第120回 栃木県ご当地グルメ(その2) 栃木の正月、水ようかん

特別編集委員 野瀬泰申


 そばにはダイコンやニラを入れ、山間部ではジビエも楽しめる――。第1回では、おなじみの料理にも、栃木県特有の食べ方があることが分かりました。2回目となる今回は、海のない土地柄が生んだ行事食「しもつかれ」をはじめ、ご当地ならではの食べものが続々と登場します。どうぞ、お楽しみに。
 今週のおかわりは、恒例の都内アンテナショップ紹介、スカイツリーに隣接した東京の新しいトレンドスポット「東京ソラマチ」に昨年オープンした栃木県の「とちまるショップ」です
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野瀬家の裏の雪景色
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野瀬家の裏の雪景色

 1月14日の関東地方は大雪だった。雪国の皆さんから見れば雪のうちに入らないかもしれないが、東京で積雪8センチというのは大雪なのである。

 小田急のロマンスカーは止まるし、JR中央線も架線凍結のために一部区間で運転を取りやめた。

 私は先週末からの3連休を利用して三重県に出かけていた。三重県でも山間部ではその日、朝から雪であった。

 近鉄特急で名古屋に出て新幹線。そこからJRと私鉄を乗り継いで帰宅した。最寄り駅から自宅まで傘をさして歩いたのだが、重い雪が傘に積もった。

デスク家のベランダの雪景色
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デスク家のベランダの雪景色

 お土産は「赤福」。末の娘は「美味しい」と言って食べてくれたのに、あんこが苦手な長女は赤福の表面にぬられたあんこをぬぐって食べたのである。くー。

 夕方になって雪が雨に変わった。そこで雪かきに出動。外階段と家の前の道路に積もった雪をスコップですくううちに普段使わない筋肉が悲鳴をあげ、一夜明けた現在、私は筋肉痛に苦しんでいる。背中が痛いのである。

 さっそく本編に入るが、予告した通り「しもつかれ」から。

しもつかれ(ぎずもさん提供)
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しもつかれ(ぎずもさん提供)

MNo.7

 節分が近づくと、栃木県内の鮮魚店、スーパーには塩鮭の頭が並びます。これがないと「しもつかれ」が作れません。
 農林水産省の「郷土料理百選」人気投票で、栃木県部門1位になった「しもつかれ」は、節分の後の初午の日に作るのが習わしです。お稲荷さんにお供えするほか「7軒のしもつかれを食べると病気しない」とも言われて、昔は近所付き合いの潤滑油にもなっていたようです。
 塩鮭の頭、大根、人参などを、鬼おろしてガリガリと削り、節分の残りの大豆や酒粕と一緒に大鍋でグツグツと煮込みます。味も匂いも独特なら、見た目もキョーレツ(吐瀉物っぽい)なので、栃木県生まれの人間でも激しく好みが分かれます。実は私、大の苦手です。
 家庭で作るのが一般的ですが、惣菜屋やスーパーでも完成品が1年を通じて販売されています。
 主に食べるのは栃木県と、茨城県や群馬県の一部。あまりに独特な食べ物のため「持ち出し禁止品」に指定され、利根川以東に持っていくと警察に捕まるという笑い話がありますが、この話を作ったのは私です(ぎずもさん)

サケの頭(ぎずもさん提供)
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サケの頭(ぎずもさん提供)

 しもつかれは「下野家令」などと書くこともあるが、語源は「すむつかり」らしい。手元に松本忠久著「ある郷土料理の一〇〇〇年」(文芸社)という本がある。著者が「しもつかれ」の歴史や伝播のルートを博捜した本である。

 要点だけ書くと、しもつかれのルーツは平安から鎌倉時代にかけて書かれた「古事談」「宇治拾遺物語」に登場する「酢むつかり」。大豆に酢をかけただけのものだった。つまりは京の食べ物。

 それが江戸時代に江戸に伝わり、大根おろしを加えた「豆なます」として食される。

鬼おろし(ぎずもさん提供)
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鬼おろし(ぎずもさん提供)

