第230回 宮崎県ご当地グルメ(その4) 白い皮、むいて食べるな日向夏

特別編集委員 野瀬泰申


宮崎県

 宮崎県編もいよいよ終わりが近づいてきました。
 日本酒代わりに焼酎を飲んでいたり、東日本がメインと思っていた納豆が意外に美味しいなど、様々な新しい発見が続々と登場しました。
 最終回には、どんな「宮崎の味」が登場するのでしょうか?
 今週のおかわりは、デスクが岩手県岩手郡岩手町で体験してきた、ご当地食材の魅力を生産者と直に触れ合いながら味わうイベントのリポートです
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デスクは岩手町へ キャベツマンと岩手山
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デスクは岩手町へ キャベツマンと岩手山

 東京も梅雨が明けた。途端に暑い。言っても仕方がないけど、暑い。

 家から最寄り駅まで歩く間に汗が噴き出し、途中のドラッグストアに駆け込んでクールダウン。その先のコンビニでクールダウン。駅ビルにあるスーパーでクールダウン。通勤にやたらと時間がかかる季節になった。

 どこかに避暑に行こうかとも思うが、出張の予定が立て込んでいるので、今年も夏休みが取れそうもない。

 おまけに8月の初めには我が家の台所の改築予定が入っていて、5日間は火が使えないという。つまり家にいてもご飯が食べられないのである。

日本一乗降客が少ない新幹線駅、いわて沼宮内
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日本一乗降客が少ない新幹線駅、いわて沼宮内

 その間、どこで寝泊まりするのか。ホテル住まいなど論外で、そうならばいっそのこと出張の予定を入れてしまおうかなどと、あまり楽しくないことを考えている。

 夏休みが待ち遠しかった子どものころが懐かしい。いまは毎日が命懸けである。

 宮崎県編も最終回。次第に宮崎の食の姿が見えてきた。


日向夏(nozakiさん提供)
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日向夏(nozakiさん提供)

MNo.21

【日向夏】 春先は日向夏の季節。上品な甘みと酸味、そして爽やかな香りを毎年楽しみにしています。最近は関西や中部のスーパーでも見かけるようになりましたし、季節の食材としてドリンクや菓子に加工されたり知名度も上がってきましたが、県外の方にはまだ白い皮までむいて食べる方がいらっしゃるようです。日向夏は、白い皮の部分に甘みがあるので、ネーブルオレンジと同様、白い皮を残してむき、包丁で身を削ぐようにして食べるのが正解です。
【マンゴー】 完熟のマンゴーは本当に美味しいですね。例の知事が出てきて全国的に知名度が上がるまでは、あまりの美味しさに、ほとんど県内で消費されていたそうです。実は南国といえども冬は寒いので、気温が下がりすぎる時はハウスに暖房を入れる必要があり、栽培には手間がかかります。


青切りミカン(nozakiさん提供)
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青切りミカン(nozakiさん提供)

【青切りミカン】 県南でもミカン栽培が盛んですが、夏休みが終わり運動会シーズンが近づいてくると青いミカンが登場します。これは極早生と言って青い状態で出荷してしまうものです。青いので酸味が強いですが、8月に出荷する超早場米と並んで南国ならではの味覚です(nozakiさん)

マンゴー(nozakiさん提供)
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マンゴー(nozakiさん提供)

 南国宮崎はフルーツ王国である。しかも早生種に強みを持つ。他産地が出荷する前に市場に出るから、高く売れる。

 日向夏の食べ方は覚えておこう。私も宮崎に行ったとき果物屋さんで教わった。それまでは白い皮を捨てていた。ああもったいない。

 完熟マンゴーは未食。だって東京のスーパーでは高いんだもん。

 そのnozakiさんからは「宮崎はうなぎも美味いぞ」情報が届いている。我が家近くのスーパーも宮崎県産うなぎ蒲焼きが置いてある。

西都市「入船」のうなぎ(nozakiさん提供)
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西都市「入船」のうなぎ(nozakiさん提供)

