第66回 新潟ご当地グルメ(その4、最終回) こっちのアナゴはウナギだよ

特別編集委員 野瀬泰申


 これまで3回にわたってさまざまなご当地グルメを発掘してきた新潟県編もいよいよ最終回です。たくさんのメールをいただきありがとうございました。山と積まれたメールの中から野瀬の体力が許す限りの情報を紹介いたします。

 アミー隊員が肩を、一芸クンが腰を、デスクが足を必死でマッサージしながら何とか掲載までたどり着きました。スタッフ一同、渾身の力を振り絞って作り上げた最終回をぜひご覧ください。

 番外編では、一芸クンが高知県で開催中の土佐の豊穣祭をリポートします。合わせてご覧ください。

 食べBのFacebookページを開設しました(http://www.facebook.com/tabebforum)。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください

(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら

ずっと晴れ
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ずっと晴れ

 先週の3連休を使って愛媛県実食編の取材に行ってきた。天気は晴れ。ずっと晴れ。

 現地を訪ねてみないとわからないことがあるのは重々承知のことながら、今回も話や活字からはうかがえない事柄にいくつもぶつかった。

デスク「…(げっぷぅ)」

 少しだけネタばらしをすると、本編に登場した食べ物は主役ではなく、むしろ登場しなかった場所や食べ物に重点を置いた。

駅を出る怪しい人影
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駅を出る怪しい人影

 取材では地元の読者の皆さんのお力を借りたが、おかげさまで貴重で楽しい時間を過ごすことができた。感謝。

 途中、急きょ地元ラジオ局の番組に出演して予定の倍もしゃべってしまった。パーソナリティーのお二人に、ごめんなさいしなくてはいけない。

 ともかく、次回の愛媛実食編をお読みいただきたい。

デスク「…(ぐえっぷぅ)」

 ひとつ心配なのがデスクの胃袋が小さくなっていることである。小さいといっても私の何倍かの容量を持っているが、それでも一緒に旅をしていて、かつての破壊力にかげりが感じられた。

破壊力抜群
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破壊力抜群

 静岡実食編で藤枝に行き、朝からラーメンを5杯も食べたあたりが転機になったと思われる。あのときのデスクの息も絶え絶えな表情を思い出すと「藤枝の悲劇」という言葉が浮かんでくるのである。

 単にトシということなのかもしれないが。

デスク 行田青森に続いて(げっぷぅ)3週末連続ですよ、しかも青森から帰ってきて在京わずか3日間(ゴロゴロ…)。さすがに胃と腸がグロッキーです(ぶー!)。

 今回で新潟県編も最終回。過去3回とも本当に充実した内容であった。紹介しきれないほどたくさんのメールを送ってくださった皆さんに、心からお礼を申し上げる次第である。

 次のメールは3分割して紹介する。面白いよ。

フリーペーパーで県産枝豆の特集(かやさん提供)
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フリーペーパーで県産枝豆の特集(かやさん提供)

MNo.34-1

▽枝豆について 産地があるせいか、特に中越・下越の人のこだわりが強いかも。早生、なかて、晩生と、美味い品種が出てくるのを待っている感じです。中越地区の長岡市には、9月下旬の数日しか採れない「肴(さかな)豆」という枝豆があります。この9月25日には「荒縄一本 肴豆狩り」という素敵なイベントがありました。

 まず現場に行ったら800円で1メートルの荒縄を買います。そして畑に入って自分で枝豆を枝ごと好きなだけ引っこ抜き、荒縄で束ねられるだけ持ち帰れるという仕組み。枝豆にかける熱意が伝わるでしょうか…。

 JAバンク新潟県信連が発行するフリーペーパーで、県産枝豆の特集を見かけました。弥彦村に「やひこ娘 直売所」があるそうです! やひこ娘が早生枝豆の品種名と知らないと、看板にドキッとします?(かやさん)

 スーパーなどで何とか詰め放題という企画はときどき見かけるが、荒縄で縛れるだけ持っていけというのは初耳。豪快。

 恐らく800円の元は簡単に取れるのであろう。

蒸かしナス風(かやさん提供)
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蒸かしナス風(かやさん提供)

MNo.34-2

▽ナスについて 長岡では「蒸かしナス」ですね。巾着ナスのような堅い肉質の丸ナス系のものを蒸して冷して食します。ショウガ醤油や辛子醤油、ワサビ醤油でも美味しいです。

 家庭菜園などで一度に大量に採れたナスを確実に消費するには、蒸すに限ります。家族に「またナスか…」と言われるほど採れまくる時期でも、どんなナスであろうと蒸かしてしまえば、結構食べられるものです。

 写真は全国的に売っている細長いナス(千両ナス)を「蒸かしナス」にしたもの。焼きナスみたいにも見えます(同)

今治のナスはなぜぺちゃんこか?
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今治のナスはなぜぺちゃんこか?

