第196回 長野県ご当地グルメ(その4、最終回) これもコナモン? 粉豆腐

特別編集委員 野瀬泰申


長野県

 昆虫食から大盛りソースカツ丼へと大きく舵を切った長野県の食。最終回となる今回は、引き続き肉料理から始まり、スイーツ、果物まで幅広くご紹介します。
 今週も長野県ならではの食を存分にご堪能ください。
 今週のおかわりは、10月18−19日の2日間にわたって開催されたB−1グランプリin郡山の模様を、デスクがお伝えします
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会場には45万3000人が集まった
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会場には45万3000人が集まった

 第9回ご当地グルメでまちおこしの祭典!B−1グランプリin郡山が無事終了し、郡山から会社に直行して、この原稿を書いている。

 今回は「東北・福島応援特別大会」として開かれ、出展59団体は「我がまち」のPRとともに、被災地の復興応援に声を枯らした。

 初日の18日は近隣の運動会が多かったことも影響して出足が鈍かったが、2日目は朝早くから会場が人で埋まった。家族連れやカップルの姿が目立ち、2日間で45万3000人が訪れた。

会場中においしそうなにおいがあふれた
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会場中においしそうなにおいがあふれた

 会場には多くの同人の皆さんの顔があった。

 詳しくは「おかわり」でデスクが報告する

 さて今回は長野県編の最終回。

 注目すべきメールが届いている。


粉豆腐のふわふわたまごとじ(旭松食品提供)
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粉豆腐のふわふわたまごとじ(旭松食品提供)

MNo.22

 高野豆腐を粉末にした「粉豆腐」。おからに似た形状で、煮物を作るのによく使われます。
 粉豆腐の煮物は、飯田ではおふくろの味としてスタンダードの王道。あまりに定着していて、地域食であると地元民が気づかないぐらいです。
 おからではなく、あくまで「高野豆腐の粉末」。栄養価の高い高野豆腐なので、形の悪いものや粉末であっても、無駄にせず食べきろうという地元ならではの商品と思われます(マルさん)

粉豆腐(同社提供)
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粉豆腐(同社提供)

 高野豆腐を成形するとき粉が出る。形の悪いものは粉にする。そして無駄なく家庭料理に使ってきたのである。

 飯田市には高野豆腐で有名な旭松食品があって、同社は「粉豆腐」という商品を販売している。飯田周辺のスーパーに並んでいることであろう。

 その旭松食品のHPに「どっちが正しい? 高野豆腐と凍み豆腐」というコラムがある。高野豆腐のルーツには奈良の高野山発祥説と、信州の凍み豆腐起源説がある。

 高野豆腐は自然の寒さで凍らせた豆腐を凍ったまま1週間から10日ほど熟成させ、お湯をかけて溶かした後、水分を絞り火で乾燥させて作る。

こうや豆腐(同社提供)
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こうや豆腐(同社提供)

 凍み豆腐は薄く切って凍らせた豆腐をわらで編み、軒下に吊して自然乾燥させる。

 このように製法が違い、消費も関ケ原以東は凍み豆腐、以西は高野豆腐に分かれていたという。

 で、つい最近、奈良県出身者と話していたら、たまたま「高野豆腐の粉」が話題になった。

「奈良では高野豆腐の粉を料理に使うよ」

 というのである。

こうや豆腐の含め煮(同社提供)
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こうや豆腐の含め煮(同社提供)

 そこで調べてみると、高野山地方に「とふの粉」というものがあって、これを使った煮物などが学校給食にも出ているという資料がみつかった。

 高野豆腐と凍み豆腐のどちらが古いのかは別として、ルーツとされる両地方に、粉を使う料理が残っていることは注目に値する。

 ぜひ覚えておきたいものである。

 前回、信州ではコナモンを使った食べ物が多いことを確認した。このような食べ方もある。

にらせんべい(福島さん提供)
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にらせんべい(福島さん提供)

MNo.23

 「にらせんべい」は薄焼き、天井焼きとも呼ばれ、すぐに焼けるので子どものおやつや、仕事の合間によく食べた思い出のおやつです(味蔵 月あかりの福島さん)

 小麦粉を練ってフライパンでじっくり焼いたもの。ニラが入ればニラせんべい。プレーンだと薄焼きと呼ばれる。味付けは砂糖醤油や味噌。とてもシンプルながら食欲をそそる一品である。

 次のメールで信州のお肉事情がよくわかる。

おたぐり
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おたぐり

MNo.24

 長野県は広い上に山脈などで比較的隔たりがあるため地域により多くの特色があります。そして、わが伊那谷にも色々な郷土に根付いた特色があります。
 どこの飲食店にもある、そしてスーパーにも必ずあり、好きな家庭では自慢の味があるのが「おたぐり」。
 これは馬のモツ煮ですが、伊那と飯田ではおたぐりと言います。この言い方は不思議とこの2地区だけですね。本来はモツだけを時間かけて煮込み、わずかな汁がモツにまとわりついているような作り方をしました。
 また、子どものころは焼き肉といえばマトンでしたし、馬刺しは安かった。ごちそうは鯉の甘煮で、すき焼きと言えば馬肉でした。今でもどれも好きだけど高級な品になったものが多いです。
 法事には、てんぷらまんじゅうとそうめん、ごぼうと人参のかき揚げがつきもの。
 そんな数々の食文化が今もなお残り、郷土に愛されている。伊那は欲張りだと近隣地域の方には言われますが仕方ないです。一風変わった食道楽な土地柄ですから(ひでさん)

