第162回 佐賀県ご当地グルメ(その2) モンブランからチョモランマ

特別編集委員 野瀬泰申


京王百貨店の駅弁大会で発見
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京王百貨店の駅弁大会で発見

 先週末、札幌に行ってきた。大衆食堂に関する取材だった。

 最高気温は氷点下。夜は零下7度とか8度。もこもこのダウンジャケットを着込んでいたが、それでも身にこたえる寒さだった。

 地元の皆さんは寒さに慣れているのか、案外薄着で街を歩いている。道路は雪が凍ってツルンツルンなのだが、これまた地元の皆さんは平気で走ったりしていた。私はトゲトゲ底のアウトドア靴を履いていたにもかかわらず、おっかなびっくりのペンギン歩きであった。

食べた後には…
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食べた後には…

 取材の中身は、近いうちにご報告する。

 さて佐賀県編は2回目である。

 いきなり懐かしい食べ物、それも冷たい食べ物が登場する。

ミルクック
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ミルクック

MNo.9

 佐賀のいや、九州の冷菓といえば竹下製菓の「ブラックモンブラン」と「ミルクック」でしょう。最近は東京でも前者は見かけます。東京にいる同窓では二派に分裂します。
 また帰省すると、最低でも前者は食べます(佐賀県出身埼玉都民 たけさん)

氷片入りミルクセーキバー
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氷片入りミルクセーキバー

 最近、ブラックモンブランがやけに注目されてきたようである。我が家の近所の大型スーパーでもたまに見かける。

 これに対する佐賀県民の思い入れは、久留米が誇る丸永製菓(しぇいか、と発音してね)の「あいすまんじゅう」に匹敵するのではないか。

ブラックモンブラン(いけずな京女さん提供)
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ブラックモンブラン(いけずな京女さん提供)

MNo.10

「京都は世界の中心です」と豪語する京都人が、ちょっぴり佐賀県人を羨ましいと思うこと。それは、佐賀県だけでなく九州の子どもたちに半世紀近く愛されてきたアイス「ブラックモンブラン」の存在です。佐賀県小城市の竹下製菓さんが開発したアイスチョコバーなんですが、これが美味しいの!
 バニラアイスにチョコレートをかけ、クッキークランチをまぶしたシンプルなアイス。
 よそのメーカーにも類似品あれども、元祖は「ブラックモンブラン」に間違いありません。
 私は佐賀県に行ったときはもちろん、九州のあちこちで「ブラックモンブラン」を探しては食べていました。

クランチバー
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クランチバー

 ところがこのたび江戸に下りまして「ブラックモンブラン」がいつも買えるお店を発見したのであります。それは、阿佐ヶ谷にある「竹八」というお店です。
 佐賀県の「アンテナショップ」的なお店なんですよ(いけずな京女さん)

竹八の佐賀県産品(いけずな京女さん提供)
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竹八の佐賀県産品(いけずな京女さん提供)

 ということでデスクが竹八リポートを「おかわり」で書いている。当然、ブラックモンブランのほか様々な食材や料理が登場する

 私の思い出の氷菓は、生まれた家の国道を挟んだ向こうにあった、名前のないアイスキャンデー屋さん。自転車で売り歩く業者に卸していたらしいが、行けば1個でも売ってくれた。冷却用のアンモニアの匂いがいつもしていた。

 それと久留米の街中に引っ越してからは果物片が入った「甘太郎」のアイスだったが、店はなくなってしまった。

 モンブランときたから、次はチョモランマ。

武雄・北方ちゃんぽん(武雄ちゃんぽんイケ麺ズさん提供)
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武雄・北方ちゃんぽん(武雄ちゃんぽんイケ麺ズさん提供)

MNo.11

 佐賀県武雄市北方地区はその昔、炭鉱で大いに栄えた町。その隆盛を極めていたころに誕生したのが武雄・北方ちゃんぽん。当時炭鉱で働いていた炭鉱マンたちに美味しくて、ボリューム満点、栄養満点の食事を安く食べてもらいたいとの思いで誕生した逸品です。
 なので味付けはコッテリ、そして野菜がこれでもか、と入っています。地元ではその山の盛りを見て「チョモランマ」と呼ぶ人もいるとか、いないとか。
 現在では、炭鉱マンではなく多くのサラリーマンに愛されています。今も昔も、働く男たちの活力源だったのですね(武雄ちゃんぽんイケ麺ズさん)

