第136回 島根県ご当地グルメ(その3) 市民がアイス安来のキャンデー

特別編集委員 野瀬泰申


 前回は口のまわりが真っ赤になるソフト麺のナポリタンで大いに盛り上がった島根県編。メールが底を突きそうと呼びかけたところ、たくさんの情報を寄せていただきました。
「真っ赤なスパゲティ」で火がついたのか、今週は洋食関連の情報も届いています。さらには洋菓子にも話題が広がります。佳境を迎えた3回目、スタートします。
 今週のおかわりは、先週末に岡山県津山市で開催された「2013近畿・中国・四国B-1グランプリ」の模様をデスクが熊本県水俣市で開催された「全国ご当地ちゃんぽんサミット」を一芸クンがリポートします
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2013近畿・中国・四国B−1グランプリin津山

今週のおかわり「熱闘!2013近畿・中国・四国B-1グランプリ」へ

 先週末は岡山県津山市で開かれた「2013近畿・中国・四国B−1グランプリin津山」に行ってきた。

 会場に出かけみるとデスクがいるではないか。

「来るって言ってた?」

「言ってませんでしたっけ」

「聞いてないよ」

 ということで詳しいリポートは無断でやって来たデスクに任せることにしよう。

瓶チュー
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瓶チュー

 私は津山で愛Bリーグ本部の面々と行動を共にし、夜は旧街道沿いにある老舗中華料理店などに繰り出したのだが、そこで気になったのが「瓶チュー」である。文字通り瓶入りのチューハイで、地元の人によると「津山でチューハイを頼むと8、9割これが出てきます」とのこと。

 メーカーは大手の合同酒精。昨年2月に新しいデザインの商品が全国発売されているので、どこで見てもおかしくないのだろうが、どうもよそでは見た記憶がない。

 ひょっとすると店でグラスに移し替えて出しているから見ないだでけで、瓶のまま出すのが津山流ということであろうか。

 さて島根県編も3回目になった。「メール払底」と書いたら多くの皆さんから新鮮なメールが寄せられた。感謝。

赤天(ミルフォードさん提供)
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赤天(ミルフォードさん提供)

MNo.18

 浜田市にある江木蒲鉾店の「江木 なうなう赤てん」。赤てんを赤天と表記するお店もあります。
 練り物を揚げているのですが、はんぺんとかちくわのようなものとはちょっとカテゴリーが違うような、フライのようなカツのような感じもしつつ…。
 ピリ辛でピンク色。トースターやフライパンでさっと焼いて、マヨネーズでいただくと、簡単にビールの友になります(出雲市在住の矢田さん)

ばばあの唐揚げ(ミルフォードさん提供)
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ばばあの唐揚げ(ミルフォードさん提供)

MNo.19

 食奇行にも登場した、島根県浜田市あたりの名物「赤天」。魚肉のすり身に赤唐辛子を練りこみ、パン粉をまぶして揚げたもの。唐辛子が入っていない類似品は各地に存在しますね。
 すでに紹介されてしまいましたが、トビウオの入った「あご野焼」「板わかめ」、そして山陰でよくお目にかかる「ばばあの唐揚げ」「どじょうの唐揚げ」の写真も送ります(ミルフォードさん)

どじょうの唐揚げ(ミルフォードさん提供)
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どじょうの唐揚げ(ミルフォードさん提供)

 ミルフォードさんのご指摘のように、似た食べ物は九州や山口、徳島にも存在するが名前が登録商標になっているものもあるので「似た食べ物」としておく。

 似てはいるが「赤てん」には「赤い殺意」が潜んでいるので危険である。私は見るだけにとどめる。

「ばばあ」または「ばばちゃん」は鳥取県編にも登場した。標準和名は「タナカゲンゲ」。一般に流通しない漁師料理だったが、最近はコラーゲンを多く含むことから若い女性が注目しているという。若い女性がばばちゃんを……まあいいか。

 次のメールに注目。これが本当のご当地グルメ。

カツライス(出雲ぜんざい学会の田邊さん提供)
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カツライス(出雲ぜんざい学会の田邊さん提供)

