第32回 福島県実食編 なんじゃこりゃラーメンを食べ歩く

福島の大衆食堂はレベルが高かった
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福島の大衆食堂はレベルが高かった

 2010年11月8日(月)の昼前、福島駅の新幹線ホームに降り立った。私に先だって太平洋側の浜通りを取材していた一芸クンと改札で合流。(「食べBって何?」という方は「食べB入門編」をご覧下さい。食についてのメール投稿先はこちら)

 駅の近くで早速、「ソースかつ丼」と「煮込かつ」が並んで書かれた看板に遭遇する。福島市が両方のかつ丼の混在地帯であることを改めて確認した。

 アーケードの商店街に歩いて向かい、散策する。名前が人気アイドルグループとそっくりのホテルの看板にカメラを向け、「胃酒屋」と大きく書かれたシャッターを写す。

 歩きながら、一芸クンからその前の夜に「ジャンボシュークリーム」と格闘した話を聞く。「体張るって、そういうことじゃないのよ」と思いつつ、よく聞こえなかったフリをする。詳しくは文末の「一芸クンの食べB修行記」を。

 そうこうするうちにお昼時になった。かねて予定の「円盤餃子」の店にタクシーで向かう。餃子を出す店はたくさんあるが、ほとんどが夜の営業で、一芸クンの事前の調べによると昼間もやっている店は少ないという。

(上)福島市にはソースと煮込みが混在(下)シャッターに書かれた強烈な文字
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(上)福島市にはソースと煮込みが混在(下)シャッターに書かれた強烈な文字

福島市観光PRキャラクター「ももりん」にも円盤餃子バージョンがある
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福島市観光PRキャラクター「ももりん」にも円盤餃子バージョンがある

 そのうちの1軒「照井(支店)」は郊外型ショッピングセンターのそばにあった。タクシーを降りると、正午前というのに、もう店の前に行列ができている。待つ人用のベンチがあるということは、混む時間帯はいつも客が並ぶのだろう。私たちも店内のリストに名前を書いて行列に加わった。

 店の前でテレンコテレンコしているうちに名前を呼ばれ、奥のテーブル席に案内された。メニューを見ると、ここは餃子専門店というのではなくラーメンや定食を置き、酒も飲ませる店とわかる。

円盤餃子
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円盤餃子

 これから過酷なスケジュールが待っている。いま満腹になるわけにはいかない。そこで円盤餃子の小さいのをひとつだけ注文した。小さいのと言っても22個の餃子が皿を埋め尽くしている。それを見た途端、ビールを頼んでしまった。

 まったく酒を飲まない一芸クンは、ワカメスープという緩い変化球で試合に臨む。

 餃子は多めの油で焼いたのだろうか。焦げ目がついた面はかりっとした食感。「焼いた」と「揚げた」の中間と表現すればいいのか。逆に反対側はもちっとしている。「あん」は野菜と豚肉のバランスが良く、軽い仕上がり。

 軽く仕上がっているとは言いながら6、7個食べたところで箸を休めた。しかし周りを観察すると、洗面器のような丼に入った味噌ラーメンかなにかと円盤餃子の大(33個らしい)をぱくついている客もいる。たいした胃袋である。

 ここで思わぬ事態が起きた。私のカメラのバッテリーが切れてしまったのである。電池が減っていることはわかっていたが、カメラの電池残量表示はそれほど深刻なレベルではなかったはずなのに、モニターが突然真黒になり、電池切れのサインが出てそれっきり。

デジカメ充電器を求め家電量販店へ
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デジカメ充電器を求め家電量販店へ

 一芸クンがカメラを2台持ってきているので取材に影響はないが、自分のカメラにこの先の記録が残らないのは悔しい。そこで大型家電専門店にタクシーで向かい、バッテリーの充電器を買うことにした。

 ところが充電器は「取り寄せになります」。仕方ない、カメラごと買ってしまうか。いろいろある中でもっとも値引き率が高くて、定価の半額以下のヤツに目が行った。よほど人気がない機種なのだろうか。これまで貯めていたポイントで手に入る値段だったので、それにした。

 福島駅近くのコーヒーショップに入って梱包を解いた。ところが電源を入れてもウンともスンとも言わない。

「電池が充電されていないみたいですね」

 一芸クンは嬉しそうである。

ウマいものに出合えますように(福島駅構内)
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ウマいものに出合えますように(福島駅構内)

 私は「なんてこったい」とシーナさんみたいな言葉を心の中でつぶやいていた。どこかで充電する必要があるが、今夜のホテルは会津若松である。仮に近所でコンセントを借りられたとしてもある程度充電できるまで、無為に待っていなければならないではないか。

