第95回 滋賀県ご当地グルメ(その1) たくあんは、いかにしてサラダになりしか

特別編集委員 野瀬泰申


 筆者多忙により、山形県編に続き実食編をはさまずに、滋賀県編突入です。日本一の湖、琵琶湖をはさんで大きく分かれる滋賀県、その食文化にも地形が反映されているようです。
 今週のおかわり(番外編改め)では、恒例の滋賀県在京アンテナショップをデスクが取材してきました。あわせてご覧ください。
 食べBのFacebookページ(http://www.facebook.com/tabebforum)もご好評をいただいています。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください

(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら

東京スカイツリー
<写真を拡大>

東京スカイツリー

 先週の土曜日、愛Bリーグの全国会議が浅草に近いアサヒビール本社で開かれた。正確にいうと浅草から吾妻橋を渡った隅田川河畔に社屋はある。特別協賛企業として、格別の配慮をもって土曜日の会議室を貸していただいた。

 昼間に行ってみて驚いたのは周辺の人出だった。以前来たときは閑散としていたのに、その日はカメラを持った人々がぞろぞろ歩いている。

 理由はこれ。

 東京スカイツリーの雄姿が目の前なのである。写真を撮って会議に向かった。

 会議終了後、交流会があり、それも終わって外に出たら、ライトアップされたスカイツリーが夜空にそびえ立っていた。

ライトアップされたスカイツリー
<写真を拡大>

ライトアップされたスカイツリー

 写真を撮って近くの居酒屋へ。空いていた居酒屋に愛Bリーグ加盟団体のメンバーが大勢押しかけたものだから、あっという間に店は満員になった。

 さまざまなTシャツを着たおじさんたちを見て、店の人が「どんな集まりですか?」と聞いてきたが、説明が大変なので「まあ、いろいろ」とか答えて1升瓶からコップ酒をドボドボ。

 みんなよく飲むわ。

都心の夜景に浮かぶ東京タワー
<写真を拡大>

都心の夜景に浮かぶ東京タワー

デスク 実は全国会議の前の日、東京スカイツリーに上ってきました。地上350メートルから望む東京都心の風景はゼッケイでした。東京ってでっかいんですね。隅田川がいかにくねくねと曲がっているかもよく分かりましたし、スカイツリーに取って代わられたとはいえ、東京タワーがいかに高いかも実感しました。

 さて今週から滋賀県編なのであるが、ちょっと立ち往生している。メールはいただいているものの、顔ぶれが限られている。いつものようには書きにくい。

たくさんいただきました
<写真を拡大>

たくさんいただきました

 そこでメールが集まるのを待ちながら、時間稼ぎをする。

 都合のいいことに、いけずな京女さんが滋賀のご当地パンを送ってくださった。かつて「食べ物 新日本奇行」で話題になった「サラダパン」その他である。

 渡りに船とはこのことで、食べBチームは会議室の1部屋を確保し、寄ってたかって食べ散らかしたのである。

 リポートはご当地パン担当のアミー隊員。

サラダパン
<写真を拡大>

サラダパン

アミー隊員 いけずな京女さんが送ってくださったのは昭和26年(1951年)創業の「つるやパン」のパンです。

「サラダパン」のほか「サンドウィッチ」「ハムカツチョコ」「カステラサンド」「ミルクボール」「スマイルサンド」「ランチパン」が入っていました。いけずな京女さんのお薦めラインアップでしょうか。都合よく送っていただき、ありがとうございました。

 まずは、たくあんとマヨがコラボした「サラダパン」です。刻んだたくあんがマヨネーズで和えられコッペパンに挟まっているという驚きのパンです。

マヨネーズ和えのたくあん
<写真を拡大>

マヨネーズ和えのたくあん

 昭和33年(1958年)に登場し、現在までパッケージはそのまま。「なぜ、たくあん?」という疑問は同封されていた「つるやパン」の手紙が解決してくれました。

「当初はコールスローを入れていましたが、時間がたつと食感が損なわれるため、うちのおばあちゃんが漬けたたくあんをマヨネーズと和えて販売するようになり50年近くなります」とのこと。もともとコールスローだったから名前も「サラダパン」だったわけですね……「サラダパン」レポートの続きはこちら

 アミー隊員、ありがとさん。

 ではいただいたメールの一部を紹介する。

焼鯖そうめん(中林20系さん提供)
<写真を拡大>

焼鯖そうめん(中林20系さん提供)

