第224回 京都府ご当地グルメ(その3) 喫茶店、3度の食事にサンド出す

特別編集委員 野瀬泰申


京都府

 あっさり薄味のイメージが強いものの、実はこってりどろどろのラーメンが大好きな京都人。やはり、外から見るのとは違った「京都の食」があるようです。
 そしてそれは、喫茶店にも及ぶのです。果たして京都の喫茶店とは…。
 今週のおかわりは、山開きを直前に控えた富士山周辺のご当地グルメ情報をテスクがご紹介します
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(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい記事の県別一覧はこちら

自由軒のライスカレー
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自由軒のライスカレー

 半年前から準備していた連載が始まった。小紙日曜版「詩歌教養面」の「文学食べ物図鑑」である。明治以降に書かれた文学作品に登場する食べ物や食の風景から時代相を読み解こうというもので、高いハードルを越える自信はないが、記者生活40年の「卒論」のつもりで取り組んでいこうと思っている。

 6月7日付けの1回目は織田作之助の「夫婦善哉」を取り上げた。冒頭に出てくる紅ショウガの天ぷらや自由軒のライスカレーについて書いている。お手元に日経がある方はご笑覧いただきたいような、恥ずかしいような。

 さて京都府編も3回目。以前から気になっていたテーマが登場する。

MNo.16

タマゴサンド(名古屋のす〜さん提供)
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タマゴサンド(名古屋のす〜さん提供)

 昔、京都にタマゴサンドの名店「コロナ」があって、その伝統が別の店に引き継がれて続いていますが、ここのタマゴサンド、厚焼き卵なんですよね。フワフワの。
 同じように、名古屋にも厚焼き卵の卵焼きがいろいろな喫茶店メニューででています。
 一般に、タマゴサンドというと、コンビニにあるようなゆで卵をマヨネーズで和えた物というイメージあります。厚焼き卵のタマゴサンドって、特定の場所の物なのでしょうか?
 京都の話題とはちょっと外れるかもしれませんが(名古屋のす〜さん)

ほら、卵焼き(名古屋のす〜さん提供)
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ほら、卵焼き(名古屋のす〜さん提供)

 そうなのである。大阪在勤中、京都に行く機会が何度もあった。いや頻繁に行っていた。それで気づいたことの一つが「京都のタマゴサンドは卵焼きを挟んだものである」ということ。当時、兵庫県の西宮市に住んでいたが、近所のスーパーで売っているタマゴサンドも同様に卵焼きを挟んだものであった。関西や名古屋の文化であろうか。

 それと京都には喫茶店が多い。そんな印象が強い。有名な喫茶店が何店かあって、そのうちの「イノダコーヒー」や「小川珈琲」は豆を東京でも売っているのでときどき買う。

 またしてもこの方に補足していただこう。

MNo.17

「元祖ビーフカツサンド」(いけずな京女さん提供)
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「元祖ビーフカツサンド」(いけずな京女さん提供)

 「京都を象徴する食べもんて何やろ?」て考えてみました。そしたらやっぱしこれです、「ビーフカツサンド」。
 写真は、京都の老舗ベーカリー・志津屋さんの「元祖ビーフカツサンド」since1948です。
 理由は、みっつ。
・京都人は、日本一パンを食べます。
・京都人にとって「肉」=牛肉のみで、豚肉(ぶた)と鶏肉(かしわ)は魚と並列の別の食材です。
・京都は喫茶店文化が今も活きている町で、サンドイッチはその主力メニューとして京都人に愛されてきました。
 家計調査を見ますとパン、牛乳、コーヒー、バター、牛肉の消費支出は、例年京都がほぼ1位です。ちゃんと証明されていますね(いけずな京女さん)

「肉」=牛肉のみ
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「肉」=牛肉のみ

 京都の喫茶店文化。パン好き。コーヒー好き。だから喫茶店でサンドイッチ。という簡単かつ明白な理由が成り立ちそうである。サンドイッチの中でもビーフカツサンド、卵焼きを挟んだサンドイッチが人気。

 書いていたら卵焼きサンドが食べたくなった。東京では見つけるのが大変なので、自作する。卵を焼くときに青ネギの刻んだやつを混ぜるとネギ焼きサンドになるんどすえ。

 次のメールにも喫茶店、サンドイッチが出てくる。


MNo.18

京野菜
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京野菜

 京都(市内)で食べBが成立するか、大変興味を持って拝見しております。食べB本来の領域である家庭のメシに「おばんざい」とかのブランドが付いて「A」になる世界なので、何をもって「B」と称するかは非常に難しいのが実情です。
 それでBかどうかはさておき、京都(市内)の食を考えると、次のような傾向が浮かんできます。
(1)菜食の伝統  「青物ばかり食うて往生(王城)の地」という落語の文句にある通り、海から遠い土地柄で、京野菜がブランド化するのは当然の成り行き。もちろんお寺の精進料理の影響もあり、タンパク質摂取のための豆製品の多様化が注目され(豆腐・湯葉・白味噌・大徳寺納豆)、カレーの具にお揚げさんなどはその典型と言えます。

にしんそば
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にしんそば

(2)保存食  一方で海鮮は塩干ものが原則。鯖寿司、にしんそば、棒鱈などは海から遠い不利をメリットに代えたものと言え、世界に冠たる中国料理に干物が多いのと並行した現象でしょう。
(3)職人・学生の街 京都は公家文化や茶人文化に目が行きがちですが、日本の工芸の中心としての職人の街でもあり、観光客向けとは別の「大量、濃厚な味付け」の伝統があります。この傾向はいまや京都が有する多数の学生の胃袋で支えられているようで、京都名物の濃厚なラーメンなどがこの傾向を示しています。
(4)パン食の愛好 京都人の愛する喫茶店文化とも密接に関連していますが、京都人のパン食愛も有名です。京都発の有名パンメーカーの存在とともに、牛カツサンドやフルーツサンドなどいかにも京都らしい品種も忘れることはできません。
(5)気候・風土 くずきりやあんかけ系の食べ物などに見られる寒暑の差の激しさも大きな要素です。蒸寿司は大阪にもありますが、京都の冬の厳しい寒さを前提にした食べ物であると断言しても差支えないように思います(Lazy Fiddlerさん)