 ふと目をあげると一芸クンが手を差し出していた。

「私のカメラも同じメーカーのものなので、この電池が使えると思います。私はもう1台ありますから大丈夫です」

 偉い、君は偉い。

 電池を受け取り、装着すると新品のカメラは命が吹き込まれたように作動したのであった。

ラジウムそば実食
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ラジウムそば実食

 それから新幹線の改札を通って、スタンドの駅そばの店に向かう。ラジウムそばを食べるのである。

 餃子とビールの後だっただけに、全部食べるのは無理だろうと思っていた。しかしながらいざ食べ始めてみると、すいすい入る。ぬるめのつゆ、くたびれ加減のそば。

 最近は、ゆでたてが自慢の駅そばの店も多いが、私は昔ながらのゆで麺を温めて出す店の方が安心する。立って食べるのなら、くたくたのそばが好き。

 ラジウムと名乗りながら食べてみればただの温泉卵を箸で崩して、つゆと一緒に飲む。いいねえ。好きだねえ。

(上)福島駅ホームから市街地を望む(下)郡山に到着
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(上)福島駅ホームから市街地を望む(下)郡山に到着

 やってきた新幹線に乗り込んで郡山へ。骨折した足の腫れが引かずまだ痛むので、よちよち歩きで街中を巡る。郡山は大きい街である。飲食店も多い。

 途中、「三松会館」の場所を確認してパンの「大友」へと、時速200メートルという驚異的なスピードで歩いて行った。

 「大友」はなかなか風格のある店構え。いかにも土地の人々に愛されてきたパン屋さんという風情を漂わせている。


 店内にはいるとすぐに「クリームボックス」がみつかった。第一印象は「思ったより小さいな」であった。しかし四角いパンの表面には「クリーム」というか、砂糖というか、ともかく白くて甘いやつがしっかりとへばりついていて、甘い物好きにはたまらないであろう。隣にはチョコレート味のクリームボックスが並んでいた。

「クリームボックス」とそのチョコレートバージョン
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「クリームボックス」とそのチョコレートバージョン

 奥さんらしい女性に話かけると、気さくに答えてくれる。短い会話の中で私たちが東京から来たとわかると、レジを離れてパンの並ぶ棚のところに行き、あんぱんを手にした。

「うちのあんぱんは人気なんですよ。持って行ってください」

 遠慮する私たちに、今度はメロンパンを勧める。好意を無駄にしては失礼である。喜んでメロンパンをいただいた。

 ただ心配なことがあった。店ではクリームボックス数個、その他のパン数個を買っていた。加えてメロンパンである。それらが入った袋は一芸クンのバッグに収まったのだが、彼のことであるから今夜のホテルで全部食べてしまうのではないだろうか。

 高知実食編で一芸クンがマヨネーズラーメン3杯を暴れ食いしたことが脳裏にあったので、本格的に心配になったのである。

 一芸クン、あのパン、どうしたの?


一芸クン うへへ、後でおいしくいただきやした。

野瀬 お腹パンパンになったでしょ。


三松会館
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三松会館

 さて夕闇が迫ってきた。三松会館に急ごう。店はJRの駅から延びるアーケード商店街を横道に入ってすぐのところにある。入口前のサンプルケースを見る限りでは、和洋中をそろえた大衆食堂の趣ながら、2階から上は宴会場になっているらしい。私たちが入ったときも、何かの会合の流れと思しき着物姿の女性たちが階段を上がっていった。

 私はまだお腹が空いていなかった。そこで湯豆腐で1杯やることにする。

 この店は油断がならない。鍋にはたっぷりの昆布が入っている。実によく取れた昆布のうま味が純白の豆腐にしみ込んでいる。

野瀬は湯豆腐、一芸クンはオムライスに舌つづみ
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野瀬は湯豆腐、一芸クンはオムライスに舌つづみ

 一芸クンは果敢にもオムライスに挑戦した。その物件が登場したとき、2人は期せずしてカメラを向けた。大きなオムライスを包む黄金色の卵。もとい、チキンライスを包む大ぶりの卵。均一に火が通っていて、どこにも焦げ目がない。完全無欠の黄色なのである。

 一芸クンは黙々とスプーンを操る。見ればチキンライスの中からチキンがごろごろと出てくるし、タマネギも細かく刻んではいない。豪快なのである。

 時計の針が「そろそろ行かねば」と言っている。これから磐越西線で会津若松に向かうことになっている。

会津若松に到着。駅前には大きな「赤べこ」
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会津若松に到着。駅前には大きな「赤べこ」

 気がついたら会津若松であった。ホテルに入って酒飲んで寝た。

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