おかわり 黒豚より魚でダイエット?(デスク版鹿児島県実食編)



ラーメンに大根が鹿児島スタイル
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ラーメンに大根が鹿児島スタイル

 今回の実食編、ほぼ全旅程が野瀬とは別行動でした。僕なりに頭に描いたテーマは「鹿児島の魚」。鹿児島県というと黒豚のイメージが強いのですが、九州の南端で海に囲まれているのですから、魚がまずいはずがない。

 ということで、魚に重点を置きつつ、大隅・薩摩の両半島、ぐるりと海沿いを中心に回ってきました。

 1日目(6月7日)

 鹿児島空港に降り立ってまず向かったのは大隅半島の太平洋側に位置する志布志です。農林水産統計によれば、2012年のうなぎ養殖の生産量は全国で1万7377トン。うち鹿児島県は7184トンと県別でトップ、日本の養殖うなぎの約4割を生産する「うなぎ県」なのです。

志布志の「特上うな丼」
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志布志の「特上うな丼」

 その鹿児島県の中でも、志布志は特にうなぎの生産地として知られています。いわば「うなぎ県の県庁所在地」です。大隅半島のシラス台地が生み出す地下水と南国ならではの温暖な気候が、うなぎの養殖に最適なのだとか。そんな志布志に行けば美味しいうなぎが食べられるに違いないというもくろみです。

 ネットを頼りに探し当てたお店は「うなぎ太郎」。食べたのは「特上うな丼」です。一番美味しいうなぎを食べなきゃ、遠路はるばる来た意味がありません。とはいえ、デザートのメロンまでついて1800円。東京なら「並」の値段ですよね。

地焼きなのに柔らかい
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地焼きなのに柔らかい

 しかも美味しい。地焼き、つまり蒸さないうなぎなのですが、実に柔らかい。そもそもうなぎの食べ方は、関西の「まむし」にしても、九州の「せいろ蒸し」にしても、地焼きのうなぎと言いながら、炊きたてのご飯に埋めたり、ご飯の上にのせてから蒸したりと、うなぎ特有の固さを克服すべく、調理に工夫が凝らされています。

 しかし、今回食べたうなぎは一切蒸していない、地焼きのまま。なのに、固さがまったく苦にならない。ちょうどいい感じの歯ごたえなのです。これって、うなぎのアルデンテ?

「見てみる?」
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「見てみる?」

「見てみる?」と厨房の奥からご主人が持ってきてくれたのが、背開きのうなぎに串を打って地焼きにしておいたもの。これにタレをつけて蒲焼きにし、ご飯の上にのせるのだそうです。

 柔らかさの秘訣は、地物のうなぎの「アオ」。やや水色がかったうなぎは、茶色っぽいうなぎに比べて格段に柔らかいのだとか。空港から80キロ超。来た甲斐がありました。

 次に向かったのは霧島市。鹿児島名産・黒酢の産地を見に行きました。

まさに「壷の畑」
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まさに「壷の畑」

 野外に並べられた壺の中で麹、米、水が糖化、アルコール発酵、酢酸発酵が自然に進行するのが黒酢です。テレビなどで見た、一面に壺が並ぶ風景を、ぜひこの目で確かめたかったのです。

 霧島市福山町の坂元醸造の「くろず『壺畑』情報館&レストラン」では、黒酢の歴史や製法を紹介するとともに、黒酢を使った料理も食べることができます。レストランはガラス張りになっていて、一面に並ぶ黒酢の壺や桜島を一望できるようになっています。

 壺がずらりと並ぶ様は、まさに「壺畑」。圧巻でした。

まだ青かった阿久根のシンボル
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まだ青かった阿久根のシンボル

 2日目(8日)

 2日目は熊本県実食編でもお世話になった水俣の三牧さんが、再び案内役を買って出てくれました。三牧さんの車に乗って、鹿児島県の「ウエストコースト」を海沿いに南下しました。国道3号線を走り、八代海の「ふた」に当たる長島へ分かれる道を過ぎると目の前には広い海原が広がります。ここから先は外海・東シナ海です。

 三牧さんの車に同乗したのは、鹿児島県編の際、阿久根に住むおじいちゃんおばあちゃんとの思い出を語ってくれた松山の坂本さん。坂本さんとともに思い出の味を確かめることにしました。

「華の50歳組」?
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「華の50歳組」?

