第9回 鳥取県(その3) 祝発足! ホルソバCC

甘納豆がのった赤飯・北海道バージョン(詳細は「食べ物 新日本奇行」の「日本の甘味処」でご覧いただけます)
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甘納豆がのった赤飯・北海道バージョン(詳細は「食べ物 新日本奇行」の「日本の甘味処」でご覧いただけます)

 前回、「メールがピンチ」と書いたらピンチでなくなった。今回だけは何とかなるであろう。皆さんに感謝。

 本編に入る前に5月23日夜に放送された「となりのマエストロ」について少し書く。

 番組では食の境界線をスタッフが車で列島を縦断しながら探す趣向であったが、その中の「赤飯は甘いか、甘くないか」について次のようなメールをいただいた。

ご意見

 「私の地元、徳島県鳴門市ではお赤飯は普通に炊くのですが、それに振りかけるのがゴマ塩ではなくゴマ砂糖なのです。市内でお赤飯を買うと必ずゴマ砂糖の袋がついてきます。徳島の中でも、鳴門だけの習慣のようです。隣の香川県の一部でもゴマ砂糖をかけると聞いたことがあります」(岩佐さん)


なかむら食堂のホルソバ(鳥取情報文化研究所さん提供)
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なかむら食堂のホルソバ(鳥取情報文化研究所さん提供)

 かつて赤飯はハレの食べ物。甘みもハレの味。この両者が様々な形で結びつくことは大いにあり得ることである。香川の雑煮があんこ餅であるように。

 実は鳥取の次に取り上げることにしている千葉県の一部地域でも、これとそっくりの食文化を発見できるはずである。

 ただしこれらは飛び地であって、境界線とは少し違う。

 ともかく岩佐さん、貴重な情報をありがとうございました。


 では鳥取編を続けよう。


 県東部のホルそば、中西部の牛骨ラーメンの本命が登場。


「りき」のホルソバ(鳥取情報文化研究所さん提供)
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「りき」のホルソバ(鳥取情報文化研究所さん提供)

MNo.(メールナンバー)20

 鳥取のご当地麺「ホルソバ」を愛する市民団体の立ち上げについて、マスコミリリースいたしました。
 和牛の五輪ともいわれる「全国和牛能力共進会」の第1回で、鳥取の「気高(けたか)号」が牛肉の部・産肉能力区で1等賞に輝くなど非常に優れた種牛を持つ「和牛の聖地」でもあります。
 現在、宮崎をはじめ口蹄疫が大変深刻な問題となっています。牛食を愛するひとりとして私たちホルソバCCも1日も早い解決を願っております。また私たちも、もっと牛について学ぶ必要性があると痛感しています。
 鳥取県から全国へ、全世界へ。私たちも食の力をもって、地域連携をしていきたいと思っています。とうふちくわの穴からはとにかく明るい世界が見えますし、とうふるーともいい音になってきました(鳥取情報文化研究所さん)


「とうふるーと」

「とうふるーと」

 これまで「ホルそば」と表記してきたが、市民団体の名称にならって「ホルソバ」とする。

 プレスリリースはこちらから読んでいただくとして、新たに立ち上がった団体の正式名称は「独立市民勝手連 とっとりホルソバカスタマーセンター」という。鳥取市に元祖とされる店ができた年を「ホルソバ元年」とし、今年はホルソバ歴51年になる。

 このホルソバをつかってまちおこしをしようというもので、マップの作成、ネットでの情報発信、食のイベントの開催などを計画している。

「とうふるーと」奏者のイワミノフ・アナミール・アゾースキーさんは年間およそ300本の「とうふちくわ」を食べるそうです。昨年はリサイタルも行い、今年はカルチャーセンターでも教えるそうです(アミー隊員)
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「とうふるーと」奏者のイワミノフ・アナミール・アゾースキーさんは年間およそ300本の「とうふちくわ」を食べるそうです。昨年はリサイタルも行い、今年はカルチャーセンターでも教えるそうです(アミー隊員)

