第21回 千葉県実食編 「勝タン」への長い道

読者投票第1位は激辛の勝浦タンタンメン。野瀬の運命やいかに?
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読者投票第1位は激辛の勝浦タンタンメン。野瀬の運命やいかに?

 近すぎてめったに行く機会がない千葉県を訪ねることになったからには、駆け足は駆け足なりに堪能したいと思った。予定は1泊だが、ここは前泊して事前学習しようではないかと思い立ち、日曜の午後から木更津に入る日程を組んだ。2泊3日の千葉の旅である。(「食べBって何?」という方は食べB入門編をご覧下さい

 木更津に泊まることにはしたものの、どうやって行くのが早いのだろう。ネットの乗り換え案内で見ると、やはり内房線の特急ということになるらしい。

 最初はそのつもりでホテルの予約をしようとしたらホテルのHPに「東京湾アクアライン」の文字が。ああそうか、その手があったか。

海ほたる内でも千葉県産品を販売している
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海ほたる内でも千葉県産品を販売している

 さらに調べると新宿から木更津行きの高速バスが出ている。新宿から千葉県側までノンストップで結ぶらしい。ということでバスに決定。

 日曜の首都高速はすいていて、バスは快調に飛ばす。都バスでもないのに飛ばすのである。湾岸線からレインボーブリッジに出て、眼下のお台場辺りを見ているうちにバスはトンネルに入った。表示によると長さ10キロという。一瞬うたた寝していたらトンネルの出口が見えた。バスが緩い上り坂を走り抜けると、巨大な構造物に出た。

 海上のPA「海ほたる」であった。ここからは海の上に伸びる高速道路を走る。前方にはもう房総半島が間近に見える。バスは東京湾を東西に突っ切っているのである。

 と驚いたように書いているのは、驚いたからである。私は車を運転しないので、アクアラインがどのようなものかは、このとき初めて知ったのだった。

天ぷらのネタに「落花生」の文字が
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天ぷらのネタに「落花生」の文字が

 あっという間に千葉県に上陸し、ほどなく木更津駅に到着した。新宿からわずか1時間。ものすごく早く着いたのである。

 ともかくホテルにチェックインして荷物を置き、徒歩での取材に出発した。ホテルでもらった市街地図によると、町の外れにスパがある。真夏の木更津を歩けば、大量の汗をかくであろう。取材終了後、その汗を流して晩飯に突入する予定である。

 ホテルのレストランのメニューを見ていたら、この地には「落花生の天ぷら」が存在することがわかった。これを食べて皆さんにご報告しよう。

証城寺の狸塚
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証城寺の狸塚

 駅の東側と海側の双方をうろうろ。駅前の大型商業施設が難しいことになっている。シャッターも目立つ。地方都市はどこも同じような問題を抱えている。

 地図を頼りに証誠寺に行く。野口雨情作詞、中山晋平作曲「証城寺の狸囃子」の舞台になったお寺である。矢耶川のほとりにあって、木立の陰が涼しい。

 とはいえ、実のところもう汗まみれであった。ハンカチでは足りず、タオルで顔から首までぬぐいまくり。風呂に入るしかない。

 地図ではそう遠くないところに「湯の里かずさ」というスパがあるはずである。ところが歩いても歩いても行き着かない。どうも地図の端っこは途中が省略されているらしく、縮尺が違うのである。結局、徒歩10分と見たところを30分かけて、やっと着いた。

木更津は「お富・与三郎」で知られる歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」の舞台
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木更津は「お富・与三郎」で知られる歌舞伎「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」の舞台

 内風呂は大きく、露天風呂も種類が多くて大満足。さっぱりしたので歩いて帰ろうかと思ったが、また汗をかいたら元のもくあみ。奮発してタクシーを呼んだ。駅まで戻ると料金が1500円。相当の距離を歩いたことを知る。

 ホテルで例の落花生の天ぷらを食べようと思い、レストランに行ったところが「日曜定休」であった。がっくし。

 仕方なく近くの店でギョウザにウーロンハイ、ラーメンを食べて晩飯にする。酒飲んで寝た。


 翌朝、写真を撮ろうと思って港に行くと、はるか向こうに見慣れたお腹。おう、一芸クン、もう来てたの。

 一芸クンが何か持っている。そ、それは木更津名物「バーベキュー弁当」ではないか。彼はベンチに座ってバー弁を食べ始めた。本日最初の食事がこれであるという。

朝の木更津港とバーベキュー弁当
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朝の木更津港とバーベキュー弁当

