第1回 準備体操編 気合を入れて始めるぞ!

地元で人気の「嫁泣かせ」。牛の大動脈で、久留米やきとりの「センポコ」と同じもの
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地元で人気の「嫁泣かせ」。牛の大動脈で、久留米やきとりの「センポコ」と同じもの

 2010年3月20、21日に津山で開かれた「おかやまB級グルメフェスタ」に行ってきた。出展団体が50を超す大規模なイベントで、我が愛Bリーグからも多数の団体が津山に乗り込んだ。

 昨年秋の「B−1グランプリin横手」で、津山のホルモンうどんが初出場ながら3位に輝いたのを機に地元はにわかに活気づき、その勢いを駆っての開催となった。

 2日間の入場者は15万人と、市の人口約11万人を大きく上回った。会場は市街地から離れた場所にあったが、駅との間をひっきりなしに往復する無料シャトルバスが着く度にどっと人が降りてきて、目当てのブースに向かう。

 さすがに愛Bリーグの有名メニューの人気はすさまじく、厚木シロコロ・ホルモンのテントの前には販売開始の午前10時を待ち切れず、5時半から並んだ人もいた。

 私は夜の部に相当のエネルギーを注いだ結果、美作(みまさか)地方の牛を味わい尽くす文化を堪能したのだった。

 驚いたのは久留米やきとりの専売特許だと思っていた「センポコ(大動脈)」が津山では「嫁泣かせ」という名前で昔から食べられていたことである。「B級グルメの聖地久留米研究所」の豆津橋渡所長も「久留米以外でセンポコば見たとは初めてです」と言いつつ、むさぼり食っていた。

津山で愛Bリーグ加盟4団体が集まって「ホルモン同盟」を結成
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津山で愛Bリーグ加盟4団体が集まって「ホルモン同盟」を結成

 土地土地に出かけるのは楽しい。必ず発見がある。

 今週末は小倉で開かれる「第2回小倉BQ食KING」というイベントに出かける。全国の焼きそば、焼きうどんなどが集合して「天下分け麺の戦い」が繰り広げられる予定である。母の田舎でもある小倉で、はたまたどんな発見があるのであろうか。

 さあ、「列島あちこち 食べるぞ! B級グルメ」(食べB)を始めよう。

 私がこの世界に迷い込んで無慮25年。大阪勤務時代に居酒屋で「天ぷらにソースをかけて食べる人々」と遭遇し、頭がくらくらして以来である。

 7年余にわたって連載してきた「食べ物 新日本奇行」では、全国に潜伏する「食の方言」を発掘して地図化することを目的とし、皆さんの絶大なるご協力を得て私の想像をはるかに上回る成果を得ることができた。

厚木シロコロ・ホルモンは販売開始と同時に売り切れ

厚木シロコロ・ホルモンは販売開始と同時に売り切れ

 しかしながら舞台となった「NIKKEI NET」が日本経済新聞電子版(Web刊)に生まれ変わり、さらにネタが枯れるという深刻な事情も重なって、完全リニューアルに踏み切ったのである。

 では新企画「食べB」とはどんな内容で、どのような狙いで始めるのかをご説明しよう。

リニューアルの最大のポイントは、テーマ別ではなく都道府県別に食文化を掘り下げることである。

 いまだ知られざる各地の食べ物、食べ方、旧藩の国境や川・山・湖を隔てると域内でも食文化が違うといった市町村単位のミクロな情報を集め、その地域全体の特性を明らかにしていく。

 奇行の地図は都道府県単位であった。しかしながら旧東海道を歩き、糸魚川−静岡構造線の上を旅して、県内でも食の文化はモザイク模様を描いていることをこの目ん玉で確認してきた。ならば各都道府県単位で詳細な食文化地図を作ろうではないかと思い立ったのである。

 イメージとしては全市町村の観光協会なり観光課が作っているパンフレットをかき集めて張り合わせ、なおかつそこから漏れている情報を書き加える。誰でも知っているような情報は割愛して俯瞰すれば、いまだ誰も見たことがない食の地図が完成するのではないかと夢想しているのである。

 更新はこれまで通り毎週金曜午後5時。1都道府県を原則4週にわたって紹介する。

富士宮やきそばも圧倒的な人気

富士宮やきそばも圧倒的な人気

ではここで言う「B級グルメ」とは何か。B級グルメという言葉は各メディアにあふれているが、定義は曖昧なままである。私は「B級」とはハリウッドのB級映画同様、「低価格」「低コスト」、つまり日常の食べ物のことであると考えている。高い料金を払って年に何回かしか食べないような特別な食べ物ではなく、命をつなぐために、普段の楽しみのために口にしている地域の文化に根ざしたもの、それがB級ご当地グルメである。

