第13回 千葉県(その2) 太巻寿司は3Dなのだ

断面が美しい絵柄になる千葉の太巻寿司
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断面が美しい絵柄になる千葉の太巻寿司

 春の健康診断の結果が出た。

 ええっと、γ−GTPは…… ! 中性脂肪は…… ! 努力はしてみるもんだ。

 私は来年10月末日をもって定年を迎える。というか同期全員がそれぞれの誕生月に同じ道をたどることになっている。そこで先週は2日間にわたって定年退職者準備セミナー。同期の多くがすでに関連会社の役員になって退職しているので、セミナー会場で見知った顔は数えるほどしかいなかった。

 思えば昭和50年4月、希望に燃えて入社してきた我が同期は全員が紅顔の美青年であった。それから幾星霜。みんな見事なオジサンになったのである。たそがれてきたなあ。

 では千葉県編の続きを始めよう。(千葉の食についてのメール投稿先はこちら)

市販されているゆでピーナツ(左)と上海で見つけたボイルピーナツ
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市販されているゆでピーナツ(左)と上海で見つけたボイルピーナツ

MNo.(メールナンバー)9

 千葉の塩ゆでピーナッツは、収穫してからなるべく早くボイルしないと美味しくなく、新鮮でないと食べられないので、地元限定といったところでしょうか。と思っていたら、コンビニで売られているボイルピーナッツを発見しました。写真を送ります。
 もう1枚の写真は上海で発見したボイルピーナッツです。思わずうれしく写真を撮ってしまいました(夢多きおやじさん)

 確かに中国ではゆで落花生を食べる。

 次のメールはコンビニゆで落花生の謎を解いてくれる。

MNo.10

 ゆでた落花生は「話には聞いているが食べたことがない」という人が多いでしょう。産地だけに許された特権でした。
 ゆでた落花生を流通させるのは「微生物学的に問題があり」、ゆでた後も長期に風味を維持できる品種がなかったからで、近年「郷の香」というゆで落花生に特化した品種が作られ、レトルトによる殺菌法が確立されたので、市販されるようになりました。
 同様に、産地だけで許される「採った当日なら生で食べられるトウモロコシ」も「味の劣化が早い」からではなく「微生物学的な理由」らしいです(あらえびすさん)

 ゆで落花生に特化した品種が開発されていたとは知らなかった。そんなに需要があるんだ。

MNo.11

  富津の田舎では義母がよく落花生の煮物を作っていました。お正月は特にそれぞれの家で作り、お客様に振舞います。法事、念仏講などあると必ず落花生の煮物が出ます。
 富津の畑では「落花生」、お赤飯の「ささげ豆」、「ごま」など自給自足でした。
 花寿司などもかつてはよく作っていましたよ。法事、祭りなどでよく近所の主婦が集まって作っていました。今はあまりしませんが(二本足のカカシさん)

 落花生の煮物? 前回、落花生を粉にしてつくるお汁粉の話があったが、千葉では落花生は小豆や大豆と同じ扱いらしい。驚いた。

 赤飯は小豆とは限らない。ササゲを使う所も多い。

 船橋にはこんな麺類がある。いや、あった。

ソースラーメン・スタンダード(左)とソースラーメン・皿盛りスタイル(机さん提供)
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ソースラーメン・スタンダード(左)とソースラーメン・皿盛りスタイル(机さん提供)

MNo.12

 船橋に生まれて、船橋に住み続けて47年。船橋のことなら、といってもわかるのは海沿い(実は船橋市、とっても広いのです)のみですが、任せてください。
 「船橋の昔の味」にソースラーメンがあります。ソースやきそばじゃありません、ソースラーメン。汁そば。
 札幌の味噌、函館の塩、九州の、というか久留米のとんこつ、青森の味噌カレー牛乳などいろいろありますが、このラーメンは汁の味がソースなのです。ウスターソース味。
 とはいえ僕の知っている限りでは、ソースラーメンを食べさせていたと言い切れるお店は3軒。そのうち2軒で実食しています。京成・大神宮下駅そばで食べたソースラーメンのスタイルがスタンダードではないかと思われます。また西船橋駅そばで食べたスタイルは汁がやや少なく、皿に盛られたタイプでした。
 京成船橋駅前のお店が元祖という説があり、場所だけは確認しましたが営業は確認できませんでした。さらに大神宮下の店は、おやじさんが体をこわして店をたたんだと、行きつけの寿司屋のおやじから聞きました。実際、閉店していました。
 西船橋の店は少し前、居酒屋になってしまいました。居酒屋になってもソースラーメンが提供され続けているかは確認していません。
 もし「船橋の昔の味」が絶滅してしまったとすれば、残念ですよね。トキのように保護して復活できないものでしょうか…(机さん)

