おかわり 金武グ・オブ・タコライス、古き良き「基地の町」〜デスク版沖縄県実食編



昼の金武・新開地
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昼の金武・新開地

「どこかいい店、ご存じですか?」
「『シャングリラ』そして『まちこ』ですね。どちらも老舗です」

 那覇から西海岸沿いに北谷、残波岬、名護へと北上、そこから本部半島を一周し、実食編取材も終盤になった2日目の夜。宿の主人と交わしたこんな会話が、旅の方向性を大きく変えてしまいました。

 そのまちは、金武(きん)町。人口1万1,000人、沖縄本島のほぼ中央部、東海岸に位置し、町の面積の約60%を、約5000人の海兵隊員が常駐する米軍基地・キャンプハンセンが占めています。

夜はちょっと薄暗い
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夜はちょっと薄暗い

 運転中に電話がかかってきたタクシーの運転手さん、ハンズフリーの会話は英語です。「基地に指定業者として入ってるんで」。どうりで流ちょうな英語です。

 金武は、観光県・沖縄にありながら、観光客が少ないところです。今回も、ネット予約で取れる宿が一軒もありませんでした。

 他の基地のまちが、観光客を意識して姿を変えつつある中、昔ながらの「米軍基地の門前町」の姿を色濃く残しています。今回、それを目当てに訪れました。

シャングリラへようこそ
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シャングリラへようこそ

 台風が多いため、沖縄は家屋も店舗もほぼコンクリート製。そこに英語の看板が並び、しかも「TATOO」なんてのが多数あるものだから、街並みはまるっきりアメリカです。

「シャングリラ」は、金武のメインの歓楽街「新開地」にありました。怪しいネオンサインの奧、しかも急斜面の向かいにあり、通りから短い橋を渡るといきなり3階に入ると言う不思議な構造です。

 扉に手をかけようとすると、中から外国人が3人飛び出してきました。

バーボンのロックはワンショット500円
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バーボンのロックはワンショット500円

 ちょっとびっくり。「エクスキューズ・ミー」といったところでしょうか、目で「済まんね」と合図して、店を出て行きました。

 ビリヤード台とダーツが並ぶ店内はかなりの広さ、でも、誰ひとり客がいません。カウンターに腰掛けると、中では仲間由紀恵似のとびきりの美人が微笑んでいます。

 飲み物は都度払い。1杯注文するごとに料金を支払います。バーボンのロックは1杯500円。ワンショットといいながら、メジャーカップで2回、バーボンがグラスに注がれます。ずいぶんと安いじゃないの。

新開地はキャンプハンセン第1ゲートの目の前
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新開地はキャンプハンセン第1ゲートの目の前

 せっかくなので仲間さんを独り占めにして、おしゃべりに興じました。

 この2年間ほど、夜の不祥事がもとで、米軍関係者の派手な夜遊びが「自主規制」されていたとのこと。キャンプハンセンは海兵隊の基地なので、長期航海が始まると客が急減するなど、そもそも店の経営は楽ではなかったそうです。

 そこに規制が加わり、新開地はすっかり寂しくなってしまった…。

金武町の観光案内
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金武町の観光案内

 日曜日で休みの店が多いとは言え、通りには明らかに閉店してしまったであろう店が目につきます。

 詰め込めば100人近くも入れそうなこの老舗でさえ、客は僕ひとり。それが金武の現実なのかもしれません。

 でも、このおしゃべりが今回の旅を大きく変えるカギになりました。観光案内とは思えないポップな表紙のパンフレットをもらい、おすすめの店も紹介してもらいました。

 聞けば聞くほど魅力的です。事前に調べていた最終日の予定も大幅に変更して、金武の魅力を探訪することにしました。

「タコライスの町」を宣言
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「タコライスの町」を宣言

 まずは「タコライス」から。

 金武は「タコライス発祥の地」。

 タコライスは、ご存じの通り、タコスの具をご飯にのせたもので、1984年に金武町のパーラーで誕生しました。その後沖縄全県に広がり、今では沖縄を代表するご当地グルメのひとつになっています。2012年には、金武町役場が「タコライスの町」宣言をしています。

