第35回 長崎ご当地グルメ(その3) 竜眼はアルマジロの親戚である

今週のリポートは富山で12月4日に行われた「B級ご当地グルメでまちおこしセミナー」。こちらからどうぞ
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今週のリポートは富山で12月4日に行われた「B級ご当地グルメでまちおこしセミナー」。こちらからどうぞ

 「紙」の方で急な大仕事が降ってきて私史上最高多忙な毎日である。今夜は会社に泊まり込みの覚悟。


 そんな訳で時間がない。いきなり本題に突入するが、その前にお詫び。前回、富山県黒部市の宇奈月温泉の地サイダーを「つべつべサイダー」と書いたが、「つべつべ」は焼きそば。地サイダーの名前は「黒部の泡水(あわみず)」であった。せっかく書いても間違えては水の泡である。関係者の皆さん、ごめんなさい。


(「食べBって何?」という方は「食べB入門編」をご覧下さい。食についてのメール投稿先はこちら



「カルコーク」の材料
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「カルコーク」の材料

MNo.16

 「カルコーク」という名前は初めて知りましたが、コーラとカルピスのミックスなら1979〜1980年ごろの京都(右京区)の喫茶店のメニューにありました。
 ネーミングはオシャレに「キューピット」。甘酸っぱい味が、恋を思わせるからなのでしょうか? 大学の同級生の間では、認知されていてごく普通に飲まれていました。
 最近は京都にも喫茶店にもご無沙汰なので、今でもメニューにあるか否かはわかりません(大阪出身の埼玉定住者さん)


長崎の甘いものいろいろ(ミルフォードさん提供)
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長崎の甘いものいろいろ(ミルフォードさん提供)

 前回掲載したミルフォードさん提供のメニュー写真を思い出してみよう。そこには「コーラ」「カルピス」とあって、その下に「カルコーク」と書かれている。

 コーラがある。カルピスもある。では混ぜて新しいメニューをという発想のきっかけを思わせる並びである。

 ということは長崎ではない場所で喫茶店主が同じことを考え実行しても不思議ではない。そしてそれに「キューピット」と命名してもおかしくない。

 従って各地にカルピスとコーラの混合飲料が存在する可能性を否定できないのであるが、地域のメニューとして定着しているのが長崎ということであろうか。


 長崎実食編では「カルコーク暴れ飲み」が組み込まれるのかなあ。


デカ見本(夢多きおやじさん提供)
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デカ見本(夢多きおやじさん提供)

MNo.17

 長崎県には懐かしい思い出があります。16歳の夏に初めての独り旅をしました。国鉄のワイド周遊券を使っての九州一周の旅でした。
 その日は、前日ユースホステルで知り合った数人と長崎市内観光をしたのですが、お昼に入った食堂で注文した皿うどんが出てきたときには本当に驚きました。
 うどんといえば、当時の私の頭の中には、出し汁の中に浸かったうどん、または焼きうどんくらいしかなかったのです。今日ではテレビなどにより地方の食文化も広く知られるようになっているので別段驚くことではないと思うのですが、私にとっては日本の食文化の多様性を実感する初めての出来事でした。
 ちなみに先日、そのときの旅日記を妻に発見され、とても恥ずかしい思いをしました。
 皿うどんを一緒に食べた竹下景子似の女性、今ごろどうしてるのかな……(NZ在住岡崎人さん)


康楽のちゃんぽん(ミルフォードさん提供)
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康楽のちゃんぽん(ミルフォードさん提供)

 私が物心ついたころ、身近に皿うどんがあった。東京に出て、それがないことの方が不思議であった。

 もともとはチャンポン麺を炒めて、とろみをつけたチャンポンの具をのせたものだったらしいし、私の子どものころの認識もそうであった。それがいつのころからか揚げた麺が主流になり、今日に至るのである。

 NZ在住岡崎人さんが召し上がったのは多分前者、チャンポン麺を使ったものではなかったか。


 竹下景子似の女性ですか? 何も知りませんが、あなたと同じだけ年を取っているはずです。


平べったい皿のチャンポン(上)、トルコライス(左下)、長崎メニューが並ぶ(右下)(夢多きおやじさん提供)
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平べったい皿のチャンポン(上)、トルコライス(左下)、長崎メニューが並ぶ(右下)(夢多きおやじさん提供)