あんかけ好き(大阪の原さん提供)

あんかけ好き(大阪の原さん提供)

 京都というか洛中における食文化の概観がよくわかる。だがパン、牛乳、コーヒー、バターの消費支出が全国一なのは、なぜだろう。そしていつごろからこの傾向が顕著になったのであろうか。進取の精神とかではない理由があるはずだが、うまく説明できない。

 学生が多いことと関連がありそうな気がする。

 京都のコーヒーは濃いのか。

MNo.19

濃い(名古屋のす〜さん提供)
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濃い(名古屋のす〜さん提供)

 ご存知かと思いますが、たしかに京都で濃いものといえばラーメン、そしてコーヒーですね。気のせいかと思っていたら、池袋のコーヒー問屋の若旦那が以前、関西に関東のローストで豆を出荷したところ突き返されて大変だったとおっしゃってました。
 あと、前回冒頭で郷里金沢の「そうめんなす」という言葉が出ていて。これって、そうめんとなすを吸い物の出しで煮たあの料理のことでしょうか。
 それであれば、昨年亡くなった誇り高き金沢人の祖母は「そうめんのおつゆ」(なす以外の具が入ることはないので)と呼んでいました。
「おつゆ」といいつつ、汁が見えなくなって箸が動かなくなるほどそうめんをいれるのが城下町風だそうです。
「そうめんなす」という呼び名は初めて聞き、以前、某アルコールCMで、普通皮や種を取って吸い物や和え物、漬物にする加賀太きゅうりを大物俳優さんが丸ごとかじっているのを見た時と同じくらいの衝撃をうけました(江下さん)

濃いけど美味い
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濃いけど美味い

 そうだ、そうだった。京都のコーヒーは濃い。専門店ほど濃い。大阪も濃い。濃いけど美味い。

 金沢の「そうめんなす」は地元の人から聞いた呼び方。家々によって異なるのであろう。農水省選定「郷土料理百選」では「なすソーメン」という名で石川県の候補料理になっている。

 さて向日市の激辛商店街の辛さも濃い?

MNo.20

京都のたぬき(豊下製菓の豊下さん提供)
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京都のたぬき(豊下製菓の豊下さん提供)

 所用で洛中まで出かけたついでに、化石に近づいている洛中食と向日市の激辛調査。
 京阪三条から四条烏丸にかけてうろついたけれども、カフェや各国料理店にラーメン店は目立つが、うどん・そば屋や食堂は数えるほど。ロウ見本にも洋食メニューが多いです
そして実食は、きっと牛カツだろうから「カツライス」はやめにして「京都のたぬき」。
 続いて、阪急烏丸から東向日へ。駅前のクレープ屋さんで、デスクの実食編では絶対にあり得ない激辛甘味をチョイス。
 しかも、2種類のメニューから辛いとこ取りの特注品をお願いしました。それは、唐辛子入クレープ生地に辛味ソースをかけたチェリソソーセージなどの入ったものです。生地の唐辛子が良い仕事をしていました(豊下製菓の豊下さん)

激辛クレープ(豊下製菓の豊下さん提供)
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激辛クレープ(豊下製菓の豊下さん提供)

 私は特段の事情がない限り向日市には立ち入らない所存である。豊下さんが「デスクの実食編では絶対にあり得ない激辛甘味をチョイス」と書いたので、デスクは意地になって同じものを食べると思う。命が惜しくはないのかねえ。

デスク 命、賭けてます!

 次のものも辛いのか?

MNo.21

若狭小浜で食べたカレー焼き
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若狭小浜で食べたカレー焼き

 宮津カレー焼きと宮津カレー焼きそば(宮津市)。
 つゆだくのウェットタイプと、通常の焼きそば型のドライタイプがあります。個人的なオススメは、ウェットタイプの「藤木食堂」です(お名前ありません)

小麦粉生地の中にカレールーが入ったもの
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小麦粉生地の中にカレールーが入ったもの

 丹後の宮津。カレー焼きというのは円筒形の小麦粉生地の中にカレールーが入ったもの。個店のメニューだが、地元では大変人気とか。

 同じものが三重県の津市にある。焼き型も同じかも。

 宮津のカレー焼きそばはウェットタイプというか、つゆだくのものが話題になることが多い。市内飲食店の競作なので、店によって違いがある。

 カレー焼きそばで思い出すのが福島県実食の旅で訪れた奥会津の食堂で食べたもの。ソース焼きそばにカレールーがドーンとのっていて、ご飯添えであった。半分も食べられなかった。

会津のカレーやきそば
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会津のカレーやきそば

 今週はこれまで。少しメールが残っているが、最終回に温存する。

 次回で京都府編を終え、その次は宮崎県。それから福井、和歌山、東京で日本一周の食の旅は大団円を迎える。もう少しである。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「7月1日、富士山「開山祭」〜周辺ご当地グルメガイド」です。ぜひお読みください。

京都府編(その1) 京都人、生八ツ橋は食べまへん

京都府編(その2) 京都人は濃厚民族である

京都府編(その4) 「てっぱい」をいっぱい食べたい

大阪・京都府まとめて実食編 「飯炊き仙人」こんにちは


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年6月12日

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