 飲むだけの「シャングリラ」の前に、タコライスの発案者・儀保松三さんが創業した「キングタコス」通称「キンタコ」の本店で食事を済ませていました。金武に数あるタコライスの店の中でも抜群の人気を誇っています。

タコライス、チーズ&野菜のせ
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タコライス、チーズ&野菜のせ

 ちょうど夕食時だったこともあって、店頭にはタコライスのできあがりを待つ人でちょっとした行列ができていました。飲み終えた帰り際に再び前を通ったのですが、やはりタコライス待ちの客で賑わっていました。

 食べたのは、タコライスのチーズ&野菜のせ。トッピングが山をなしています。店頭には食べ残し用を持ち帰るためのパックが用意されているほど。果たして食べ切れるのか?

 ただ、幸いなことに山の中心はチーズとレタスで、ご飯の量は恐れていたほどではありませんでした。愛、辛みの効いたソースをたっぷりかけたら、無事に完食できました。ちょっと苦しかったですけどね。

ぎんばる食堂の野菜そば(大)
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ぎんばる食堂の野菜そば(大)

 しかし、横目で見た隣の席のフライドポテトは、どう見ても食べきれない量。「シャングリラ」の仲間さんの話によれば、ハンバーガーも巨大サイズだとか。アメリカ人規格なのでしょうか、金武はどこの店も量が半端じゃなく多いそうです。

 その代表的なお店が、中心市街地からちょっと離れたところにあるぎんばる食堂です。看板メニューは野菜そば。野菜の山といいます。翌3日目、確かめに行ってきました。

 食券の販売機を見ると野菜そばには(大)と(小)があります。大盛りが有名なのですから、ここは(大)を食べなきゃと注文したのが間違いでした。

食べても食べても減らない…
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食べても食べても減らない…

 出てきた野菜そば(大)を見て、思わず腰が抜けそうになりました。

 一緒に出てきた空の器は何? そう、山のような野菜を「一時待避」させないと食べ始められないのです。

 麺もぎっしりで、食べても食べても減らないとは、まさにこのこと。食べ進むうちに顔面蒼白となり、額からは冷や汗がしたたり落ちます。

 勘弁して…。

看板メニュー?
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看板メニュー?

 さらに仲間さんからもうひとつ、金武に来たからには絶対に食べておくべきと言われたのがチーイリチャー、豚の血の炒め煮です。金武っ子にとっては、タコライスをしのぐご当地グルメだそうです。新開地ではなく、国道沿いにある地元の人たちをターゲットにしているだろう食堂、弁当屋で「チーイリチャーあります」の看板を目にしました。

 どういう料理かというと、豚の血を肉や内臓、野菜とともに炒め煮にして、ご飯にかけたものです。豚ではなく山羊のチーイリチャーもあるそうです。仲間さんが「チーイリチャーならゼッタイこの店」という「久松食堂」に行ってきました。

久松食堂のチーイリチャー
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久松食堂のチーイリチャー

 見た目は、カレーライス? いや、黒いルーがのったハヤシライスと言ったところでしょうか。大量にトッピングされているのは生ニンニクのみじん切りです。

 テーブルの上には辛さの違う3種類のホットスパイスと沖縄の調味料・こーれぐーすとてもすっぱい地元産のお酢、そしてウスターソースなどが並んでいます。まずひと口はデフォルトで、その後は好みで味を加えて食べていくのが作法だそうです。

 そうやって食べてみると美味しい。

トッピングには大量の生ニンニク
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トッピングには大量の生ニンニク

 これ、大好き!

 辛いのが苦手な人はウスターソースでまろやかに、さっぱりと食べたい人はお酢で、そして刺激が欲しい人はホットスパイスで食べるのだとか。

 僕は3段階で最も辛いホットスパイスとお酢の組み合わせがいちばん気に入りました。

 東京ではまずお目にかかれないと思うので、金武まで、またぜひ食べに行きたい。

マングローブの「海の森」
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マングローブの「海の森」

 観光の要素に乏しいとさっき言いましたが、目立たないだけで、観光要素もありました。ただし、町中には地図や案内表示が少なく、きちんと下調べしないとたどり着けません。

 いちばんの魅力は自然。

 億首(おくくび)川の河口には「ネイチャーみらい館」という自然体験学習施設があって、金武の自然を満喫できます。河口付近にはマングローブの群生地があって、マングローブの「海の森」をカヌーで巡ることができます。

 今回は、川沿いの遊歩道を歩いてマングローブ林を堪能しましたが、確かに魅力的。自然がいっぱいで海もきれいです。

もう春?
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もう春?