 私はたまたま入った古書店で1974(昭和49)年発行の「歴史読本 臨時増刊 日本たべもの百科」を見つけて買っていた。中に「駅弁一覧」があり、木更津のところには「中華ランチ(300)、バーベキュー弁当(250)、特製バーベキュー弁当(400)」とある。当時から有名な駅弁であったことがわかる。

 ついでに久留米を見たら「肉めし(300)、鳥ちらしずし(250)、かしわめし(200・300)、助六ずし(150)」となっている。肉めしと鳥ちらしずしについて、私は知らない。助六をいまでも好きなのは、駅弁の思い出がすり込まれてでもいるからだろうか。

 時間がきたので街中に戻って和食の店「たく」に行く。千葉のFM局、bayfmの番組「パワーベイモーニング」(http://blog.bayfm.jp/pbm/)のパーソナリティー、斉藤りささんと合流し、この店のオーナー料理長、斎藤卓さんを取材するのが目的であった。


「木更津バカの会」斎藤卓さんと「バカのなめろう(右上)」「バカ丼(右下)」
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「木更津バカの会」斎藤卓さんと「バカのなめろう(右上)」「バカ丼(右下)」

 斎藤さんは「木更津バカの会」の会長である。木更津で獲れるバカ貝(寿司ネタの青柳、小柱)でまちおこしをするために立ち上げた会で、幟(のぼり)のデザインなどを考えている最中であった。

 斎藤さんの説明を聞きながら「バカのなめろう」と、小柱のかき揚げをのせた「バカ丼」をいただく。

 木更津でよく食べるのはバカをゆでた「ゆでバカ」。ではそれをのせた丼はどうだろうかという話になり、私は「天才バカ丼」という名前を提案したのであるが、採用されるかどうかは不明。その辺のやり取りは動画に収録されているはずである。


なめろう(上)とさんが焼き
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なめろう(上)とさんが焼き

 それから一路、南房総市に向かう。旧千倉町に「大徳家」という明治2年創業の老舗寿司屋があって、そこで本場にして伝統の「なめろう」をいただく算段になっている。

 昼時を外して訪ね、5代目の栗原和之さんに包丁を振るってもらった。トントントンと軽快に包丁がまな板をたたき、目の前の海で獲れたばかりのアジが「なめろう」へと変じていく。味噌やシソその他の味が複雑に絡み合って絶妙。これをなめながらちょっと点滴。

 次いで「なめろう」をアワビの殻に詰めて焼いた「さんが焼き」をいただく。アジの和風ハンバーグであるが、なにも足さずに点滴の友とした。さんが焼きの表面には斜めに線が入って目に美しい。やっぱ本場は違うわ。


bayfmパーソナリティーの斉藤りささん(右)と迫る危機を察し固い表情の野瀬
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bayfmパーソナリティーの斉藤りささん(右)と迫る危機を察し固い表情の野瀬

 さて本日の難所に向かおう。勝浦でタンタンメンを見るのである。目的の店は駅に近い「御食事処 欅(けやき)」。店の前で勝浦タンタンメン(勝タン)でまちおこしをしている勝浦市商工会青年部の皆さんと落ち合って店に入った。

 出てきたタンタンメンは、事前の情報のように真っ赤であった。表面をラー油が覆っている。こんなにラー油を入れなくてもいいじゃないかというくらいのラー油である。私は箸をつけるつもりがないのでいいのであるが、ナニもこんなに赤いものを食べなくてもいいじゃないかと改めて思ったのだった。

 そんな私を見詰める多くのメン玉に気がついた。メン玉全部が「食べろ」と言っている。隣に座った斉藤りささんなんか、にっかにかして私を見るのである。


勝浦タンタンメンに加え、タンタン焼きそば(右上)とタンタンつけ麺(右下)も登場
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勝浦タンタンメンに加え、タンタン焼きそば(右上)とタンタンつけ麺(右下)も登場