MNo.18

 長崎といえばチャンポン、皿うどん、佐世保バーガー、トルコライスなどいろいろと頭の中をめぐります。大手のファミリーレストランでも長崎限定とのことで、これらに簡単に出合えました。ショーケースにも、全員集合でお腹に隙間さえあれば、簡単に長崎グルメツアーができます。
 ところでチャンポンの器には2種類存在するようです。ひとつは一般のラーメンの器、もうひとつは天津丼につかうような平べったい器です。どうも平べったい器が主流なように感じましたが、皆さんはどう思われますでしょうか。
 また、トルコライスもコンビニ弁当でも出合えます。トルコライスの定義がよくわかりませんが、私なりにはライス、スパゲティ、洋風のおかずの3品がそろっているとの勝手な見解です。誰か教えてください。
 というのも、とんかつがのっていたり、えびフライがのっていたりといろいろで、さすがにトルコライスの食べ歩きは、この年になるとお腹の隙間がなく、できませんので調査未完成な状態です。
 また長崎はカキもおいしいですよ(夢多きおやじさん)


「金蝶ソース」(ミルフォードさん提供)
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「金蝶ソース」(ミルフォードさん提供)

 確かにラーメン丼と平皿風の2種類の器がある。博多や久留米、雲仙・小浜では丼しかみかけなかったように思う。

 平皿風はむしろ皿うどん方面で活躍しているのではないか。

 長崎の皿うどんになくてはならないのがウスターソース。昨夜、次女が中濃ではなくウスターソースファンであることを自供したので嬉しくなった。



富山の饅頭店「竹林堂」
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富山の饅頭店「竹林堂」

MNo.19

 25年以上前熊本にいたころ、有明海のフェーリーを使って諫早経由でよく長崎市へ行きました。諫早への帰り道でカステラ工場・店舗を見つけて立ち寄ったところ、切れ端の1箱200円が目に入り「カステラ」と「チョコレートカステラ」を買いました。
 「正規部分」とは違った「それ以上のねっとり感」「砂糖のざらめ感」など、切れ端ならではのばらつきが1箱で楽しめました。当時所属していたスポーツクラブの若者たちにも大好評でした。安くて・美味くて・ご当地でしか手に入らない「最良のお土産」を見つけたので、毎回買って帰りました。今でも(他の店でも)あるんでしょうかね?
 富山の饅頭店「竹林堂」は多少酸味のある独特の餡が特徴ですが、製造過程で発生した「難あり品(外見)」を5、6個1袋で割安サービス品として店頭に出していますが、大抵は昼前後には売り切れています。運良く買えた時は「ラッキー」と思って、一気に3個は食べてしまいます。
 今年の猛暑で「野菜の規格外品」に需要が回り話題になっていましたが「切れ端」「難あり品」「規格外品」などを無駄にしないことは大事ですね(煮豆ライスさん)


手延うどん(ミルフォードさん提供)
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手延うどん(ミルフォードさん提供)

 煮豆ライスさんには富山のフォーラムに来ていただき、その竹林堂のまんじゅうをいただいた。家に戻って「お土産だよ」と言って台所に置いていた。しばらくして食べようとしたら跡形もなく消えている。リビングの方から娘たちのお茶をすする音が聞こえた。


 何につけ「切り落とし」はお得感がある。スーパーでもついついハムの切り落としとかベーコンの切り落としに目が行く。調理してしまえば、食べてしまえばみな同じである。

 「カステラの切り落とし」もスーパーに並んでいるが、あれはどうしてもわざと切り落としたとしか思えない。メーカーさん、違いますか?



