第214回 大阪府ご当地グルメ(その3) イカ焼きそんなにおいしイカ

特別編集委員 野瀬泰申


大阪府

 前回、ソースへの強いこだわりが明らかになった大阪府民。ソースといえば、そう、コナモンです。
 コナモンがいかに大阪府民の生活に密着しているのか…。今週はそんなメールがたくさん届いています。
 今週のおかわりは、静岡県西伊豆町で開催されたカツオを核にした観光ツアーをデスクがリポートします
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(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい記事の県別一覧はこちら

中軽井沢の別荘地
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中軽井沢の別荘地

 先週末、紙の新聞の取材で軽井沢に行って来た。長野県実食の旅に続いての再訪である。まだ花の季節には早く、冬季休業中の店が多いにもかかわらず、人出はぐんと増えていた。

 中でも旧軽銀座は前が見えないほどの混雑で、昼時だったこともあって行列ができる飲食店もあった。

 4月末から5月にかけての連休、夏休み真っ盛りの8月などトップシーズンにはどんな混み具合になるのであろうか。特に今年は北陸新幹線の開業で北陸方面からの客が増えそうだと、地元では話していた。

靖国神社の桜がほころんだ
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靖国神社の桜がほころんだ

 この原稿を書いているとき、気象庁が東京の桜が開花したと発表した。

 春。

 本編に突入する前に中華料理の「抜絲地瓜」についてのメールを2通紹介する。意外と反響が大きい。

抜絲地瓜、錦糸町で食べました(デスク)
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抜絲地瓜、錦糸町で食べました(デスク)

MNo.0-1

「ポテトの飴炊き」といえば、神戸の老舗「神仙閣」に尽きます。親族で集まる時は何10年も必ずここを使っていました。コース料理の最後から2番目ぐらいにこれが出てきます。
「大学芋」とよく似ていますが、絡める飴が違うとのこと。大学芋は砂糖・水(ときに醤油)で作りますが、中国では「バースー」といって砂糖の量が多く、そこに油が加えられているとか。
 親族も亡くなったり子どもが中年になって集まらなくなったりと、震災を挟んで続いたこの習慣も、もう過去のものとなってしまいました(機野さん)

糸引きまくり
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糸引きまくり

MNo.0-2

「食べB」の記事に「抜絲地瓜がなぜ大阪と新橋にのみ伝わったか」とありましたが、私の故郷・長崎県佐世保市の中華屋さんでも供していましたよ。
 あっつあつの飴炊きで、そのまま食べようとしたら「火傷しますよ!」とお店の人に止められ、抜絲地瓜といっしょに運ばれてきたお椀にはいったお水に飴炊きのおいもをつけて、冷ましてから食べるように言われた覚えがあります(いもこさん)

水で冷やすとカリカリの食感に
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水で冷やすとカリカリの食感に

 前回紹介した「あまロス」さんのメールがあっちこっちに反射した。その結果、中華料理のメニューである「抜絲地瓜」を出す店は各地にあることがわかった。しかし店の数はそれほど多くない印象である。

 佐世保の店では水で冷まして食べるという。明石の玉子焼きも昔は出し汁ではなく水で冷ましたという話を思い出した。

 さて本編である。大阪は広くて深い。

ノーマル(よねちゃん@六甲北さん提供)
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ノーマル(よねちゃん@六甲北さん提供)

MNo.15

 わたしを、コナもん→ご当地グルメ→B−1グランプリへ連れて行ってくれたのがイカ焼きでした。
 幼少のころ、夏の夜店のご褒美でして、店先に群がる人ごみの中、無心に食べていたイカ焼きが、引っ越しで大和川を渡った途端に食べられなくなったときの衝撃を、今でも覚えています。今回の「大阪府編」で、久しぶりに食べに行ってきました。
 イカ焼きなので、イカ焼き→イカ焼き玉子入り→野菜イカ焼き玉子入りとグレードが上がります。
 野菜イカ焼き玉子入りとお好み焼きのイカ玉の違いは、鉄板でプレスしているかどうかの違いかなぁ。

調理中(よねちゃん@六甲北さん提供)
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調理中(よねちゃん@六甲北さん提供)

 うかがった日は土曜日でしたが、買いに来られる方は10枚単位で購入されるので、20分〜30分待ちでした。3種類、みんな美味しくいただきました。
 こちらのお店では業務用イカ焼き器を使っています。わたしは、もちろんマイイカ焼き器を持っています。
 イカ焼きのお店のもう一つの看板メニューアイスモナカ。40年ほど前は、他の場所で行われていた縁日でもよく見かけていましたが、最近見なくなりました。どうしているかなぁ
 ちょい前、住吉大社の裏のお店でいただいたパフコーンのアイスクリンの写真と一緒に送ります(よねちゃん@六甲北さん)

デラックス(よねちゃん@六甲北さん提供)
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デラックス(よねちゃん@六甲北さん提供)