 私はどのような行動をもって、皆さんの期待に応えたのであろうか。食べたのかどうが、動画で確認していただきたい。


 それにしても一時はどうなるかと思った。


 ここまでの模様は斉藤りささんの番組で何度かにわたってオンエアされるそうである。

 その晩は大人しく寝て、というか一芸クンはまったく酒を飲まないので、一緒にいると大人しくしているしかないのであった。


朝の勝浦港と、ホテルのゴージャスな看板に立ち止まる野瀬
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朝の勝浦港と、ホテルのゴージャスな看板に立ち止まる野瀬

 翌朝、勝浦の朝市を見に行った。マグロを客の注文に応じてさばく店があったりしたが、私は黄金風呂で有名な「ホテル三日月」の方に興味があり、のこのこと入っていった。右下の写真、凄いでしょう。夏休みなので家族連れが多い。お土産売り場などを見ていると携帯が鳴った。一芸クンからであった。

 「何をしているんですか。時間がないんです」

 ということで後ろ髪を引かれながら勝浦を後に松戸を目指す。途中、道の駅があったのでコーヒーを飲みに入る。アイスコーヒーを注文してトイレに行き、戻ってくると一芸クンが暴挙に出ているところだった。

 さっきホテルで朝飯を一緒に食べたばかりというのに、彼は「いのしし丼」を注文していたのである。テーブルの前に置いた食後のいのしし丼の写真を撮り、わしわしと食べ始めた。それはオソロシイ光景であった。いくら「肉食系男子」を目指すとはいいながら、ちょっと意味が違うのではないか。



勝浦の朝市を見学。読者投票第2位だった「イワシのゴマ漬け」を購入
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勝浦の朝市を見学。読者投票第2位だった「イワシのゴマ漬け」を購入


お寿司に野菜、メダカも売っている道の駅と、いのしし丼を撮影中の一芸クン(このあと食べる)
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お寿司に野菜、メダカも売っている道の駅と、いのしし丼を撮影中の一芸クン(このあと食べる




 その後、ゲリラ豪雨に直撃されつつ松戸に到着すると、アミー隊員が鯛焼きを買って待っていた。

アミー隊員 はい。鯛焼き隊として特命任務を遂行しました。それにしても、この日の松戸は暑くて鯛焼きも汗かいてました。

 3人で老舗のそばを食べ、旧水戸街道を歩いてみたものの、残念ながら早くに区画整理されていて往時の面影はなし。車が激しく行き交うだけの道になっていた。

松戸の歴史を提灯の八嶋商店10代目八嶋正典さんに聞く
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松戸の歴史を提灯の八嶋商店10代目八嶋正典さんに聞く

旧水戸街道を歩く。懐かしい「でんわ でんぽう」の看板発見
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旧水戸街道を歩く。懐かしい「でんわ でんぽう」の看板発見

街道の歴史を解説する石板。献灯まつりの提灯も「松戸宿」
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街道の歴史を解説する石板。献灯まつりの提灯も「松戸宿」

運送業務を行う問屋場跡は郵便局。菓子店も多かった
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運送業務を行う問屋場跡は郵便局。菓子店も多かった

動画撮影のため路上で鯛焼きなどを食べる
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動画撮影のため路上で鯛焼きなどを食べる

 近くの夏祭りをのぞいてから路上で鯛焼き、イワシのゴマ漬け、木の葉パンを食べる。すべて動画撮影のためであった。

 暑さと強行軍のせいですっかりくたびれ、駅前での「まとめ」の収録のときにはちょっと活舌が悪くなっていた私であった。ああ、美味しかったけど疲れたなあ。

(一芸クンの食べB修行記「目指せ!肉食系男子編」はこちらからご覧ください)


 次回から福島県編がスタート。ご関係の方はどうぞメールを。

 たしか福島は冷やし中華にマヨネーズの飛び地であった。生々しい現地の声を聞きたい。


 おおそうじゃった、ぐるなびのチャブニチュードも更新された。久々に逆チャブの店が登場するぞ。


(特別編集委員 野瀬泰申)


千葉県実食編<映像リポート>



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年8月27日


■実食編<映像リポート>はこちら
料理・素材名から探す(インデックス)ページはこちら


■千葉県編
その1 給食にも落花生
その2 太巻寿司は3Dなのだ
その3 銚子に行ったら木の葉パン
最終回 松戸が私を呼んでいる
実食編 「勝タン」への長い道一芸クンの食べB修行記・目指せ!肉食系男子編映像リポート

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