第177回 香川県ご当地グルメ(その2) いりこをあぶってお酒にポン

特別編集委員 野瀬泰申


 予想通り、うどんに関する情報がたくさん届いた「うどん県」。今週からは「うどんだけじゃない県」の顔が、徐々に明らかになっていきます。さて、どんなご当地グルメが登場するのか? 香川県編第2回のスタートです。
 今週のおかわりは、香川県で生まれた次世代の甘味、稀少糖についてデスクがリポートします
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週末、デスクは埼玉へ 行田の「ゼリーフライ」
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週末、デスクは埼玉へ 行田の「ゼリーフライ」

 嘱託期間の終了まであと5カ月となった。

 食べBでやっていない都府県は岩手、東京、神奈川、福井、愛知、京都、大阪、和歌山、福岡、大分、宮崎、沖縄か。九州が残った。

 ぼちぼち、てきとーにやるしかない。

 先週末もてきとーだった。いや家で原稿は書いた。取材で必要な本も読んだ。しかしながらメリハリがない週末になった。

埼玉県川島町のご当地グルメ「すったて」
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埼玉県川島町のご当地グルメ「すったて」

 とは言え還暦を過ぎて毎週パキッとメリハリがあったら、かえって疲れるんだろうなあ。こんな感じでいいのかもしれない。

 香川県編は手元にぴちぴちしたメールがたくさん届いて一安心である。まずは「湯船でうどん」から。

MNo.9

 「新築、一番風呂、年寄り、うどん」は長寿・中風除けのおまじないです(船で渡るか泳いで渡るさん)

太く長く
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太く長く

 香川県観光協会のHPにはこう書いてある。

 「初風呂うどん食え」の風習が香川県西部を中心に今も残るうどん県。これは、家を新築した際の新しいお風呂には年長者から順に入り、湯船でうどんを食べる習わしです。

 何とも不思議な光景ですが、「中風(ちゅうぶ)せずに太く長く生きられるように」の願いが込められているとの一説も。

 節目の日にうどんを食べるうどん県ならではの独特のスタイルです。ちなみに「引っ越しうどん」なるものも存在!

さぬきうどんのいりこ出し
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さぬきうどんのいりこ出し

 そのシチュエーションでどうしてうどんか、ということは問うても意味がない。そのような風習を持つ地域の人々にとって意味があれば、それでいいのである。

 とはいうものの、そこまでうどんが好きなんですか……。

 さぬきうどんの出しはいりこ(煮干し)。こんな使い方もあった。

いりこ酒(合田さん提供)
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いりこ酒(合田さん提供)

MNo.10

<いりこ酒>
 材料は、いりこ(大羽)1匹と・日本酒1合。
 作り方は、まず、大羽のいりこを開き、頭と内臓を取り出します(中骨はそのままでOK)。
 十分に熱した網でいりこを焼きます。中火でじっくり焼きましょう。
 縁や尾びれが少し焦げるぐらいが香ばしくてGOODです。酒1合に1匹が目安。
 蓋のある湯のみにいりこを入れ、沸騰直前まで燗をしたお酒を注ぎます。電子レンジだと600Wで2分くらい 。酒を注いで1分ほど、出しが出たら美味しいいりこ酒のでき上がりです。お土産として、カップ酒もあります。

あいむす焼(合田さん提供)
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あいむす焼(合田さん提供)


<あいむす焼き>
 瀬戸内海は燧灘(ひうちなだ)でとれた新鮮なエビの殻を取り、むき身にします。4〜5尾分のむき身を「かた」と呼ばれる円形の鉄型にはさみ、蒸し焼きにしていきます。
 エビ自体の素材がいいのでとても上品な風味と味が引き出されます。しかも、あいむす焼は1枚1枚手焼きで無添加、無混合ですのでそのまま鍋料理やすき焼の具としてもおいしいと好評です(NPOフレンズの合田さん)

いりこ
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いりこ

 フグのひれ酒、尾道で飲んだでべら酒、三原のタコ酒。そして今回はいりこ酒の登場である。九州でも出しの基本はいりこなので食べ慣れているし、捨てずに甘辛く煮たものは弁当の友であった。

