第205回 岩手県ご当地グルメ(その4) そばにはゴンベが必需品

特別編集委員 野瀬泰申


岩手県

 大いに盛り上がった岩手県編もいよいよ最終回を迎えました。
 肉類から海産物、そして1年を通じて餅を食べる一関周辺の食文化なども明らかになりました。そして今回は団子が登場。盛岡近辺に、ご当地ならでは団子があるようです。
 今週のおかわりは、茨城県北の冬の味を東京・銀座で食べられるイベントの情報です
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(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい記事の県別一覧はこちら

週末は富士宮に行った(デスク)
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週末は富士宮に行った(デスク)

 先週もずっと独り暮らしだった。独りだと朝ご飯に困る。味噌汁1人前はつくりにくい。

 最近のコンビニには独り暮らしの人に便利な総菜などが並んでいるので、ついつい何回か買ってしまった。豚汁、けんちん汁、カレー、ミネストローネなどなど。

 包装を見ると「これはレトルトではありません」と書いてある。レトルトは缶詰の一種なのだが、違うということは調理済みのものをプラ容器に入れたものなのであろうか。

 野菜などは歯触りがレトルトのものとは違って、しゃきしゃき感がある。便利になったものである。

 今回で岩手県編は最終回。興味深いメールが届いている。

生醤油を塗った団子(くらもちさん提供)
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生醤油を塗った団子(くらもちさん提供)

MNo.21

 盛岡には「べんじぇもの」と呼ばれる、団子系のスイーツを売る小さなお店がたくさんあって、それぞれ固定客がいます。
 中でも地域的に特徴があるのは、みたらしではなく、生醤油を塗った団子。盛岡周辺でしかお目にかかれないのですが、その分布域がどのくらいなのかはわかりません。
 団子がしょっぱい、おやつどころか食事代わりになる、というのは、茨城出身の私にとってはなかなかカルチャーショックでした。まあ、いまでは必ず買っちゃいますけど。
 餅どころの県南まで行くと、生醤油の団子はなくなっているようです(盛岡のくらもちさん)

2012年3月のくらもちさんへのインタビュー
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2012年3月のくらもちさんへのインタビュー

 そう。盛岡の生醤油団子は外せない。外せないので、実食編で味わってみよう。

 甘くないから食事代わりになるというのもうなずける。

 くらもちさんは盛岡で「架空の劇団」を主宰している。被災地を歩く旅の途中、被災者が震災直後に食べたものをテーマにした朗読劇について話をうかがった。

 最近の作品では食べBの一部を脚本に採用してもらったり、いろいろとお世話になっているのである。

おちゃもち(くらもちさん提供)
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おちゃもち(くらもちさん提供)

MNo.22

 現在は関東に住んでいますが、盛岡を離れて気が付いた食文化と言えば、盛岡のおやつでしょうか。
 まずは「盛岡はお団子屋さんが多い」ということです。盛岡市の町単位でお団子屋さんがあって、地元民ならなんとなく「Myお団子屋さん」があるような。高校のときは帰りに寄り道してお団子買って食べていました。
 その中でも、盛岡で「醤油団子」というとみたらし団子ではなく、お団子を生醤油に浸けたものです。大学時代、他の地域から来た友だちに驚かれて盛岡独自のものであることを初めて知りました。甘くないんですけど、子どもたちの中ではあんこのお団子より人気があります。
 もうひとつ、「おちゃもち」という、うちわもちに甘いクルミたれを付けたおもちがあって、これも定番です。
 盛岡、というか岩手県は、おやつに「くるみ」が登場することが多く、年末年始に帰省した際、お正月に余ったおもち、何で食べたいと母に聞かれ「くるみもちが食べたい」と言ったら、父が庭でクルミを割るところから始まりました。もちろん、近所の山(当然盛岡市内)で拾ったものです。
 他にも「きりせんしょ」や「ぶちょほ饅頭」などなど、盛岡独特なお団子がありますので、ぜひ食後のお口直しにどうぞ(鮨子さん)

盛岡の隣、岩手町の人気団子店
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盛岡の隣、岩手町の人気団子店

 盛岡は団子の町であったか。知らなかった。県南の餅文化と棲み分けているらしい。「北の団子、南の餅」。覚えておきたいものである。

 でもって盛岡の団子は米粉? それとも小麦粉? 米粉なんだろうな。

 団子からパンに視線を移す。

ホロッケパン(ココさん提供)
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ホロッケパン(ココさん提供)

MNo.23

 おすすめの岩手県のグルメは、今や全国区になった岩手のソウルフードの福田パンに、今話題のゴウちゃんのコロッケ屋とのコラボのコロッケパンです。その名も「ホロッケパン」。
 ゴウちゃんの所はコロッケに使うジャガイモも自家栽培、それに高級食材のほろほろ鳥が入ったイモコロッケが一番人気のホロッケ。
 そのホロッケに福田パンの特注バンズにコロッケ専用ソースのGOGOソースで仕上げた衝撃の美味しさの1品です(ココさん)