MNo.20

 出雲地方の喫茶店になくてはならないメニューの一つが「カツライス」です。カツライスは全国的メニューと信じていた私は、その現状の厳しさを思い知らされています。
 写真は今年の7月に開店40周年を迎える出雲人なら誰でも知っている喫茶店「ラブラブ」のカツライスです。これぞカツライス(出雲ぜんざい学会の田邊さん)

「カツライス」で思い浮かぶのはこんな感じ(デスク)
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「カツライス」で思い浮かぶのはこんな感じ(デスク)

 出雲地方は学校に持っていく弁当に赤いソフト麺のスパが入っていなければならないし、喫茶店にはカツライスがなければいけない。

 これこそ食の方言である。田邊さんのおかげで発掘できた。

 カツライスというのはかつてレストランや食堂の高級メニューであった。出雲地方ではそれが喫茶店の必須アイテムになっている。

 写真を見るとこのメニューが成立した時代のごちそう観が実によくわかる。まずライス型が用いられ、この1点で「洋食」の記号になっている。ぜいたくなトンカツ(牛ですか?)、普段あまり口に入らない卵。

「かつ定食」ならこんな感じ(デスク)
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「かつ定食」ならこんな感じ(デスク)

 そして何よりサラダの存在が大きい。平均的日本人が生野菜サラダを知ったのは戦後のことで、生野菜にマヨネーズという組み合わせはそれ自体で新しいごちそうだった。

 進駐軍がサラダ用野菜を求めた結果、洋野菜を栽培する産地が形成された面があったわけだから、サラダは進駐軍文化の象徴でもあった。

 だから古い食堂の中にはいまも「サラダ定食」を出すところがあるし、老舗トンカツ屋などでもサラダだけが突出して値段が高い場合がある。

デスクがお昼に食べた「サラダ定食」
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デスクがお昼に食べた「サラダ定食」

 そして生野菜サラダが一般家庭の食卓に上るようになるのが東京オリンピックのころ。それ以前は葉もの野菜に直接肥やしをまいていたので寄生虫がわき生食に適さなかった。私も小学生のころ何度か「虫下し」を飲まされた。

 ところで出雲市から松江、安来に至る一帯では、様々な縁結びスイーツが生まれているそうである。喫茶店でカツライスを食べて縁結びスイーツで締める……となったら一芸クンの出番かな。

 スイーツの話をもうひとつ。先ほどの出雲市在住矢田さんから、こんなメールもいただいていた。

朝採レままたまごぷりん(矢田さん提供)
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朝採レままたまごぷりん(矢田さん提供)

 今年の3月31日に開通した松江〜尾道線の吉田掛合インターチェンジそばにできた道の駅「たたらば壱番地」。この辺りはアニメ「秘密結社 吉田くん」のふるさとです。
 その中にある「ままたまご」の「朝採レままたまごぷりん」は平飼い有精卵の「たなべのたまご」をぜいたくに使っているとかで、早く買いに行かないと売り切れていて、手には入らないこともしばしばとのこと。私は運良く手に入れることができました。
 優しい甘さで、たまごの香りもふんわりとしてとても美味しいです。
 プリンの味を決めるのは新鮮な卵。このプリンは、奥出雲の大自然の中で育てられている「株式会社 田部」の卵を使っています。この卵は島根県が安全で美味しいと認証した産品のひとつなんです。

 これも一芸クンに任せよう。でもプリンなら私もたべようかな。柔らかいし。

佐川末廣堂のアイスキャンデー(安来市観光協会提供)
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佐川末廣堂のアイスキャンデー(安来市観光協会提供)

MNo.21

 同級生が東京で集まった際に地元の名物として話題になるのが「佐川末廣堂のアイスキャンデー」です。安来市内の和菓子屋さんが昭和19年から製造販売しているアイスキャンデーだそうです。
 割りばしのような棒をナナメに突き刺した見た目が特徴です。後味がすっきりとした、昔ながらの味わいがとても美味しいです。特にストロベリーがおすすめです。
 また出雲大社近くの「島根ワイナリー」では地元でとれたブドウを使った「島根ワイン」を製造、販売しています。ここのワイナリーでお酒を飲めない私が一番おすすめなのは「グレープドリンク」です。
 ブドウ独特の癖がなく、他のグレープジュースと比べても美味しいです。島根ワイナリー(および通販)でしか販売していない商品ですのでお立ち寄りの際はぜひご賞味ください(小藤さん)