 そして金武ダム

 億首川の上流にあった億首ダムを、最新の技術でリニューアル、改称したものです。昨年3月に完成したばかりで、まだ観光開発にまでは至っていません。

 堤の桜は2月に開花し、花見の名所になるのだそうです。ダムに行く道の途中では、すでに梅とおぼしき花がほころんでいました。なにせ、1月だと言うのに気温は26度にまでなっていましたから。

 さらに金武は湧水のまちでもあります。

金武大川(ウッカガー)
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金武大川(ウッカガー)

 まちのあちこちに井泉があり、最大の金武大川(ウッカガー)は、1日に1000トンを超える水があふれ出ていて、湧水と言うより公園の噴水のようです。

 豊富な水量は、かんばつ時にも枯れたことがなく、住民の飲料水や生活用水になり、後で紹介する田芋や米の農業用水にもなっています。

 そして湧水は、泡盛にもなります。沖縄は全土にわたって鍾乳洞が多いのですが、その鍾乳洞を貯蔵庫にして泡盛の古酒を作っています。地元の蔵元・金武酒造では、鍾乳洞の貯蔵庫を有料で見学することができます。

金武特産の田芋
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金武特産の田芋

 農産物では、湧水に由来する田芋が特産です。県内で消費される田芋の約半分が金武町で生産されています。

 田芋は、水田で栽培されるサトイモの一種。1年おきに米と田芋を作るのだとか。沖縄の稲作は、サトウキビなどに押され衰退しているのですが、高級品の田芋を目的に、億首川の河口周辺では広大な水田を見ることができます

 種芋からたくさんの子芋がとれることから、子孫繁栄の縁起物として、おせち料理としても食べられるそうです。ただし、栽培が難しく、話を聞いた生産者の方は「一昨年は全滅」だったとか。

田芋チーズケーキ
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田芋チーズケーキ

 田芋料理の店もあるのですが、さすがに限られた時間では胃袋が許さず、次回への宿題になりました。そのお店が国道沿いに作った菓子店で、田芋を使ったスイーツ「田芋パイ」と「田芋チーズケーキ」だけは、なんとか持ち帰ってきました。

 そうそう、3日目の朝食も傑作でした。

 隣の宜野座村に泊まったのですが、そこから金武町に入ってすぐのところで早朝から営業していたのが「パーラーべつ腹」でした。

これで200円
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これで200円

 店先で弁当を売っています。本編でも話題になった沖縄の弁当です。

 とんでもなく安いんです。おかずがオンザライスじゃないのが400円300円、おかずのせ飯が200円、カレーなどは100円です。セルフでつゆをかける沖縄そばも100円です。僕は200円のオンザライスを朝食にしました。

 おかずは白身魚のフライ、ポークたまご、野菜いため、揚げかまぼこ、そしてスパゲティ。必要にして十分な量です。話を聞いたところ、朝の6時から弁当作りを始めるとのこと。できあがるごとに店に並ぶそうです。

照屋林賢さん
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照屋林賢さん

 ということで、金武だけで相当な量になってしまいました。でも、金武の仲間さんと並んで、この旅にはもうひとりキーマンがいるんです。本編でも情報を寄せていただいた、沖縄音楽界の重鎮・照屋林賢さんです。

 金武の底なし沼にどっぷり沈むまで、今回のメインは、初日夜の林賢さんのはずでした。

 直営のライブハウス「カラハーイ」でりんけんバンドのライブを見て、本編でも紹介したてびちの唐揚げはじめ「RINKEN'S KITCHEN」自慢の沖縄料理を、林賢さんに説明してもらいながら味わう…

