第68回 秋田ご当地グルメ(その1) ラーメンには酢を入れまス。

特別編集委員 野瀬泰申


 お待たせしました、いよいよ秋田県編の始まりです。きりたんぽやいぶりがっこから横手やきそばまで、庶民の味=B級ご当地グルメが県外にまで幅広く知れわたっている秋田。今回、さらなる発見はあるのか。いよいよスタートです

 番外編では、一芸クンが9月30日に概要を紹介した、高知「土佐の豊穣祭」の模様をリポートします。

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横手のかまくら
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横手のかまくら

 秋田県に初めて行ったのは文学関係の取材ではなかったろうか。秋田市内で2泊した記憶がある。郷土料理系ばかりを食べていた。

 それから数年後に横手市で開かれたシンポジウムに招かれたのが縁で、横手の皆さんといろいろな場面で顔を合わせ、酒を酌み交わすことになった。

 雪に埋もれた横手の町で「かまくら」を体験し、その後の居酒屋で九州人には想像もつかないような漬物文化、発酵文化に触れた。

 畑の土に生える「ちょろぎ」を見たのも秋田県。「みず」という山菜を見たのも秋田県。

「食べ物 新日本奇行」で秋田県では「ババヘラ」と呼ばれる路上アイス売りの女性たちが活躍していることが話題になり、空前の盛りあがりを見せた。

ババヘラの研究
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ババヘラの研究

 折から「ババヘラの研究」という本が出た。著者は秋田市の出版社「無明舎」の舎主、あんばいこうさん。安倍甲(あべ・はじめ)さんなのだが、それを音読みしてあんばいこう。

 ババヘラ何とかは地元のメーカーが商標登録しているので、書名のババヘラという表記を使うが、高齢の女性が道路脇やイベント会場にビーチパラソルを立て、その下のボックスからヘラで氷菓をコーンに移して売る光景は、いまや秋田名物になった。

 しかしその起源、商売の実態、配置の方法などについて、きちんと調べて書いたものがなかった。そこで、あんばいさんは長い年月をかけて調べ上げ1冊の本にまとめたのだが、読んでみると「どんな商売も楽じゃない」ということがよくわかる。

 自転車で移動しながらのアイス売りは日本全国にいた。私も子どものころ、よくお世話になったものである。

これがババヘラ
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これがババヘラ

 しかし一所にじっとしている路上アイス売りとなると、どこでも見かけるわけではない。

 高知の「1×1=1」とか沖縄のそれのほかに、私は弘前公園のお花見で屋台型のアイス売りを見ている。

 こんなところにも地域性があるのだから、食べ物の世界は愉快である。

「ババヘラの研究」は全国のババヘラ愛好家に必読の1冊。ネットで買えます

 では本編スタート。

ハタハタの田楽
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ハタハタの田楽

MNo.1

 秋田の冬の味覚といえば、やっぱりハタハタでしょう。出回りはじめはともかく、漁獲量が安定してくると安価で入手できるというのもいいですね。
 もっとも漁獲量の減少は大変な問題で、秋田県では1992年から3年間の禁漁という策を講じました。隣県でも「引っかけ釣りの禁止」「たも網の禁止」など、釣り人への規制を実施するほど状況は深刻です。

 ちなみに、入院中2度「ハタハタの田楽」というメニューが出ましたが、一度は鯖の切り身に田楽をかけたようなものが皿にのっていました。突然変異の巨大ハタハタを切り身にして田楽味噌をかけて夕食にした、と解釈しております。オトナなので「主を呼べえい」と暴れたりはしませんでした(とくめえきぼんぬ@隣県民さん)

 ハタハタという魚は主に島根、鳥取以北の日本海側、東北の太平洋側、北海道辺りに生息しているので、中国地方の日本海側を除く西日本には余り縁がない。

ハタハタ鮨。お腹にブリコがぎっしり
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ハタハタ鮨。お腹にブリコがぎっしり

 東京に出てきて居酒屋メニューで「ハタハタ」とあるのを見たのが初対面であった。しかし一緒にいたのが岐阜と大阪出身だったため、全員が何のことかわからなかった。

 私はかまくらのころの横手でハタハタ鮨を食べた。ハタハタを米と麹で発酵させたもので、いわゆるなれ鮨。お腹の中には「ぶりこ」がいっぱい入っていて感動した。ところが勧められるままにぶりこを食べた私は飛び上がった。石のように硬かったからである。

 ところで秋田県民にとって年取り魚はハタハタ、ということでいいんでしょうか?