 どなたか生息情報をお持ちではありませんか? あったら食べてみたい。残すかもしれないが。

 「食べ物 新日本奇行」3杯目編 第3回「ソースをもう一ふり」(その4)に、ソースラーメンが登場する。当時は「デスク」であった机さんの実食リポートはこちら

 千葉のFM局bayfmの「パワーベイモーニング」に寄せられたリスナーからの情報にも、幻の麺が登場する。

 「田舎の千倉にちょっとかわった焼き麺がありました。焼きそばという名前で屋台で売っていて、麺はそうめんか冷や麦、具は薬味的な長ネギとカツオ節だけ、味付けはウスターソースだったと思います。最近は見かけないんですけどね。千倉出身の30代以上なら知っていると思います」

 心当たりの方は?

 千倉には以前、健保組合の保養所があったので、子どもを連れて泊まりに行ったことがある。保養所の晩飯は天ぷらだった。子どもが「おうちで食べているみたい」と言っていたが、管理人さんチと同じメニューであったと思われる。

 さあ、この写真を見ていただきたい。

太巻き寿司は千葉の伝統的なごちそう料理(中林20系さん提供)

太巻き寿司は千葉の伝統的なごちそう料理(中林20系さん提供)

MNo.13

 キハ20系が好きなんですよ。HNにも使ってますし。で、関東で同型機を運用してる民鉄・小湊鉄道へ乗りテツに行ったときのこと。五井での乗り継ぎの際、連絡通路でちょっとしたバザー的に美味しそうな手作り旨いもん各種がずらりと。
 朝ですよ? 駅弁的に捉えればさ…煮魚焼き魚はねーだろよ? 晩ご飯のおかずじゃん?と、思ったりしましたが…。
 小湊鉄道で養老渓谷へと突然思い立った方々には便利ですよね? お弁当の準備ナシでいきなり出かけられますし。その線かぁ…と想像して、遠い目になったもんです。
 そこで出合ったのが「太巻」と書かれたコレ。初めて見ましたが、その造形の美しさたるや!
 わたしも自炊野郎の端くれです。一瞬で食べ終わるかも知れなくとも、この製作過程にかかる大変な手間は容易に想像出来ます。製造者は女性の個人名でしたが(中林20系さん)

 なるほど、これは手間がかかっている。3次元的想像力が不可欠であろう。寿司界の金太郎飴。

 スーパーでも売っているのであろうか? 一芸クン、手に入れて会社に持ってきて。食べてみたいのだよ。

一芸クン へへっ、そう言われると思ってご用意してきやした。

太巻寿司を売っていた農産物・農産加工品直売所「よもぎの里」(四街道市)の店内
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太巻寿司を売っていた農産物・農産加工品直売所「よもぎの里」(四街道市)の店内

野瀬 わおっ。どこで買ったの?

一芸クン 四街道市の農産物直売所です。中林20系さんが見つけたものと同じように、作ったのは個人の方でした。何人かが交代で担当して持ち込んでいるそうですよ。

野瀬 それにしてもきれいだねえ。海苔で巻いたのと卵で巻いたのがあるね。ではいただきます…… 美味い。漬物がそれぞれ違う味だから、食べ進むうちに味が変化するところが良い。しかもこれだけ入って380円というところも良い。これはヒットだねえ。

食べごたえも十分
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食べごたえも十分

一芸クン 作った方と店でお会いしました。この花はフヨウ(芙蓉)をかたどったそうです。「とにかく手間がかかるからね。好きじゃなきゃできないよ」と笑っていました。後期高齢者、と呼ばれるお歳だそうですが、とてもそうは見えず、はつらつとしていたのが印象的でした。