福田パンと並ぶ岩手のご当地パン、二戸の丹市パン
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福田パンと並ぶ岩手のご当地パン、二戸の丹市パン

 盛岡の福田パンは「食べ物 新日本奇行」の「ご当地パン」に登場した。コッペパンに好みのものを挟んでくれるスタイルで知られ、盛岡市民のソウルフードになっている。中でも「あんバター」は不動の人気という。

 その福田パンと地元のコロッケ屋さんがコラボしたという情報である。コロッケパンはいい。

 私は晩ご飯にパンということが結構ある。飲んだ後には温かい麺類かパン。パンは変ですか? 締めはコロッケパン。変ですか?

がんづき(いけずな京女さん提供)
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がんづき(いけずな京女さん提供)

MNo.24

 徳島県の「ぼたようかん」、鹿児島県の「ふくれ菓子」、福島の「味噌パン」等々。
 いわゆる蒸しパンのような郷土菓子、意外と全国に分布してるなあと調べていたら、岩手県にもありました。「がんづき」と呼ばれる、農作業の合間に食べるおやつです。
 小麦粉、卵、粗糖に重曹と醤油を加え、ふっくらさせるために酢をちょっぴり入れて混ぜ、一気に蒸し上げます。
 色黒で見た目は無骨ですが、食べてみるとほんのりやさしい甘さ、もちもちして心地よい食感に驚きますよ。
「がんづき」は雁月と書き、丸く大きく作って胡麻をふりかけたのが「月に雁」に見立てられたからと言われています。
 ただこれも、家庭で作られることはほとんどなくなり、華やかなケーキやスナック菓子に慣れてしまった現代人に食べられる機会も減りました。このままでは絶滅危惧種になってしまう。
 そこで、郷土菓子を今一度見直してもらおうと、岩手県の第三セクター・岩手県産株式会社が、一口サイズで食べやすい「現代風がんづき」を商品化し、これが意外と若い女性に受けています。
 姿形は変わっても、郷土菓子にこめられた気持ちは変わりません。これからもずっと、食べ継がれていってほしいなあと思います(いけずな京女さん)

現代版がんづき(いけずな京女さん提供)
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現代版がんづき(いけずな京女さん提供)

 実食編で餅、団子、パンを食べ続けていたら、大変なことになりそうである。ホルモンもジンギスカンも食べなければいけないんだぞ。

 デスク、どうする?

 ああ、これも食べなくてはいけない?

工藤精肉店食堂部の釜石ラーメン(中林20系さん提供)
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工藤精肉店食堂部の釜石ラーメン(中林20系さん提供)

MNo.25

 すでに野瀬さんが元祖のお店を訪問されているネタですが、釜石ラーメンについて少々。
 もともと釜石の町が好きだったのですが、ああなってしまってからは応援の意味も込めて、ときどき訪れては釜石ラーメンの食べ歩きをしてます。
 で、爆盛り肉系メニューで有名な工藤精肉店食堂部ですが、ここはラーメンも美味しいですよ。一見、塩ラーメンに見えてしまうくらい淡い色の醤油ラーメンですが、釜石ラーメン特有の極細麺ゆえに注文したらすぐに出てきてビックリします。何せお冷をいただいてひと息付いたらもう出てくるんですから。
 店ごとにそれぞれ個性がありながら基本はしっかり釜石ラーメン…面白いです。
 そして“鉄と魚とラグビーの街”釜石らしいラーメンが大連の「ラガーラーメン」。ラグビーの力強さを表す、パンチの効いた辛みそラーメンなんですが、麺はフォワード(太麺)かバックス(細麺)かを選べます。ちゃんとラグビーボールものってるところが楽しいです(中林20系さん)

ラガーラーメンのフォワード(中林20系さん提供)
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ラガーラーメンのフォワード(中林20系さん提供)

 釜石のラーメンは極細麺の中華そば。極細なのでゆで時間は30秒ほどである。

「もうできたの?」というくらい素早く出てくるところは、中林さんが書いている通りである。

 元祖の店というのは「新華園」という中華の店で、津波で大きな被害を受けながら、瓦礫の中から出てきた暖簾に励まされて営業を再開した。私は3回行った。

 澄んだスープは、その色とは裏腹にしっかりした味の基調を持っていて、食べ飽きない。

新華園の釜石ラーメン
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新華園の釜石ラーメン

 私は釜石のそのほかの店に行く機会がなかった。同じ釜石のラーメンでもさまざまであることがよくわかった。

 次は辛いものの話。前回の「アナゴは岩手でハモになる」についても。

もりそばにゴンベ(ござ引きさん提供)
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もりそばにゴンベ(ござ引きさん提供)

