第185回 大分県ご当地グルメ(その4) ほっぺたにカボスが当たって大痛けん。

特別編集委員 野瀬泰申


 からあげ、とり天、やきそば、冷麺…と大いに盛り上がった大分県編もいよいよ最終回。全国的知名度が上がりつつあるメニューだけでなく、最終回らしく、いかにも地元の人たちでだけ食べられているような「郷土料理」もいくつか登場しています。
 まだまだ奥が深い大分県の食。さぁ、いよいよ最終回の始まりです。
 今週のおかわりは、先月末の部分開通で関越自動車道、中央自動車道、東名高速道路が結ばれた圏央道の厚木パーキングエリアに新規開店した、当サイトでおなじみのご当地グルメが食べられるレストランをデスクが取材してきました
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暑くても美味かった
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暑くても美味かった

 先週末、予定通り山梨県実食の旅に行ってきた。

 暑かったあ。きつかったあ。でも美味かったあ。

 ということで詳しくは来週リポートする。

 今回で大分県編も最終回。これまで登場しなかった大物が顔を出す。

 まずはこれから。

大分県人仕様?
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大分県人仕様?

MNo.24

 カボス
 大分県は元義父の故郷であるため、大分県人の生態については少々知っております。大分県人といえば「カボス」なんです。
 かつて「私の血にはワインが流れている」と言った女優がいましたが、大分県人の血にはカボスが流れているといっても過言ではありません。
 元義父が庭付き一戸建てにこだわった理由は何か。
 庭にカボスを植えて、たっぷり楽しみたいからです。
 さらに大分の実家からカボスを段ボールで送ってもらうのはなぜか。

ほうちょう(大分県提供)
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ほうちょう(大分県提供)

 ぐるりと庭を取り囲む程度のカボスではとうてい足りないからです。
 刺身に、肉に、漬物に、豆腐に、焼酎に、そしてご飯にも!
 美味しくなるおまじないのように、何にでもカボスをかけて食べていた義父でした。
 ではここで大分県の郷土料理を紹介しながら、そのカボス偏愛っぷりをも紹介いたしましょう。
 ほうちょう
 こねた小麦粉をヒモ状にし、両手でふりながら伸ばす手延べうどんのようなもの。夏は冷水、冬はお湯に浮かし、つけ汁につけて食べる。つけ汁にカボスが合うのは言うまでもない。

きらすまめし(大分県提供)
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きらすまめし(大分県提供)

 きらすまめし
 「めし」という名だが米ではなく、おから(きらす)と魚を合わせたもの。醤油に30分ほどひたしたブリやサバなどの切り身を、食べる直前にネギと一緒におからに混ぜる。もちろん味の決め手はたっぷり絞ったカボス。
 頭料理
 海から遠い竹田で、魚の頭や内臓まで余すところなく活用しようと生まれた料理。肉だけでなく皮、エラ、肝臓、胃袋、腸などを塩してから湯引きし、大皿に並べる。皿にもカボス。二杯酢にもカボス。
 有名な城下カレイの薄造りも、当然のごとくカボスのポン酢でいただきます。姫島村の鯛めんも、私の持つ写真にはカボスが一緒に盛りつけられて、より華やか。
 最近では、エサにカボスを混ぜた「かぼすブリ」「かぼすヒラメ」の養殖も盛んですし、やっぱり大分県人の血には、カボスが流れている!?(じろまるいずみさん)

頭料理(大分県提供)
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頭料理(大分県提供)

「ほうちょう」は大分市戸次(へつぎ)地区に伝わる郷土料理。「鮑腸」の字を当てる。大友宗麟由来の食べ物という説があるが本山荻舟著「飲食事典」は中国の「ほうとう」がなまったものと断じ、岡田哲著「たべもの起源事典」も岩手県の「ひっつみ」、山形県の「はっと」、栃木県の「法度汁」、群馬県の「切り込み」、大分県の包丁(汁)は「ほうとう」の地方名とする。

