第107回 宮城県ご当地グルメ(その1) 法事が済んだら、朝からモナカ

特別編集委員 野瀬泰申


 たいへん長らくお待たせいたしました。2週のインターバルを置いて、今週は掲載しきれないほどにたくさんの情報が集まりました。満を持して「宮城県編」がスタートします。宮城が誇る美味しいものが続々登場します。お楽しみに。
 今週のおかわりは、いよいよ開催まで1カ月を切ったB−1グランプリin北九州の最新情報をデスクがご紹介します。あわせてご覧ください。
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日本は広い
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日本は広い

 お待たせしました。2週間の準備体操を終えて宮城県編に突入する。

 前回、現地リポートを送ってくださった、いけずな京女さんに感謝。そして満を持して宮城県メールを送ってくださった皆さんに感謝。

 私はといえばこの週末、9月の3連休を利用して行った山形県実食編の原稿を書いていた。日曜は雨。寒いくらいに気温が下がったので、恒例のご近所スパ巡りを断念してパソコンに向かったのである。

 書きながらつくづく「日本は広い」と思った。ひとつの県内に様々な食の文化がモザイク模様を描いている。山形で特異的に食べられているものもある。勉強になるなあ。

 宮城県もモザイク模様。

「支倉焼」と「白松がモナカ」
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「支倉焼」と「白松がモナカ」

MNo.1

 先祖代々の仙台市民です。
 宮城県をかなり大ざっぱに分けると古川市や栗原市を中心にした県北、気仙沼から石巻、塩釜といった沿岸部、仙台市とそのサテライト市町村、白石を中心とした県南に分類されます。
 私はサラリーマン家庭の団塊ジュニアということもあり、郷土食に対する思い出は少ないのですが、覚えている範囲で仙台の食文化について書いてみたいと思います。
 まず冠婚葬祭の食。岡山県の「法事パン」に少し似ているかもしれませんが、昔の仙台では葬式や法事の際に参列者が「支倉焼」「白松がモナカ」の詰め合わせを仏前に供える習慣がありました(バブル以降は「萩の月」「ままどおる+エキソンパイ」などの詰め合わせも増えました)。

2種類の支倉焼
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2種類の支倉焼

 当然、葬式を出した家では大量の「支倉焼」「白松がモナカ」が残されるわけでして「法事パン」と同じ現象が発生することは想像に難くありません。
 祖母の葬儀を出した時には、親戚や近隣に配ってもまだ余ってしまい、しばらくの間は朝食代わりに「支倉焼」「白松がモナカ」を数個づつ食べ続けました。
 私は甘党なので楽勝でしたが、辛党の人にはさぞかし難儀なことだろうと思われます。「支倉焼」は包み紙が緑と朱色の2種類あり、お祝い事に使うときは朱色の包み紙で、葬式用には緑色のみを詰めたものが用いられました。
 12個分を一つにまとめた「支倉焼 (特製大)」がありますので、福島でジャンボシュークリームに挑まれた一芸さんに、実食編でチャレンジしていただければ幸いです(団塊ジュニアさん)

白松がモナカ
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白松がモナカ

 このように宮城県も4つのエリアに分かれるようである。同じエリアでも海に近いか山に近いかで、また違いも出てくるだろう。

 このメールには年末年始、お盆などの行事食が詳しく書かれているが、おいおい紹介するとして、今回は仙台において法事のときに集まるお菓子について。

 それにしてもなんとまあ、面白い話ではないか。

 中国地方では法事にパン。仙台では法事に和菓子である。それも大量にお供えが集まるので、法事を営んだ家では翌朝から和菓子消費に追われるとは。

久留米の黒棒
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久留米の黒棒

 父が亡くなったとき、黒棒とかお伝せんべいを持ってきた参列者はいなかったから、少なくとも久留米では法事なんとかはないと言えるであろう。

 法事のときにパンやお菓子という地方はもっとありそうな予感。メールを待つ。

 お菓子の続き。

まころん
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まころん

MNo.2

 宮城県に昔からある「まころん」というお菓子。ご存じでしょうか? カラフルでおしゃれな「マカロン」ではありません。落花生でつくられた、やさしい味わいの懐かしいお菓子です。
 その「まころん」のなかでも、醤油を隠し味に使った「醤油まころん」というのが、とってもおいしいんです。こくがあって、ひとつ食べるとやめられません。おみやげとしても、すごくよろこばれています。
 池袋の「宮城ふるさとプラザ」にもあるので、ぜひお試しあれ(オレンジ君さん)

 さあ、どんなものであろうか。と思っていたら登米・油麩丼の会の海老名さんから「醤油まころん」の写真が届いた。北九州B−1のときに持ってきていただけると嬉しい。

醤油まころん(登米・油麩丼の会の海老名さん提供)
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醤油まころん(登米・油麩丼の会の海老名さん提供)