 車が阿久根市に入ったとたんに目についたのがこの看板。「華の50歳組」っていったい何?

「華の50歳組」は阿久根市の登録商標。市内の全小学校で行われている行事で、卒業生が50歳になったとき、同級生が一堂に会して母校の運動会に参加するというものです。

 昭和26年に、当時50歳だった阿久根小学校卒業生の数名が、かつての運動会の話題でエスカレート、「今、競争して決着をつけよう」と、母校の運動会への参加を申し入れたことが始まりとか。中年層の体力維持、健康増進という意味も加わり、さらには旧交を温め、連帯感を深める同窓会は阿久根市特有の行事として定着しました。

丸のままものきびなごを七厘で炙る
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丸のままものきびなごを七厘で炙る

 こういう地元のコミュニティーっていいですよね。まさしく「ふるさと」って感じがします。

 阿久根のシンボルはボンタン。昭和46年には市の木に制定されました。そして海産物ではきびなごが有名です。阿久根市が位置する北薩・甑島地区の水揚げ量は県内随一。「道の駅阿久根」で地元の漁港で揚がったきびなごのお刺身と塩焼きをセットにした「きびなごご膳」を食べました。

 お刺身は酢味噌で食べます。でもお刺身より感動したのは塩焼き。きびなごを丸のまま、七厘で炙って頭からがぶりといきます。

あらかぶの味噌汁
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あらかぶの味噌汁

 お刺身でも食べられる新鮮なきびなごを香ばしく炙るんです。昼間からお酒が欲しくなってしまいました。その日揚がった魚でメニューが決まるという刺身定食はアジでした。「ハンドルキーパー」三牧さんお手前、悶絶しながら昼酒を我慢しました。

 一方でご飯がススム君だったのが、あらかぶの味噌汁。出しはもちろん、まるで煮魚のようにたっぷりとついた身で、ご飯を食べ進むことができました。

 きびなごのまるかじりの次は、絶対丸かじりできないまぐろです。串木野はまぐろのまち。まぐろを食べずには帰れません。向かったのは和風レストラン「和楽路」。まぐろづくしで、2度目の昼ご飯です。

串木野まぐろラーメン
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串木野まぐろラーメン

 まずは、県外でも知られているまぐろラーメン。あっさり味のラーメンの上にまぐろのステーキ、温泉卵などがトッピングされています。ゆずこしょうを入れて食べると、薄味のラーメンがピリっと光ります。

 まぐろの尾の身「舵取り」のそぼろが特徴の「舵取り丼」には、まぐろの味噌かつ、唐揚げ、照り焼きがのっています。麦味噌を使った甘い味噌が、まぐろというだけでなく八丁味噌の味噌かつとの違いを鮮明にしていました。

 そしてまぐろを中心に地元産赤鶏のチキンカツと黒豚のメンチカツを揃えた「三大カツ定食」は別名・験担ぎご飯。勝つ、勝つ、勝つ、ということなんでしょうね。ちょっとやり過ぎちゃったかな…。

甕で焼酎を寝かせる
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甕で焼酎を寝かせる

 串木野では、つけあげ(さつまあげ)の工場と焼酎蔵も見学してきました。ウイスキー工場や日本酒の酒蔵は何度か見学したことがあるのですが、焼酎は初めてです。

 仕込み場から、発酵槽蒸留工程でき上がった焼酎を寝かせる貯蔵庫、瓶詰め、ラベル張りまで、芋の甘い香りが漂う蔵の隅々まで見ることができました。ウイスキーの木樽に対し、甕で寝かせるのが焼酎らしかった。ウイスキーのように長期熟成させた銘柄もあるそうです。

 蔵の中には試飲コーナーもあり、黄麹、黒麹、白麹の銘柄を飲み比べることができました。元々日本酒に使う黄麹を使って醸造していたものの、焼酎には不向きで生産量が安定せず、その後沖縄の泡盛に使われていた黒麹が主流となり、さらに黒麹から生まれた白麹で生産が飛躍的に安定、根付いたのだそうです。

見渡す限り茶畑が続く
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見渡す限り茶畑が続く

 フルーティーな黄麹焼酎は最近のものと思っていたのですが、実は「復活」だったんですね。勉強になりました。

 3日目(9日)