 このことは山梨県編でも書いた。

「きらすまめし」の登場を待っていた。これも郷土料理である。私が食べたのはおからを寿司飯状に丸め、その上に魚の切り身をのせたものであった。もちろんカボスを搾っていただいた。

 高知のユズ、徳島のスダチ、そして大分のカボス。西日本の人々ははかんきつ類が無類に好きである。

 このメールに出てきた城下カレイ。高級品である。

「いづつ」の城下カレイ(ツキさん提供)
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「いづつ」の城下カレイ(ツキさん提供)

MNo.25

 大分県は東は海、西は山。海の幸もあれば山の幸もある。魚が好きな人は別府周辺から海岸沿いに南へ下るといいでしょう。入り江になっていて漁場は豊かです。
 大分空港近くの日出(ひじ)町は城下カレイで有名。日出城址の下の海でとれるカレイをいい、初夏の今がまさに旬。ポン酢で食べるとうまい。
 旬といえばアジもそう。関アジ、関サバはブランド魚として知られています。関アジ、関サバの特徴は一本釣りであること。別府市の「海鮮いづつ」の主人によると、網漁の場合、網の中でバタバタと魚がぶつかりあい、弱るとか。一本釣りは身が締まってうまいとのことでした。
 フグは下関に行かずとも大分でも。臼杵市の女性ミュージシャンのご実家はご存知でしょう。
 さらに、南へ下り、佐伯市から宮崎県との県境である蒲江町に行けば「東九州伊勢えび海道」が始まります。

アジの丸寿司(大分県提供)
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アジの丸寿司(大分県提供)

 と、ここまで書いて思い出しました。確か佐伯で地元のおばちゃんが「丸寿司」と呼んでいました。小さなビジネスホテルに早く着き、家主らしきおばちゃんに地元情報を聞いていたのですが、調理場でまかないをつくりながら、おばちゃんが「食べる?」と差し出したのが、小さめのアジを開いて酢飯を詰めた、まかないの丸寿司でした。
 とにかくうまかったです。当時、佐伯は寿司を売り出しており、夕食に寿司屋を回ったのですが、丸寿司の印象が強く残りました。
「酢飯が大事。魚が新鮮だからというだけだったら、寿司にせんで、刺身定食で食べればよかろ?」と、おばちゃんは言いました。
 有明海周辺や熊本県天草市に行けば、コノシロに酢飯を詰めたコノシロ寿司を見ますが、どちらもコハダやアジのにぎり寿司とは似て非なる味覚です(ツキさん)

「いづつ」の関サバ(ツキさん提供)
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「いづつ」の関サバ(ツキさん提供)

 城下カレイ、関アジ、関サバ。絶品である。私はどちらも食べたことがあるので、実食の旅のときはデスクに自腹で頑張ってもらう。自腹だぜ。

デスク ガッテン承知! ツキさんにお店を教えてもらいます!

 大阪のちりとてちんさんからこんな挿話が。

 昔、さだまさしさんのラジオ番組で「大分では居酒屋さんで『席(せき)、ある?』と尋ねたら『(関)アジはないけど、サバはあるよ』という返事が返ってくるらしい」という話をされていたのをふと思い出しました。

石川県で遭遇したマグロの解体ショー
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石川県で遭遇したマグロの解体ショー

 生魚が食べられなくなって久しい私は、老後に備えて生魚を食べる練習をしている。先日も銭湯に入った後、某駅前の居酒屋に入ってマグロの刺身を注文した。

 ところが出てきたものはマグロの一種ではあろうが、スジだらけで飲み込めなかった。あんなものを出す店があるんだ。愛想よくまずいものを出す店には注意が必要である。

 佐伯の「丸寿司」は未見だが、絶対に美味いだろう。江戸前寿司のコハダのように、光り物を酢で締めたものはうま味が凝縮されて酒にもよい。佐伯に行くので何とかして食べるぞ。

酒にもよい
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酒にもよい

 臼杵のある有名ふぐ店はglobeのKEIKOさんの実家。こちらもファンの間では有名な話。

 佐伯からこのメールが届いている。

佐伯ラーメン(岩崎さん提供)
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佐伯ラーメン(岩崎さん提供)