 ところで「仙臺まころん本舗」のHPに、まころんの歴史に触れたコーナーがある。イタリアのマカロンが明治以降に日本に入ってきたとき、材料のアーモンドが手に入らなかったため落花生で代用して作ったのだそうである。

 ただ仙台にしかないものかというと、そこのところが判然としない。

 名古屋にも1924年創業のまころんメーカーがあるし、兵庫県篠山市でも製造している。

 マカロンの日本版である「まころん」はある時期の日本に広がったが、仙台周辺で特に愛され続け、郷土菓子に似た地位を確立したのであろうか。

 「醤油まころん」は登米市の産である。その登米市と言えば油麩丼。それがこう変化した。

油麸丼バーガー(みつばち〜☆さん提供)
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油麸丼バーガー(みつばち〜☆さん提供)

MNo.3

 「油麸丼」は知っているよという方もいるかもしれませんが、今回ご紹介するのは「油麸丼バーガー」です。
 登米町三日町「なごみ」さんで提供されている「油麸丼バーガー」を一言でいえば、ふんわりバンズに包まれた油麸丼です。うまみのしみ込んだ油麸が卵でとじられ、バンズの中でしっかり油麸丼しています。登米市産の米粉を使っています。
 油麸丼の特徴としてお肉を使っていないのでカロリー控えめでヘルシーというのがありますが「油麸丼バーガー」にもそれは引き継がれています。
 登米にいらしたらお昼には「油麸丼」、おやつには「油麸丼バーガー」ってな感じで是非ご賞味あれ(みつばち〜☆さん)

 米粉パンを使っているのなら構成要素は油麩丼と同じ。丼ほど重たくなくて、箸を使わないから便利であろう。

登米油麩丼、凍みっぱなし乗せ&白石うーめん(ミルフォードさん提供)
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登米油麩丼、凍みっぱなし乗せ&白石うーめん(ミルフォードさん提供)

MNo.4

 今年3月、仙台に行った際、駅ビルをホームに向かう途中で、動態視力が見慣れない文字をとらえました。
「岩出山しみっぱなし丼」
 時間も胃の余裕もなく、その言葉だけを脳裏に刻み仙台を後にしました。
 しみっぱなし=凍みっぱなし。
 凍み豆腐を作る途中(乾燥させる前)のもので、凍み豆腐よりも食感がやわらかいらしい。宮城県大崎市の岩出山、鳴子地区あたりで人気の食材で、これを丼にしたのが「凍みっぱなし丼」であるらしい。
 先週、ふたたび仙台を訪ねた際、記憶を頼りに店を訪ねてみたら「岩出山しみっぱなし丼」はメニューからなくなっていましたが、その残り香を漂わせたメニューを発見しました。
 宮城のご当地グルメ満載の一品、「登米油麩丼、凍みっぱなし乗せ&白石うーめん」のセット。投稿してね、とささやかれているような出合いでした(ミルフォードさん)

 「しみっぱなし」は昔からあるが、それを使った丼物は最近できたもの。

 登米市からなかなか離れられない。

はっと作ってみました(デスク)
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はっと作ってみました(デスク)

MNo.5

 登米市の伊豆沼のほとりにある「レストランくんぺる」。ハム、ソーセージや豚肉のグリルが主体のメニューですが、すいとんのような宮城県北部の郷土料理「はっと」の定食もあります。
 料理もおいしいですが地元産の野菜バーのトマトも美味しい。
 オープンテラスがあり、すぐ側を東北線の列車が通ります。鉄分の多い僕は山形の内陸では絶対見られない長い貨物列車を見ながら、瓶ビールをぐい飲みでゆっくり飲みながら2時間ほど至福の時を過ごします。
 新田駅から徒歩数分、山形から電車を乗り継ぎ150分ほど(山形県中央部住人カラハシさん)

 山形実食編で大変お世話になったカラハシさんである。道中、「鉄」の話を随分伺った。その中に「山形県の内陸部では長い貨車の列が見られないので、わざわざ見に行く」というのもあった。

 山形内陸部で貨物列車を見ない理由を聞いたのだが、鉄分ほぼゼロの私は忘れてしまった。デスク、覚えている?

カラハシさんのぐい飲み
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カラハシさんのぐい飲み

デスク ご説明しましょう。新幹線は2本のレールの幅が在来線と違って広くなっています。ミニ新幹線といわれる山形新幹線と秋田新幹線は、新しく線路を作る代わりに在来線の線路幅を広げて新幹線が走れるようにしたもの。なので、各駅停車用の電車もミニ新幹線区間だけを走れる専用の電車になっています。東北線などを走る貨物列車はミニ新幹線区間は走れないのです。

 メールに登場する「ぐい飲み」を見せてもらった。スズ100%の珍しいもので、お店に入っておもむろにこれを取り出すと、店の人と会話の糸口になるのだそうである。

 登米を離れて気仙沼へ。

MNo.6

 気仙沼では夏の珍味に「マンボウ」をよく食べます。刺身は、たんぱくな白身で独特な食感、腸を湯がいた「コワダ」もビールの肴に抜群です。
 都市部の方には、かわいい魚を残酷な!!!と思われるかもしれませんが、気仙沼では、普通にスーパーで売っています(ムラムラさん)

