第238回 和歌山県ご当地グルメ(その3) 紀州はスシの国ですし

特別編集委員 野瀬泰申


この週末は、いよいよ十和田B−1
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この週末は、いよいよ十和田B−1

 2週間の休みの後、和歌山県編を再開する。手元にはどっさりとメールが届いた。1回では紹介しきれないであろう。ありがたいことである。

 この連載も年内いっぱいで終わる。「最後の県」となった和歌山。それにふさわしい内容のメールばかりである。


かきまぜごはん(ヨッシーさん提供)
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かきまぜごはん(ヨッシーさん提供)

MNo.16

 日高地方の印南町に、焼鯖をほぐしたもの、細かく切ったニンジン・コンニャク・シイタケを醤油・酒・みりんなどで味付けしてご飯に混ぜ込み、彩りに印南町特産のエンドウをあしらった「かきまぜごはん」があります。
 かきまぜごはんは秋祭りなどで作られ、印南町民に愛されている郷土料理です。
 味付けは地区ごとに若干異なりますが、どのかきまぜごはんも優しいおふくろの味で、とてもおいしいです。この味をこれからの世代にも伝えていかねばと思っています。
 この地に伝わる鯖寿司は、塩鯖をすし飯にのせ、あせの葉で巻き、数日間発酵させた「早なれ寿司」。印南町では、秋祭りが近づいてくると鯖寿司が作られます。
 発酵特有の匂いや味がしますが、それが癖になるほどおいしい。また、この匂いが漂ってくると、今年も秋祭りの時期だなと、季節を感じさせてくれる郷土料理の一つです(ヨッシーさん)

鯖寿司(ヨッシーさん提供)
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鯖寿司(ヨッシーさん提供)

 「かきまぜごはん」はいかにも秋祭りにふさわしい。西日本には祭りなどの「ハレ」の食べ物として、各種混ぜご飯、ちらし(ばら)寿司が残っている。そのひとつか。

 早なれ寿司について有吉佐和子の「有田川」にこんなくだりがある。

 「千代たちに供されたのはなれ鮨であった。鮨魚(すしな)は海に遠いせいか鮎を開いて姿のまま中に固く白い飯を包み、更にその上から暖竹(あせ)の葉を巻きしめて数日押しをかけたものである」

 印南町は海に面しているので鯖を使うが、小説の舞台となった有田川中流域では鮎という違いがある。しかし、和歌山県の西側では古くからハレのときに早なれ寿司を食べてきた。寿司の発達史を凍結保存している。貴重である。

 次のメールも寿司の話。

じゃこ寿司(大阪の原さん提供)
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じゃこ寿司(大阪の原さん提供)

MNo.17

 じゃこ寿司はチリメンジャコではなく、川魚でハエ、ハヤなどと呼ばれる小魚の煮付けを用いた早寿司です。写真は道の駅の商品で小さいハヤが用いられていますが、貴志駅近辺ではもう少し立派なものもあります。
 めはり寿司はおなじみの漬物巻き。一般のスーパーで普通に売られているご当地標準品。
 写真がないのですが、紀伊田辺あたりでサンマのなれ寿司を見たことがあります。小さなツボのような容器に入っていて、ドロドロに溶けて形が残っていませんでした。ちょっと抵抗があり、食べるには至らず。次は勇気を出したい。でも、ちょっとなあ(大阪の原さん)

紀ノ川の天然じゃこを使用(大阪の原さん提供)
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紀ノ川の天然じゃこを使用(大阪の原さん提供)

 ハヤは亡くなった父がよく釣ってきた。大漁のときは母が素揚げにして三杯酢に漬けたり、砂糖醤油で甘辛く煮付けたりした。すると毎日毎日、弁当のおかずに登場することになる。骨まで食べるので、私の体はハヤでできていた時期がある。

 しかし、それを寿司にする発想はなかった。食べたことがない。

 メールの最後にサンマのなれ寿司が出てくる。

 「食材図典V 地産食材篇」は「紀州は鮨の国ともいわれるほど、熟(な)れ鮨が各家庭でつくられていた。材料にはサバ類、アユ、マアジ、サンマなどが使われる」とある。和歌山はなれ寿司県。覚えておこう。

