第199回 愛知県ご当地グルメ(その3) このそうめん、長さ3.6メートル

特別編集委員 野瀬泰申


ご当地グルメは多くの人を魅了する
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ご当地グルメは多くの人を魅了する

 先週の金曜と土曜日、都内の某大学の大学院生を対象に「ご当地グルメの知財戦略」というテーマで話す機会をいただいた。

「ご当地グルメはなぜ生まれるのか」
「ご当地グルメのブランド価値」
「愛Bリーグの知財管理」
「特許庁はいかにして地域団体商標の取得主体を拡充したのか」
「日本弁理士会の新たな動き」

それをいかにブランド化し価値を高めていくか
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それをいかにブランド化し価値を高めていくか

 といった内容だった。

 初日はいわゆる大学院生、2日目が社会人大学院生であった。

 大学を卒業してなお学ぼうという人たちなので、みな熱心であった。

 社会人院生は平日に仕事をしながら、土日を使って学んでいるのだが、その姿勢には頭が下がる。人生、死ぬまで勉強と言うけれど、実践するのは容易なことではない。

豊橋はフォルクスワーゲンのまちでもある
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豊橋はフォルクスワーゲンのまちでもある

 私もこれからは銭湯の中にも本を持ち込むことにしよう。濡れるけど。

 さて今週は愛知県編の3回目。どっさりと手元に届いたメールから、まず豊橋−豊川をフォーカスしよう。

地元のゼリー(名古屋のす〜さん提供)
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地元のゼリー(名古屋のす〜さん提供)

MNo.16

 豊川から豊橋にかけて、ゼリー菓子屋さんの工場が多いなあと思っておりました。
 そこで調べてみたところ、このゼリーは、田原市赤羽根の鈴木菊次郎によって、大正3(1914)年に開発され、また、このゼリーをオブラートで包むという発想の元に、食用のオブラートも彼が実用化した物だそうです。
 今でも、この東三河地区でゼリーを作っている会社は、鈴木さんのお弟子さんが創業した会社だそうで、全国の80%を生産しているようです。
 昔から、祖母の部屋に行くと、この手のゼリーがいつも置いてあった記憶があります。

いわし玉と揚半(名古屋のす〜さん提供)
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いわし玉と揚半(名古屋のす〜さん提供)

 豊橋も海に面しており、海産物もいろいろあります。その中で、子どものころから食べている好物と言えば「ヤマサ」のいわし玉揚半
 いわし玉と見かけが似ているものに静岡の黒はんぺんがありますが、こちらは昆布の千切り、ニンジンの千切りが入っています。おでんに入れたりしますが、私は軽く焼いて生姜醤油で食べるのが好き。
 子どものころは、これでご飯を食べたりしていましたが、今は熱燗で一杯やりたいなあ。
 また、一般にはんぺん、薩摩揚げと呼ばれている物を揚半と呼んでいます。
 こちらは焼いても良いですが、醤油やマヨネーズを付けたり。そのまま食べても美味しいです(名古屋のす〜さん)

オブラードも愛知県発祥(名古屋のす〜さん提供)
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オブラードも愛知県発祥(名古屋のす〜さん提供)

 豊橋−豊川はゼリー菓子発祥の地にして一大生産地。これは発見である。

 名古屋市内で駄菓子問屋を何軒か見かけたが、それと関係があるのであろうか。

 大人になってからゼリー菓子とは縁遠くなってしまった。しかし子どものころはリッチなおやつであった。というか、めったに口に入らなかった。

「ヤマサちくわ」は江戸時代からの老舗。東海道を歩いたとき、ヤマサの商品を宅配便で東京の自宅に送ったら、その後ずっとDMが届いた。あれっきり買わなくてすいませんね。

ヤマサちくわ
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ヤマサちくわ

 市内を走る豊橋鉄道のちんちん電車が、冬場はおでん屋台に変貌する。特定の電車を「おでんしゃ」にして走る屋台に仕立てるのである。

 乗ってみたい方は同社のHPをご覧あれ

 次のメールもこの地域が意外なものの主産地という内容。

殻ごと食べるうずら串(ぎずもさん提供)
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殻ごと食べるうずら串(ぎずもさん提供)