 北関東へは陸運、水運を通じてひろがり、冬の間、土に埋めて保存していた大根やニンジンを腐る前に食べようとして豆なます=酢むつかりと結びつく。さらに初午のころに出回る酒粕、節分でまいた煎り豆、正月に食べた塩ザケの残った頭などが加わって、現在のしもつかれとして伝わる。

 とまあ、こういうことなのであるが、現時点で「しもつかれ」についてこれ以上詳しく書かれた本はないと言える。

 栃木を代表する郷土料理ではあるけれど茨城、群馬、埼玉、千葉の一部と会津南部でも初午のころの食べ物としていまも食べられ続けている。

市販のしもつかれ
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市販のしもつかれ

 私は栃木県人の会合に顔を出した折に口にする機会があった。その感想を述べる勇気を持ち合わせないので「食材図典III」にある記述を紹介する。

「固粥状、決して美しいとはいえない。サケの塩味と粕の発酵味とニンジンの甘みが入りまじっている。さほど美味なわけではないが、これこそ究極の豆料理であろう」

 だがこれはよそ者の感想であって、地元の人々はしもつかれを誇りに思っている。栃木県人の集まりでも「我が家のしもつかれ自慢」に話の花が咲いていた。

 にもかかわらず「持ち出し禁止品」でもあるので、次のようなことが起きる。

塩鮭の頭がないとできない?(ぎずもさん提供)
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塩鮭の頭がないとできない?(ぎずもさん提供)

MNo.8

 岐阜県民ですが、昔、茨城県の水戸で働いていたことがあり、同僚だった栃木県出身者が「しもつかれ」なる食べ物について滔々と語っていたことを覚えています。
 ただ、一体どんな食べ物なのか分からないまま転勤してしまい「栃木・しもつかれ」の文字だけが頭の片隅に残っています(お名前ありません)

 この料理を口だけで説明されてもなかなか理解できない。特に私は「塩鮭の頭がないとできない」というところで脳みそがダウンした。

 前回登場した「大根そば」について。

「唐沢そば かさはら」の大根そば(Tsumuさん提供)
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「唐沢そば かさはら」の大根そば(Tsumuさん提供)

MNo.9

「佐野の大根そば」です。地区は実際は佐野の近くの唐沢です。そして本来の大根そばは、細長く切った大根は生でそばの上にのせるのではなく、ゆがいてそばと混ぜてあります。名前を知らず、だまって出されたら見た目では大根そばとわかりません。
 多分ですが発祥は、唐沢の「唐沢そば かさはら」です。「かさはら」の大根そばは、くせがなく、さっぱりしていて盛りがいいけどすんなりと入ります。もちろんそばが美味しいのは言うまでもありません。
 打ち立ての美味しいそばに湯がいた大根の取り合わせがたまらなくいくらでも食べれそうな感じです。たっぷり食べても半分くらいは大根なので後にももたれないし、天ぷら付きを頼んでも、決して高くないというかむしろ安いと思います。

かさはらの前を流れる小川(Tsumuさん提供)
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かさはらの前を流れる小川(Tsumuさん提供)

 私は東京人なので知らなかったのですが、18年ほど前、取引先の方が栃木での仕事の途中に連れて行ってくれました。
「唐沢そば かさはら」の大根そばが口コミでブームになって、佐野で大根そばを出すところが増えたのだと思います。
 当時、食品関係の営業をしていて、仕事柄、あちこちで美味しい物や変わった物も食べましたが、遠くてもわざわざ出かけて食べたいのは、この「唐沢そば かさはら」の大根そばなので、どうしても野瀬さんに元祖の本来の大根そばを食べていただきたい。
 いま私はアメリカですが、もちろん渡米前には食べに行きましたよ。あぁぁぁ〜食べたい!!(Tsumuさん)

ちたけそば(三月うさぎさん提供)
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ちたけそば(三月うさぎさん提供)

「唐沢そば かさはら」は地元紙の下野新聞にも「大根そばの元祖を名乗る店」として紹介されたことがある。

 2011年4月3日付のその記事によると、先代社長が食糧難の時代に、かさを増すためそばに大根を混ぜたのを思い出してメニューにのせたのが37年前。いまでは客の7割が注文する看板商品になった。