野瀬 私もたそがれているバヤイではない。

 

 食べ終わったところで、パワーベイモーニングの情報から、とっておきを。

 「田舎は大原ですが、自分の近所は普通にサバのミンチでつくったハンバーグやコロッケが出てきました。東京に就職したらどこにも売っていなかった」

 大原とは旧大原町。夷隅、大原、岬の3町が合併していすみ市になった。JR外房線大原駅はいすみ鉄道の起点である。

 この辺りではサバが揚がるのであろうが、サバのコロッケやハンバーグは珍しいったらありゃしない。これでまちおこしができるではないだろうか。

 南隣に勝浦市。タンタンメンで盛りあがっているところである。千葉県も面白いものがいっぱいあるなあ。

 千葉といえば醤油でもあった。

醤油の味を前面に出したスナック菓子(いけずな京女さん提供)
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醤油の味を前面に出したスナック菓子(いけずな京女さん提供)

MNo.14

 「千葉は醤油の一大産地」とありましたので数年前、調子にのって銚子まで醤油工場の見学に出かけました。例の「ぬれせんべい」も醤油の一大生産地ならではの食べもんだということも、そのときに知りました。
 現在、写真のようなスナックが全国発売されていますが、やはり世間様的には「千葉=醤油が特産品」のイメージなんでしょうか。ここはぜひ、ご当地のご意見をおうかがいしたいところです(いけずな京女さん)

強烈な醤油味の竹岡ラーメンは、近年発祥の地・富津市以外でも「竹岡式」として提供されている
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強烈な醤油味の竹岡ラーメンは、近年発祥の地・富津市以外でも「竹岡式」として提供されている

 私が千葉の醤油で思い出すのが竹岡ラーメン。真っ黒である。醤油色である。

 

 ここで一芸クンに駆け足千葉の旅の一端を紹介してもらおう。

(左)「海ほたる」から房総半島を望む (右)マックスコーヒー。現在は全国で入手可能だが、かつては千葉・茨城周辺でしか買えない地域限定ブランドだった
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(左)「海ほたる」から房総半島を望む (右)マックスコーヒー。現在は全国で入手可能だが、かつては千葉・茨城周辺でしか買えない地域限定ブランドだった

 6月のよく晴れた日に、南房総地域を回ってきました。早朝、川崎方面から東京湾アクアラインで千葉に向かいます。「海ほたる」で朝の日差しにぼんやり浮かぶ房総半島を眺めつつ「マックスコーヒー」で一息。

かじめ(干したもの)
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かじめ(干したもの)

 木更津に上陸して南へ。東京湾フェリーが発着する金谷港の少し先、鋸山(のこぎりやま)で知られる鋸南町の道の駅で珍しい食材を見つけました。金谷沿岸で採れた海藻「かじめ」です。独特のねばりが特徴で、金谷周辺ではかじめ汁、かじめラーメンなどの料理も出されているそうです。

(左)高家神社にある包丁塚 (右)畑ではなく、普通の住宅地に夏みかんの木がある
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(左)高家神社にある包丁塚 (右)畑ではなく、普通の住宅地に夏みかんの木がある

 さらに南下して南房総市に入ります。太平洋側の千倉町には、料理の祖神を祭り毎年秋に「包丁式」が奉納される高家(たかべ)神社があって、千葉と食との深いかかわりを感じさせます。神社の駐車場に夏みかんの木がありました。南房総では民家の庭先に夏みかんの木が植えられているのをよく見かけます。

 このあと、町おこしにも一役買っている「さんが焼き」を食べてみようと同じ南房総市の白浜町へ。さらに、鴨川市、勝浦市と足を伸ばすことになりますが、そのご報告はまた次の回といたします。

 ハイ、一芸クン、おつかれさまでした。

 次回は勝浦タンタンメンの話題になりそうな予感がしている。

 では千葉の食を掘り起こすメールを待っている。

 おおそうじゃった。あっちも更新された

(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年6月25日


■千葉県編
その1 給食にも落花生
その2 太巻寿司は3Dなのだ
その3 銚子に行ったら木の葉パン
最終回 松戸が私を呼んでいる
実食編 「勝タン」への長い道一芸クンの食べB修行記・目指せ!肉食系男子編映像リポート

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