 そして香川県ではあぶって酒の友にする。すばらしい。

 土産用のカップ酒もあるということは、奇をてらったものではなく生活文化ということであろう。実食編がいまから楽しみである。

うどん出し
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うどん出し

 あいむす焼きは観音寺の名物。一種のエビせんべいのようであるが、鍋物にも入れるというから、八戸せんべい汁に入れるせんべいの遠い親戚である。こんなのがあったんだ。

 それにしてもぜいたくな一品である。

 前回、大阪の原さんのメールにあった「うどん出しで中華麺を食べる香川の人」。かなり一般的らしい。そして進化もしている。

 次のメールには貴重な発見と情報が詰まっている。

黄そば(A-changさん提供)
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黄そば(A-changさん提供)

MNo.11

 香川に行ってきました。代表格はやはりうどんですが、製麺所系の一部のうどん屋さんではうどんダシに中華麺、つまり関西で絶滅しかけていた「黄そば(きぃそば)」がいただけます。
 「中華麺を1玉」と注文し、麺を自分で湯がき、うどんダシを掛けて薬味をのせたらでき上がりです。
 また近年では「バター系さぬきうどん」(勝手に命名)が増殖中です。ちょっと調べてみただけでも、釜玉バター・釜玉肉バター・釜玉バター醤油・釜玉バターチーズ・釜バターラー油・釜バター明太・バターうどん・あさりバター・温玉たらこバター・醤油バター・バター風味醤油・親子醤油バターなど様々です。

釜玉バター(A-changさん提供)
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釜玉バター(A-changさん提供)

 香川編(その1)で紹介されていましたが、バターつながりで「かしわバター丼」「とりバター丼」もオススメです。
 バターや醤油などで炒めた鶏肉と海苔がのった丼もので、現在は元祖の武内食堂以外でもいくつかのお店で扱っており、店によってはかしわバターラーメン・かしわマーガリン丼なんてものもあります。ただし、どのお店もボリュームたっぷりなのでご注意ください。
 かしわつながりでもうひとつ。高松市を中心としたエリアには、鶏肉が入った「とり玉」「とり焼」「かしわ焼」、鶏レバーが入った「きも玉」「きも焼」、砂ズリやハツなどが入った「もつ玉」「もつ焼」などと呼ばれるお好み焼きがあります。個人的にはレバーの主張が強い「きも玉」がとてもイケました。ぜひ冷たいアレと一緒にどうぞ(A-changさん)

とり玉(A-changさん提供)
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とり玉(A-changさん提供)

 和風うどん出しに中華麺。各地にあって日中とか中華うどんなどと様々な名前で呼ばれている。関西では「黄そば」であった。関西では絶滅寸前ながら、香川では特に命名されることさえなく、日常の風景に溶け込んでいる。すごいことではなかろうか。

 バター系さぬきうどんは、何なんだこれは的な増殖ぶりである。バターと醤油の相性は立証されているので、味としては安心感がある。しかし香川県人はいつからこんなにバター好きになった?

きも玉(A-changさん提供)
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きも玉(A-changさん提供)

 最後のお好み焼きは衝撃的である。尾道のお好み焼きはスナズリが入る、などとわかったような顔で言ったら「素人ね」と叱られそう。

 なにしろ「とり玉」である。「きも玉」である。広島や大阪の人々は一体どんな反応を見せるのだろう。

 メールの文末に「かしわバター丼が食べられる店一覧」と「きも玉、とり玉が食べられる店一覧」がついている。実食編の参考になる。デスク、チェックしておいてくれ。

デスク がってん承知!

 これだけ提供店があるなら、ご当地グルメと言っていい。

 小豆島に行こう。

オリーブ新漬
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オリーブ新漬

MNo.12

 学生時代を含め7年間香川で過ごしました。母の実家も香川で、第二のふるさとです。
 小豆島は、醤油ソフトクリーム。丸金醤油記念館でいただけます。
 またヤマロク醤油さんは、江戸時代創業の家族経営の小さな醤油蔵です。現在5代目。素敵な蔵の見学もできます。カフェもあり、醤油プリンも美味しいです。
 小豆島のオリーブは収量に限りがあるため、貴重なものとして「新漬け」がお勧め。あっさり、さっぱりな味です。
 香川県の西部、善通寺から観音寺方面へ抜ける小さな峠の道、鳥坂(とっさか)にある饅頭。やさしい味のあんを包んだ酒種の生地を蒸し上げた「鳥坂饅頭」は絶品です。
 直径2.5センチほどの小さな饅頭がぎっしり並べられ、竹皮にくるまれて、蒸されています。蒸したてが一番ですが、冷めても美味しいです(さぬきうどんさん)

