第189回 沖縄県ご当地グルメ(その3) 沖縄は琴姫さまのボンカレー

特別編集委員 野瀬泰申


 お昼ご飯は、お弁当天国という話題で幕を開けた沖縄県編。やはり本土との違いは、食においても鮮明なようです。
 前回は米軍統治時代の影響を感じさせる食べ物が多数登場しましたが、今回は、寿司、弁当、煮物…と和風な料理が数多く登場します。
 とはいっても、そこは日本列島南端の沖縄らしい個性的な味が次々登場します。今回も情報満載です。
 今週のおかわりは、来月に岩手県北上市で開催される、ご当地グルメを活用したまちおこしイベントの情報をお伝えします
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お盆、実食編で食べ損ねた馬肉コロッケをリベンジしに山梨県へ行ってきました(デスク)
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お盆、実食編で食べ損ねた馬肉コロッケをリベンジしに山梨県へ行ってきました(デスク)

 世間がお盆で休んでいる間、私は香川県実食の旅に出ていた。これでまた夏休みなし。

 今週は紙の新聞の取材で北陸に行かなくちゃならないし、次の週末は愛Bの仕事で郡山である。

 いずれ皆さんにお知らせするが、9月から10月にかけて北海道から九州まで縦断する旅に出る。その間、休載を余儀なくされることもあろう。お許しを。

 先週末、自宅で使っているノートパソコンが壊れた。立ち上げると意味不明の画面が出る。触ってもいないのに、次から次にわけわからん画面が重なって出てきて、×を押しても消えない。ワードで変換しようとしても1単語に数秒かかる。

馬肉がいっぱい、まるでメンチカツ(デスク)
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馬肉がいっぱい、まるでメンチカツ(デスク)

 堪忍袋の緒が切れて近くの家電量販店に行き、どうせ原稿が書ければいいのだから、ほとんど即決で買った。

 店で「最初にやること」を教わったとき、若い従業員は「15分でできます」と言っていたが、見たこともないスタート画面にアイコンの数々。マニュアルを見ながら奮闘3時間の大仕事であった。

 しかし新品だけに動作はサクサク。ワードの変換もなかなか賢い。大枚はたいたかいがあった。

北杜市明野は畑一面のひまわり(デスク)
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北杜市明野は畑一面のひまわり(デスク)

 さて今週は沖縄県編の3回目。たくさんのメールをいただいている。ありがたいことである。それにつけても沖縄ファンが多い。

  最初は「煮付け」から。

煮付け定食(フレディーさん提供)
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煮付け定食(フレディーさん提供)

MNo.18

沖縄の「煮付け」ってご存知ですか? 豚肉が必ず入ることと、その出しを使って煮付けるため、和風の煮物とは違った味わいになります。
 写真は、公設市場近くにあるおばぁたちが集まる、そしておばぁたちが切り盛りする「花笠食堂」で食べた「煮付け定食」。
 ご飯は白ご飯、赤米、玄米からチョイスできます。汁物も味噌汁、中身汁、そばからチョイス。デザートはぜんざいで小鉢はもずく。
 味は薄味だけどしっかりお出しがしみています。豚肉もお箸で切れるほど柔か。体にやさしい「あんま〜(おふくろ)の味」です。

煮付け付き沖縄すば(フレディーさん提供)
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煮付け付き沖縄すば(フレディーさん提供)

 右の写真は「沖縄すば」と「煮付け」です。麺は自家製で、普通と胚芽麺の2種類から選べます。
 煮付けには、炊き合わせ野菜でレタスが入っていました。煮付けの味は、甘めの味です。薄味だけどしっかりお出しの味が…。
 沖縄料理は、こってりしてそうな感じですが、市場に行けば、かつお節屋さんがあるほどです。沖縄の人いわく、内地の味は濃いそうです。
 古民家を利用したお店で、靴を脱いで、おじゃましま〜す。今回は、お天気も良いのでお庭でいただきました(フレディーさん)

よく食べる(写真提供:沖縄観光コンベンションビューロー)
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よく食べる(写真提供:沖縄観光コンベンションビューロー)