グレープドリンク(島根ワイナリー提供)
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グレープドリンク(島根ワイナリー提供)

 「佐川末廣堂のアイスキャンデー」は安来地方のソールフードである。久留米にもかつて「甘太郎のアイスキャンデー」というものがあって、夏の楽しみであった。

 たとえ個店のメニューであっても、こういうものが残っているのは羨ましい。

 全国各地にこのような地アイスがあることと思う。夏の暑い盛りに地アイス特集でもやろうかな。

 郷土料理系のメールが3通届いている。これは最終回に取っておくとして、これまで登場した物件に関連したメールを見ておこう。

名古屋の「ミラカン」はゆで麺
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名古屋の「ミラカン」はゆで麺

MNo.22

 実家は三重県の伊勢志摩地方です。実は義務教育9年間のあいだで「ソフトめん」が1度もないという小・中学校でしたので比較はできないのですが、ゆで麺を大量の油で調理するのは、名古屋のあんかけスパゲティに似てる感じです。
 あんかけスパはゆで麺を大量の油で炒め(というより油に通し)て出されますね。食べ慣れているからかも知れませんが、そんなに油っぽい気はしませんが、アルデンテでないことは似ているかと思います(あるけむさん)

沼津の「ミラネーゼ」もゆで麺
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沼津の「ミラネーゼ」もゆで麺

 いまブームになっているスパゲッティの「ナポリタン」も、かつてはゆで麺が普通だった。最近、カフェのランチで食べたナポリタンはゆで立てであったが「なんか違うぞ、上品すぎるぞ」と思ったのだった。

 昔々、新聞の「偏食アカデミー」でこれを取材したとき、製粉会社の担当者は「ナポリタンを作るコツはパスタをゆでて冷蔵庫で一晩寝かせること」と断言したものである。

 むろん、あんかけスパはこの流儀でないと、あの懐かしい味は出ないであろう。

赤飯には金婚漬け? それとも紅ショウガ?
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赤飯には金婚漬け? それとも紅ショウガ?

MNo.23

 私の家(岩手県央部)では赤飯には金婚漬けが多いですが、お店で売っている赤飯には赤く染めた紅ショウガが付きます。
 金婚漬けと見栄を張りましたが、別に紅ショウガでも違和感なくいただいています。子どものころ、何かの引き出物についた赤飯を保温状態の炊飯ジャーに入れて温め直したときも、紅ショウガをはがした赤い跡がありました(ござ引きさん)

 赤飯に紅ショウガは栃木県だけではないらしい。岩手県にも存在した。

 次はフェイスブックに集まった反響。一芸クンが転送してくれた。

牛丼にも紅ショウガです(デスク)
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牛丼にも紅ショウガです(デスク)

・へー、紅ショウガ!(@@)東北ではじめて「金時豆」ののったお赤飯見たときはびっくりしたけど、同じくらいの衝撃だー。
・岩手県でも紅ショウガがのっている気がします。
・北海道でも赤飯には紅しょうがですよ(*^_^*)
・江戸でも紅ショウガです。近所の伊勢屋さんで赤飯のオニギリを買うと紅ショウガが付いてて漬物代わりに食べてました(o^^o)
・味的にはそれほど悪くないと思いますけどね。いつもごま塩っていうのも芸がないし。
・うちでのせないけれど、札幌の赤飯も売ってるのは紅しょうがのスライスのってます。

北海層・女満別メルヘンの丘の雄大な風景
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北海層・女満別メルヘンの丘の雄大な風景

 ということで北海道、中でも札幌もそうである可能性が高い。

 次回で島根県編を終わる。書き残した方は急いでメールを。

 島根県の次は北海道である。大物である。実食編の旅は大変そうである。しかし北海道なのである。

 ご関係の方は準備体操をよろしく。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりは「熱闘!2013近畿・中国・四国B-1グランプリ」です。ぜひお読みください。


島根県編(その1) はい、ストかまです

島根県編(その2) ゆで・ソフト・スパゲッティ式・めん

島根県編(その4) へかやき、うず煮、うずめ飯


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2013年5月31日

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