MNo.26

 佐伯ラーメン
 昔から漁業や造船関係など汗をかく仕事が多い土地柄から、塩分補給も含め塩気が強い佐伯ラーメンが生まれたといいます。醤油とんこつ系の太麺が佐伯ラーメンの基本です。
 くじゃく
 ゆで卵を色つきのすり身に包み、蒸して揚げたものが「くじゃく」です。出来上がったものを切って盛り付けたときに、くじゃくの羽の模様のように見えるから「くじゃく」と名前がついたと言われています。今では地域でくじゃくを作る人は少なくなっていますが、鮮やかな色あいで、地元ではお祝い事やお正月、運動会のお弁当などハレの日には欠かせない一品です(佐伯ごまだしうどん大作戦の岩崎さん)

くじゃく(岩崎さん提供)
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くじゃく(岩崎さん提供)

 九州のラーメンは麺が細いというのが一般的な印象だが、佐伯のラーメンは太麺。これは実食しなければいけない。でも麺はかんすいの量が少ない白い麺のような気がする。

 納豆。大分にも納豆はある。

大分からの応援納豆(中林20系さん提供)
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大分からの応援納豆(中林20系さん提供)

MNo.27

 大震災の直後、あらゆるものが品不足となった東京ですが、主食の流通が回復してもなかなか容易には入手できなかったのが納豆。
 納豆なくして何の朝飯や…そうおっしゃる納豆好き同志の数も東京では相当なものだとは思うのですが、何せ工場の被災や流通網の寸断などで、地納豆どころかナショナルブランドの製品まで、流入すべき納豆の絶対量が不足しすぎていたんですよね。
 そんな中、ある日突然に東京のスーパー各店へ同時多発的に現れた全国の地納豆各種。特に、九州の納豆各種!
 九州で納豆といえば…の、現地ではナショナルブランド以上にスタンダードな熊本のメーカー各社の各種など、特に現地で人気の「にゃっとう」などなど、東京のスーパーなのに棚だけ見ればまるで九州対岸の下関に帰省してるかのようで、何だか笑ってしまいそうになりましたが…一方でそのこころ意気に東京在住の納豆好きとして涙が出そうになりました。
 そして、これまで知らなかった大分のメーカー「二豊フーズ」のそれもまた。感謝は変わりませんが、それ以上に納豆好きとしては未知なる“大分産の納豆”をいただけることに興奮したものです。
 っていうか、大分にも納豆メーカーがあったことに嬉しさを覚えたものです。その後、生産や流通が回復しても、その味わいにファンが付いたのか、引き続きそれら九州の納豆を扱うスーパーがあったりします。
 そして二豊フーズは現在でも「東北応援」製品の売上から東北支援を行ってることを思えば、九州人の熱さを感じます。タレが甘々なのはアレですが、九州の納豆も美味しいですよ(中林20系さん)

秋田の砂糖入り納豆
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秋田の砂糖入り納豆

 確かに震災直後の東京ではスーパーから納豆が消えた。ややあってこれまで売り場に並ぶことがなかったメーカーの製品が姿を現した。

 我が家は納豆がなくても夜が明けるので、それほど困らなかったのであるが、困った方々も多かったであろう。そんな方の1人、中林さんは大分の二豊フーズの納豆をいまでも覚えておられるのである。

 九州の納豆のたれは甘い醤油を使うのでとても甘い。強制的に納豆に砂糖を入れているようなものであるので、よくかき交ぜるととても粘る。

 甘いものつながりで次のメール。

「赤司日田羊羹本舗」の羊羹(はるPさん提供)
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「赤司日田羊羹本舗」の羊羹(はるPさん提供)

MNo.28

 デザート系がまだ出ていなかったので赤司の羊羹はいかがでしょうか? 日田土産にとっても人気の「赤司日田羊羹本舗」の羊羹。 なかでも驚かれるのが「一枚物」! 日がたつと表面が白く糖化してくるのが特徴で、お煎茶と一緒に食べると幸せです。この甘さは大人になってから大好きになりました(はるPさん)

