いました。
 私は以前「みそパン」と呼ばれるご当地パンの分布を調べたことがあります。福島県のみそパンは、生地に味噌を練り込んで蒸した蒸しパンタイプ。
 信州・松本では、江戸末期に軍隊の保存食として考案されたというみそパンがあり、やはり生地に味噌を練り込んだ和風ビスケットのようなもの。

福島のみそパン
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福島のみそパン

 また、北海道・音威子府(おといねっぷ)名物のみそパンは、なぜか鮭の形をしていました。
 似たような食文化が同時に日本各地で存在するのは珍しいことではありませんが、使う味噌もそれぞれ個性があって味や食感も全く違うところが、面白いですね。
 ちなみに群馬のみそパンは、上州人が「ほっとする」味で、よそのみそパンではこうはいかんらしいです( いけずな京女さん)


 味噌とパンの組み合わせは全国各地にあるらしい。日本人は味噌が好きなのである。「うちにはこんなみそパンがあるよ」という情報をお寄せいただきたい。小社ご当地パン担当のアミー隊員が喜ぶであろう。だが間違っても封筒で「日本経済新聞 パン担当者様」宛に送らないように。

 ところで群馬実食編の折に、デスクと一芸クンが2馬力で群馬食をするのは心配である。藤枝の悪夢がよみがえってくる。軽食類を中心に組み立てたいものである。それは次のような事情による。


真剣に悩みました(三月うさぎさん提供)
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真剣に悩みました(三月うさぎさん提供)

MNo.12

 北海道生まれ、育ち、東京在住21年で群馬とは全く縁がありません。先日、谷川岳に遊びに行きました。ロープウエー乗り場の売店の横で群馬産野菜の特設コーナーを発見。
 白菜80円、ホウレンソウ80円の前で、買って帰ろうか、でもこれから観光するのに白菜1玉は持てないし、と3分くらい真剣に悩みました。結局、重さの負担のないウドの若芽100円、わらび200円、キュウリ5本120円を買い、それでも同行者から「こんなところでそんなもの買ってどうするの?」と白い目で見られました。
 ウドの若芽ははっぱの部分を天ぷら、茎の部分を甘辛できんぴらにするのが美味しいそうです。東京で売っている山ウドを食べるときは、はっぱを切り落として捨てていたのではっぱも食べられるんだ、と知りました。


これで2人前(三月うさぎさん提供)
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これで2人前(三月うさぎさん提供)

 お昼に入った「そば処角弥」さん。へぎそば直盛り(よくあるくるくるっと丸めたタイプより、量が多くおすすめとあったので)と野菜の天ぷらを注文。
 出てきたおそばを見て2度びっくり。量が多い。これで2人前? 普通のざるそばの3人前はありました。そしてつけだれの色が薄い。後でパンフレット見ると、「つゆのだしは鰹節、醤油は特注のうすくち」とありましたが、薄口醤油のそばのつけだれは初めて見ました。
 このお店は新潟の長岡発祥なので、へぎそばを出しているようですが、薄口醤油のつけだれって、食の方言なのでしょうか、それとも個店メニュー?
 群馬の中でも新潟に近いので新潟の文化なのかなあと思いながら、美味しくいただきました。量は本当に多くて、2人でふーふー言いながらなんとか完食しまた(三月うさぎさん)


 後半部分に注目していただきたい。「量の多さに気をつける必要がある」。これが私の群馬体験で得た教訓である。前回も前橋で食べた豚肉料理の量の多さについて言及したが、それだけではない。

野菜の天ぷらもどどーん(三月うさぎさん提供)
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野菜の天ぷらもどどーん(三月うさぎさん提供)

 高崎の百貨店のデパ地下で全国でも珍しいテーブルもある立ち食いそばの店と遭遇した。お腹が空いていたので、ざるの大盛りを注文したところ、出てきたものは東京で言う富士山盛り、あるいはメガ盛り。大盛りの大盛りであった。

 食堂で食べたソースカツ丼もカレーライスも天然大盛りなのであった。地元の人は気がつかないかもしれないが、よそから来ると警戒を要するほどのボリュームである。

 以上のようなことであるから、誰も頼んでいないのに完食が使命と思っている我が社の2馬力が群馬レベルのボリュームに挑戦したら、命にかかわる事態を招きかねないと、いまから心配している。