 ホルソバや牛に関する勉強会も開き、これを「センター試験」と称する。

 将来は愛Bリーグに加盟してB−1グランプリに出展することを目標にしているという。

 「とうふるーと」はとうふちくわに穴を空けて、即席の管楽器として演奏するもの。「とうふるーと ユーチューブ」で検索すると映像を見ることができる。この演奏を聴けば、すべての見通しが明るくなることであろう。


 ともかくホルソバCCの活躍を祈りたい。


 続いて「牛骨ラーメン」。前回、「牛骨ラーメン応麺団」ができたと書いたが、メールはその応麺団からいただいた。


「香味徳」(赤碕)のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)
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「香味徳」(赤碕)のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)

MNo.21

 昨年、応麺団立ち上げにあたって我々はその歴史やルーツを麺密に調べました。
 我々の仮説として米子市の「満洲味(ますみ)」というお店が元祖ではないかと考えております。ご麺どうでしょうが、詳しくは添付の資料をご覧ください。
 その他にも昔から大陸と往来があったからとか、牛馬畜産の街道沿いに発展したのではという説もあります。
 麺付の写真は赤碕にある「香味徳」さんのラーメンです。日本テレビの最新ご当地グルメランキングで第2位になったのはこちらのレシピです。
 さらに麺付は平井鳥取県知事に麺談したときのプレゼン資料です。知事も最初は麺くらってました!!
 麺可をもらいましたので応麺団内部資料を送ります(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん)


すみれ食堂のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)
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すみれ食堂のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)

 ということで麺付資料を読めるようにしようかと思ったが、「内部資料」でもあり大変詳細で長いので私が趣旨をご説明する。ご勘麺を。

 県観光連盟・中部ワーキンググループの麺バーがまとめた「牛骨ラーメンの歴史由来調査報告」によると地元の日本海新聞に初めて「中華そば」の広告が掲載されたのは昭和26(1951)年3月29日。米子の「ますみ」という店のもので、創業は同21年前後。現在も「ラーメン満州味」として営業している。聞き取り調査によると当時からスープは牛骨と豚骨のミックスであった。ここが鳥取のラーメン、それも牛骨ラーメン発祥の店らしい。

いのよしのラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)
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いのよしのラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)

 中部におけるルーツは、いまはなき倉吉の「松月」という店。残っている電話帳への広告を見ると、この店は「大衆食堂」を名乗り「中華そば、丼物一式、一品料理、アイスケーキ、アイスクリーム」をメニューとしてあげている。中華そばがメニューに加わったのは昭和20年代後半。ここから「県中部に多く残る食堂系ラーメン屋の元祖といえるかもしれない」と報告書は書く。

 ではなぜ鳥取県中西部に牛骨ラーメンが生まれ、広がったのか。

 (1)戦後すぐ、鶏ガラは有料であったが牛骨はほぼ無料で手に入った。
 (2)牛骨は鶏ガラと違って、10〜12時間煮出してもスープの出しが出続けて経済的。

香味徳(由良)のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)
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香味徳(由良)のラーメン(鳥取牛骨ラーメン応麺団さん提供)

 この2点がそろえば、おのずと牛骨に手が伸びるであろう。タダほど魅力的なものはない。

 「みます」のスープは牛骨と豚骨のミックスであったが、伝播の過程で牛骨だけになっていく。終戦直後の米子辺りでは豚骨も貴重だったため、豚骨が脱落しタダで手に入る牛骨が残ったと考えるのはどうだろう。江戸時代から豚肉文化が流入していた九州と違い、鳥取は明治以降、ずっと牛肉食文化の中にあった。豚はいたにせよ、数が少なかったのではないか。

 当初は14人でスタートした応麺団は50人に膨らみ「コツコツと骨太な活動を展開中」である。拍手ー。

 ところで以前登場した「パイプ」。私は牛の大動脈ではないかと書いたが、その後牛の小腸をぶつ切りしたものと判明した。厚木シロコロの牛版である。

「砂丘らっきょう」
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「砂丘らっきょう」

MNo.22

 鳥取生まれで今は東京に住んでおります。
 私が思い浮かべるのは、鳥取砂丘で採れる「砂丘らっきょう」です。普通に酢漬けしたものもあれば、なにやら怪しげに加工されたものもありました。その昔、チョコらっきょうというのがあったような記憶があります(一読者のズラ吉さん)