麺にたどり着くまでが大変
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麺にたどり着くまでが大変

 写真を見るとなかなかの標高である。

 これはやっぱり頂上付近にウスターソースをかけ回して、野菜いためとして食べ始めるほかなかろう。

 ヘタに下の麺を持ち上げたら崩壊の危険性がある。

 それにしても九州のちゃんぽんを食べたいな。それも飲んだ後に。

 今度はちゃんぽんからそばへ移動する。

三瀬のそば(豆津橋さん提供)
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三瀬のそば(豆津橋さん提供)

MNo.12

 佐賀市の北側に位置する旧三瀬村。背振山の麓の山村が、数年前から急に賑やかになってきました。それは峠を越えた隣町、100万都市福岡市に繋がる三瀬トンネルの福岡市側にループ橋ができ、ちょっとしたドライブコースになったから。
 以前から山の中にそばを出す店はありましたが、最近は10軒以上のそば屋が営業していて、週末には行列ができる人気店もあります。
 私は久留米人なんで滅多にそばは食べないんですが、今回の佐賀編に乗って行ってきました。十割そばや、自家製そばにこだわる店もあるようですが、三瀬の中でも老舗の人気店に。
 そこでいただいた板そばはコシがありしっかりした食感で、結構な太切り。食べ応えありました(八戸せんべい汁研究所九州支部長 豆津橋渡さん)

九州の一角に「そば街道」(豆津橋さん提供)
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九州の一角に「そば街道」(豆津橋さん提供)

 九州の一角に「そば街道」。そうなったか。

 うどん、ラーメン、ちゃんぽん。九州の先行麺文化には「コシ」の概念が希薄である。しっかりコシのある十割そばを食べて「ばりかた!」「針金!」「うんにゃ、煮えとらん」などと言う人がいないことを祈る。

 三瀬のそば街道については中林20系さんからディープなメールをいただいているが、ディープなので豆津橋さんのメールを紹介するにとどめよう。

 それよりこちらを。待っていたのだ、このメールを。

中央軒のかしわうどん(中林20系さん)
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中央軒のかしわうどん(中林20系さん)

MNo.13

 地図を見ていただくと判るのですが、北部九州においては鉄道も道路網も鳥栖界隈が交差点となっていることに興味を覚えます。
 そういった交通の要衝だからでしょうか、鳥栖駅の駅弁の調製元は「中央軒」という社名です。北部九州の交通の中央の意味もあるのでしょうか。
 そしてその中央軒が駅で提供している名物は駅弁だけにあらず、九州で最初に営業を開始された“立ち食いのうどん店”も旅好きには有名。
 ここの特徴といえばやっぱり、標準が「かしわうどん」なところではないでしょうか。あっさりさっぱりなツユに、その存在を主張するかしわ。そして 野瀬さんも納得の“優しいうどん”。たまんないですよ、これは。

かしわ+月見=親子?
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かしわ+月見=親子?

 しかも駅構内に4店舗もあるのですが、6番線ホームのそれが一番おいしいというのは通の間では有名。とはいえ、通でもスリーでもないわたしには、どこで食べても美味しいと思うんですけどね。
 鉄道ファンや18きっぱーに人気の店ですが、そういった旅の人だけに人気なだけではここまで長く商売を続けられるわけもなく、つまりは地元の皆さ んに普段から愛されてるんだろうなと、つくづく思います。
 これは是非実食していただきたいのですが…案外野瀬さんがすでに食べてそうな気もします(中林20系さん)

焼売(シャオマイ)弁当(パン屋のマユさん提供)
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焼売(シャオマイ)弁当(パン屋のマユさん提供)

 はいはい、何度も食べています、6番線のかしわうどん。

 福岡の西部支社勤務時代に「この土地 あの味」というコラムの取材で「中央軒」を訪ねた。ちょうど「焼売(シャオマイ)弁当」という駅弁が発売された直後であった。

 そのとき、かねての疑問を解くべく「本当に6番線のうどんが一番美味しいのですか?」と尋ねたら答えは明快であった。「いえ、駅構内の店はどこも同じうどん、つゆ、かしわを使っていますので、違いはありません」

鶏肉を刻んで甘辛く煮たもの
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鶏肉を刻んで甘辛く煮たもの

 という話を聞いても、やはり6番線で食べたくなるのである。不思議。

 ここでいう「かしわ」は鶏肉を刻んで甘辛く煮たもので、そぼろ風。我が家の雑煮にもこれがのっていた。つまり「ごちそう」の記号なのである。

 次のメールを読んで、中学時代に母がこしらえてくれた弁当を思い出した。

てんちく(鹿島市提供)
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てんちく(鹿島市提供)