MNo.1

 滋賀県といえば長浜の「鳥喜多」で楽しむ「親子丼」と「かしわ鍋」ですが、先日伺った際は定休日でした。
 ならばと黒壁スクエアをぶらぶら歩いて見つけたのが、古い商家を使ったお店で出していた長浜の郷土料理「焼鯖そうめん」。あらかじめ仕込む調理法なので、すぐに出てきます。
 で、これ単品ではなくおかずとして酒やご飯を楽しみたいところです。
 もう1枚は「長浜タワー」。長浜には長浜ドームもありますが、地名の付いたドーム&タワーのある街って…両方は意外とないんですよね。
 多分、東京・長浜・福岡だけなんじゃないでしょうか。
 ドームのある札幌や名古屋も、高いそれはテレビ塔ですし。
 長浜、ぶらぶら歩きには好い街ですよ(中林20系さん)

長浜タワー(中林20系さん提供)
<写真を拡大>

長浜タワー(中林20系さん提供)

 長浜はかねて行ってみたいと思っている街である。関西と北陸はずいぶん往復したが、湖西線で行くので湖東は、未知の領域に近い。

 わずかにチャンポンとお城の取材で彦根を訪ねただけである。

 そんな訳で、いまから実食編を楽しみにしている。

 メールに登場する焼き鯖とそうめんの取り合わせは、鯖街道をへてやって来た若狭の鯖と、播州や奈良のそうめんが出合って生まれたものであろう。

 瀬戸内の「鯛そうめん」とどっちがつおいか考えてみよう。

たにし飴(大阪の原さん提供)
<写真を拡大>

たにし飴(大阪の原さん提供)

MNo.2

 大津といえば三井寺力餅ですが、今回は「すはま」をゲット。全身きなこの素朴な味わい。何で豆を粉にするだけであんなに味が変わるんだろうか? きなこをなめても甘いし。
 ついでに「鮎キティ」。なんだか怖いんですけど……。
 瀬田の唐橋沿いを散歩していると、たにし飴に遭遇。円錐形の黒い飴でタニシの味はしません。形だけでした(よかった)。
 黒砂糖の懐かしい味です。でも夏期要冷蔵って……昔はどのように流通させたんだろうか?? 夏は休み??
 草津周辺では「うばがもち」が名物ですが、駅ビルで出くわした「和風ちゃんぽん」を攻めました。
 日本発祥のちゃんぽんを和風と念押しするあたりが奇妙なのですが、味はいけます。
 私はイカ・タコ・コンニャクなどのゴム系食感素材が苦手なので、長崎の元祖「ちゃんぽん」は尻込みしてしまいます。でもここのちゃんぽんにはイカタコ類が入っていないので安心して食べられました。海鮮が入っていないチャンポンがあっても良いじゃないか(大阪の原さん)

 原さん得意のぱくぱく旅である。

 瀬田の「たにし飴」は、東海道を歩いたときに看板に目を引かれて写真を撮っている。まさかたにしを練り込んだりはしていまいと思っていたが、形をまねただけなので安心した。

彦根ちゃんぽん 酢をかけるのが決まり
<写真を拡大>

彦根ちゃんぽん 酢をかけるのが決まり

 瀬田には古い町並みが残っていて、歩いて飽きない。確か道に迷って当てずっぽうに歩いていたら、旧東海道に出たと記憶している。

 いやいや、それより古い古い喫茶店に入って、とても嬉しかった思い出がある。

 そして草津の和風ちゃんぽん。あの辺りは平仮名で書くけれど、私はカタカナにこだわるので両表記が併存することをお許し願いたい。

 で滋賀における和風ちゃんぽんの発祥の地は彦根である。酢をかけるのが決まり。

在りし日の「麺類をかべ」
<写真を拡大>

在りし日の「麺類をかべ」

MNo.3

 現在勢いづいている「近江ちゃんぽん」の元祖、発祥である「彦根ちゃんぽん」の名店「麺類をかべ」本店が閉店したそうです。
 たまたま、今朝の京都新聞に載っておりました。
 かつて野瀬さんが「食を歩く」で「長崎でないちゃんぽん」に初めて遭遇されたのが、このお店ではなかったかと記憶しています。
 なので実食編にはぜひ推薦しようと思っていたのですが…残念です。
 幸い店舗はなくなっても味は2号店で継承されるとのことですから、可能ならそちらに行っていただきたいなあと。
 私の個人的意見では「近江ちゃんぽん」は大衆に迎合しすぎて、ご当地色が弱まっていると思います。やっぱり「ちゃんぽんは彦根のもんとちゃうのん」?(いけずな京女さん)