MNo.26

 遠野市宮守町では、達曽部川(稲荷穴)の清流を使ったワサビ田があります。
 ワサビといえば、そばです。岩手でそばといえば、わんこそばを思い浮かべられるでしょうが、わんこそばの地元、花巻、盛岡市民で、わんこそばを食べたことがある人というのは案外少ないです。
 かくいう私も、店で食べたことは生まれて2回しかありません。20数年前に、東京から来た友人を連れて食べたきりです。
 そして、わんこそばの具・薬味にもつきますが、岩手、旧南部のおそば屋さんでは、薬味として、赤い小悪魔:もみじおろしがつきます。昔は、ワサビは手に入らなかったので、もみじおろしを使ったということです。

温い牡蠣そばにもゴンベ(ござ引きさん提供)
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温い牡蠣そばにもゴンベ(ござ引きさん提供)

 もみじおろしは通称「ゴンベ」。ゴン、ゴンパチなどとも呼ばれます。少し甘目のもり・ざるのつゆに入れると、全体の味が引き締まります。それを味わえば「ゴンベが必需品」ということがわかります。
 ゴンベにはトウガラシが入りますね。トウガラシを方言でナンバン(南蛮)と呼びます。
 青ナンバンは焼いて醤油をかけてかじったり、ナンバン醤油を作ったり、ユウガオ(岩手特有ですね)の煮物のアクセントに必需品です。味噌汁の具にする知人もいました。
  ところで、前回の見出しにもなったハモとアナゴについてです。沿岸部ではアナゴをハモと呼ぶ地域があるということです。

首都圏ではこれがアナゴ
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首都圏ではこれがアナゴ

 混乱を助長するのが、ハモも捕れて、そのハモのことをハモと呼んでいることです。釜石沖では実際にハモが捕れます。
 私は子どものころ、ハモのかば焼きをよく食べていました。あれはアナゴではありません。間違いなくハモでした。
 ついでながら「タイマグラ」というのは岩手県宮古市江繋(旧川井村)の早池峰山の東側の登り口の集落です。たしか本州で人家があるところで最後に電気が引かれたところと聞いています。「タイマグラばぁちゃん」という記録映画があります(ござ引きさん)

徳島のハモ丼
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徳島のハモ丼

 冷たいそばにゴンベ(もみじおろし)。少量ならいいかも。青トウガラシを焼いて醤油をかけるのはいいが、それをかじるのには反対である。賛成できない。

 ハモとアナゴの関係は一筋縄ではいかない。ハモと呼ぶ魚がハモそのものの場合とアナゴの場合がある。なんとかならないのか。

 ということが東北の別の場所でも起きている。

カラハシさん、山形県実食編ではたいへんお世話になりました!
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カラハシさん、山形県実食編ではたいへんお世話になりました!

MNo.27

 山形・秋田・青森の日本海側で「焼きアナゴ」と呼んでいるウナギ状の魚はヌタウナギです。三つ叉の竹串にS字状に刺し焼いて売っていました。
 ヤツメウナギと同類で今では捕る漁師さんも焼く魚屋さんも少なくなり幻の魚です。
 4年前、山形県遊佐町吹浦の魚屋さんで見つけて買いましたが、1匹5000円でした。油が強くいかにも精が付く食感でした(山形県央部のカラハシさん)

実食編のお風呂はやっぱキャベツ湯?
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実食編のお風呂はやっぱキャベツ湯?

 確か、新潟県沿岸部でも「アナゴ」の正体がヌタウナギという話を新潟出身者から聞いた覚えがある。

 東北のアナゴには十分注意したいものである。

 ということで岩手県編はこれにて終了。実食の旅で押さえるべき物件が余りに多く、作戦を練る必要がある。そうとう端折らないと私だけではなく、デスクの胃袋および体型に重大な問題を招きそうである。

 名古屋のす〜さんとござ引きさんから、実食編の参考データをいただいた。岩手県は四国がすっぽり入るくらい広い。どうやって回るか、よーく考えよう。

いざ、沖縄へ!
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いざ、沖縄へ!

 そうそう、この回が更新されるとすぐに私とデスクは沖縄に飛ぶ。沖縄県実食の旅に行くのである。

 テレビの特番の関係で、実食の旅が大いに遅れている。デスクが「どんどん行きましょう」と急かすのである。

 急かされようじゃないの。行こうじゃないの。

 ではまた来週。

 次のターゲットは私のふるさと福岡県。ご関係の皆さんは準備体操をよろしく。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「茨城県北の「冬の味」を東京・銀座で堪能」です。ぜひお読みください。

岩手県編(その1) 遠野から久慈へと続くジンギスカン

岩手県編(その2) 発見!! 南部藩ホルモン街道

岩手県編(その3) アナゴは岩手でハモになる


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年1月23日

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