「そばと大根の割合は10対3」というから、見た目の量ほど腹にたまらないかもしれない。

「大根うどん」もある。

 続いて「ちたけそば」。

これがちたけ
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これがちたけ

MNo.10

 昨年2月に奥日光に行ったときは湖畔のレストハウスが定休日で、ガラスの外から写真を撮っただけの「ちたけ入りそば」。喜連川(きつれがわ)の道の駅で巡り合うことができました。
 そばの上にちたけを煮たものがトッピングされているものを想像していましたが、埼玉実食編で食べたかてうどんのように、具材が入った濃いめの熱いつけだれに、冷たいそばを入れて食べるタイプでした。そばの量が多いところもかてうどんと似てました。
 今まで食べたことのあるキノコとは全く違う味。このときはこれがちたけの味! という実感がありませんでしたが、帰りに売店で買った乾燥ちたけをうるかした汁を一口飲んでみて、あれはちたけの味だったんだと実感。

青ノリ入りの豆餅(三月うさぎさん提供)
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青ノリ入りの豆餅(三月うさぎさん提供)

 ちょっと刺激のある、キノコにしては主張のある味で、好きになったらはまりそうな味でした。うるかしたちたけは、今日の夜に白菜、豆腐の汁物にする予定です。
 もう一つ、他県とは違うと思われるものに再会。青ノリ入りの豆餅。普通の豆餅は白い餅に黒豆が入っていますが、栃木のは青ノリが入っていて緑色です。
 前に住んでいたアパートの栃木出身の大家さんからいただいたのは豆が落花生でしたが、今回見つけたのは黒豆じゃない普通の大豆でした。
 別な道の駅で落花生入りも見つけたので両方あるみたいです。一度青ノリ入りを食べてしまうと、豆餅は青ノリ入りじゃなきゃダメ、とやみつきになってしまいます(三月うさぎさん)

水で戻した干しちたけ(三月うさぎさん提供)
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水で戻した干しちたけ(三月うさぎさん提供)

 ぎずもさんからも、ちたけそばの写真が数点届いている。添えられたメールに「ちたけはナスと炒めるのがセオリーとか」とあった。

 宇都宮支局勤務経験がある同僚も「ちたけは好きになりました。あれでそばの出しを取ると美味いんですよね。ナスと一緒だと抜群に美味い」と証言した。

 三月うさぎさんのメールの後半は「餅」。青ノリ入りは珍しいが、次の餅もとても珍しい。

日光市・久保田屋の柿餅
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日光市・久保田屋の柿餅

MNo.11

 日光市(旧今市市)で正月に食されるもので「かきもち」という餅があります。通常「かきもち」というとオカキを指すもののようですが、この地域の「かきもち」は「柿餅」で、干し柿を餅に練りこんだものです。
 焼いて食べるのですが、柿の甘さがあって通常の餅とは全然違うものです。以前会社勤めをしていたときに、この「柿餅」を知っているか他の県の人に訊ねたことがあるのですが、オカキの方が一般的なようで「柿餅」を知っている人はいませんでした。
 農家で作っているもののようで、あまり商品として流通しているものではないようなのですが、この間散歩をしていたら、大谷川公園の物産展で並んでいるのを見ました。結構めずらしいものではないかと思って投稿しました(n-kumaさん)

 材料は米粉、干し柿、砂糖のみ。

柿餅、落花生餅、豆餅
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柿餅、落花生餅、豆餅

 今市には過去、取材で何度も行っている。あの辺はそばどころで、かけそばを注文したら真っ黒い出し汁に真っ黒いそばが浮かぶ丼が出てきた。野趣あふれるそばであった。

 残念ながら「かきもち」には気がつかなかった。農家の食べ物で、あまり流通していないのなら店先に並ぶことも少ない。

 そのような食べ物にこそ、地域の歴史と風土を色濃く映すものが多い。

 では店先にはどんなものが並んでいるのか。

サメの切り身(太ったオオカミさん提供)
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サメの切り身(太ったオオカミさん提供)