豆田町の家並
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豆田町の家並

 一枚物? ということは棒羊羹ではなくて板羊羹? すげー。

 赤司日田羊羹本舗は重要伝統的建造物群保存地区の豆田町にあったように記憶する。甘い物に目がいかない私も店の構えの立派さに見とれた記憶がある。

 大分に行くのは恐らく9月。秋空の下で熱いお茶をすすりながら羊羹も悪くない…のだが、9月の日田はまだがんがんに暑そう。

 しかしながら取材が終わった後には、温泉が待っている。温泉県大分が楽しみである。

 温泉、湯布院。そこにはこんなものもある。

クックヒルファームのチーズ(同社提供)

クックヒルファームのチーズ(同社提供)

MNo.29

 とあるチーズの会で一押しされていたのが クックヒルファームの「トム・ド・ゆふ」。こちらのチーズは忠実に本来の作り方を踏襲しています。
「その土地で生まれ育った牛・その土地で生乳処理・その土地でチーズ作り(熟成)」
 そして由布岳を源にした湧水が運んでくるたくさんの細菌(土壌菌など)がこのチーズの熟成を助けます。
 ここでしか作れないチーズ。
 由布岳の自然を思い起こしながらゆったりといただきたいものですね。

浦田健治郎さんのマットネ・ロッソ
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浦田健治郎さんのマットネ・ロッソ

 もうひとつがうらけんさんこと浦田健治郎さんのナチュラルチーズたち。モッツァレラやリコッタのフレッシュタイプも美味しいのですが、しっかり熟成されたウォッシュタイプも凝縮したミルク味でおすすめです。
「マットネ・ロッソ」は第7回 ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で最高賞の農林水産大臣賞を受賞しているそうですよ。
 いずれも地元でしか手に入らないようですから、湯布院豆腐とともに実食編の際には是非!(MAYさん)

チーズが好き
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チーズが好き

 いいチーズができるということは牛乳が美味いということでもあろう。私は牛乳好き。毎朝飲んでいる。大分の楽しみが増えた。牛乳とチーズである。

 大分県北の秘境、耶馬溪(やばけい)。子どものころ、父に連れられて行った。

からし椎茸
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からし椎茸

MNo.30

 第2回で椎茸についてたくさんの情報が寄せられていましたが、ひとつお忘れではないでしょうか?
 そう、「からし椎茸」です。
 耶馬渓を旅した時に峠の茶屋みたいなところでお店のおばあちゃんが大きな梅干し容器に詰めて熟成させていました。
 関西人からするとからし漬けと言えばもっぱら小なす。椎茸なんて…でもどうも気になって購入したところ、煮物風に炊いた椎茸の甘味とその後から瞬時に追いかけてくる辛子のツーン!!
 さらに独特のくにくにとした食感が妙に心地よくて、ああもうこれでやめようと思いながらもついつい手が出る酒進む。
 すっかり椎茸王国の奥深さに酔いしれたのでした。はい、決してアルコールのせいではないと信じています(ヴィオニエさん)

山梨県で食べた吉田うどん
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山梨県で食べた吉田うどん

 ということで海の味覚、山の幸と大分県の食の姿がおおむね浮かび上がった。

 毎回思うことではあるけれど、日本各地には食べる楽しみがぎっしり詰まっている。日本人は幸せである

 次回は山梨県実食の旅。

 その次から沖縄県編に突入する。ご関係の方はぼちぼち準備体操を。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「圏央道厚木PAで「プチご当地グルメ旅」」です。ぜひお読みください。

大分県編(その1) 鶏トリとり鳥大分県

大分県編(その2) 椎茸、ほしいたけ食べなさい

大分県編(その3) やきそば食べにヒタ走る

大分県編(その4) ほっぺたにカボスが当たって大痛けん。

大分県実食編 やっぱり、トリあえず鶏です


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年7月18日

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