らっきょうサンド(いけずな京女さん提供)
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らっきょうサンド(いけずな京女さん提供)

MNo.23

 奥ゆかしい鳥取県民の皆様にお伝えください。
 鳥取県が誇る食の文化遺産はまだまだまだまだたくさんありますよう。特に「砂丘らっきょう」を自慢しなくてどないするんですかっ!(と、やきもきする京都人)。
 鳥取砂丘が育む白い宝石・砂丘らっきょうは、大粒ながら身が締まって味・香りに大変優れております(と、鳥取県民に成り代わり熱弁をふるう京都人)。
 その食べ方はもちろんらっきょう漬が主流。鳥取がカレーの町なのは、やはりらっきょう漬との関わりも見過ごせませんね。
 しかしご当地ではらっきょう漬をカレーの付け合せだけでなくお料理の材料にも使います。私がらっきょうの生産者さんに教わった食べ方で1番お気に入りなのは「らっきょうサンド」。文字通り、らっきょうをサンドイッチにしちゃうんです。ピクルス感覚と思えば違和感ないですよね。
 今回は、鳥取県に敬意を表してツナサンドと卵サンドの豪華バージョンを作ってみました。同人の皆様、ぜひお試しください。
 このほか刻んでドレッシングに入れたり、古漬になったらっきょう漬を佃煮にしたり。
 また、採れたて新鮮な生のらっきょうは焼いてお味噌をつけてかじると最高の酒の肴になるとか。
 「そんなの自慢にならない」と地元の方が思うことが、他府県人には羨ましかったりするんですよ、どんどん自慢しようぜ!(いけずな京女さん)


「砂丘らっきょう」いろいろ
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「砂丘らっきょう」いろいろ

 私が鳥取に行って買った物の中にビン入りの「らっきょうドレッシング」があった。なかなか新鮮な味であったことを思い出す。

 鳥取のらっきょうは東京のスーパーでも買うことができる。我が家でも活躍している。

 居酒屋で出る「エシャレット」はらっきょうを軟白させたもの。フランス料理などで使う本物のエシャレットとは違う。

鳥取は魚が豊富
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鳥取は魚が豊富

MNo.24

 琴浦町の役場近くにある「にぎわい市場いわみ」。このお店は今、過疎化の進むこの界隈にあって、食料品の百均のようなお手ごろ値段で地域に奉仕しています。
 でも数10年前にこの地で小中学生時代を過ごした私にとっては、このお店が魚屋さんだったころの印象がとっても強いんです。
 いまは昔の本格的な魚屋の風情はなくなってしまったのですが、ここで不定期に販売される「あごだんご」の魅力は健在です。70歳くらいのお店のご主人が自ら手作りするこの「あごだんご」はいまも変わらぬおいしさで、チラシにこの商品が載ると、どこからともなく人が集まってきて完売してしまうそうです。うちでは大根と一緒に味噌汁仕立てで食べるのが定番でした。
 東京に暮らす私は、スーパーで大量生産のいわし団子をときどき買いますが、あの「あごだんご」の大きさと素朴な味わいがたまらなく恋しくなってしまいます。
 日本海新聞に入ってくるチラシでしか、お店に「あごだんご」があるときがわからないので、県外(というか県中部外?)の人には知られる機会がないかもしれませんね(にゃじゃらさん)


 「あごだんご」はトビウオの身と小骨をすって団子にしたものであろう。ならば美味くないはずがない。

 お隣の松江で食べたおでんの「キス団子」もとびきり美味であった。


 同じ琴浦の話。


「するみ」(鳥取県中部のものさん提供)
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「するみ」(鳥取県中部のものさん提供)

MNo.25

 法事まんじゅうならぬ法事パンは鳥取県中部もです。私は琴浦なので、倉吉はどうかはわかりませんが、琴浦(中部)はパンです。
 それと法事や結婚式にかかせないものに「するみ」があります。鯛や松竹梅、亀などのかまぼこです。琴浦にあるかまぼこやさんにあります(鳥取県中部のものさん)