五島手延うどん(左)と島原手延素麺
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五島手延うどん(左)と島原手延素麺

MNo.20

 長崎は天領であった長崎市地区と佐世保、鍋島藩の影響濃い大村、諫早との違い、島原の乱で領民取替え(他の藩の人間の移住)により違う食文化が入ってしまった島原地区。
 島原地区、南島原市に多く見られる細うどんは、基本的に五島うどんと同じですが、島原の素麺の中には、少量ですが「百本線」と呼ばれるより細い素麺があります。もちろん手間がかかるから少量生産なんでしょうが…。正しいゆで方(地元の方はうるさい)で食すると美味しいですよ(石橋さん)


 島原の素麺もうどんも品質の割に名前が知られていないのが残念である。現地を取材すると、小規模なメーカーが丁寧に手延べをしていて、それは美味いものなのだが。


「ド・ロさまそうめん」と「ド・ロさまうどん」(上)、「ド・ロさまめんつゆ」(ミルフォードさん提供)
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「ド・ロさまそうめん」と「ド・ロさまうどん」(上)、「ド・ロさまめんつゆ」(ミルフォードさん提供)

MNo.21

 明治12年、現在の長崎市西出津(にししつ)町に赴任したパリ外国宣教会のマルコ・マリ・ド・ロ神父は、村人たちの生活を向上させるべく、布教活動のかたわら授産所や救助院を設け、女性たちにはパンやマカロニの作り方を伝授したそうです。
 その一環で考案されたのが「そうめん」。故国フランス原産の小麦を出津川の水車で製粉し、落花生油を引き油に用いた独特の製法を考案し「ド・ロさまそうめん」と呼ばれ、評判になりました。
 いったんは途絶えたものの昭和57年に修道女らの手によって幻のそうめんが蘇り、現在に到るとか。コシの強い、しっかりした感触のそうめんだったと記憶しています(ミルフォードさん)


 「アジア麺文化研究会」がこの素麺の現地調査に行くというのでお誘いを受けたが、そのときは調整がつかずに断念した。五島うどんが椿油を用いるの対して、こちらは落花生油。ぜひ現地で食べてみたいと思っている。


トルコライスの看板(ミルフォードさん提供)
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トルコライスの看板(ミルフォードさん提供)

MNo.22

 以前、佐世保に住んでいたときの思い出の食べ物は、四ヶ町アーケードにある喫茶店「ブラック」の激辛イカ墨カレーです。イカ墨なのでルーは真っ黒で、激辛でした。頭皮がピリピリしますよ。
 それと、陸運事務所近くにある佐世保バーガーショップ「スタミナ本舗 KAYA」です。ここは肉屋さんが経営しているので、中のハンバーグがうまいです。おすすめはスペシャルバーガーです(千葉さん)


 最近、「頭皮」という言葉に敏感になっているので、このカレーは遠慮する。

 しかしながら私はハンバーガー好きである。若いころ米国人と昼飯を食べる機会があり、注文したのがハンバーガー。巨大であった。

 その米国人はなぜかナイフとフォークで食べるので、私もマネした。というより手づかみで口に持って行っても口に入る厚さではなかった。


特大サイズ!(大阪の原さん提供)
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特大サイズ!(大阪の原さん提供)

MNo.23

 最近、京都の北野天満宮近くに進出した佐世保バーガー店です。普通サイズと特大サイズがあり、特大は普通の3倍くらい?? 地元でもあるのか? それとも???(大阪の原さん)


 本場のハンバーガーはこのようにでかいのである。私が若いころに食べたものとほぼ同格。


 さて平戸からメールが届いている。地元に行ったことがないと知ることもなさそうな食べ物の数々。


「アルマド(竜眼)」(ザビーさん提供)
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「アルマド(竜眼)」(ザビーさん提供)

MNo.24

 「アルマド」は平戸のスーパーで売っています。かまぼこなどと一緒に並んでいると思います。平戸出身の人なら絶っっ対食べるもの。お正月だったり、おくんちだったり、結婚式だったり、お祝いの席には外せない食べ物です。
 赤く着色した玉子をすり身で包んで揚げたもので、切ったときに玉子表面の赤が丸く表れて、まるで竜の眼のようにみえることから「竜眼」という呼び名もついています。
 「アルマド」自体の由来は、恐らくスペイン語の「armado」から。「armado=武装した」という意味で「アルマジロ」もここから名前が付いたとか。
 玉子をすり身で包みこんで、玉子を武装させたような料理だから「アルマド」。
 平戸は1584年以降にイスパニア(スペイン)船の行き来があったため、この時代に付けられた名前かもしれません(ザビーさん)