MNo.12

 実家の食卓にのることはなく、生涯でもほとんど口にしたことはないのですが、栃木県内のスーパーでは普通に「サメ」の切り身が並んでいます。
 郷土料理の「しもつかれ」は転勤族へ洗礼と称してイジメにも使いますが「サメ」のことは話題にもならず、またスーパーで買い物カゴに入れている人にもあまり遭遇しないのに定番品として鮮魚コーナーに年間を通して陳列されています。
 煮魚にして食べることが多いと聞いていますが、30年くらい前、かすかにアンモニア臭が鼻から抜けた記憶があります(闇の通さん)

むきさめの切り身(太ったオオカミさん提供)
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むきさめの切り身(太ったオオカミさん提供)

 栃木には海がないので塩ザケやサメのように保存がきく海の物が大事にされてきた。鮮魚が店先に並ぶ現代では、サメの需要は減ってきているのだろうが、昔はごちそうだったことであろう。

 静岡県における「イルカ」も「いまの若い人は食べない」と言われているが、店頭にはある。お年寄りが懐かしがって食べるのだそうである。

 ちょっと華やかな話題を。

いちごおとめクッキー(ちりとてちんさん提供)
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いちごおとめクッキー(ちりとてちんさん提供)

MNo.13

 今年は「ヘビ女」じゃなかった「年女」のちりとてちん24歳です(←おいっ!)。
 年末に江戸へ下るヒコーキの中で、このようなものを見つけました。栃木県産「とちおとめ」をつこたクッキーの機内販売です。
 さっそくキレイなキャビンアテンダントさんに「これ、ありますかぁ?」と尋ねたところ「大変申し訳ございません。完売しておりまして、今、ご用意できるのがチョコクッキーとお煎餅でございます。」とのこと。ガックリ。
 さらに機内放送の落語も面白くなくて、二重にガックリでした(ちりとてちんさん)

 売り切れ? それは残念。

 機内放送の落語も面白くなかった? それは珍しくない。

 次のメールで口直しを。

壬生のいちご(フジオカエリさん提供)
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壬生のいちご(フジオカエリさん提供)

MNo.14

 2010年に、取材で壬生に行ってきました。
 なんといっても今、楽しみは「いちご」ですよ〜。「とちおとめ」のシーズン真っ盛りということで、集出荷所は新鮮な甘い香りに包まれていました。
 いちごが温まらないよう、気温の低い午前の早いうちからの作業で、冷たい冬の朝日の中、着々と荷造りされていきます。
 品質管理は結構厳しくて、大きさ、熟れ具合を記した選別表があるのですがこれが本当に細かい!! 驚きました。美味しいフルーツって、育つフルーツ自身も頑張ってると思うけれど、とても心のこもった環境が整えられているな、って、改めて思いました。

「ひがの」のスイーツ(フジオカエリさん提供)
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「ひがの」のスイーツ(フジオカエリさん提供)

 地元では、加工品も当然美味しくいただけます。
「ひがの」のオーナーパティシエは、とても研究熱心な方。全国のスイーツを取り寄せていらっしゃるとかで、私の故郷の有名店メニューもご存知でした。
 ハウス栽培の手摘みもお手伝い。熟れきってしまう前のちょうどよい頃あいを見極めるのは大変ですが、可愛らしい真っ赤な実に触れるのは心が弾みます。
 表面の薄皮を傷つけないように。大切に。
 その夜、ハウス所有の中村さん宅にお招きいただきました。いちごはもちろんのこと、とれたてのかんぴょうやトマトがこんなに。割烹着姿のお母さんたちのお料理は本当に上手で、おいしかった(とちぎテレビ「とちぎ発!旅好き!」でリポーターをしていたフリーアナウンサーのフジオカエリさん)

栃木のごちそう(フジオカエリさん提供)
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栃木のごちそう(フジオカエリさん提供)

 きれいなケーキである。

 食卓はにぎやかで美しい。

 栃木は地味目と書いたが、この写真を見る限り、そうでもない。

 我が家の冷蔵庫に「とちおとめ」が入っている。今夜食べよーっと。

塩原大根(机さん提供)
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塩原大根(机さん提供)