MNo.14

 佐賀県鹿島市のご当地グルメ「てんちく」です。
「てんちく」とは、その名の通り天ぷらとちくわの料理です。一口サイズに切ったすり身天ぷらとちくわを、醤油などで甘辛く煮たり、炒めたりしたものです。
 手軽にでき低価格であるとともに、オカズやちょっとした酒のアテにも良いことから、地域の寄り合いや、親族が集まってきたときなどによく食されます。
 大皿にどっさりと盛られて出されるのが一般的です。また、おにぎり・てんちく・漬物の3品でお弁当をこしらえたりもします。
 他の地域では、天ぷら・ちくわを他の具材と一緒に調理した料理はあると思いますが、「てんちく」の場合、天ぷら・ちくわのみで、どちらかが欠けても「てんちく」とは呼びません。名称や調理法も含め、この地方独特なグルメのようです(かしまるさん)

九州はすり身文化の地
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九州はすり身文化の地

 すり身の天ぷらを甘辛く。薄く斜めに切った竹輪を甘辛く。

 母の弁当にはこのどちらかが定番のように入っていた。

「てんちく」は両方が、いや両方のみが入ったもの。それも大皿で出る。九州はすり身文化の地でもあるので、このようなご当地グルメが誕生したのであろう。

 これも家庭料理にルーツを持つご当地グルメ。

ごどうふ(佐賀県提供)
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ごどうふ(佐賀県提供)

MNo.15

 デスクさんには有楽町周辺で出くわしたりすることもあります。相変わらずのど派手なシャツですね。
 さて、嫁の出身地は佐賀の有田です。で、変わった食べ物をご紹介しておきます。
 佐賀、長崎一帯には「ごどうふ」という食べ物があります。佐賀県の有田町のものが、美味しいと特に有名です。
一般的な豆腐は豆乳ににがりを入れて固めますが「ごどうふ」は、にがりではなくくずや澱粉を混ぜ、加熱し凝固させるところに特徴があります。このため食感はプリンを思わせます。
 有田辺りの冠婚葬祭のお料理には必ず入りますし、普通のお豆腐屋さんのようにごどうふ屋さんがあります。
 また、有田の駅では有田焼の容器を使ったカレーがあります。
 それから、鯨大量消費圏の長崎に近いので普通のスーパーでも鯨のベーコンが思いもかけないお値段で手に入ります。東京では手が出ませんがこちらではお腹いっぱい食べられます(きりさんさん)

有田焼カレー
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有田焼カレー

「ごどうふ」は未食。

「ご」は「呉汁」の「呉」であろう。清水圭一編「たべもの語源辞典」は「ゴとは(中略)大豆を水にひたしてすりつぶした汁のこと」とする。まあ、豆腐の製造過程からの連想であろう。

 話は戻って再びアイスキャンデー。鳥栖では懐かしいアイスが健在。

やおキャン(城野さん提供)
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やおキャン(城野さん提供)

MNo.16

 鳥栖市の「八起アイスキャンデー」は昭和23年から1本いっぽん手作りしている昔ながらのアイスキャンデーです。すべて無添加・無着色で素材自体の味がしっかりと味わえます。
 定番のアイスキャンディーのほかに斬新な味のアイスキャンディーもあります。冬には、ぜんざいとおもちのメニューも登場して、昔から“やおキャン”の愛称で親しまれ地元がこぞって通うお店です(鳥栖観光コンベンション協会城野さん)

店構えも「昔ながら」のやおキャン
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店構えも「昔ながら」のやおキャン

 今週はここまで。佐賀にもいろいろ美味そうなものがある。久しぶりに書く。

「日本は広いぞ」

 次回は佐賀県編を休んで、私と一芸クンの「奈良県実食編」をお送りする。

 何が出るのか出ないのか。一芸クンの秘技とは何か。

 では引き続き佐賀県メールを待つ。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりは「東京で佐賀県産品を食べる」「『コレモおおむら生誕500日祭×B−1グランプリ』開催」です。ぜひお読みください。

佐賀県編(その1) ネオンなイカに呼子まれる

佐賀県編(その3) 鳥栖の雀はなぜ黒い?

佐賀県編(その4) 復活!たろめん たまらん味

佐賀県実食編 カキ、カニ、ちゃんぽん、みな食べた


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年1月17日

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