 高知県編でも数多くの「ゆで卵をすり身で包んだもの」が登場した。似たものが平戸にもあった。しかも「アルマド」という名前の由来からすると、相当に古いものであるらしい。長崎の「出島」以前から外国に開かれていた平戸には、その当時を思わせる食べ物が残っていてもなんら違和感はない。次も「ザビー」さんからのメール。


「カスドース」(ザビーさん提供)
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「カスドース」(ザビーさん提供)

MNo.25

 甘いことを「長崎が近い」と言う…とありましたが、これは恐らく長崎市のことを指しているのでしょう。でも甘さの起源は長崎市以外にも平戸市にあります。
 時は江戸時代、西洋から砂糖が入ってきて始まった長崎市起点の「シュガーロード」。しかし…長崎市の「出島」以前に西洋と貿易を行っていたのは平戸市。西洋との国際貿易港として平戸は、出島に拠点が移動するまで栄えていました。
 その平戸市に残る最高に甘いもの、平戸のお土産で有名な「カスドース」です。
 カステラを卵黄に浸して甘〜い糖蜜で揚げて、さらに表面に砂糖をたっぷりたっぷりまぶすという、まさに甘さの極み。
 平戸藩、門外不出のお殿様スイーツで、甘いものが貴重だった江戸時代、お殿様は他藩に製法が漏れないよう独り占めしていた訳です。
 今では平戸のお土産物屋ではどこでも販売しているカスドース。口の中でグラニュー糖がじゃりじゃり言って、甘くて甘くてたまらないのですが、これがお茶とよく合います。


「カスドース」。カステラ(左上)を、卵黄に浸して(右上)、甘〜い糖蜜で揚げて(左下)、さらに表面に砂糖をたっぷりたっぷりまぶす(右下)(ザビーさん提供)

「カスドース」。カステラ(左上)を、卵黄に浸して(右上)、甘〜い糖蜜で揚げて(左下)、さらに表面に砂糖をたっぷりたっぷりまぶす(右下)(ザビーさん提供)

 博多の「鶏卵素麺」を食べて余りの甘さに頭が痛くなったことがあるが、カスドースを食べたら気を失いそうである。

 しかしながら、その成立のころはまさに宝石のような存在であったに違いない。

 「夢多きおやじ」さんからのメールに「長崎はカキも美味しい」とあったが、確か平戸の港で毎年シーズンになるとカキなどの貝類を浜焼きして食べるイベントがあったはず。

 間違いでなければ現地からの情報を待つ。というのも現時点での予定によると長崎実食編の取材は2月末。カキのシーズンである。


カキ小屋(夢多きおやじさん提供)
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カキ小屋(夢多きおやじさん提供)

 長崎県編も次回を残すばかりになった。書きもらしがある方はお気軽にメールを。

 今年も終わろうとしている。もうちょっとだ、頑張ろう。



(特別編集委員 野瀬泰申)


>> 今週のレポート「富山で『B級ご当地グルメでまちおこしセミナー』開催(一芸)」はこちらから。




 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年12月17日


■長崎県編
・その1 長崎はマヨが甘かった翔べ!天正遣欧少年の夢
・その2 カルコークは「砂糖屋の近か」ご当地“美”級グルメ「とやまスイーツ」実食 in Tokyo美級グルメ
・その3 竜眼はアルマジロの親戚である富山で「B級ご当地グルメでまちおこしセミナー」開催(一芸)
・最終回 蛍光食品の傾向と対策カルコーク選手権(一芸)
・実食編(前編) 五島で食べる五島地グルメ一芸クンの食べB修行記〜ちゃんぽん番町の野望〜
・実食編(後編) 三度の飯より佐世保のサンド一芸クンの食べB修行記〜ひとりデザートバイキング編〜


■入門編:「食べBって何?」という方はこちらからご覧下さい
■実食編:<映像リポート>はこちら
料理・素材名から探す(インデックス)ページはこちら


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