小豆島のマルキン醤油

小豆島のマルキン醤油

 小豆島の醤油とオリーブは有名である。有名であるが東京ではなかなか手に入らない。実食編は小豆島ルートを入れたいものである。醤油ソフトでも食べるかな。

そうめんのふし(いけずな京女さん提供)
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そうめんのふし(いけずな京女さん提供)

MNo.13

 小豆島は、そうめんの一大産地ですね。
 江戸時代の初め、小豆島の池田村の某(なにがし)が奈良の三輪でそうめんの作り方を習い伝えたと言われています。それから400年以上の歴史を数えるそうめんは、小豆島の特産品であると同時に郷土食でもあります。
 中でも、そうめんの端っこ=「ふし」は、日常的に手軽に使える食材。味噌汁に入れるのは奈良と同じ。野瀬さん自信持ってください。
 お吸い物は「ふしめん」と呼ばれ、だしは煮干しでとるのが特徴です。現代では野菜炒めやサラダ、グラタンなどにも重宝されています。
 私も、そうめんより「ふし」の方がもちもちして 味があるので、好きですね。先日、「香川・愛媛 せとうち旬彩館」と「徳島・香川トモニ市場」を巡って大袋を買いました(いけずな京女さん)

ふし入りの味噌汁(いけずな京女さん提供)
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ふし入りの味噌汁(いけずな京女さん提供)

 そうそう、そうめんも有名。最近ちょっと暑くなったので、昼ご飯にそうめんをゆがいてみた。久々で美味しかった。夏になると朝からそうめんという日もある。

 ところで、最近の若い人は「二十四の瞳」って知っているのかな。

デスク 僕、若いから、壺井栄も木下惠介も高峰秀子も知らない。

熊岡菓子店の「石パン」(カラスダニ@松山さん提供)
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熊岡菓子店の「石パン」(カラスダニ@松山さん提供)

MNo.14

 うどん県と言っていますがオリーブ、醤油、醤油豆、瓦せんべいなど昔からの名産品がたくさんあります。
 讃岐三白といわれて砂糖も名産品なんですけど最近は話題の希少糖に力入れてるみたいですね。テレビとかでも取り上げられていますね。香川に行くと希少糖を使ったお菓が色々と出ています。
 あとお菓子がらみで善通寺の近くにある熊岡菓子店堅いパンがくせになります。
 私の個人的な趣味ですけど「讃岐缶詰」という会社が缶飯を作ってます。たまに近くに行くことがあると直売所で購入しています。いざという時だけでなくたまに食べたくなるんです。
 丸亀では餃子はスダチで食べました(カラスダニ@松山さん)

希少糖ソーダ
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希少糖ソーダ

 希少糖(レアシュガー)は香川大学の先生の研究によって大量生産への道が開かれた。コンビニのペットボトルにも「希少糖」が登場している。

 県も香川発の希少糖を売り込もうとプロジェクトを立ち上げたそうである。甘さが砂糖の7―8割でもカロリーゼロとか。デスク、これにしなさい。

デスク 先日、香川・愛媛せとうち旬菜館で試供品をいただきました。早速使ってます。お話もうかがってきたので、今週のおかわりでご紹介します

「缶飯」の文字に「災害備蓄用?」と思ったが、調べてみたら自衛隊のレーションであった。美味いの?

希少糖ヨーグルト(いけずな京女さん提供)
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希少糖ヨーグルト(いけずな京女さん提供)

MNo.15

 香川大学の教授が開発した希少糖は最近全国的に名が売れてきました。希少糖を利用したドーナツやマドレーヌ、ジュースなども目にします。
 三原飴店の凝煎飴(ぎょうせんあめ)という水あめも美味しいですが、アクセスも悪くちょっと特殊な売り方をしています。簡単に手に入る穴場としては、香川大学医学部付属病院の売店があります。
 こちらは地元農場のヨーグルトやシュークリームも常時販売しており、いつも見舞いついでに購入します(タケモトさん)

愛媛県の味噌売り場には「甘口」があふれていた
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愛媛県の味噌売り場には「甘口」があふれていた