 次のメールは寿司ではなくて丼もの。

しらす丼(がっき〜さん提供)
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しらす丼(がっき〜さん提供)

MNo.18

 9月から10月にかけて旬を迎える和歌山の「しらす」と「しらす丼」をご紹介します。
 全国各地で食される「しらす」ですが、H24〜H26の総務省家計調査結果によると、和歌山市のしらす干し消費量は静岡市に次いで全国2位なんです。
 しらす干しの中でも「煮揚げ(ゆで)」の作業後に天日干しをしていないものが「釜揚げしらす」と呼ばれています。
 小さいころを思い返せば……旬の時期になると親戚のおじさんがいつも届けてくれる木箱に入った釜揚げしらすをむしゃむしゃとおやつ代わりに食べていました。
 そんな和歌山県でのしらすのポピュラーな食べ方といえばやっぱり「しらす丼」です。熱々のごはんに、ほんのり塩味が効いた釜揚げしらすをたっぷりとかけ、お好みで海苔や大葉を添えて。
 近海で獲れた新鮮なしらすだからこそ、素材そのものの味でいただきます。全国有数のしらす水揚げ産地として有名な、和歌浦(和歌山市)や湯浅町には定番メニューとして提供している飲食店も多くあり、お店ごとにアレンジも様々。
 生のしらすをそのまま使った「生しらす丼」もおすすめです(がっき〜さん)

じゃばら、かけます?
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じゃばら、かけます?

 しらす丼の説明は不要であろう。上からかんきつ類を搾るといいんだよなあ。

 次も丼、それも豪華版。


生マグロ丼(タカトスさん)
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生マグロ丼(タカトスさん)

MNo.19

 那智勝浦町では、近海で捕れた生マグロが水揚げされます。その量は日本有数。クロマグロだけでなくって季節ごとにキハダやメバチ、ビンチョウなどいろんな種類のマグロが市場に並び、町中のいろんなお店で年中新鮮な生マグロが味わえます。
 お刺身もいいですが、オススメは生マグロ丼。冷凍ものでは味わえない、生マグロのもちもち食感をぜひ味わってほしいです(タカトスさん)

那智勝浦産キハダマグロの山かけ
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那智勝浦産キハダマグロの山かけ

 先の「食材図典」にも「那智勝浦漁港は生マグロの水揚げ量が全国一で、春先に紀南沿岸海域で延縄(はえなわ)漁法により漁獲される本種は美味で有名である」と書いている。

 全国一なんだ。美味で有名なんだ。

 マグロ好きは、那智勝浦に急げ。

 生マグロ丼は豪華であるが、次の物件はそれ以上?


伊勢エビ丼(おすぎちゃん提供)
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伊勢エビ丼(おすぎちゃん提供)

MNo.20

 「伊勢エビ丼」。これはまる1匹を丼にのせたもの。食べることができる時期は限られていたと思いますが、見たまんまの伊勢エビ丼です。
 伊勢エビといえば、三重のイメージですが、実は和歌山も全国有数の漁獲高なんです。プリプリの食感、本当にぜいたくで美味しいですよ。
 串本町の樫野釣公園センターレストランで食べることができます(おすぎちゃん)

食えるかも
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食えるかも

 こんな丼、初めて見た。

 伊勢エビの解禁時期限定なので毎年10月から翌年1月末までらしい。実食の旅に行くのはちょうどその時期。食えるかも。

 和歌山にもちゃんぽんがあった。九州人悶絶。


江川のちゃんぽん(田部アルクさん提供)
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江川のちゃんぽん(田部アルクさん提供)