 これもボリュームが凄い。


ポテト入り焼きそば(中林20系さん提供)
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ポテト入り焼きそば(中林20系さん提供)

MNo.13

 群馬で焼きそばといえば太田の焼きそばが有名ですが、桐生にも焼きそば文化があります。しかもジャガイモ入りです。「ポテト入り焼きそば」と呼ばれています。
 写真はテイクアウトの店なんですが、ジャガイモと焼きそばは別調理で詰め合わせる際にパックにそれぞれを詰めて…と。
 面白いのはそのシステム。販売はグラム単位で価格が決められてんですよ。250〜500グラムまで、たしか50グラム刻みだったかと思います。

太田にもジャガイモ入り焼きそば
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太田にもジャガイモ入り焼きそば

 しかも近所の常連客は電話注文して指定時刻に受け取りに来ているようでした。「250グラムを5個」とか「400グラムを2個」みたいな。もともとは店でも食べさせていたっぽい店内(喫茶店風?)では、出来上がりを待つ客であふれてました。
 焼きそばの具はモヤシとキャベツだけでしたが、それで充分なくらいの美味しさでした。そして箸休めというか、焼きそばをおかずと考えればご飯に相当する(=逆か?)ジャガイモの絶妙な歯応えを残した食感! 美味しかったですねぇ。
 栃木県の足利市や栃木市でもこのスタイルは定番みたいですが、共通点を考えると…両毛線でしょうか? もっとも、JRが両毛線の麺類食べ歩きのキャンペーンとかやってましたが。両毛線界隈自体が麺処ですよね。
 文化の伝播に鉄道が絡んでるとなると面白いですね。R50や日光例幣使街道も絡んでそうですが(中林20系さん)


 250グラムスタートということは、焼きそばが主食なのであろうか。恐ろしいことである。胸焼けに免疫があるのであろうか。凄いことである。

 ところで何度も出てくる「両毛線」。あるいは「○毛」という地方名。

噛み付きません(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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噛み付きません(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

 Poco@焼きまんじゅうさんのメールにこんな一文があった。

「『上毛』はご承知かもしれませんが『かみつけのくに、こうずけのくに(上つ毛の国)』に由来します。対して栃木は『しもつけのくに(下毛野国)』であわせて両毛地域、それを結ぶのがJR両毛線です。

 群馬地元の『かみつけ信用組合』は旧国名であって、預金を下ろしに行っても窓口で噛み付かれるわけではありません」

 噛みつかれない? それは安心。

 要するに「毛」という国だったのである。京の都に近い群馬が「上」で遠い栃木が「下」。

 地元紙も群馬は「上毛(じょうもう)新聞」で、栃木は「下野(しもつけ)新聞」。

 中林さんの「鉄道による文化の伝播説」に絡んで、次のようなメール。


子供もんじゃ「あま」「から」あります(ぎずもさん提供)
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子供もんじゃ「あま」「から」あります(ぎずもさん提供)

MNo.14

 栃木県南部も伊勢崎と同じような子どもの駄菓子屋文化があり、昭和40年ごろには「もんじ焼き」と呼ばれていました。もんじゃ焼きの古い呼び名は「もんじ」というのが定説ですから見逃せません。
 また東京の月島・浅草が観光客向け・大人向けに金額の高い「具だくさんもんじゃ」になっていった中、町屋近辺には今も子ども専用100円もんじゃが残っています。
 私は「東武伊勢崎線もんじゃ伝搬説」の支持者ですが、東武日光線、JR常磐線も運んだと考えています。柳田國男の「蝸牛考」で、「方言はおおよそ近畿をぶんまわしの中心として、段々にいくつかの圏を描いたことであろう」とありますが、町屋や千住などの下町を中心としてコンパスで円を書くと、伊勢崎・栃木・大洗がほぼ同心円にあることには注目する必要があります。
 この問題は、3県串刺しで調査してみてください。栃木市にも、かろうじて子どももんじゃが残っています(ぎずもさん)


「蝸牛(かぎゅう)」はカタツムリのことで、「蝸牛考」は文化の同心円的広がりを論じたもの。話が民俗学の領域に入り込んできた。まさしくその通りであろう。

 本連載は、前身企画「食べ物 新日本奇行」のころから集合知によって成り立ってきた。ぜひ皆さんのお知恵を借りながら、県境をも越えて深掘りしていきたい。

 ではまた来週。


(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2011年6月3日


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