 「するみ」は恐らく「擂る身」ではないか。つまり「すり身」の語源と考えられている言葉である。

 この言葉がいまも残っているということは、鳥取県に伝わるすり身文化の歴史の古さを思わせる。


 海の幸が続く。


いぎす草
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いぎす草

MNo.26

 郷土料理というか、かなりエリアが限定される家庭料理かもしれませんが「いぎす」という「いぎす草」をとろ火で溶かして固めたものがあります。
 小さいころはよくおばあちゃんが作ってくれて、ごまを少々振り、醤油をかけてつるっと食べていたのを思い出します(お名前ありません)


 博多の「おきゅうと」の親せき。天草の「いぎりす」の親友。大豆が加わると今治の「いぎす豆腐」になる。

 いぎす、つまりエゴノリを煮溶かして固めたものである。

 私はスーパーでおきゅうとを見つけると買う。家族は買わない。


境港には海の恵みがどっさり(いけずな京女さん提供)
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境港には海の恵みがどっさり(いけずな京女さん提供)

MNo.27

 岩美町沿岸部在住者は必ず深海魚を食べてます。「ばばちゃん」はブランド化しようとしてますが、この他に「ドギ」は吸い物、天ぷら、煮付けで普通に食べます。
 さらに「オトク」ってレア物もいます。私は食していませんが、地元漁師がその味を絶賛する談話を聞いています。
 みんな淡白な白身にコラーゲンたっぷりそうな皮が付き、絶品です。
 深海魚以外にも「モサエビ」のしゃぶしゃぶや、岩ガキのフライなどについて語りたいのですが、本当に1枚も写真が手元にありません。普通に食べてるのです。
 ハレでなくケ。これぞB級ではないでしょうか(ざば・セバすちゃんさん)


 ばばちゃん、ドギ、オトク、モサエビと、人によっては暗号のように聞こえるかもしれない。

モサエビ(鳥取県食のみやこ推進課提供)
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モサエビ(鳥取県食のみやこ推進課提供)

 ばばちゃんはすでにミルフォードさんからのリポートに写真とともに登場している。

 アミー隊員、モサエビの写真はあった?

アミー隊員 地元のスーパーで見つけたので買おうかと思ったのですが、モサエビはまたの名を「ドロエビ」と呼ぶほど足がはやいそうなので断念しました。写真は県庁の方にお願いしました。

 四国各地で地の魚を食べたが、あちらでも魚の名前はちんぷんかんぷん。市場に出ないので地元の昔からの名前がそのまま使われている。

 松山で食べた「タモリ」は白身で美味かった。サングラスが歯に挟まって痛かったが。


 鳥取の皆さんへ質問が届いている。


津軽の「けの汁」(takapuさん提供)
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津軽の「けの汁」(takapuさん提供)

MNo.28

 この3月までの2年間、津軽の地で「けの汁」や「じゃっぱ汁」といった郷土汁文化に触れていましたが、鳥取といえばこの汁もの! という料理はあるのでしょうか?
 例えば「たけ汁」なる料理を耳にしたのですが、これはどんな「たけ」なのでしょう?(takapuさん)


 どんな「たけ」? おせーてください。


地元の方から「砂たまご」のことを聞きながら、食べそびれていたのですが、東京のアンテナショップで発見しました(アミー隊員)
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地元の方から「砂たまご」のことを聞きながら、食べそびれていたのですが、東京のアンテナショップで発見しました(アミー隊員)

 さて次回をもって鳥取県編は終了する。書き忘れていたことがある方、メールを出そうか出すまいか迷っている方、最後のチャンスである。遠慮なく宣伝していただきたい。

 終戦直後の牛骨のように、当連載も掲載無料である。


 大阪の原さん、道の駅の長光さん。いただいたメールは次回のためにとっておきますね。


 くどいようだが、鳥取の次は千葉県が舞台になる。ご関係の方、準備をよろしく。

 ではまた来週。


 おおそうじゃった、あっちも更新された


(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年5月28日


■鳥取県編
準備体操編 まずは、あのパンについて語ろう
その1 白バラ牛乳とサンライズ
その2 「牛骨ラーメン」参上!
その3 祝発足! ホルソバCC
最終回 中部の「コロッケ」の正体は?
実食編 スタートは山陰チャンポン一芸クンの食べB修行記動画で見る実食

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