第6回 鳥取県(準備体操編) まずは、あのパンについて語ろう

鳥取駅
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鳥取駅

 青森県編を終え今回から鳥取県に舞台を移す。

 何度も鳥取に行ったわけではないけれど、印象を一言で書けば「懐かしい」ということであった。山や海の風景が懐かしい。町並みが懐かしい。

 鳥取市の町を歩きながら、懐かしさの寄って来たるところを考えた。例えば駅前が温泉街になっていて、そのうちの1軒に泊まってみると、従業員の皆さんの言葉や物腰の柔らかさに心和む。老舗コーヒー店に入ってみれば、店で砂糖をひとつひとつ透明な袋に詰めていて、市販のもので済ませないところに店の実直さを思う。

 駅前をうろうろしていたら、通りがかりの女性が「この店のコーヒーは美味しいよ」とか「砂丘に行きたい? ならバスはあそこから」などと実に親切なのである。

 もう一度ゆっくり行ってみたい、とそう思っている私に代わって、先週末にアミー隊員が鳥取へお邪魔した。鳥取空港に降り立ち、急ぎ足で県内を回って米子空港から東京に戻るという慌ただしい旅ではあったが、生まれて初めて鳥取に行ったアミー隊員には発見に満ちた旅であったらしい。


鳥取城跡。鳥取駅から徒歩で25分くらいでした。バスもあります
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鳥取城跡。鳥取駅から徒歩で25分くらいでした。バスもあります

アミー隊員レポート

 はい。駆け足で回ったので、ほんの一部しか見ていませんが、初めての鳥取県は驚きでいっぱいでした。
 正直、出かける前は「食べ物 新日本奇行」でも鳥取県の方からの投稿は比較的少なかったので「食べBが成立するほどのネタはあるのか?」と不安な気持ちでしたが、それは取り越し苦労のようです。
 食材も豊富で、長年地元で親しまれている味から最近話題になっているものまでいろいろありました。「ただ、知らなかっただけ」と気づかされました。
 また、鳥取県は東西に細長いこともあり、場所によって気質も食文化も異なるそうです。大雑把な言い方をすれば、東部は城下町で控えめな印象、西部は商人の町で「だらず」な感じだと、地元の方から聞きました。
 B−1グランプリでおなじみの「とうふちくわ」も江戸時代に池田藩主が鳥取城下に豆腐食を奨励したことから作られるようになったため東部では食べますが、西部ではあまり食べないそうです。鳥取駅から米子駅は特急で約1時間。近いようで遠い、そんな関係のようです。「県」単位でひとくくりにできない鳥取県の奥深さを皆様の投稿でさらに教えていただけると有難いですね。それを参考に、今度はもう少し時間をかけて、あれ食べたり、これ食べたりしたいですね。


野瀬 「だらず」ってなーに?

アミー隊員 突拍子もないことをするとか、常識はずれとか、アホとか、のぼせもんとかそういうニュアンスの言葉らしいです。

野瀬 要するに元気がいい?

通りに「食のみやこ鳥取」の幟
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通りに「食のみやこ鳥取」の幟

 アミー隊員によると鳥取では「B級グルメ」の「B級」について「?」な印象をお持ちの方に何人か出会ったそうである。繰り返すとB級はA級の下ではない。片方は非日常の食べ物で、もう片方は手ごろな値段の日常の食べ物である。食べる頻度と値段の違いにほかならない。

 小社が発行している週刊投資金融情報紙「日経ヴェリタス」(http://veritas.nikkei.co.jp/)最新号の巻頭特集は「B級投資 世界に照準」である。「ワンコインで始める我が家の戦略」「額は小さいが、うまみは大きい」の副題がついている。つまりはそういうことである。

 鳥取にはこんなに安くて美味しいものがあるよ、という情報をお寄せいただきたい。自慢していただきたい。

アミー隊員 家でしか食べない料理でもいいんですよ。鳥取県の美味しいものを教えてください。


JR鳥取駅構内のパン屋さんで「サンライズ」を発見
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JR鳥取駅構内のパン屋さんで「サンライズ」を発見

 というわけで、鳥取県に関するメールはすでにいただいているのだが、カレンダーを見れば次週は連休の最中なので休載せざるを得ない。本番を始めてすぐにお休みでは気が抜ける。そこで今回は準備体操編として、連休後に本格的にスタートする。