 豚肉からはよく出しが出る。かつお節との相性もいい。

 写真を見ると両方とも昆布が入っている。関西で昆布は出しを取る物。沖縄では食べるものである。種類が違う昆布である。

 煮物にレタス。沖縄のおでんに入っていたレタスを思い出した。

 続いてお弁当の話。

おかずがどっちゃり(みんみん(♂)さん提供)
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おかずがどっちゃり(みんみん(♂)さん提供)

MNo.19

 沖縄のお弁当は、ご飯が敷き詰められた上におかずがどっちゃりのっていて、インドネシアのナシ・チャンプルーとかを連想します。
 定食屋では白ご飯とおかずが別になっているものが多いですが、なぜお弁当になるとあの形態なのかが不思議です。脂が多くて少しでも冷めにくいように? 汁まで余さず食べられるように?(小麦粉の違いがわかるおーじさん)

ある日のデスクのお昼ご飯
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ある日のデスクのお昼ご飯

 そうなのである。私は沖縄の弁当を見て、台湾の弁当との類似に驚いた。

 台湾でも「弁當(当)」と書く。日本統治時代の名残と聞いた。その弁当は幹線道路沿いで売っていることが多いのだが、ずらっと並んだ各種おかずから好きなものを選んで、白いご飯の上にのせるスタイが主流だった。

 東京・大手町にも、このスタイルで弁当を売っている中華の店がある。

「チャンプルー」はインドネシア語源説があるが、詳しいことは知らない。

ゆいレール(写真提供:沖縄観光コンベンションビューロー)
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ゆいレール(写真提供:沖縄観光コンベンションビューロー)

MNo.20

 いつだったか、駅弁まつりだったと思うのですが、グルクンのづけ弁当を食べました。
 沖縄なのでモノレールの駅弁だったと思うのですが。
 ナマモノを駅弁にしているあたりが意外に思えたのでした(千葉県出身ななさん)

 なぜ魚のづけが弁当になるのか。この疑問を解いてくれるのが次のメール。学問的にも意味があると思うので、全文を紹介する。

那覇の「喜作」(みんみん(♂)さん提供)
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那覇の「喜作」(みんみん(♂)さん提供)

MNo.21

 那覇の街をひとりでさまよっていたとき、なんとなく良さげな雰囲気を感じて入った店「喜作」。
 お勧めの琉球料理コースを頼むと、じーまみー豆腐(ピーナッツの豆腐)やドゥルワカシー(田芋と芋茎の炒め煮)などの伝統料理に混ざって、島寿司がありました。
 島寿司と言えば伊豆諸島の南の端っこの方にある八丈島が発祥の、飴色のづけのお寿司です。なぜ直線距離で1,500kmは離れている沖縄に島寿司が?
 聞くとご主人は南大東島の出身だそうで、大東諸島に伝わる島寿司を「大東寿司」の名で出しているとのこと。
 南北の大東島からなる大東諸島は沖縄本島から東に360kmも離れた絶海の島で、島の周囲は断崖になっているために明治33年まで誰も住んでいませんでした。

島寿司(みんみん(♂)さん提供)
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島寿司(みんみん(♂)さん提供)

 そこに最初に開拓に入ったのは主に八丈島の人々。彼らは前人未踏のこの島をサトウキビの島に変えるとともに、八丈島から様々な文化を持ち込みました。
 ですから行政上は沖縄県に属するものの、島の中心には神社があり、秋まつりには神輿が島を練り歩くのだそうです。
 そして島寿司も。
 先祖の地・八丈島の食文化が、入植から114年たったいまも大東諸島にしっかりと受け継がれているのです。
 小笠原諸島にもまた島寿司があるのも同じ理由から。
 歴史的に人口が過剰だった八丈島は、開拓民を送り続けた島。南方の島々の開拓史には必ずその名が出てきます。島寿司は、八丈島の人々の足跡そのものなんですね。
 余談ですがこの大東諸島の島寿司、空弁になっています。那覇空港で見かけたら、ぜひ島の開拓の歴史とともにあったこの味を試してみてください(みんみん(♂)さん)

大東寿司(みんみん(♂)さん提供)
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大東寿司(みんみん(♂)さん提供)