 関西人、なかでも大阪人にはおなじみのコナもん「イカ焼き」。しかし全国的にイカ焼きというとイカの丸焼きのことである。

 溶いた小麦粉に切ったイカや出しを加え、鉄板でプレスして焼く。お好み焼きより硬く、アゴの力が問われる。

 阪神百貨店梅田本店のスナックパークで売られて一挙にメジャーになった。私も大阪に赴任してすぐに食べに行ったが、余りに未知の食べ物であったために訳がわからなかった。

マイイカ焼き器(よねちゃん@六甲北さん提供)
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マイイカ焼き器(よねちゃん@六甲北さん提供)

 そばに「でらぱん」とかいう文字があったような気がする。

「こばりん」さんから「池袋駅東口地下にも以前、『スナックランド』という夢の国がありました。チーズドック、ハムカツサンド、ナポリタン、珍しいところではつきたての餅でからみ餅や納豆餅、もちろん立ち食いそばなんかも。高校生のころは結構お世話になっていました。
 随分前に無くなってしまいましたが、大阪ではまだ似た感じの場所が生き残っていたんですね」というメールをいただいた。

 私は大学受験の下見のときと、入学してからの2回、池袋のスナックパークに行っている。2度とも立ち食いそばを食べた。ラーメン・うどん文化圏に育った私にとって、そばを立って食べるということが新鮮だったからである。

 次もコナもん。

これは1枚150円(大阪の原さん提供)
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これは1枚150円(大阪の原さん提供)

MNo.16

 大阪・四天王寺では毎月21日、22日に開催される縁日が「大師会」「太子会」で数100軒の出店の列です。
 その中に100円前後で一銭お好みの伝統が受け継がれております。鉄板全体に材料を広げて焼く量産体制が面白い。
 天然たいやき…には絶句。うむむ。養殖ではないらしい…。
 かつお線香に絶句。うむむ。匂いはするのか???(大阪の原さん)

量産体制(大阪の原さん提供)
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量産体制(大阪の原さん提供)

 このお好み焼きの写真を見て、弊社大阪本社の社員食堂を思い出した。以前の業者の時代、カツ丼をこのように鉄板で量産し、注文があるとコテで切って丼にのせていたのだが、丸く切るとロスが出るので四角に切るのである。

 すると丸い丼を四角て硬くなった卵とじのカツが覆うことになる。大阪の鉄板系大量生産方式にはムダを出さないという共通点があるが、あのカツ丼はまずかったなあ。

 写真のお好み焼きも四角である。

 ムダを出さないというと、次のメールの物件もそうである。

かすうどん(いけずな京女さん提供)
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かすうどん(いけずな京女さん提供)

MNo.17

 大阪のうどんの写真を見てたら、突然脳内にスパークが。「あ〜、かすうどん食べたいっ!!」
 かすうどん。それは、南河内のソウルフード「油かす」をのせたうどんです。大阪府藤井寺市で1995年にオープンした「加寿屋(KASUYA)」で初めて外食メニュー化され、たちまち大阪人のハートをつかみ他のうどん屋にも広がったとか。
 ほなら「油かす」って?と言いますと、牛の腸をじ〜っくりと時間をかけて揚げたもん。余分な脂が抜けて肉の旨みが凝縮され、外はカリカリ香ばしく、中はプルプルの食感。 うどんにのせるほか、お好み焼・焼きそばの具、野菜の煮物にも使われたりします。

富士宮の肉かす
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富士宮の肉かす

 このような食品は、実は日本各地に点在していますね。
 富士宮やきそばに欠かせない「肉かす」は、豚肉からラードを搾った後に残ったものを揚げたもの。
 広島の「せんじ肉(せんじがら)」は、豚のホルモンを揚げて干したもの。
 沖縄の「あんだーがし」は、豚の背脂を揚げて油をとったもの。
 徳島の「いりかす」は、牛のホルモンを牛脂で炒ったもの。
 貴重な食材を最後の最後まで有り難く食べ尽くしたいという先人の知恵に感謝…ていうのは口実で、いっぺん食べたなったら脳内ぐるぐる回って離れへんから「油かす」お取り寄せしちゃいました。
 牛肉食文化圏でない人には最初抵抗あるかもしれませんけど、ハマったら美味しいですよ(いけずな京女さん)

油かす(いけずな京女さん提供)
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油かす(いけずな京女さん提供)

 東京の神田に関西出身の化粧後美人姉妹がやっている小さな飲み屋があった。そのウリがかすうどん。飲んだ後にこれで締める客が多かった。しかし当時の私は歯の改造工事中であったため、何度かしか食べられなかった。

 あるとき、店に行くと妹ひとりで店を切り盛りしていた。

「お姉さんは休み?」
「ええ、まあ」

 というやり取りの後で気がついた。目の前にいるのは妹ではなく化粧前姉であった。

 大阪在勤中、中でも単身赴任時代にお世話になったのは家庭料理が食べられる立ち飲み屋と食堂であった。大阪の食堂が好きである。

「メシアなめし屋」(中林20系さん提供)
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「メシアなめし屋」(中林20系さん提供)