 夕食は、鹿児島市内に入り野瀬と合流。しかし翌朝、鹿児島市内から北上する野瀬に対し、僕は薩摩半島をさらに南下していくルートをとりました。

 まず向かったのが知覧です。知覧茶の産地として知られていて、知覧から枕崎にかけての道のりは見渡す限りの茶畑でした。黒酢の「壺畑」といい一面の茶畑といい、鹿児島県の食の風景はとても広々としていました。

知覧武家屋敷庭園
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知覧武家屋敷庭園

 知覧の名物はお茶だけではありません。知覧武家屋敷庭園群は江戸時代の街並みがそのままに、現在も多くの方々が暮らしている住宅街です。この日はあいにくの天気でしたが、石積みの上の生け垣で囲まれた家々をめぐる小路は、格好のお散歩ルートです

 武家屋敷庭園群の広い敷地には国の名勝に指定された7つの庭園があり、街並みを保存するための入館料、大人500円を払えば、個人宅にもかかわらず庭に立ち入って見学することができます。

枕崎鰹船人めし
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枕崎鰹船人めし

 そして知覧といえば、忘れてはならないのが特攻隊です。知覧には太平洋戦争末期の沖縄戦で飛行機もろとも敵艦に体当たりした陸軍特別攻撃隊の基地がありました。知覧特攻平和会館には、戦死された隊員の慰霊と平和を祈念するために、特攻隊員の遺影、遺書、遺品、記録などが収集・保存・展示されています

 食べ物の話に戻りましょう。知覧からさらに南下し、向かった先は枕崎。かつおのまちです。もちろん食べてきました。

カツオのたたき
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カツオのたたき

 枕崎お魚センターの展望レストランで食べたのは、1日10食限定という「枕崎鰹船人(ふなど)めし」。「枕崎ぶえん鰹」ブランドのかつおの切り身にかつお節や梅肉などをのせ、かつお出しをかけたぶっかけ飯です。「枕崎ぶえん鰹」は一本釣りしたかつおを船上で血抜きした後、急速冷凍したもので、歯ごたえがよく、臭みが少ないのが特徴です。

 かつおとなるとやっぱりたたきも食べておかないと…。ぶっかけ飯にプラスして食べちゃいました。ポン酢とニンニクの組み合わせって最高ですよね。

流れるプールならおぼれること確実な水流
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流れるプールならおぼれること確実な水流

 下り立ったJR枕崎駅は、本州最南端の駅でした。最北の北海道・稚内駅から青函トンネル、関門トンネルを経て、ここまで鉄路がつながっているのです。まさに終着駅。

 さて、今回の実食編、最後の見所は唐船峡流しそうめん。本編でも登場した、ぐるぐる回る「流れるプール」の流しそうめんです。この「ぐるぐる」をぜひ動画で皆さんにお見せしたかったのです。

 唐船峡は流しそうめん発祥の地といわれ、渓谷の水温はひんやり13度、1日に10万トンも湧出する清水はそうめん流しに最適です。鯉とマスが泳ぐ清流と緑の中にずらっと並んだ「ぐるぐる」はこれまた圧巻でした。

池田湖の「イッシー」なぜか満面の笑み
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池田湖の「イッシー」なぜか満面の笑み

 しかも何軒かあるお店のひとつが指宿市直営。市営の流しそうめんなんです。エレベーターで渓谷の下まで降りて行き、そこで食券を買い、自分の「ぐるぐる」場所を決めてから食券を渡して注文します。

 つゆ、薬味とともに、ざるに盛られたたっぷりのそうめんが運ばれてきて「ぐるぐる」の中心に置かれます。水流は意外に速く、そうめんをどさっと「ぐるぐる」に入れたら、箸を突っ込んだだけで、自然にそうめんが絡んで来ます。竹筒に流れてきたそうめんをキャッチする流しそうめんとはだいぶ趣が異なります。

砂風呂に入る時間がなくなりました…
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砂風呂に入る時間がなくなりました…

 つゆがかなり甘いのは、さすがは甘い醤油の国・鹿児島ですね。残念だったのは、あまりに流れが急で「最後の数本」がどうしてもキャッチできないこと。ぐるぐると回り続ける数本のそうめんに敗北感を味わいつつ、エレベーターで「地表」に戻りました。

 最後は日本版「ネッシー」の巨大水棲生物「イッシー」の石像がある池田湖で大うなぎを見学して、指宿の砂風呂までたどり着いたらタイムアウト。鹿児島県内を猛ダッシュで走り回った実食編の旅でした。

 少しは痩せたかな?

(デスク)

2013年6月14日


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