 その間、鳥取に旅行される方、帰省される方がおられれば是非メールをいただきたい。


 メールを待ちつつ、私が現時点で鳥取に抱く関心事を書くことにする。

 それは「パン」である。以前、鳥取に行ったときJR鳥取駅構内のパン屋さんで「サンライズ」を発見して驚いた。

岡山県津山市で撮影した「法事パン」
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岡山県津山市で撮影した「法事パン」

 と書いても「それ何?」という方も多かろう。「食べ物 新日本奇行」のアーカイブ「メロンパンとサンライズ」にあるように、我が国には全国的に「メロンパン」と呼ばれているパンと同じものを「サンライズ」と呼ぶ地域が狭いながらも存在する。主として関西や広島県なのであるが、鳥取で写真のような物件と遭遇して「ひょっとしたらサンライズ地帯は中国地方の日本海側にも存在するのであろうか」と思ったのだった。

 この店固有の呼び方なのか、それとも地域的な広がりがあるのかを知りたい。


 もうひとつは「法事パン」である。写真は岡山県津山市で撮影したものだが、岡山県と鳥取県は隣接している。共通の文化があるのかないのか。

鳥取のカツ丼は「溶き卵をカツにかけない」スタイルか?
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鳥取のカツ丼は「溶き卵をカツにかけない」スタイルか?

 もうひとつのパンはサンドイッチであるが、これに関してはここで寸止め。後は地元の皆さんからの情報を待とう。


 それと根拠が乏しいことながら、鳥取のカツ丼は「溶き卵をカツにかけない」スタイルではないか。タマネギと溶き卵を出し汁で煮てご飯にかける。その後にカツをのせているような気がする。

 というのは私が観察した食品サンプルの多くがそうなっていたからである。


 ラーメンでも話題が多くなりそうな予感がしている。鳥取市役所の食堂に掲げられていたメニューの写真をご覧いただきたい。皆さんの関心を呼びそうな物件がありはしないか。

鳥取市役所の食堂に掲げられていたメニュー
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鳥取市役所の食堂に掲げられていたメニュー

 最近話題の牛がどうした骨がどうしたというラーメンにも大いなる興味を抱いている。


 おでんはどうであろう。島根におでんの取材に行ったとき、東京や大阪では見かけない種の数々に驚いたが、それは日本海の幸であった。ではお隣の鳥取のおでんはどうなっているのか。私はどこかに似ている点があるのではないかとにらんでいる。


 このように鳥取もミクロなテーマがいっぱいの地域である。


 ところで青森県編は終わったのだが、その余韻ともいうべきメールをいただいているので、いくつか紹介しよう。


たらたま(takapuさん提供)
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たらたま(takapuさん提供)

MNo.(メールナンバー)あ

 津軽地方の家庭に伝承される郷土料理に関心を持っていた自分は、2年間青森で生活をしていたのですが、自分が出合った料理の中で特に驚いたのが「たらたま」です。
 農家が野菜や米と物々交換で手に入れていた棒鱈を食べるために、これを新聞で包んで漬物石で叩き、ほぐした身を生卵と混ぜて食べるという料理。
 農家が農作業を手伝ってくれた人に対して、貴重だった鱈のたんぱく源と貴重な卵を組み合わせたこの料理を提供することで、もてなしの気持ちをも表していたようです。
 思えば、お赤飯を甘くするのもお客様へのおもてなし。食べ物に気持ちを宿すって素敵です。組み合わせ的には極めてB級な感じですが(takapuさん)


 タラと卵で「たらたま」。

 物々交換と書いてあるが、以前信州の山奥に取材行って「戦後しばらくは物々交換の時代が続いた」という話を聞いた。津軽でもそう遠くない過去まで交換経済が存続していたのではないだろうか。

 それにしても「おもてなし」以上の優しさを感じさせる文章である。


MNo.15 あどはだりすとさん投稿。赤いいなり寿司
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MNo.15 あどはだりすとさん投稿。赤いいなり寿司