MNo.18

 以前、「食奇行」の「ニッポンの食堂」の回で、ショーケースに並ぶおかずを好みで取り、それにサイズ指定の「めし」や「味噌汁」などを付けてもらうというスタイルの「めし屋さん」が登場してて、東京にもなくはないんだけど主流ではないし…と、当時ちょっとした憧れを抱いたものです。
 西日本のどれくらいに分布しているのかはわかりませんが、大阪を舞台とした漫画作品にも確か登場してたし、大阪は確実ですよね。
 新世界の串かつ屋さんで飲んだ後にそういうお店を見つけたので、そこで〆ました。
 ケースのおかずだけでなく、注文による定食類やカレー、麺類、果てはひとり鍋もあるのですが「おっ?これはこれは」と嬉しくなる太刀魚の塩焼きがケースにあったので「めし(中)」と「味噌汁」を付けて…ワンコインどころではない激安定食となりました。

激安定食(中林20系さん提供)
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激安定食(中林20系さん提供)

 ちなみにこの店。ショーケース上部には「当店では昨日の材料(シャカネタ)は一切使用してませんので閉店まぎわのネタギレはご容赦ください」との貼り出しがありました。
 何もかもが常にあると思うな思えば負けよ…そんな“野瀬さんフレーズ”がアタマに浮かびました。
 で、店のお姉さんに撮影許可を申し出れば快諾していただけましたが「いまはちょっと少ないから恥ずかしいなぁ」みたいなフレーズを大阪弁で。とはいえ、夜8時台でもまだまだ次々に補充してましたよ。大阪っていいなぁ!(中林20系さん@ホテルから)

新世界続編、これも現実(大阪の原さん提供)
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新世界続編、これも現実(大阪の原さん提供)

 そのお姉さんは化粧…じゃなくて白い三角巾を頭に巻いていませんでした?

 ガラスケースからサバ煮などを取ると「温(ぬく)めますか?」と聞いてくれる三角巾のおねえさんたち。何人かで食堂に入り、ケースから持ってきた料理を肴にビールや酒を少しやった後で、うどんを食べる。よかったなあ。

 実食の旅の難しいところはデスクに任せて、私は食堂でゆっくりしたいものである。

 大阪には大阪湾という豊穣(ほうじょう)の海がある。

フカ(豊下製菓の豊下さん提供)
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フカ(豊下製菓の豊下さん提供)

MNo.19

 泉州沿岸部の海産物では和泉ダコ、アナゴ、ガッチョが有名ですが、意外に知られていない名物に「フカ」があります。特に岸和田のだんじり祭には欠かせないごっつぉぅです(豊下製菓の豊下さん)

大阪ドリンク?(大阪の原さん提供)
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大阪ドリンク?(大阪の原さん提供)

 ああ懐かしい魚の名前が出て来た。ガッチョである。標準和名は「ネズミゴチ」だが、この天ぷらはすばらしかった。何かの宴会で登場したのだが、柔らかな白みが湯気を立てる天ぷらをソースじゃなかった、天つゆにくぐらせて口に運んで驚嘆した。

 東京の上等なキスの天ぷらにも勝るのではなかろうかと思ったものである。以来、関西で飲み屋に入るとガッチョの文字を探すようになった。

 岸和田のフカ(サメ)は不覚にも知らなかった。そういえば、だんじりにも行ったことがない。私が住んでいたのは大阪北部と兵庫県。泉州は遠かった。

 次も海産物の話。

鱧皮の酢の物(三月うさぎさん提供)
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鱧皮の酢の物(三月うさぎさん提供)

MNo.20

 大阪では鱧(はも)を高級蒲鉾にした後の余りが鱧皮として売ってると聞き、高級蒲鉾の方ではなく、鱧皮食べたいと思っていたら、大阪に出張にいったときに豊下さんが頼んでくれました。
 鱧皮の酢の物。美味しかったけれど、加減酢の味が私の好みと少し違っていて、甘くない加減酢で食べたいと思っていたら、東京の物産展に出店することを教えてもらい、夫に買ってきてもらいました。
 鱧の皮とかウナギの頭(半助)とか、余り物を食べる工夫というか根性というか、が凄いなと思います(三月うさぎさん)

ムダを出さない(三月うさぎさん提供)
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ムダを出さない(三月うさぎさん提供)

 これも「ムダを出さない」物件のひとつである。鱧皮は黒門市場に行くまでもなく、街中の鮮魚店でも見かける。ただ私には調理法がわからず買ったことはないが、居酒屋のアテでは何度もお世話になった。

 あれは美味いものである。

 前回は「原さん写真館」をご覧いただいたが、今週は「いずみさん写真館」である。キュートなキャプションともどもお楽しみいただきたい。

 次回で大阪府編は終わる。書き残しがないようにお願いしたい。

次は神奈川
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次は神奈川

 その次のターゲットは神奈川県である。47都道府県制覇に向けて最終コーナーに差しかかっている。もう少しだ。頑張ろう。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「西伊豆でカツオブシとしおかつおを満喫」です。ぜひお読みください。

大阪府編(その1) 復活してくれ! スナックパーク

大阪府編(その2)  「心の中にはあんた 口の中にはあんこ」(中山菓舗)

大阪府編(その4) 大阪の夏、あんペいの夏

大阪・京都府まとめて実食編 「飯炊き仙人」こんにちは


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年3月27日

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