 ナスを蒸すという発想がなかった。焼いたもの、揚げたもの、煮たものしか食べたことがない。

 ナスを蒸すねえ。考えてみればそんな調理法もありか。

デスク 今治の(ぐえっぷっぅ)ナスはぺちゃんこでしたよ。

食用菊
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食用菊

MNo.34-3

 新潟で食べる菊花は紫色の「延命楽」が主です。山形産の食用菊は黄色のが多い気がします。「黄色のは、見る菊でしょ?!」と心の中でつぶやく新潟県人は多いと思います。

 新潟の菊花の呼び名は「もってのほか」(下越地区)のほかに、京都の人が越後に下り垣根の根本に植えたから「かきのもと」(下越地区)、食べてみたら思ったより美味しかったから「おもいのほか」(中越地区)と、同じ紫色の食用菊のことながら、いろいろです。

 三杯酢でおひたしにすると、色鮮やかになります。

 枝豆と同じく、採れたのをそのまま大鍋でガッとゆでてモリモリ食べるというスタイルが新潟流なのかもですね(同)

中国では「日本超人気米菓」(DO・塩竃さん提供)
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中国では「日本超人気米菓」(DO・塩竃さん提供)

「もってのほか」に「おもいのほか」。同じ品種の食用菊を地域によって違う名前で呼ぶ。思いの外複雑で、間違えるともってのほかと怒られるかも。

「かきのもと」は柿の種と間違えそう。

 次のメールも3分割。

新潟は「ナス王国」(ミルフォードさん提供)
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新潟は「ナス王国」(ミルフォードさん提供)

MNo.35-1

 長岡市(旧長岡市と栃尾市の境界付近の旧栃尾市)出身のワタクシが若干補足させていただきます。

 独特のナスの食べ方として、蒸かしナスがあります。丸ナス、巾着ナスはとても実が締まっているのですが、その名のとおり、蒸し器で蒸かしてそれを冷やしてショウガ醤油で。皮を剥くのはお好みで。うちは皮付きでしたが(オサムさん)

 そう、蒸かし(蒸し)ナスは独特。

へぎそばには辛子
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へぎそばには辛子

MNo.35-2

 球根を食べるアサツキですが、そもそも葉の部分は流通していないかと思われます。要は自身で山野から採取される方は、普通に食べていると思うのです。当然実家でも食べておりました。雪国ではふきのとうに次いで2番目に採れるものですね。球根は採取後軒先に下げていたものです。

 また、小千谷・十日町のへぎそばエリアでは、薬味はわさびでなく辛子です(同)

 いまだに球根を食べるアサツキのイメージがわかない読者も多いと思うが、実物を手にとって味わってみないとわからないであろう。

夏は枝豆(上尾の丸山さん提供)
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夏は枝豆(上尾の丸山さん提供)

MNo.35-3

 夏はナスとキュウリとトマトと枝豆だけで暮らすとありましたが、長岡周辺は+夕顔の実(ゆうごう)です。鯨汁には欠かせません。

 山梨の吉田辺りや東北日本海側の各地で食べられている所はあるようですが、長岡周辺ほどヘビーに食べているところはないかと。野菜直売所では主役級です。

 夏場は毎日ナスと夕顔の味噌汁に飽き飽きしていたものですが、40を過ぎると無性に恋しくなるものです。

 夕顔にしろナスにしろ「長岡野菜」として近年見直されています(同)

 夕顔の実を薄く削って干したものがカンピョウ。栃木の特産である。しかし栃木で夕顔が味噌汁の具になっているのであろうか。聞いたことないなあ。

巾着ナスのスパイシー巻き(ヤチさん提供)
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巾着ナスのスパイシー巻き(ヤチさん提供)

 新潟の次に予定している秋田県編で、あるいは夕顔が登場するかも。

「ヤチ」さんが長岡で開かれた食のフォーラムに行ったときのことを書いてくださった。その中に「パネラーから長岡のナス(巾着ナス)は蒸かして食べるか、煮るかしか食べ方がなかったので、焼きナス文化は最近までなかったとの話を聞き、思わず納得してしまいました」というくだりがあった。

 焼きナス文化が最近までなかったということに改めて驚く。驚きませんか?

はらこ
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はらこ

MNo.36

 年末(ちょっとはやいですが)にかけて新潟市のスーパーの鮮魚売り場にオレンジ色のコーナーができます。そうです「生はらこ(生イクラ)」のパックで埋め尽くされるコーナーが。上越ではそれほどのイクラの需要がないので売り場に5パックも並んでいれば多いほうです。

 年配の保健師さんから聞いた話ですが、むかし新潟市に研修に行ったとき中心街の大きな市場に赤い店があったので何かと思えばイクラとタラコの専門店。たたみ2畳くらい一面に赤い……。その保健師さんは、地域の減塩指導を心に誓ったそうです。

 もうひとつ、上越の少し南寄り桑取地区の野菜汁=桑取汁。この残暑のころにそろうミョウガ、トウガン、サツマイモ、大根、ニンジン、ジャガイモ、白菜、ネギ、ずいき、 ずいきのイモが入ります。

 ミョウガは薬味ではなく2つもしくは4つ割りにして他の野菜と一緒に煮ます。桑取・正善寺地区は「おくのみょうが」といわれる6〜7cmのやわらかくて大きいミョウガがどっさり採れるのでぜいたくに使えるんです。朝市で両手に山盛りこぼれるくらいで200円(うさぎさん)

十和田には真っ赤なシャツがある

十和田には真っ赤なシャツがある

 青森駅前にある鮮魚市場にも真っ赤な店がある。朝早く行かないと品物がなくなるほどの人気。地元のある方が「青森市民は本当に魚卵好きなんです」と言っていたが、新潟市民も負けていないようである。

 ところで減塩指導の効果はあったのであろうか。なかったんじゃないかな。

静岡県では真夜中になるとパイになる?
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静岡県では真夜中になるとパイになる?