 絶滅危惧種のニホンウナギ。生態解明は緒についたばかりで、どこで産卵するのかもまだわかっていないという。いつまでうな丼を食べられるのか。

「いまのうちに食べておこう」という人が増えると、ますます値が上がって困るが。

 地元の人ならみんな知っているのに、他の地域では「?」なものが各地にある。次のメールもそんな情報が詰まっている。

とむらのタレ
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とむらのタレ

MNo.22

 昭和42年に開発された「とむらのタレ」は、宮崎県での売り上げシェアナンバー1。地元では、ほとんどの家庭にこのタレが常備されていると言われています。使い道は、単なる焼肉のタレにとどまらず、このタレを使った野菜炒めやチャーハン、焼きおにぎりも。カツオの刺身をブツ切りにして、このタレを絡めユッケのように食べる人も。ボクは未経験ですが。
 日南市の大堂津(おおどうつ)地区には、戦前の昭和10年ごろに10の醤油醸造蔵がありました。人口1900人ほどの小さなエリアに、これだけ多くの醸造蔵があることは全国的にも非常に珍しいこと。現在も、この狭い地域に4つの醤油メーカーが残り、日南ならではの甘い醤油を作り続けています。
 日南海岸で採れるトゲキリンサイという海草を丁寧に日干しにし、煮溶かして固めた後に、みそ漬けにした海苔を「むかでのり」と呼びます。寒天のようなプルンプルンとした弾力のある歯ごたえと、味噌の味が感じられ、口の中に磯の香りが広がります(飫肥杉仮面さん)

飫肥天も醤油も甘い?(nozakiさん提供)
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飫肥天も醤油も甘い?(nozakiさん提供)

「戸村精肉本店」が肉のつけダレとして使っていたものを、客が「ほしい」というので1袋50円で売ったのが始まりであると、戸村グループのHPに書いてある。だから「いまも営業マンはいません」とも。

 どんなタレだ?

 九州の醤油が甘いのは周知のことであるが、日南市の大堂津で造られる醤油も甘い。飫肥の天ぷらの甘さを考えると、相当の甘さかも。

 むかでのりは、形がムカデに似ていることから付いた名だが、ほかに言い様はなかったのか。

むかでのり、これ誰?(nozakiさん提供)
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むかでのり、これ誰?(nozakiさん提供)

 冷や汁はすでに登場した。山間部の都城にも冷たい汁かけ飯が生まれたとか。

サラめし(いけずな京女さん提供)
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サラめし(いけずな京女さん提供)

MNo.23

 宮崎の郷土料理「冷や汁」をヒントにした都城市の新メニュー「サラめし」を実食いたしました。
 魚のすり身を使った「冷や汁」に対し、海に面していない都城地域のそれは“山の冷や汁”。お出しを効かせた豆乳に、宮崎の特産品であるゴボウと乾燥椎茸が入ってます。ご飯にかけて、お好みの野菜をトッピングしたら、出来上がり。
 あっさり豆乳スープにごぼうの風味と椎茸の旨みがいっぱいで、暑さで食欲がない時でもしっかり食べられる感じです。
 今はまだレトルトだけですけど、ぼちぼちメニューに入れる飲食店も出てきたとの噂も聞きますので、将来は「もうひとつの冷や汁」として都城のご当地めしに成長するといいですね(いけずな京女さん)

かなりいい感触?(いけずな京女さん提供)
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かなりいい感触?(いけずな京女さん提供)

 創作料理が定着するかどうかの一つの目安が「飲食店がすすんでメニューに取り入れるかどうか」。つまり地元の人が日常的に食べる機会があるかどうかである。

 その点では、かなりいい感触ではないか。健康にもよさそうだし。

 かつて九州各地で焼き鳥の取材を敢行したとき、宮崎市内には串に刺した焼き鳥を食べさせる店ができ始めたところであった。それまで、そしていまも勢力を張っているのが地鶏のモモ焼きであった。

モモ焼き(ミルフォードさん提供)
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モモ焼き(ミルフォードさん提供)

MNo.24

 30年ほど前、宮崎の隣県鹿児島在住時に地鶏のモモ焼きの美味しさを知り、はまりました。銀色のお皿に盛られ、黒光りして炭の香り漂うその食べ物は、貧乏学生には高価でしたが、昼間のパワーの源と芋焼酎のつまみの原点だったかもしれません。
 最近、宮崎出身の友人と、宮崎の「モモ焼き」の老舗の「モモ焼き屋さん」で飲んだときに聞いた話では「子どものころは、モモ焼きを食べる時には必ず最後に“おにぎり”を注文して、お皿に溜まったモモ焼きから出た脂を、おにぎりになすりつけて食べるのが楽しみだった」とのこと。
「いま考えれば、体に悪いことしてたよなあ、でも炭の味がして本当においしかったんだ」とのことでした。
 そういえば、宮崎で何回か食べた「モモ焼き」の専門店にはメニューに必ず「おにぎり」のメニューがあったのが気になっていたところでしたが、これですっきりしました。でも本当かな(福岡発鹿児島経由東京経由大阪着40代後半男性さん)