 タケモトさんは、先週に続いての登場である。メールの後半部分が気になる。凝煎飴とか地元農場の乳製品とかを売っている病院の売店。実食編史上初の病院訪問になるのであろうか。

 愛媛県編の取材で食べたラーメンが甘かった。鍋焼きうどんが甘かった。味噌汁が甘かった。では香川はどうなのか。

香川県のお雑煮
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香川県のお雑煮

MNo.16

 香川には1度しか泊まったことがないのですが、その際に夜のパトロールで得た情報を。
 串揚げのお店で、おかみさんや常連のお姉さんたちと飲んで盛り上がったのですが、そこで香川の「味」について皆さんに伺ったんです。
 そうすると、とにかく甘口だという話が。例え話としておかみさん曰く、煮物に砂糖を入れるとして、東京が大さじ1入れて大阪が大さじ2から3入れるとしたら、ここでは大さじ5は入れますよ、と。
 そんなに甘口とは! と驚きましたが、ここで再びおかみさん曰く「ここら辺の雑煮の話って聞いたことない?」と。
 ああ、そうでした、白味噌にあん餅が入る土地柄でしたよね。
 本当にそうなのか、わたしが担がれてたのか…どっちでしょうか? 何しろ、飲んで飲んで飲まれて飲んで盛り上がってた中での話でしたし。
 そこで皆さんにお尋ねしたいのですが、これについては生粋の讃岐人によりも、転勤などで移り住んだ経験のあるかた(=特に関東からとか)のほうが違いが明確に判ったりしそうに思います。よろしくお願いします。
 余談ですが西新宿にあるさぬきうどん&骨付鳥の店、「おや」を頼むとキッチンバサミとともに登場します。これはありがたかったです(中林20系さん)

出雲ぜんざい
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出雲ぜんざい

 白味噌仕立てのあん餅入り雑煮。香川の郷土食としてつとに知られている。山陰のぜんざい雑煮の兄弟である。

 もちと小豆を神と共食する文化が川と島伝いに山陰から香川に伝わったという説がある。そうかもね。

 それはともかく、香川の味はそんなに甘いのか。転勤で住んだことがある、などという方のご意見を。

 このように、いりこ酒やもつ玉といった「びっくりさせないでよ」みたいな物件を取りそろえつつ、香川県編の2回目を終える。

もつ玉(A-changさん提供)
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もつ玉(A-changさん提供)

 知らなかったけど、香川もなんか凄いねえ。

 たしかにうどん県だけではない。

 ではひき続き香川県メールを待つ。

デスク 次週、香川県編はお休み。佐賀県実食編を掲載します。乞う、ご期待。その後、6月6日から引き続き香川県編の後半戦をお届けします。


お知らせ

 食べBの電子書籍版が発売になりました。「実食編」の中からテーマ別にピックアップした全5巻。まずは第1巻と第2巻です。
 第1巻はラーメンをテーマにした『ラーメン店で朝食を』。静岡、徳島、鳥取の旅を収録しました。おまけに高知のマヨネーズラーメンが登場します。
 第2巻はコナモンがテーマ。タイトルはスバリ、『コナモン・ザ・グレート』です。兵庫、栃木、岡山の旅を収録、おまけはデスクによる群馬の旅です。
 いずれも野瀬特別編集委員が「あとがき」を書き下ろしました。価格は216円(税込)です。購入は日経グループの電子書籍書店「日経ストア」(http://store.nikkei.com)で。


『ラーメン店で朝食を』

〜列島あちこち 食べるぞ! B級ご当地グルメ 第1巻 featuring ラーメン




『コナモン・ザ・グレート』

〜列島あちこち 食べるぞ! B級ご当地グルメ 第2巻 featuring コナモン」


「日経ストア」はこちら
「日経ストア ご利用ガイド」はこちら。
「日経ストア 簡単ガイド」(動画付)もあります。
「日経ストア 無料で読める電子書籍」はこちら。


★今週のおかわりは「和三盆の地で生まれた次世代の甘味・希少糖」です。ぜひお読みください。

香川県編(その1) 湯船のうどんでお祝いだ

香川県編(その3) 煮物の天ぷら、うどんにのせて

香川県編(その4) どじょう汁をどうじょう。


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年5月23日

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