 「B級」は「低級」のことではなく「A級」の下にあるものでもない。ハレ(非日常)かケ(日常)かの違いに過ぎない。

 まちおこしの観点からするとB級グルメの方が確実にパワフルであり、地域への波及効果は絶大である。

 静岡県富士宮市の「富士宮やきそば」が代表例だが、日々家庭の食卓にも上る気軽な食べ物でも、全国的な知名度が上がると巨大なまちおこしパワーを発揮する。富士宮ではやきそばによる経済効果が10年で400億円と言われている。皆さんの足元に第2の富士宮やきそばが眠っていないとも限らないのである。

津山のホルモンうどんを挟んだパン
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津山のホルモンうどんを挟んだパン

この企画は読者諸兄姉からのメールで成り立つ。いやメールが来ないと成り立たない。文末の筆者へのお気軽メールはこちらからをクリックしてどんどんメールを送っていただきたい。全てのメールを紹介できるわけではないけれども、できるだけ多くのメールを紹介しつつ、私が拙いコメントを付す形で文章を綴っていこうと思う。

 そこに住んでいる人しか知らない食べ物、まだ世に出てはいないがどうしても存在を知ってもらいた食べ物、店では売っていなくとも各家庭で食べられているもの。そんな情報を、できれば写真を添えて送っていただきたい。

 すると意外にもそっくりなものが他地域にあったり、同じものが全く別の呼び方をされていたりといったことがわかるかしれない。

 逆に「どこにでもある」とか「別に変わったものでもない」と考えていた自分たちの食べ物が、極めて珍しい「地域オリジナル」であることがわかることもあろう。

 メールにはウエブ上のペンネームであるHN(ハンドルネーム)をお忘れなく。

十和田
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十和田

では最初に取り上げる県を発表する。 

 青森県である。

 あいうえお順でもアルファベットでもトップではないが、青森県。

 私がどう頑張っても3分の1くらいしか聞き取れないみごとなお国言葉を操る八戸の居酒屋Hのママに敬意を表しているのである。九州人の北方志向なのである。

では具体例をお示ししよう。 

☆私たちの町ではお花見のとき必ず○○を食べる。

弘前
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弘前

☆この辺りには地サイダーがたくさんある。

☆実家にいるときいつも食べていた○○が、引っ越した先では全く見あたらない。

☆こっちのお祭りの屋台では○○が名物。

☆祖父が畑で作っていた○○は美味しかった。

☆赤ワインを炭酸で割った飲み物が居酒屋に普通にあるけど、よそにもあるの?

☆こちらは手打ちそばが名物だけど、そば屋さんにあるこんなメニュー、知ってる?

☆我が町は○○の北限です。

奥入瀬
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奥入瀬

☆我が町の食べ物は、川を隔てた隣町とこんなに違います。

☆こちらでは雑煮にあん餅を入れますが、同じようなところはありますか?

☆子どものころ、ビスケットの天ぷらを食べていました。

 要するに地域の食文化が持つ特徴、魅力を発見し、発掘し、確認する情報をお寄せいただきたいのである。「ケンミン」でくくらず、ジグソーパズルのピースをつなぐように地域を描きたいと考えている。ときに県境をまたぐことがあるかもしれない。

 そして読む人が「その土地のことをもっと知りたい」「そこに行って話題になったものを食べてみたい」と思うような構成にできればと考えている。

 ただ個別の店のPRだけを目的とするものはNG

田舎館村
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田舎館村

テーマになっている地域外の方々にお願いしたいことがある。「なんだ青森か。関係ないや」などとは思わず、先に少し触れたように質問でも疑問でもエールでもなんでも結構である。登場した食べ物を域外の人々がどのように見ているかも重要な情報である。

 その地域に旅行に行ったときの思い出も読ませていただきたい。

青森県でひそかに、あるいは大々的に食べられている物件が多数登場すると思うが、最後にその中から私が食べてみたいものをいくつか列挙する。もちろん「辛い、硬い、高い」ものは除外した上でのことである。

 で皆さんには「野瀬に食べさせたい」投票をしていただき、最も票が多かったものを私が現地で実際に食べてリポートする。

 

 では青森県のローカルでディープで楽しいB級グルメに関するメールをお待ちする。

 ついでに書くと青森の次はここを予定している。

 鳥取県である。

 では、気合入れて行くぜ!

 おおそうじゃった、あっちも更新された

(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年3月26日

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