MNo.い

  東京の方や弘前の方が「赤いいなりずし」のことを書いておられました。私がかつて在住した下北(むつ市)では、いなりずしの中身は白いご飯でしたが、紅ショウガを中に入れるか上にのせるかしておりました。
 紅ショウガの汁も入れるため弘前や東京の投稿をされた方のお宅では赤いご飯となったようです(かさまい下北さん)


 九州のいなりずしに紅ショウガが入る、もしくは汁ごと混ざるということはないと思う。しかし、ついてくることはある。

 博多でうどんとともにいなりずしを注文したら、いなりの半量ぐらいの紅ショウガが添えられて出てきた。小山になっていた。


ホタテ形のかまぼこ
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ホタテ形のかまぼこ

MNo.う

 下北のネタを募集されていたので「こんな話があります。もう18年前ですが…」というメールをお送りしようと思っていたのですが、残念、忘れているうちに青森県編が最終回になってしまいました。
 旧脇野沢村の「ホタテ丼」。今もまだあるかな、脇野沢の「たいじま食堂」…。
 それに関連して、当時の日経流通新聞の編集長から「サル年の最初のインタビューなのだから、サルにインタビューしてこい」と言われて、無理やり企画をひねくりだしたことがありました(上尾の丸山さん)


 ヒドイ編集長。スゴイ編集長なのかな。

 当時の記事が添付されていて、丸山さんが北限のサルのリーダー、ウメさん(当時推定25歳)にインタビューしている。してるわけないな。


MNo.48 東京のサイトウさん投稿。「イギリストースト」
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MNo.48 東京のサイトウさん投稿。「イギリストースト」

MNo.え

  青森は、やっぱり北海道のお隣ですね。北海道にも似たような食品があったりします。隣だから北海道から青森、青森から北海道と移り住みやすかったのでしょうか?
 イギリストースト。名前は違いますが、北海道にもあります。子どものころ住んでいた北見にも、札幌にもあります。甘いのとマーガリンの塩気がマッチするんですよね(北海道のみーやんさん)


MNo.お

 同じものが水戸にもあります? ありました。およそ35年前には。中高時代に食べた覚えがあります。高校の友人も高校の売店にあったと言っています(のべさん)


弘前公園の三忠食堂出店(一麺@青森さん提供)
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弘前公園の三忠食堂出店(一麺@青森さん提供)

 似たようなもの、あるいは同じものが名前を変えてあちこちに存在することがある。イギリストーストもそうらしい。


 一麺@青森さんから「26日(月)は映画、津軽百年食堂のクランクインとのことですが、桜が咲いていないのでどうなることやら。

 弘前公園のさくらまつりに毎年出店される三忠食堂さんの焼き干しダシの中華そばと津軽そばは花見に欠かせない逸品です。多くの人に食べてもらいたいと思います」とのメール。


三忠食堂出店中華そば(一麺@青森さん提供)
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三忠食堂出店中華そば(一麺@青森さん提供)

 「津軽百年食堂」は森沢明夫さんの小説で、2011年春に映画が公開される予定。無事にクランクインしたのだろうか。

 三忠食堂へは2度取材に伺い、ご主人には東京でもお目にかかったことがある。マジで100年以上の歴史がある食堂なのである。


 私は厚木で5月4、5日に開かれる神奈川フードバトルに行く。秋の厚木B−1のプレイベントである。それ以外は家にこもって原稿書きの毎日。辛いのお。


お申込みの受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。6月2日、愛Bリーグ主催でフォーラムを開催。場所は東京・大手町の日経ホール。詳細は(http://www.nikkeipr.co.jp/nikkeiB-1/)
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お申込みの受付は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。6月2日、愛Bリーグ主催でフォーラムを開催。場所は東京・大手町の日経ホール。詳細は(http://www.nikkeipr.co.jp/nikkeiB-1/)

 では鳥取県の情報をお待ちしている。

 よい連休を。


 おおそうじゃった、あっちも更新された


(特別編集委員 野瀬泰申)




 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年4月30日


■鳥取県編
準備体操編 まずは、あのパンについて語ろう
その1 白バラ牛乳とサンライズ
その2 「牛骨ラーメン」参上!
その3 祝発足! ホルソバCC
最終回 中部の「コロッケ」の正体は?
実食編 スタートは山陰チャンポン一芸クンの食べB修行記動画で見る実食

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