デスクが食べた「酢立そうめん」(本文とは関係ありません)
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デスクが食べた「酢立そうめん」(本文とは関係ありません)

MNo.2

 秋田県の能代市〜大館市には、餃子がメニューにないにもかかわらず、テーブルに酢が置いてあるおラーメン屋さんの店があります。

 また能代、大館の人気店ラーメンのスープの中にレモンが入っています。

 どちらのお店も土日が休みで、なかなか訪問できませんが、札幌の友人達が日帰りの強行軍で訪れています。私も大好きなお店です(一麺さん)

空になるまでぶっかけます(デスク)
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空になるまでぶっかけます(デスク)

 ラーメンに酢というと荻窪の春木屋を思い出す。荻窪に住んでいたころよく行ったが、壁に「残ったスープに酢を入れると美味い」という意味のことが書いてあったのを見て仰天した。ラーメンに酢ですか?

 東京人が皿うどんや中華系の焼きそばに酢をかけるのにも仰天した。皿うどんにはソースでしょ。

 レモンラーメンは岡山市内で遭遇。レモンスライスが丼一面に敷き詰められていた。店主になぜこのようなことをしたのか聞いてみたら、答えは簡単であった。

「レモンが好きなんです」

菓子や横丁(大阪の原さん提供〜拡大でお菓子の写真も)
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菓子や横丁(大阪の原さん提供〜拡大でお菓子の写真も)

MNo.3

 角館で観光した際の画像です。菓子や横丁というのがあって、生もろこし・手打ちもろこしというお菓子の製造実演販売が行われてまして、桶みたいな道具や細長いまな板?やら展示されておりました。どんな味だったっけ??

 事務所の土産に買って帰って配ったら、自分の分を取り忘れました。味を教えてぇ〜〜。

 飴、せんべい、サイダーは最近流行のご当地ヒーローだそうで……。

 駅で比内地鶏の駅弁を食べ、街中ではご当地マンホールを見て周り、犬小屋の表札に絶句し(リンちゃん!大丈夫か?!)、ニャマハゲにも絶句。

 続いて数年前に秋田へ行ったときの画像です。

 秋田駅前のコンビニで「横手やきそば飯」。でも、そばめしって神戸だったんでは?

「沢もたし」……ナラタケのことでした。キノコも方言が多いです。

 でっかいフジツボ。正味重量で見るとかなりの高級品。多分、殻の重量が半分以上です。確かにカニとウニの中間の味で美味しいのですが。以上は駅前の市民市場にて。

比内地鶏の駅弁(大阪の原さん提供〜拡大で犬小屋などの写真も)
  
「横手風やきそば飯」(大阪の原さん提供〜拡大でその他秋田の写真も)
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比内地鶏の駅弁(大阪の原さん提供〜拡大で犬小屋などの写真も)

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「横手風やきそば飯」(大阪の原さん提供〜拡大でその他秋田の写真も)

 稲庭うどん。細めでツルツルの麺。これも個性的。他の麺どころよりも干麺の比率が高い様子。日持ちするのでお土産にグッドでした。

「くずうどん」と称して切れ端販売。素麺の産地でよく見ますが、うどんでもあったんだ。

 男鹿半島に行くと丼飯も豪華。男鹿半島を散策するとハマナスの実が美味しい。乾燥トマトっぽい味。山ぶどうもすっぱくて美味しい。

 最後は名物ゴジラ岩と横手焼きそばグランプリの店(大阪の原さん)

くずうどん(大阪の原さん提供)
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くずうどん(大阪の原さん提供)

 原さんは、またしてもパクパクの旅。

「もろこし」は秋田銘菓。歴史は古い。物産展か何かで「諸越」と書いてあったので、店の人に聞いて「もろこし」であることを知った。

「くずうどん」は「卯の花めん」のことか。手延べするときに麺線を二つに折るため、端っこはUの字になっている。

 兵庫県たつの市では素麺の端っこは「ばち」と呼ばれ、これを吸い物に入れたのが「ばち汁」。

 ハマナスの実って食べられたんですね。

ぎばさ(いけずな京女さん提供)
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ぎばさ(いけずな京女さん提供)