コイの甘煮(飯田市で)
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コイの甘煮(飯田市で)

 「おたぐり」=馬のもつ煮。焼き肉=マトン。馬刺し。すき焼き=馬肉。

 これにソースカツ丼マトンを使ったローメンが加わる。伊那谷のお肉は多様である。

 お肉には次のような食べ方もある。


信州新町のジンギスカン(いけずな京女さん)
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信州新町のジンギスカン(いけずな京女さん)

MNo.25

 信州新町はジンギスカン地帯。スーパーには味付けジンギスカンが山積みになっています。また、町を縦断する国道19号線にはジンギスカンの飲食店・小売店が集まっており、「ジンギスカン街道」と呼ばれています。
 町の気候が羊の飼育に適していたことから昭和5年から飼育が始まり、飼育農家の増加とともにジンギスカン料理も広まって食文化として定着しました。
 今でもお花見やイベントがあると、町の人たちは羊肉とキャベツを持参して宴会をされるそうです(いけずな京女さん)

盛大にジンギス中
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盛大にジンギス中

 羊毛を取るために昭和初期から始まった羊の飼育。やがて羊肉をジンギスカンとして食べるようになり、戦後一挙に広まった。

 飯田市の南部、遠山郷にもジンギスカンはある。ただし「ジンギス」と縮めて呼ぶ。鶏肉を使うと「鶏ジン」、豚肉は「豚ジン」、モツだと「モツジン」である。

 私は「糸魚川―静岡構造線を行く」で偶然地元の皆さんがジンギスを楽しんでいる場に遭遇し、体験することができた

 海のない長野県だけに、お肉の文化が発達していて、様々なお肉を美味しく食べる工夫が行き届いている。

 しかしお肉だけではない。フルーツも豊富。

松川町のピオーネ(宮島さん提供)
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松川町のピオーネ(宮島さん提供)

MNo.26

 松川町は日本一の谷間、伊那谷のほぼまん中に位置し、中央を天竜川が流れており、東に南アルプス、西に中央アルプスが眺められる絶好のポイントです。
 松川町ではこれから果樹の最盛期を迎えます。初夏に始まるさくらんぼ、ブルーベリー、プルーン、プラムなどが終わり、梨、ブドウ、リンゴの収穫時期となってきます。
 11月、気温が下がり霜が降りてからが味が乗って、蜜入りのリンゴとして人気の「ふじ」も松川町を代表する果物です。
 今年は12月7日(日)にふじまつりが予定されています。

松川町のル・レクチェ(宮島さん提供)
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松川町のル・レクチェ(宮島さん提供)

 美容にも健康にも良いまつかわ産のフルーツをぜひお楽しみください。
 平成27年には果樹栽培から100周年を迎えます。先人の知恵と努力が現在のくだものの里としての松川町を育ててきました。
 また今年7月には大人も楽しめる自然共生型のアウトドアパークがオープンしました。場所は日帰り入浴もできる温泉宿泊施設「清流苑」周辺のおよりての森。
 ここにフォレストアドベンチャー松川が開設されました。フォレストアドベンチャーは、専用のハーネスを装着して森の樹から樹へ空中移動していくフランス発祥の自然の中で冒険して遊ぶ遊具です。

フォレストアドベンチャー(宮島さん提供)
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フォレストアドベンチャー(宮島さん提供)

 一部には地上10メートル以上の高い場所を渡り、長さ140メートルのジップスライドを滑り降りる迫力満点、興奮200%のフォレストアドベンチャーをぜひ体験してください。
 空が高くなり、涼しい季節となります。食欲の秋、スポーツの秋を松川町で満喫してください(松川町観光協会の宮島さん)

松川町に来てね!(宮島さん提供)
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松川町に来てね!(宮島さん提供)

「松川町に来てね」というメッセージ満載のメールである。

 それにしてもいろいろな果物を栽培しているんだなあ。

 続いて飯田の東、赤石岳の麓にある大鹿村から。

ろくべん(森さん提供)
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ろくべん(森さん提供)

MNo.27

 大鹿村ならではの食文化。代表的なものが「ろくべん」です。歌舞伎公演の折に提供されます。
 このろくべんは6段重ねのお弁当です。昔は各家にありましたが、現在持っている家が少なくなりました。協会では伝統食文化の伝承事業として、歌舞伎定期公演の折に提供しています。
 ろくべんに必ず入る材料…昔からの守り事。それは「塩イカとちくわ」です(大鹿村観光協会の森さん)