MNo.17

 愛知県はうずら卵生産の全国シェア約70%を占めるうずら王国、その大半が豊橋市で産まれているそうです。そんな本場で居酒屋に入ったら、多彩なうずら卵メニューが用意されていて驚きました。
 うずら卵のフライはもちろん、おでん串、燻製串、サラダのゆで玉子もうずら。中には、うずら卵を殻ごと串に刺し、焼き鳥のたれを塗って焼いた大珍品を出す店も。殻ごと食べると聞いて驚きましたが、鶏卵と違って柔らかい殻だから出来ることでした。おいしかったですよ。
 菜飯田楽も豊橋の名物です。
「田楽といえばコンニャクに味噌」で育った北関東人にとって、二股の串に豆腐を刺した田楽に出合ったときは、ちょっぴり驚きました。だって、高級そうなんだもん。

菜飯田楽(ぎずもさん提供)
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菜飯田楽(ぎずもさん提供)

 大根の葉の塩漬けを細かく刻み、ご飯にまぶした菜飯と田楽との組み合わせは、東海道の吉田宿(現・豊橋市)を中心とした名物だったそうです。こんがり焼いて甘味噌を塗った田楽は豊川稲荷の前でも遭遇しましたし、私のファーストコンタクトは隣の静岡県浜松市でした(ぎずもさん)

豊橋カレーうどんにも(ぎずもさん提供)
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豊橋カレーうどんにも(ぎずもさん提供)

 そうなのである。豊橋はうずらの卵の主産地なのである。

 うずらの卵を家庭で使うことは少ないが、中華料理に入っていたり焼き鳥の串になっていたりと、食べる機会は案外多い。

 そばやうどんのつけ汁にうずらや鶏の卵を落とすのは関西周辺の食文化。昭和5(1930)年に大阪の「美々卯」が始めた。大阪勤務時代に小さくて黄色い卵が浮かんでいるつけ汁の猪口を初体験したとき、何だか嬉しくなったのを覚えている。

おでんにも(ぎずもさん提供)
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おでんにも(ぎずもさん提供)

 菜飯田楽については旧東海道を踏破したときに紹介した。駅前にこれを食べさせる店があった。でも急いでいたので食べなかった。実食編のターゲットである。

 そしてアレも豊橋生まれ。

ブラックサンダー(いけずな京女さん提供)
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ブラックサンダー(いけずな京女さん提供)

MNo.18

 昨年はいろんな意味で熱い大会となりましたB−1グランプリin豊川。豊川に行くのにお隣の豊橋で新幹線から乗り換えるわけですが、そこである発見をしました。
 全国的に有名な駄菓子チョコの王様「ブラックサンダー」って「豊橋銘菓」やったん!?
 いえ、駄菓子と呼ぶには味も品質もレベル高いんですけど、1個30円前後で売ってる小さなチョコが、お土産用に箱売りされてるのにあらびっくり。
 メーカーの有楽製菓の本社は東京都小平市ですが「ブラックサンダー」は豊橋工場の若い社員さんが開発されたんですね。
 豊橋駅のキヨスクには「豊橋限定品」もありました。全国的なヒット商品が、必ずしも東京集中、大手主導でないことにホッといたします(いけずな京女さん)

ブラックサンダー号(ぎずもさん提供)
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ブラックサンダー号(ぎずもさん提供)

 豊橋駅のキオスクで大々的に販売している「ブラックサンダー」。実は豊橋銘菓である。

 ぎずもさんからもブラックサンダーラッピング電車の写真が届いている。

 西に目を転じて碧南市と安城市へ。

小笠原味淋(よねちゃん@六甲北さん提供)
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小笠原味淋(よねちゃん@六甲北さん提供)

MNo.19

 愛知県は八丁味噌をはじめとして、たまり醤油や日本酒の醸造の盛んなところですが、お酢や味醂の醸造も盛んです。
 昨年(2013年)のB−1グランプリ豊川大会の東三河フェアに出店されていた愛知県碧南市の小笠原味淋醸造さんもそのひとつです。
 小規模メーカーさんなので通販でしか購入できませんが、この1年はひいきにさせていただいています。
 あと、季節外れではありますが、手延べそうめんの写真を1枚。
 愛知県安城市で夏に作られるそうで「ひやむぎ」と呼んでいいくらいで太めなのですが、なんといっても長い。1間(1.8m)もありそうな長さです。説明書きにも「4〜5分割してから茹でてください」とあります。
 一度、分割せずそのまま茹でてみたら麺が絡まって団子状になってしまいました。
 こちらの手延べそうめん、とぐろをかいています。半生です(よねちゃん@六甲北さん)