 深い話である。

 改めて地図を見る。南北の大東島には那覇と結ぶ航路がある。両島にはそれぞれ空港もある。しかし文字通り絶海の島々である。

 こんな所を八丈島からの開拓民は切り開いたのだから、すごいことである。

 「食べ物は文化を運ぶ乗り物」とは石毛直道先生の言葉。づけの弁当はそのことを雄弁に物語る。

 何度も話題にのぼる沖縄のぜんざい。こんなメールが届いた。

沖縄ぜんざい(カラスダニ@松山さん提供)
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沖縄ぜんざい(カラスダニ@松山さん提供)

MNo.22

 沖縄ぜんざいのことが出ていましたが、沖縄では普段こちらで食べるかき氷みたいに白い氷が山のようには、なってないと思います。
 35年以上前、沖縄の友達に子どものころ行っていたいう駄菓子屋って感じの店に連れて行ってもらい、こちらのかき氷食べてみてと言われて食べたのが、沖縄ぜんざいでした。
 それは、金時豆が入った砂糖シロップでそのときお餅は入ってませんでしたけど、スプーンで豆をすくったら、えっ、かき氷も入ってるのというくらいの物で、友達が沖縄ではこれがかき氷と言ったので、こちらのとは違うため昔のことでもよく覚えています。
 それに似ているのを5年ほど前にマレーシアに行ったとき食べる機会がありました。シロップの中に丸い煮豆、小さなドロップ型を伸ばしたような赤やグリーンのカラフルなゼリーを入れ、最後にかき氷をシロップの中にみぞれ雪のように入れてひたひたにして食べます。
 これはホテルの夕食のブフェに出ましたけど、ガイドさんに聞きましたらこちらの人が、気軽にどこでも食べられるデザートだそうです。
 それを食べたとき、あれっ沖縄のと似てると思いました。おいしっかたですよ(水戸のおけいちゃん)

最近のもの?(カラスダニ@松山さん提供)
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最近のもの?(カラスダニ@松山さん提供)

 おそらく水戸のおけいちゃんが食べたかき氷が、昔ながらの沖縄ぜんざいなのであろう。昔は氷自体が高価なものであったので、駄菓子屋のような小銭ですむ店で大量の氷を使ったとは思えないのである。

 かき氷を山と積んだぜんざいは、どうも最近のもので、それも観光客を意識した感じがする。

 昔の沖縄ぜんざいやマレーシアの同類の食べ物の方が、普段の冷たいデザートとかおやつの姿としてふさわしい。

 ところで沖縄のボンカレーはこんな姿をしている。

沖縄限定初代ボンカレー
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沖縄限定初代ボンカレー

MNo.23

 あれは何年前?
 初めて沖縄に行く私にリクエストされたお土産が「ボンカレー」でした。最初、冗談かと思いましたら…
 「いや、沖縄限定のボンカレーがあんねん」
 「はあ?」
 半信半疑で那覇空港に着いたら、ほんまに売ってました。
 えらレトロなパッケージやなあ、と思て店員さんに聞いたら、パッケージも味も1968年発売当時そのままなんですて。
 パッケージの女性は女優の松山容子さん、現在は事実上引退されていますが、当時は時代劇映画を中心に活躍されていた大人気女優さんだそうです。
 で、その後ボンカレーは何回もリニューアルを繰り返すわけですが、この「初代ボンカレー」は沖縄でやたら売れたため、沖縄限定で製造販売が継続されているとのこと。
 ほんまかいなそうかいな、と感心したので自分用も買うて帰って食べ比べたら、ほんまに味が違いました。「初代ボンカレー」は、昔懐かし昭和の黄色いカレー、なんですねえ。
 聞くところによると、沖縄の昔ながらの食堂のカレーもそうなんですか? 現地からの報告求ム!(いけずな京女さん)

味も初代です(いけずな京女さん提供)
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味も初代です(いけずな京女さん提供)

 沖縄限定というものがいくつかあるが、この初代ボンカレーもそのひとつ。パッケージは知っていたが、味まで初代のままとは、ああ知らなんだ。

 松山容子さんというと「琴姫七変化」。懐かしい。

 次のメールの主役は食べ物ではないが、沖縄を知る上で大事な内容を含んでいる。

かんから三線
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かんから三線

MNo.24

 デスクさんの「わしたショップ」のレポートの中で空き缶で作った三線を紹介されていたのを読んで「あ、あの人!」と思い出したことがあります。
 東京の寄席(多分、浅草演芸場だったと思ふ)で、かんから三線を用いて、演歌(「東京節」のような明治大正の演歌)や昭和歌謡などを歌う岡大介さんの高座を思い出しました。
 かんから三線とは、戦後の食料難の時代にアメリカ軍から支給された食料の缶詰の空き缶を用いて作られたもので、沖縄の人々は唄と三線を忘れることはなく、辛く苦しい中から、力強く立ち上がって来られたとか。
 こんなこと、ガッコじゃ教えてくれませんでしたよ。歴史の授業でも、音楽の授業でも。寄席は、勉強になります。はい(ちりとてちんさん)