MNo.4

 秋田県民の健康を支えてきた海藻といえば「ぎばさ」。正式名称はアカモク、わかめと同程度の栄養価があるとされています。

「ぎばさ」の最大の特徴は、とにかく粘りがつおいこと! 粘りが強いほど良質の「ぎばさ」とされているので、店頭には必ず粘りを確かめるための見本があると聞いています。

 写真は「ぎばさ」にもうひとつの秋田名物・ブリコ(ハタハタの卵)をあわせた珍味。これがむっちゃ美味い。

 とにかく、半端なく粘ります。どれくらいかって、パッケージに「お召し上がりの際は、のどにつまらせないように気をつけてください」とまで書いてあるくらいです。

「ぎばさ」の食べ方は三杯酢で和えたり生卵と醤油を混ぜたり、また、お味噌汁に入れたり。

 ちなみに京都の丹後地域では「アカモク」の名前で食していますが、こちらでは佃煮にするのが伝統的な食べ方です(いけずな京女さん)

粘る!(いけずな京女さん提供)
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粘る!(いけずな京女さん提供)

 アカモクは東北各地で食べられているが、特に秋田県民は「ギバサ」の名で親しんでいる。

 調べてみたら、アカモクの本家筋にあたるホンダワラと日本人の関係は古く、平安時代から食べた記録が残っているといいう。

 秋田県で海草というと昆布やワカメを押しのけてギバサ。覚えておこう。

 それにしても「のどにつまらせないように」という注意書きは「それくらい粘るんだぞ」という自慢が隠れていて良い。命懸けで食べる気になる。

 秋田県南の納豆もよく粘る。あの辺は色々なものが粘る。

 いけずな京女さんは9月17、18日に青森市で開かれた北海道・東北B−1グランプリに遠征した。そのとき、秋田県から出展したものの感想も書いてくださった。

本荘ハムフライ(いけずな京女さん提供)
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本荘ハムフライ(いけずな京女さん提供)

「秋田県由利本荘市の『ハムフライ』を初めて食べました。食べる前は『ただのハムカツが、なんでB級ご当地グルメ?』と思てたんです。

 聞けば『ハムフライ』はポーク100%のプレスハムでなければならないとのこと。ますます何で?

 そこで『本荘ハムフライ ハム民の会』の方にお尋ねしたところ、由利本荘市は養豚のまちだったのですね。そして昭和30年代から稼働しているハム工場のハムを、まちの人々はフライにしておやつに食べてきたと。納得。

 それにしても、普通のハムカツよりずいぶん分厚い!と思ったら『8.6(ハム)o』なんですって。あはは、面白ーいそして美味しーい。

男鹿しょっつる焼きそば(いけずな京女さん提供)
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男鹿しょっつる焼きそば(いけずな京女さん提供)

 秋田県男鹿市の『男鹿しょっつる焼きそば』も食べました。ワカメと昆布だし入りの特製麺に海鮮の具材、味の決め手は秋田名物の魚醤『しょっつる』。

 世界に誇る日本の発酵食品『しょっつる食文化』を“伝統食”の枠にとじこめず、焼きそばで気軽に体験してほしいという『男鹿のやきそばを広める会』の皆さんに激しく共感します。

 しょっつるの深いうま味が効いた焼きそば、味は特A級でした!」

ハムカツではなくハムフライ
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ハムカツではなくハムフライ

「ハム民の会」の皆さんの前で、間違えてハムカツというと怒られる。笑いながら「ハムフライだよ」と訂正される。

 11月の姫路で開かれるB−1本大会には秋田から「横手やきそば暖簾会」「あいがけ神代カレー神代活性化協議会」「秋田かやき協議会」「本庄ハムフライ・ハム民の会」「男鹿のやきそばを広める会」が出展することになろう。

 会場に行く予定の皆さんは、秋田の味を楽しんで、秋田県各地のまちおこしを応援していただきたい。

ぼだっこ(中林20系さん提供)
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ぼだっこ(中林20系さん提供)

MNo.5

 以前、秋田駅の駅コンビニのおむすびの棚に「ぼだっこ」なるモノがありました。「…?」と思いましたが、横に紅鮭とも書いてあるので、まあそゆことなんだろうな、と思い買いました。

 後に調べてみましたが、塩鮭のことをぼだっこと呼ぶんですね。

 この商品は大きなカタマリがゴロッと入っていて、まるで塩鮭定食を食べてるがごとしな美味しさでしたが、最近立ち寄った際に見てみたところありませんでした。ちょっと残念。