MNo.37

 新潟の実家に帰るとときどき食べたくなる、他ではあまり見ない食べ物を紹介します。それは寺泊(現長岡市)の魚のアメ横で売られいる「浜焼きアナゴ」です。寺泊以外でも岩船や出雲崎などの浜焼きをやっている魚屋さんで売っているようです。

 アナゴと書かれていますが実際はヌタウナギの丸焼きです。3本1000円ぐらいで売っていて、うちではぶつ切りにしてワサビ醤油で食べます。臭みや苦味があって好き嫌いが分かれますが、軟骨があったりして不思議な食感がたまりません(田中さん)

 かつて新潟出身の同僚から「新潟のアナゴはウナギだよ」と聞いてちんぷんかんぷんだった。

「食べ物 新日本奇行」を連載中に必要があって調べてみた。ヌタウナギはウナギといいながら別の魚。

 韓国に行ったとき、この話題が出た。「韓国人はヌタウナギをよく食べますよ」

ジャム?
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ジャム?

MNo.38

 新潟で何か忘れ物があった……と、思い出しました。「かんずり」です。あの赤い悪魔を発酵させた調味料です。

 あの調味料を用いたジャムがあります。「がんずりジャム」。

 一口目は甘く、時間をおいて辛くなる。

 以前、お土産に買って帰って、知人にあげたところ「美味しかった!」「パンがいくらでも食べられる」と予想外の反応が。

「辛い〜!」と悲鳴を期待したのに、あじゃぱ〜でございました(大阪の原さん)

 新潟の赤い「かんずり」と大分の緑の「ユズコショウ」は、少量なら大丈夫である。雪にさらしたり、麹を入れたり、ユズを加えたりして殺意がやや緩んでいる。

 だけど「かんずりジャム」って美味いかあ?

サラダホープ(jimmyさん提供)
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サラダホープ(jimmyさん提供)

MNo.39

 新潟に行った息子の土産がこれでした。大手のメーカーでネーミングも普通だしパッケージもありきたり。

 渡した私の顔に不満をおぼえたのか「このサラダホープは新潟県内でしか売ってないんだ」と。これはこれは貴重なモノをありがとう(jimmyさん)

 新潟限定、亀田のサラダホープ。もとは全国発売されていたのだが、いつの間にか地元新潟限定になった。インスタントラーメンや清涼飲料水の世界でも、そんなことがときどきある。なんでじゃろ。

 最後はこのメール。

グアムのスーパーで(のべさん提供)
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グアムのスーパーで(のべさん提供)

MNo.40

 グアムに子供と実弾訓練に行ってきました。その時にスーパーで見つけたので、画像をお送りします(のべさん)

 おっと、のべさんにそんなご趣味が。「訓練」とあるが、決して「実戦」にならないように願います。

来週、この皿の上にのるのは…
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来週、この皿の上にのるのは…

 ということで新潟県編は終了。

 次回は怒濤の愛媛実食編である。

編集室から漏れ聞こえるデスクの声 きゃー、やめてー!

「もう、だめー」というデスクの悲鳴がところどころで聞こえるはずである。

編集室から漏れ聞こえるデスクの声 いやぁ、もう東京に帰してぇっ!

 その次から秋田県編。すでに何通かメールをいただいているようであるが、もう少しお待ちを。

デスクからおしらせ とくめえきぼんぬさんから「10月からは食べBの更新時間はどうなるのですか?」というメールをいただきました。そういわれて初めて、更新時間を午後5時から午後3時に繰り上げたときに「サマータイム導入」を言い訳にしたことを思い出しました。よく覚えてましたね! ということで、食べBは春も秋も冬も太陽が昇っている「お天道サマータイム」の午後3時の更新とします。もう「5時からオトコ」には戻れません。

(特別編集委員 野瀬泰申)


※これまでに掲載した新潟県関連情報もぜひご覧ください
新潟県編(その1) 万代バスセンター、バンダーイ!  新潟県編(その2) 3段カツ丼半羽揚げ  新潟県編(その3) 私はアサツキ、ラッキョと呼ぶな!  表参道から新潟を発信 アンテナショップ「ネスパス」(一芸)  コメパンマン見参! 新潟県の米粉普及プロジェクト「R10」(一芸)  長岡ご当地グルメ・60分三本勝負(一芸)

※番外編もあわせてご覧ください。
一芸クンが高知県で開催中の土佐の豊穣祭リポートしました。

※これまでの食べBの県別一覧はこちらから。



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2011年9月30日

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