東三河フェア(よねちゃん@六甲北さん提供)
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東三河フェア(よねちゃん@六甲北さん提供)

 B−1豊川大会のときは会場全部を回りきれないほどのにぎわいだったので、東三河フェア会場には足が届かなかった。なかなかいいものが並んでいたようである。愛知県は各種醸造が盛ん。覚えておこう。

 それと安城市にこのような独特のそうめんがあることを初めて知った。和泉手延べそうめんとか和泉長そうめんと呼ぶのだそうである。

 安城市観光協会のHPに「和泉手延べそうめんは、江戸時代後期から作り始められた素麺で、素麺の長さは、2間(約360cm)とかなり長い。夏の暑い日差しで乾燥させ、当地域特有の夕方頃から吹く湿った南東の風で「半生」の状態にする製法(=この作業を「もどし」という)が特徴の一つである。現在、安城市南部の和泉町周辺を中心とした西三河地域で製造されている」とある。

長い!(よねちゃん@六甲北さん提供)
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長い!(よねちゃん@六甲北さん提供)

 乾麺ではなく半生に戻すのが特徴で、長大な状態で出荷される。なるほど、そのままゆでたら固まるであろう。

 安城市の飲食店を調べてみたら、なんだかのぞいてみたい店がたくさんある。実食の旅では名古屋初心者のデスクに大名古屋を任せて、私は周辺をしみじみ回ろうかな。

デスク なごやめし、食べまくり!

 その大名古屋のエビフライ。米国西海岸からこんなメールが。

「まるは食堂」のエビフライ(まるは食堂提供)
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「まるは食堂」のエビフライ(まるは食堂提供)

MNo.20

 名古屋地方となるといつも出てくるエビフライですが、質といい大きさといい「まるは食堂」のエビフライに勝てるものはないのでは?
 本店は知多半島の先ですが、中部国際空港にも出ていますし、名古屋の繁華街である栄にも出店しています。
 最近里帰りしたときには、空港近くにできたCOSTCOに立ち寄り(日米の品揃えの比較研究のため)、すぐ近くにある「まるは食堂」の支店でお昼にしました。懐かしの味でした!
 名古屋地方のいいところは、質が良くて値段が高くないという「お値打ち」なものが豊富にあることですね。高くて美味しいのは当たり前、が母の口癖です(名古屋出身、西海岸在住のほぼ同い年さん)

知多半島の先端に建つ「まるは食堂」(まるは食堂提供)
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知多半島の先端に建つ「まるは食堂」(まるは食堂提供)

 なにはともあれ「まるは食堂」で検索していただきたい。こんな名店が知多半島の先端、南知多町にあったとは。

 創業は昭和25年。私より1歳年上である。「のれんを掲げて64年」ということになる。

 元は魚の行商。それから鮮魚店へ。エビフライが美味いのもうなずける。

デスク 写真を拝借するため「まるは食堂」に連絡したところ「エビフライもいいですがうちは鮮魚も自慢、ぜひ」とのこと。知多の魚介もいいなぁ。しかも天然温泉付き。いいな、いいな。

名古屋のご当地ソースのパッケージ写真は…
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名古屋のご当地ソースのパッケージ写真は…

 ここまでで紹介したメールが20通に達した。さすが愛知県である。

 名古屋のす〜さんからは大量のメール、それも愛知県の食を語る上で欠かせない内容のものを送っていただいている。

 次回、紹介しきれなかったものを集めて「す〜さんの愛知図鑑」をご覧いただく予定である。

 ではまた来週。

 愛知県の次は東北で唯一残っている岩手県を取り上げる。ご関係の方はいまから準備体操をよろしく。

お知らせ

 11月28日(金)午後4〜5時、野瀬が横浜の高島屋港南台店(JR根岸線港南台駅前)で「NIKKEI学び港南台」の一環としてサロントークを開きます。テーマは「国内旅行が3倍楽しくなる食文化入門」です。パワーポイントを使い、各地の知られざるご当地グルメや家庭料理を紹介しながら新しい旅の楽しみ方を提案します。
 問い合わせ・申し込みは高島屋港南台店(045−833−2211)です。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「信州のしあわせを共有〜銀座NAGANO」です。ぜひお読みください。

愛知県編(その1) カレーうどんだぎゃー

愛知県編(その2) 味噌味噌ラシド♪

愛知県編(その4)「みそトースト」の誘惑

愛知県実食編 ごも飯食べて頑張ろう


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年11月21日

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