これは「サンバ」(ナニワのオジンさん提供)

これは「サンバ」(ナニワのオジンさん提供)

 水族館のレストランでマンボウの刺し身を出したら何か言われるかもしれないが、スーパーで売っているのだから、遠慮なく食べたらいいのである。

 いまはどうかわからないが、神田の居酒屋のメニューにもあった。注文した連れの皿から1切れもらって食べてみた。ものすごく淡泊であった。

 余りに淡泊だったので踊りたくなった。マン……やめた。


焼まつも
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焼まつも

MNo.7

 9月12日は35年以上お世話になっているBABELというお店のママさんの誕生日でした。9月の3連休に実家の岩手県宮古市に娘さんとお孫さんを連れて帰省したそうです。
 まだまだ被災地は更地同然でしたが、理由を知らないお孫さんは、海水があっちこっち残っている窪みを見て「たくさんプールがある」と言って遊んでいたとのことです。子どもは無邪気でいいですね。
 さて、そのママさんからのお土産に「焼きまつも」をいただきました。三陸の早春の香りだそうです。味噌汁に入れても、お茶漬けしても、いい香りがするそうです。製造元は大船渡市の業者さんでした。もっとも被害の大きかった地域です。徐々に地域産業も復活の兆しが見えてきているようです。
 来年は暖かくやさしい春を迎えられたらいいなあと思います(ごんたさん)

お茶漬けにもイワノリ(デスク)
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お茶漬けにもイワノリ(デスク)

 マツモは松藻。北海道から三陸にかけて岩場の限られた場所に生育する。三陸では養殖されてもいるが、元来貴重なものである。

 我が家ではときどきイワノリを買ってきて味噌汁に入れる。でもそれは緑色をしたもので、黒いマツモには香りは遠く及ばない。

 前回、京女さんのリポートでクローズアップされた「ほや」。


乾燥ほや(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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乾燥ほや(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

MNo.8

 北を旅するとき(鉄道ですが)は、いつも水月堂(石巻)の「ほや酔明」です。乾燥ほやなんですけど、日本酒のともには抜群! もちろん「ほやNG」の方にはなんですけど。磯の香織、いいなぁ(Poco@焼きまんじゅうさん)

海のパイナップル
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海のパイナップル

 震災前は東京でも生のホヤが手に入っていたが、西日本ではもともとほとんど流通していなかったようである。カラスダニ@松山さんは「石巻の缶詰には大変お世話になってます。笹かま、牛たんなどはこちらでも結構手に入りますが、ナマのホヤはまだ食べたことないです。生物の教科書で見たり、食べられないホヤは見かけたりしますが…気になります」ということである。

 「海のパイナップル」と言われるので、食べたらそんな味がするのかと思っていたが、形が似ているというだけのことであった。残念。

 石巻関連のメールをたくさんいただいている。次回、特集のようなものになるかも。

 あのまんじゅうをどう呼ぶか、という問題が尾を引いている。岡山では「ふうまん」であったが……。

なんと呼ぶ?
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なんと呼ぶ?

MNo.9

 今川焼き、岡山では「ふうまん」と呼ばれるのですね。僕の故郷札幌では「とうまん」または「おやき」と呼びます。「とうまん」は「とうまん冨士屋」の商品なので、商標登録されていることでしょう。
 物は小ぶりの今川焼きで、メインは蜂蜜入りの生地に白あんという構成です。本店が札幌駅地下街(現アピア)内であり、さらに各店頭で機械式の製造工程(昭和33年からオートメーションらしい)が見られると言うのがウリになっています。
 子供のころ(40ウン年前)、丸井デパート(現札幌丸井三越)地下の支店で、製造コーナーに張付いていたのを思い出しました(しげ@松戸さん)

石巻に集合っ!
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石巻に集合っ!

 札幌では「とうまん」または「おやき」。信州の「おやき」と同音である。別にいいのか。

 それにしても同じ食べ物にこんないろいろな呼び方があるなんて、不思議である。しかしながらこれを統一したら面白くもなんともない。

 ほかの呼び方はありますか?

 では石巻関連を残して、今週はこれまで。デスクが紹介していたように石巻では来月、大きな食のイベントがある。

 行ける方は、どんどん行っていただきたいものである。

デスク 僕も行きます。みんなでいっしょに石巻で盛り上がりましょう!


(特別編集委員 野瀬泰申)



宮城県編(準備体操編) 宮城の味を「いただいてください」

宮城県編(準備体操編2) 石巻から東北を元気に

宮城県編(その2) 夏が来ーれば思い出ずんだ

宮城県編(その3) 青ばた、青豆、ひたし豆

宮城県編(その4) 「ママも喜ぶ パパ好み」(商品名)

宮城実食編 そぼろがのったメロンパン


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2012年9月28日

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