 コメント不要。その通りである。

 次のメールでは沖縄の食べ物がずらりと登場する。

ゆし豆腐汁定食(はるっこさん提供)
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ゆし豆腐汁定食(はるっこさん提供)

MNo.25

 沖縄が好きで頻繁に訪れた時期があったのですが、どこに行ったという記憶は少なく、ただ食べ物の記憶だけがあったりします。
 その中で沖縄へ行ったら必ず食べるのがJEFというハンバーガー屋さんの「ぬーやるバーガー」です。ゴーヤと卵を使ったパテと、ポーク(ランチョンミート)がはさんであるハンバーガーで、沖縄らしい食べ物かと。
 沖縄meijiのきなこもちアイスというのも必須です。きなこ味のアイスをきなこ味のチョコでコーティングし、中に求肥のような餅が入って60円前後。当たりが出たらもう1本というお得なアイスバーです。

厚揚げスクガラスのせ(はるっこさん提供)
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厚揚げスクガラスのせ(はるっこさん提供)

 地元の人に連れて行ってもらった「やんばる食堂」と「ルビー」(確か24時間営業)はそこそこおいしくて安い、学生の味方のような店。
 どちらもアイスレモンティーが、水や麦茶と同じように無料で飲み放題。なんて太っ腹と思って、ガバガバ飲みました。
 やんばる食堂では「ゆし豆腐汁定食」を好んで食べていました。ゆし豆腐とは 型に入れる前の出来たての豆腐で、それを豆腐の汁ごとかつお出しと醤油で炊いたもので、とても体が温まる一品です。
 「ちんびん」という黒糖味のホットケーキとクレープの中間くらいの食べ物もおいしいです。できあがったクレープ状の生地をくるっと丸めたのがちんびんで、中にあんこが入ると「ぽーぽー」と言っていたはずです。
 忘れてならないのはヒージャー(ヤギ)。 南風原のほうにヤギ専門店があって、ヤギ汁は沖縄のよもぎと一緒に、ヤギの刺身は酢味噌で食べていました。とてもワイルドな味ですが、食べ慣れると癖になります(はるっこさん)

ナーベラシチュー ホーメルビーフシチューという名の缶詰とヘチマ・豆腐・ポークの炒め煮(はるっこさん提供)
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ナーベラシチュー ホーメルビーフシチューという名の缶詰とヘチマ・豆腐・ポークの炒め煮(はるっこさん提供)

 実はこれでもかなりの部分を割愛させてもらっている。

 最後はこのメール。というか写真館。はるっこさんのメールと写真館を同時に参照されると、イメージが鮮明になる。


サンクス平尾(大阪の原さん提供)
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サンクス平尾(大阪の原さん提供)

MNo.26

 大阪には沖縄があります。大正区平尾町。この一帯は沖縄風の町です。20年前に行ったときは商店街も活気があったのですが、今回は台風の合間だったことも重なって、元気ありませんでした。
 でも食材店はいくつか開いていたので連休前半が潰れた憂さを晴らすことができました(沖縄旅行したつもり)。
 関西圏の皆さん、大正区平尾町へゴー!(大阪の原さん)

シャッターが増えた?(大阪の原さん提供)
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シャッターが増えた?(大阪の原さん提供)

 原さんの写真館はこちら

 次回で沖縄県編は終了。その次は長野県である。

 ご関係の皆さんは、いまから準備体操を。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「岩手・北上に各地のご当地グルメが集結」です。ぜひお読みください。

沖縄県編(その1) にんじんしりしり知りません?

沖縄県編(その2) コンビーフハッシュに拍手

沖縄県編(その4) できたて豆腐を湯切りして

沖縄県実食編 やっと会えたよオジサンと


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年8月22日

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