MNo.21

 田辺市の漁師町・江川地区に、ここでしか味わえない「江川のちゃんぽん」があります。ちゃんぽんと言っても、一般に知られている長崎ちゃんぽんとは全くの別物。
 「うどん」と「そば」の2種類の麺を混ぜあわせるので「ちゃんぽん」と呼ばれています。もともとは漁師のまかない料理だったとか。
 ソースベースの懐かしい味で、2つの麺が生み出す独特な食感がまた面白い!
 江川地区は、迷路のような細い道が入り組む小さな集落。狭い地域に何軒も店があるので、食べ歩きもOK。おばちゃんが1人でやってるような小さな店が多く、ちゃんぽんを食べながらの地元の方言が飛び交うおしゃべりも楽しいですよ〜。ディープな和歌山がココにあります!(田部アルクさん)

太さの違う麺が混ざり合う(浜紀さん提供)
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太さの違う麺が混ざり合う(浜紀さん提供)

MNo.22

 磯の香り漂う田辺の漁師町・江川の細い路地を歩いていくと、何軒かのお好み焼き屋さんがあります。それらのお店に昔からさりげなくあるメニューが「ちゃんぽん」。これはいわゆる長崎のそれではなく、中華麺とうどん1玉ずつが混ぜられて、熱い鉄板の上で焼かれている焼きそば・焼きうどんの変わりメニュー。
 太さの違う麺が混ざり合う食感がおもしろく、そこに甘口で濃いソースがからまります。それがクセになって、ついリピートしてしまいます。
 地元・江川の人は、時間に関係なくお店に出入りしていて、おやつ感覚で食べているとか。私も近くなら通いたいくらい(浜紀さん)

鉄板で熱々(田部アルクさん提供)
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鉄板で熱々(田部アルクさん提供)

 岡山市、備前市日生、姫路で見て食べたのと同じ「ちゃんぽん」である。当時は異種ちゃんぽんに向かうと口がへの字になっていたが、いまはトシでもあるし、穏やかに接することができるようになった。

 うどんとそばを一緒くたにしてソース味で焼いたもの。瀬戸内のものかと思っていたら、和歌山にも飛び地があった。

 最後に甘いもの。


デラックスケーキ(電脳文化桃さん提供)

デラックスケーキ(電脳文化桃さん提供)

MNo.23

 鈴屋というお店に、デラックスケーキという物件があります。カステラ生地でジャムサンド。ホワイトチョコでコーティング。パッケージがデラックス?
 ネーミングの由来は謎。素朴で、なんか懐かしいお味がします(電脳文化桃さん)

デラックスケーキのはしっこ(電ボさん提供)
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デラックスケーキのはしっこ(電ボさん提供)

MNo.24

 田辺市の商店街には、いくつかのレトロなお菓子屋さんがあります。駅前通りの鈴屋というお店には、包み紙がレトロでなんともかわいい「デラックスケーキ」が売られています。
 その名のとおり豪華でかつ上品な風格が漂います。特製カステラにオリジナルのジャムが挟まれて、ホワイトチョコでコーティングされているシンプルな立方体のお菓子。
 手土産や贈答によく使われますが、私は製造過程で出来る「はしっこ」が店頭にお手頃な値段で置かれているので、そちらも一緒に買って自分用にいただきます。というかそっちのほうが楽しみだったりして……(電ボさん)

カステラにジャムにホワイトチョコ
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カステラにジャムにホワイトチョコ

 カステラにジャムにホワイトチョコ。いまでも十分にデラックスではないか。発売当時は、もっとデラックス感が漂っていたことであろう。

 「はしっこ」は切り落としのこと? 長崎ではわざわざ切り落としたのではいかと思うほど、大量のカステラの切り落としが売られていた。

 切り落としとか端っこって美味いんだよねえ。

「すけさん」からビル解体と新築時の手順を詳しく記したメールをいただいた。これを頭に入れて観察を続けよう。

 ということで今週はこれまで。次回は和歌山とトルコの関係などを見てみたい。

 通常スタイルの掲載は、来週が最後である。終わりが近づいてきた。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「B−1グランプリin十和田、3−4日開催」です。ぜひお読みください。

和歌山県編(その1) 「じゃばら」は自腹で買いましょう

和歌山県編(その2) 祝! 近大水産研卒業

和歌山県編(その4) なれ鮨vs湯浅の醤油

和歌山県実食編 君にこのシラスを知らすたい


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年10月2日

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