MNo.15

 塩原温泉へ行く途中の道の駅で見つけました。塩原大根。
 塩原は高い山々に囲まれた高原で、朝夕の寒暖の差が大きく土壌も火山灰であることから、いわゆる「高原野菜」の栽培に適しています。数ある野菜のなかでも大根の人気が高く、観光客のおみやげはもちろん、東京へも出荷されていそうです。
 とにかくびっくりしたのがその大きさ。人間の足大です。まさに大根足。たぶん、僕の足より長いです。お店のディスプレーに入りきれないのか、店頭に置かれた台の上にずらっと並べて売られている光景は圧巻でした。
 これだけ大きいと「大味」なのだろうと思っていたのですが、けっこう甘い。肉質がやわらかくジューシーで大根おろしにすると美味しいですね。
 やはり道の駅で買ってきたなめこと一緒に「なめこおろし」にして酒のツマミにしました。缶チューハイが進んだことはいうまでもありません(机さん)

なめこおろし
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なめこおろし

 机さん? はて誰であったか。

 デスク、「大根足」などという言葉を平気で使うこの人、どんな人?

デスク 確かとってもイケメンで人柄もスバラシく、これぞ「理想の男性」みたいなお方だと記憶しているのですが。

野瀬 ああ、あのオレンジのゆるキャラの人ね。

 次のメールは土地の習俗としてとても気になる。

酒まんちう(太ったオオカミさん提供)
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酒まんちう(太ったオオカミさん提供)

MNo.16

 私が子どものころ、母の実家のある栃木県鹿沼市の婚礼に出席すると、必ず引き出物の中に、上白糖がありました。
 東京や横浜周辺の婚礼の引き出物として、あまり見かけない物だったので、妙に記憶に残っています。
 ご丁寧に、出席者1人に1袋、場合に寄っては2袋ですから、夫婦で出席するとしばらく砂糖を買う必要はなかったでしょうね。
 1月4日に、鹿沼のにらそばを実食しに行ったとき、お昼までに売り切れる「酒まんちう」(酒饅頭)で有名な湯澤屋さんに寄ってきました。たしかに、絶品のおまんじゅうです。
 皮が硬くなったのを、あぶって食べるのも一味変わって美味しいようです。
 その店内に、お正月用として水ようかんが売られていました。聞くと、こたつに入って水ようかんを正月にいただくのが、ここら辺の風習ということです。
 これは鹿沼だけなんでしょうか? それとも、栃木県全体なんでしょうか?(太ったオオカミさん)

正月用の水ようかん(太ったオオカミさん提供)
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正月用の水ようかん(太ったオオカミさん提供)

 婚礼の引き出物に上白糖。砂糖が貴重だった時代には、なによりありがたいものだったに違いない。

 砂糖で作った極彩色のタイなどもあるが、趣旨は同じと思われる。

 正月の水ようかんも家の中を温かくして、あえて冷たいようかんを食べるぜいたくを味わおうとするものか。北海道で汗をかくくらい暖房をきかせてアイスクリームを食べるのに似ている。

 冬場の水ようかんは福井の専売特許かと思っていたが、栃木県鹿沼市もそうであった。発見。

 さて最後の大ネタである。テーマは焼きそば。

 長いが、書いてある中身は一流なので最後まで読んでいただきたい。

こばや食堂の焼きそばとスープ入り焼きそば
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こばや食堂の焼きそばとスープ入り焼きそば