 京女さん、パンをありがとうございました。食べBチーム4人による熱闘1時間、大変盛り上がりました。

タイガースチャンポンも
<写真を拡大>

タイガースチャンポンも

 それはそうと「麺類をかべ」が閉店したのか。彦根駅前の普通の中華の店にように見えながら、客の大半がチャンポンを注文していた。

 私は思い出す。雨宿りで入った喫茶店での地元客との会話を。

「彦根では昔からチャンポンを食べていたんですか?」

「そうや。昔からこの辺じゃチャンポン食べてるよ。長崎にもチャンポンがあるいう話を聞いたことあるけど、チャンポンいうたら彦根や」

「あれー。倒れるー」

 京女さんのメールの続き。

赤いこんにゃく(いけずな京女さん提供)
<写真を拡大>

赤いこんにゃく(いけずな京女さん提供)

 近江の国の赤い奴。というても、辛くありませんのでご安心ください。
 日本全国、いや世界中、地球上、きっと銀河一円を探してもここにしかない、それは『赤こんにゃく』。
 通常、こんにゃく売場といえば灰色や白ですが、滋賀県のスーパーに行くと一部が真っ赤に染まっています。知らない人は一瞬、ぎょっとするかも。
 赤い色は「三二酸化鉄」(食品添加物に指定されている着色料)で、昔からベンガラ(紅殻、弁柄)と呼ばれ日本人がさまざまに利用してきた顔料です。
 無味無臭なので、こんにゃくとしての風味は普通のこんにゃくと変わりません。
 言い伝えによれば、織田信長が近江八幡で土地の祭りに参加し、自ら女装して大いに盛り上げたとのこと。その際、派手好みの信長がこんにゃくまで赤く染めさせたそうです。
 食べ方は普通のこんにゃくと同じで煮物が多いですけど、料理の彩りに便利に使えますよ。鉄分補給にもおすすめの食材なので、ご当地土産にぜひどうぞ。

近江八幡名物
<写真を拡大>

近江八幡名物

 赤いこんにゃくは京都で食べたが、近江八幡のものであった。何のためにこんにゃくを赤くする必要があるのだろうと、そのときは思ったが、いまでは「赤くしたかったんだろうな」とぼんやり考える。

「食べ物 新日本奇行」を飾ったおやじギャグの不朽の名作。

「こんにゃくって、こんにゃ食い方があったんだ!」

食べ物?(jimmyさん提供)
<写真を拡大>

食べ物?(jimmyさん提供)

MNo.4

 前回の山形県編で登場した県内ではポピュラーな漬け物「おみ漬」が近江商人の保存食だったという話から、滋賀県編に移るという考えオチに舌を巻いております。
 舌といえば身体の一部ですが、私の唇は油分の分泌量が普通の方より足りないらしく、冬の乾燥期以外にもすぐにカサカサして、気になってしょうがありません。
 そこで登場するのがリップスティックで、何かにつけ塗っている生活が数十年続いております。数々のメーカーから同じような商品が発売されていますが、私には滋賀県にある近江兄弟社のがいちばんしっくりくるようで、ポケットには常備され片時も離すことがありません(jimmyさん)

パン、食べ過ぎた…
<写真を拡大>

パン、食べ過ぎた…

 なるほどなのであるが、あれって食べ物?

 何回も塗っていれば、口にも入るか。

 佐賀県鳥栖市に本社がある久光製薬はかつて久光兄弟株式会社であった。どちらも兄弟力を合わせるところが よい。すーっとする。

 今週はここまで。皆さんからの滋賀県メールを待つ。来ないと困るんだってば。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわり(番外編改め)は東京・有楽町で滋賀県を知る(デスク)です。合わせてご覧ください。

実食編 琵琶湖周食の歌

滋賀県編(その2) 名前は「トン」でも鶏肉よ

滋賀県編(その3) 老眼なのにきんし丼

滋賀県編(その4) 人間は葦を食う生き物である。アシからず


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2012年6月29日

【PR】

【PR】

【PR】

大人のレストランガイド

大人のレストランガイド

NIKKEI×ぐるなびが提供する、大人のためのグルメガイド。接待や会食、ビジネスシーンなどにおすすめのお店情報をご紹介。

ぐるなびWoman

ぐるなびWOMAN

女性のための女子会・デートのグルメ情報サイト。おすすめのレストランや居酒屋をこだわりやシーンに合わせて検索できます。

ぐるなびWedding

貸切パーティコレクション

企業向け貸切、OB会etc… 少人数〜大人数でも貸切OKのレストラン

結納・顔合わせ

特別な日を過ごすための完全個室のお店情報や、マナー・段取りまで

このサイトについて

日本経済新聞社について