塩イカの大根詰め(森さん提供)
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塩イカの大根詰め(森さん提供)

 6段重ねのお弁当箱といっても1人前ではなく、6人前を重ねて入れたもの。

 大鹿歌舞伎は230年の伝統を持つ地芝居で、いまでも盛んに上演されている。

 昔は歌舞伎を演じる方も観る方も、年に何度かの楽しみであったろう。そこで食べる弁当には海のものである塩イカとちくわが入っており、非日常の時間を演出した。

 伊那谷を離れ、塩尻へ。

山賊焼き(中澤さん提供)
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山賊焼き(中澤さん提供)

MNo.28

 塩尻の「山賊焼き」は各飲食店の皆様が試行錯誤と工夫を重ね、今や丼、ラーメン、カレーはもちろん、おやきの具にもなっています。
 ちなみに発祥の店の「元祖 山賊」のお店の敷地には「山賊焼きの碑」があります(塩尻市観光協会の中澤さん)

山賊焼きの碑(中澤さん提供)
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山賊焼きの碑(中澤さん提供)

 これも「糸魚川――」の旅で何度も遭遇した。「焼き」というが、ニンニク醤油につけ込んだ鶏のもも肉を揚げたものである。

 私では1人前を食べきれないほどのボリュームである。

 香川の骨付鳥、新潟の鶏の半身揚げ、名古屋のターザン焼き。大きなもも肉を揚げた料理は各地にある。トシとともに無縁になってきたが……。

 最後は甘いもの。そしてさわやかなもの。


モカソフト(MAYさん提供)
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モカソフト(MAYさん提供)

MNo.29

 長野といえば軽井沢。夏の避暑地としては草分け的存在です。しかし楽しい思い出ではなく、私たちは地獄のトレーニング夏合宿。
 早朝から山道を馬跳びであがり、体重を計って前日より重いと朝食ぬき。日中はグランドと体育館をお借りしてみっちり汗を流すも、水を飲んではいけない時代。アメリカ帰りの子がゲータレードを得意げに持ってきてたっけ。
 その中で唯一の楽しみが中日(なかび)の旧軽観光でした。
 高校生以下はお小遣い制。そこからから昼食代を引くと数百円しか残りません。そのわずかなお金を手に向かった先は「ミカドコーヒー」。そうです。あのジョン・レノンとオノ・ヨーコ夫妻も楽しんだというモカソフトがお目当てです。
 みんなでお金を出し合って食べるモカソフト。ほんとうは甘い物は厳禁なのでコッソリ食べるモカソフト。
 甘くてクリーミーでほんのり苦いちょっと大人テイストがなんとも言えない美味しさでした。
 そういえばそのころかき氷をフラッペと呼ぶようになってきて、そのネーミングにつられて「いちごフラッペ」を食べたチームが唇を真っ赤にして帰ってきたので、甘い物を食べたことがばれてしまい、全員正座の憂き目を見たこともあったなぁ…(MAYさん)

日本橋室町のミカドコーヒー(MAYさん提供)
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日本橋室町のミカドコーヒー(MAYさん提供)

 三越本店の向かい側の日本橋室町にもミカドコーヒーがある。前を何度も通っているのに、入ったことがない。MAYさんはここでモカソフトを遠慮なく食べたそうである。


「みすず飴」(中林20系さん提供)
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「みすず飴」(中林20系さん提供)

MNo.30

 たまたま近所の高級スーパーで見つけて以来、たまに買うようになったのがこの「みすず飴」。信州上田のものです。
 これを見つけたとき、子どものころにこのようなものをいただいたという記憶がよみがえりました。そしてそのころの私は、これが大好きだったのです。
 各種フルーツを寒天などで固めたお菓子ですが、その透明感と鮮やかな色彩、そして絶妙な歯ざわりや弾力など…ニッポンの菓子遺産ではないかと思えるほどの面白さを感じます。
 でもってその中には「三宝柑」という…いまだここでしか出合うことのない、一般にはなじみのない柑橘類モノも入ってますし、一方で「フルーツ」と記されたそれは…ミックスってことですか? っていうか、サイト上にものってないんですが…レアアイテムなんでしょうか。
 そんな楽しい「みすず飴」です(中林20系さん)

フルーツ?(中林20系さん提供)
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フルーツ?(中林20系さん提供)

 送っていただいた写真をながめて、味を想像しながら本編を終了する。

 来週はロケで不在のため特別編をお送りする。

 その次の週から愛知県編である。「ナゴヤメシ」が盛んに喧伝されているが、皆さんの知見でもって深堀していただきたい。

 ではまた。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「被災地と我がまちに笑顔を〜B−1グランプリin郡山」です。ぜひお読みください。

長野県編(その1) 海はないが、漬物ならある

長野県編(その2) 伊那にもあるよ、まんじゅうの天ぷら

長野県編(その3) サバ缶、そんなにどうするの?

長野県実食編 上田の「やきそば」、ランクは上だ


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年10月24日

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