 大館駅では売店で焼きおにぎりを見つけて買いましたが、それが東北ではよく見かける味噌焼きおにぎりで、さらに塩鮭の具が入ってました。

 塩鮭が好きなんでしょうか、秋田県人は。っていうか、旅先でそれらを買ってるわたしの方こそ塩鮭好きなのか(中林20系さん)

味噌焼きおにぎり(中林20系さん提供)
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味噌焼きおにぎり(中林20系さん提供)

 なぜ塩ジャケを「ぼだっこ」というのか。似ても似つかぬものに思える。語源はなんだべなあ。

 このような食べ物に関する方言があったら教えてほしい。

 ああそうそう。秋田では名詞の最後に「こ」がつく。

 酒っこ飲も。じぇに(銭)っこならある。

 中林さんのメールにはよく各地のおにぎりが登場する。おにぎり愛好家?

なすの花すし(ミルフォードさん提供)
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なすの花すし(ミルフォードさん提供)

MNo.6

 なすの花すしに初めて出合ったのは、確か大曲近辺です。丸なすを塩漬けにした後、もち米かうるち米(あきたこまちなど)の漬け床に砂糖や米麹を加え、食用菊や唐辛子をはさんで漬け込んだ発酵食品。

 夏の終わりに丸なすを漬けて、菊の花が咲きそろうころに漬け床に移すと聞きました。発酵食品特有の甘みに、唐辛子のアクセントがきいて、とても懐かしい味がしたのを覚えてえています。

 なす、そして菊の花と、季節のうつろいに沿った作り方。あらためて食は深いなあと思います。

 いつぞや、某百貨店の催事で出合った「男鹿のやきそば」と、秋田のご当地サイダー「仁手古サイダー」の元になっているニテコ清水の看板の写真を送ります。

 そうそう、秋田には醤油あんかけの「ちゃんぽん」が根付いているそうです。ぜひ実食を!(ミルフォードさん)

ニテコ清水とは(ミルフォードさん提供)
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ニテコ清水とは(ミルフォードさん提供)

 このメールを読みながら、横手の「浅舞婦人漬物研究会」に取材に行ってときのことを思い出した。もともとは農家のお嫁さんが現金収入を得るために始めた事業だが、いまでは立派な企業に育っている。

 地元野菜を使った完全手づくりの漬物は、発酵文化の華とも言えるほど美しかった。その中に「花ずし」というものがあった。ミルフォードさんが書いているものと同じであろう。

 写真残っていたかなあ。

 そして秋田にあるという「ちゃんぽん」。ふるさと長崎からはるばるやってきて、すっかり別人になったことであろう。

百貨店催事の男鹿のやきそば(ミルフォードさん提供)
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百貨店催事の男鹿のやきそば(ミルフォードさん提供)

 いずれ対面することにはなろうが、私は一体どんな言葉をかければいいのか…。

 本日はこれまで。秋田には鉱山文化の名残が残っている。マタギの里もある。

 というわけで、ディープな秋田県メールを待つ。

 今週末から11月の半ばまで毎週末が出張の日程で埋まった。忙しいのであるが、出張先のホテルには大方大浴場がある。それだけが楽しみなのさ。

(特別編集委員 野瀬泰申)



実食編 納豆に砂糖。入れすぎ注意報発令中!

時間差秋田実食編 馬肉ラーメン、100万馬力

秋田県編(その2) アッ、キター! 秋田ちゃんぽん

秋田県編(その3) 酢の物はミツカンじゃないよミカンだよ

秋田県編(その4) 人類皆鍋奉行


※これまでに掲載した秋田県関連情報もぜひご覧ください

ご当地鍋物(その3) 秋田県横手市で「ご当地鍋物」大会  醤油(その2) いしる、しょっつる、いかなご醤油〜日本三大魚醤
 <秋田県横手市でB−1グランプリ>
特別編 B-1グランプリinYOKOTE  イモ(番外編) 乱入デスクの横手リポート〜B級ご当地グルメの祭典inよこて
 <ババヘラで盛り上がりました>
メロンパンとサンライズ(その2)  メロンパンとサンライズ(その3)  メロンパンとサンライズ(その4)  ところてん・他海藻系(その4)  たこ焼き・お好み鉄板系(その1)

※これまでの食べBの県別一覧はこちらから。

 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

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