MNo.17

 やっぱり栃木といえば焼きそば!ですよね。すでに紹介された塩原のスープ焼きそば、足利のポテト入り焼きそば、栃木のじゃがいも焼きそばは言うに及ばず、烏山の蒸かし焼きそば、日光の白焼きそば、店が多いところだけでも宇都宮、二宮。粟野に真岡。ほとんど県内全域にあります。
 そいでもって、栃木の焼きそばは各店舗で麺の加工などにすごい工夫が。これを売りにしないのは、地元文化への自信が乏しい栃木県民ならでは。
 オススメは私の地元、那須烏山市は烏山の乾麺を蒸かした焼きそば。烏山の郊外では、灌漑が難しく、たばこと小麦、そばなどを輪作していました。
 そのため、昔は大小あわせて数10軒の製麺所があり、現在でも5軒の製麺所が残っています。
 同様に、焼きそば店も20年ほど前までは10数軒が営業していました。現在では専門店は2店にまで減ってしまいましたが、その製法のこだわりはすさまじいものがあります。

さかいや食堂
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さかいや食堂

 10数年前に閉店した「かまぎん」と「かまぎん」からのれん分けした「釜銀」「さかいや食堂」の弁天製麺の焼きそば用の特製乾麺を使った「乾麺を蒸かした焼きそば」は、その乾麺うどん文化の賜物と思われます。独特の食感は食べなければわかりません。
 また乾麺から作る焼きそば、という時点で多分全国で唯一だと思います。
 もうひとつの専門店「新高」の麺は野尻製麺のこのお店専用の生麺を蒸してから水洗いして、それを乾かしてから焼きます。
 宇都宮白楊高校東側の「かみやま」では、烏山焼きそばに習い、麺を蒸かしたり凍らせたりまた寝かせたりとすごい手間をかけて加工しています。
 日光の白焼きそばも1度炒めた麺を陰干ししてから加工したりますが、狙いは同じで、麺をスポンジ状にすることで、ソースを絡め易くしているものと思われます。

釜彦の焼きそばの具は鶏肉!
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釜彦の焼きそばの具は鶏肉!

 また足利や一部栃木、氏家などでは「肉つゆ」と言われる、豚肉を甘辛く煮たつゆを麺をほぐすために使っています。
 この小さなエリアでこれだけ多彩な加工技術が進化したのは、特筆に価します。
 肉つゆを使った焼きそばは足利、栃木から氏家まで確認できたりします。二宮は焼きそば屋だらけです。
 焼きそばの名店が多いということは、ソースと製麺所も多くありということです。ソースは県内8(+1)社。全国でも東京、大阪、名古屋、広島に次ぐ数です。
 不思議なもので、宇都宮の「大塚ソース」は何で食べても焼きそば味になります。いもフライで食べるなら、やっぱり佐野の「ミツハソース」か「マドロスソース」です(碓氷さん)

佐野のミツハソース
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佐野のミツハソース

 メールには各個店の焼きそばを紹介する文面もあったが実食編のために取っておく。

「乾麺からつくる焼きそば」「白焼きそば」「肉つゆ」など、焼きそば界でも相当の珍種が集まっているらしい。

 これはひょっとしたら大変なことかもしれない。

 デスク、ちょっと調べてくれ。

デスク すでに烏山には行ってきました。さかいや食堂にも行きました。ふかし焼きそばも注文しました。でも、売り切れでした…。あちこち回って最後に立ち寄ったので。ふかし焼きそばについてはご主人にいろいろうかがったのですが、それは他の焼きそばと合わせてまた改めて。

山あげらーめん大山
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山あげらーめん大山

 焼きそばもおもしろいですが、烏山というまち全体の食もいろいろ調査する価値ありとニラんでいます。かなり興味深いです。実食編でとことんやりましょう。
 ちなみにふかしやきそば売り切れのため、さかいや食堂ではオリジナメニューの「山あげらーめん大山」を食べて帰りました。

 実は、ぎずもさんからも、極めて力のこもった「焼きそばリポート」をいただいている。

 こちらからご覧いただきたい。

 内容は読んでのお楽しみ。

 本日は2回分ほどのボリュームになったが、まだ紹介できないメールが山になって残っている。栃木県編は大豊作である。

 次回はご当地パンのことを話し合おう。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりは「とちまるショップは栃木県産品のトレンドスポット(デスク)」です。ぜひお読みください。



栃木県編(その1) にらはあなたのそばがいい

栃木県編(その3) カレーコロッケしかない町です

栃木県編(その4) 宇都宮餃子の定義を述べよ


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2013年1月18日

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