林賢さんと食べた沖縄そば
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林賢さんと食べた沖縄そば

 北谷の美浜、アメリカンビレッジを本拠とする林賢さんを訪ねると、ちょうどリハーサルを終え、本番前の腹ごしらえの最中でした。僕もちゃっかり、バンドの皆さんと一緒に沖縄そばをいただいちゃいました。林賢さんと雑談しながら食べる沖縄そばの味は格別です。「誰と食べるか」は、料理の味を決める最高のスパイスです。

 食べる終える間に、差し入れもやってきました。「廃鶏鳥」おやどり姉妹の親鳥ですね、の炭火焼きです。硬いが味わいの深い親鳥ですが、沖縄そばのつゆに浸して食べると、柔らかくなってとても食べやすい

会場と一体になってカチャーシー
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会場と一体になってカチャーシー

 ライブハウス「カラハーイ」のショーには、林賢さんの沖縄へのこだわりが随所に詰まっていました。林賢さんの三線、そして上原知子さんの沖縄の海のように透き通った歌声、最後は客席と一体となって繰りひろげられるカチャーシー(沖縄の手踊り)…。高い演奏力と汗ほとばしるパフォーマンスには、思わず身を乗り出してしまいました。

 終演後は隣接する「RINKEN'S KITCHEN」で沖縄料理です。林賢さんの着替えを待つ間に、まずはオリオンの生ビールをぐびり。もずく酢は酸っぱすぎないところが魅力です。

てびちの空揚げ
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てびちの空揚げ

 メインはもちろん、看板メニューのてびちの空揚げです。箸でつまんだだけで崩れるように柔らかく下ゆでされた豚足が空揚げになっています。

 いやぁ、オリオンの生ビールが進んでたまりません。骨のかけらをなめるように食べ尽くしました。

 くふぁジューシー、沖縄の炊き込みご飯もてびちの空揚げはよく合います。島豆腐とニンニクのチャンプルーは、ニンニクどっさり。チーイリチャーといい、今回の実食編はニンニクづいてますね。これもオリオンビールにぴったりです。カリフォルニアロールはチーズ入り。

田芋の空揚げ
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田芋の空揚げ

 そして田芋の空揚げ。金武で田芋料理をあきらめたのは、すでに北谷で食べていたからでした。これ、抜群に美味しい。

 いつも通り、地元の味、観光名所をこれでもかと巡ったのですが、金武と北谷でもうお腹いっぱいですよね。あとは簡単に。

 初日、那覇空港へ降り立ってすぐ、那覇市内の食堂「三笠」で、スキヤキを食べました。鍋料理ではなく、皿で食べるすきやきです。

那覇の人気食堂のすきやき
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那覇の人気食堂のすきやき

 牛肉や豆腐、そして野菜などを煮て卵で食べると言う意味では、確かにスキヤキですが、写真を見ればわかる通りかなりの「つゆだく」です。他の定食が「ライス・スープ付き」なのに対し、スキヤキはスープがつきません。沖縄ですきやきは「汁物」なんでしょうか。

 食堂メニューでは、2日目の昼、名護でちゃんぽんも食べました。麺料理ではなくご飯のちゃんぽんです。ランチョンミートにタマネギ、キャベツ、ニンジンなどの野菜を加えて卵とじにしたものが、ご飯の上にのっていました

ボリュームありすぎの朝食
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ボリュームありすぎの朝食

 2日目の朝食には、A&Wにも行きました。ルートビアを飲み、朝から、「ザ★A&Wバーガー」。ビーフのパテに加えて、ペッパーポーク、トマト、レタス、オニオンリング、そして濃厚なクリームチーズがトッピングされています。朝からボリューム満点。

 A&Wと言えば、ハンバーガーの供はポテトではなくオニオンリングです。トマトケチャップをたっぷりつけて食べました

 恩納村のシーサイドドライブインでお茶しました。

海を見ながらアイスコーヒー…暑かったんだもん
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海を見ながらアイスコーヒー…暑かったんだもん

 読谷ではサトウキビからの黒糖作りも見学してきました。

 残波岬琉球村美ら海水族館海を渡る古宇利大橋、ううるまの海中道路にも行ってきました。読谷のやちむんの里では壺屋焼も見てきました。

 金武以外の観光スポットについては、動画「映像版食べB」でご紹介することにしましょう。美しい風景、あれこれ言うより見るのが一番です。

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


(デスク)

1月30日

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