真っ赤な炎が立つ
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真っ赤な炎が立つ

 私のモモ焼き体験は鮮烈であった。大中小があるうちの小を注文すると、店の男性が奥の炭火の上に生のモモを置く。すると落ちた脂が盛大に燃え上がり、真っ赤な炎が立つ。

 焦げた部分を箸でこそげ落として食らいつく。すると中かな半生の身が現れる。それを差し出すとまた焼いてくれた。

 野菜は生のキュウリ1本。店の人は「宮崎の人間はモモ焼きとキュウリがあれば宴会ができる」と話していた。

 でも締めにおにぎりは納得できる。しかし皿の脂をなすりつけて食べるのは感心しない。デスク、まねしないように。

ほろ酔いカンパチ(森さん提供)
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ほろ酔いカンパチ(森さん提供)

MNo.25

 宮崎県北の延岡市北浦町で6年前から焼酎粕をエサに混ぜ、養殖カンパチに与える取り組みをしており、これを「ほろ酔いカンパチ」と名付けブランド化に挑戦しています。
 30年前に比べ養殖業者の数も約5分の1の16業者になり、新たなブランド魚をつくって活性化を図りたいと思ったことがきっかけです。
 酒造メーカーの廃棄コストを低減し、焼酎粕の効果で魚の臭みを抑え甘みととろみのある身質に仕上りました。4月からは地元延岡市のふるさと納税の景品にも選ばれております。
 本来廃棄されるものをリサイクルして新たな特産品(ブランド魚)を作るという地域循環型の取り組みを今後も盛り上げたいと思っています(森さん)

高千穂酒造とのコラボ事業(森さん提供)
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高千穂酒造とのコラボ事業(森さん提供)

 延岡の鶴喜(かっき)水産と高千穂酒造とのコラボ事業である。

 海に捨てるわけにも行かず、コストをかけて再利用していた焼酎粕がカンパチのエサとして有効利用される。いいことである。ちなみにカンパチは愚息の大好物。

 最後はこのメール。私もときどき行く店である。

宮崎の釜揚げうどん(中林20系さん提供)
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宮崎の釜揚げうどん(中林20系さん提供)

MNo.26

 野瀬さんにもお馴染みの、数多くの商店街が東西南北に走る我が街の中のひとつ・某クラウン街にあるうどん屋さんです。
 最近のリニューアル工事以前からずーっと長年、暖簾を出されてた名店です。
 で、ここは何と!写真のように「宮崎の釜揚げうどん」を提供する店なんですね。で、釜揚げうどんが宮崎発祥かのようにも思えるコピーも、と。
 この店の店名「後楽」と宮崎を結び付けようとすると、必然的に浮かび上がるのが巨人軍の宮崎キャンプや終身名誉監督。
 実のところ、そういうことらしいです。ここは現地有名店の分店なんだそうです。そして本店にはキャンプ時に、巨人軍の皆さんが通われて、分けてもかつては終身名誉監督が…と。
 宮崎とうどん、地元以外では結びつきが何だか難しいと思えるものかも知れませんが、渋谷区某所では昔から当たり前のことでもありますよん(中林20系さん)

うどん これは讃岐ですが
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うどん これは讃岐ですが

 そのうどんの店は、近くの銭湯に行った帰りに寄る店の一つである。うどんやそばを食べる客と飲む客がはっきり分かれていて、私は飲むだけの客である。

 写真の看板は見知っていた。しかし小さな「?」がつく。というのも最近乗った九州新幹線にあった車内誌に宮崎市内の釜揚げうどんの老舗が紹介されていて、文中に「店を開いた母親が香川出身」とあった。やはり讃岐伝来と考えた方が無理がないのではないか。

 それはともかく、次にこの店に入ったら、うどんを食べなければなるまい。まだ一度も食べていないのである。飲むばっか。

日田ならこれも!(デスク)
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日田ならこれも!(デスク)

 ということで、宮崎県編はおしまい。

「のべ」さん、日田に行ったら地元にある工場直送のビールを召し上がれ。瓶でも缶でも全く味が違うらしいですよ。つまみは鶏の刺し身。日田には鶏の刺し身専門の持ち帰り店があるくらいです。

 元松山の坂本(@富山)さん、そうあの丸寿司の親戚です。各地に違う名前で存在します。

 来週から福井県編に突入する。ゴールが近づいている。頑張ろう。

(特別編集委員 野瀬泰申)



★今週のおかわりは「キャベツのふるさとで味わう岩手町の味」です。ぜひお読みください。

宮崎県編(その1) 「チキン南蛮」はなぜ「南蛮」?

宮崎県編(その2) ギョ! うどん?

宮崎県編(その3) かにまき汁にごんぐり煮

宮崎県実食編 「かにまき汁」で生き返る


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年7月24日

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