第34回 長崎ご当地グルメ(その2) カルコークは「砂糖屋の近か」

カルコーク?(アミー隊員試作)
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カルコーク?(アミー隊員試作)

 先週の金曜から日曜まで富山に行っていた。B級ご当地グルメによるまちおこしフォーラムと富山県実食編の取材であった。(「食べBって何?」という方は「食べB入門編」をご覧下さい。食についてのメール投稿先はこちら

 飛行機に乗ろうと羽田空港の搭乗口で待っていると、富山周辺は視界不良のため小松空港に着陸するか、東京に引き返すこともあり得るので覚悟してね、というアナウンス。低気圧の影響らしい。

 後に知るのだが、この日の北陸には強風が吹き荒れ、建設中の橋からゴンドラが落ちて2人が亡くなるという事故も起きていた。

 同行の愛Bリーグ代表にして富士宮やきそば学会会長の渡辺英彦さんと「なるようになるでしょう」てな話をしながら搭乗した。

 1時間後、無事に河川敷につくられた富山空港に着陸。それからはアミー隊員が設定したスケジュールに従って食べ続けの飲み続けのしゃべり続けとなった。

メニューに「カルコーク」(ミルフォードさん提供)
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メニューに「カルコーク」(ミルフォードさん提供)

 フォーラムには遠く名古屋から駆けつけてくださった方もあり、私がつかみに失敗してすべった以外は大変内容豊富な3時間となった。皆さん非常に熱心で、メモを取る姿が目立った。ジョークまでメモする人もいたのではないか。

 実食編の取材は過酷であった。その過酷さについては来年早々にご報告する。


 さあ、本編を始めよう。

 彼の地のマヨは甘いという衝撃の事実で始まった長崎編。今回はこのメールから。


左上から時計回りで小浜ちゃんぽん、オバマ大統領?、浴衣の人、温泉マカロン(小浜のちゃんぽん番長さん提供)
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左上から時計回りで小浜ちゃんぽん、オバマ大統領?、浴衣の人、温泉マカロン(小浜のちゃんぽん番長さん提供)

MNo.9

 ようやく懸案でした「小浜ちゃんぽん音頭」が完成しそうです。
 現在、「小浜ちゃん本」という小冊子を作成しており、現在までの歩みだとか、今後の展開などを掲載する予定です。
 あと、小浜温泉では、温泉水を使ったグルメが多いです。古いところでは「湯せんぺい」「温泉あんぱん」。今では「温泉マカロン」に「温泉入りちゃんぽん」などなど。やっぱり温泉が原点なのだと思います。
 「ほっとふっと105」という世界一の足湯も今年2月2日にオープンして連日賑わっております(小浜のちゃんぽん番長さん)


B−1グランプリ厚木大会での「小浜ちゃんぽん」(ミルフォードさん提供)
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B−1グランプリ厚木大会での「小浜ちゃんぽん」(ミルフォードさん提供)

 米国のオバマブームに乗ってその名をはせた雲仙の小浜温泉。そこで長年食べられてきたちゃんぽんをテーマにしたまちおこしが続けられている。推進団体の「小浜ちゃんぽん愛好会」は今年のB−1グランプリ厚木大会に初出展して健闘した。

 ブースにはオバマ大統領の似顔絵が並び、中では汗だくでちゃんぽんをつくる番長の姿があった。

 小浜のちゃんぽんは長崎のものよりやや薄味。魚介類をたっぷり加えることと、生卵をのせるのが特徴である。

 大阪を中心にチェーン展開しているちゃんぽんの店のものにも生卵がのるので、小浜に行った折にその話をすると「ああ、あのチェーンの経営者は小浜出身ですから」という返事であった。

 卵をトッピングする場合、長崎では金糸卵を、博多や久留米はゆで卵を用いる。であるから同じちゃんぽんでも、トッピングの卵の違いで、おおよそのルーツが推測できるのである。


 「小浜ちゃんぽん音頭」は「長崎 雲仙 小浜の町は あちらこちらに温泉湧くよ」で始まり「人生損得 こだわるならば 小浜ちゃんぽん 食べなきゃ損よ」と続く。

長崎で見かけたちゃんぽんいろいろ(ミルフォードさん提供)
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長崎で見かけたちゃんぽんいろいろ(ミルフォードさん提供)

 2番は「人生勝ち負け こだわるならば 小浜ちゃんぽん 食べなきゃ負けよ」。

 3番が「四角四面も 六角井戸も ちゃんぽんつついて 丸くなれ」である。


 番長さんはこの音頭が完成したあかつきには「おばちゃん音頭」として親しまれることを望んでいる。

 それから「小浜ちゃん本」というネーミングは大変よいと思う。


 先週、お願いした「カルコーク」情報が早速届いた。


「ツル茶ん」の食べるミルクセーキ(ミルフォードさん提供)
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「ツル茶ん」の食べるミルクセーキ(ミルフォードさん提供)

MNo.10

 「カルコーク」ですが、種明かしをするほどのこともありません。カルピスをコーラで割っただけの代物です。
 食べるミルクセーキもカルコークも、長崎の喫茶店のメニューには大抵並んでいたもので、まさか長崎を出た途端に口にできなくなるものだとは予想だにしておりませんでした。この辺、トルコライスが長崎だけだと知った際のショックにかなり近いです。
 県外の友人に、思い入れたっぷりに説明すると「うわぁ、甘そう…」とドン引きされてしまいます。確かに、ただでさえ甘いカルピスの原液をコーラで割るのですから、砂糖の摂取量としては相当なものだとはよく分かります。
 これが普通に飲まれている時点で、長崎はやっぱり、味付けが甘い地域なんでしょうかねぇ。
 ゴマ豆腐、甘いです。ピーナツ豆腐も甘いです。豆腐と名乗るよりはプリンと言った方が、甘さを想像しやすいと思います。ご飯のおかずとしては、私にはちょっと甘すぎるので醤油をかけて食べます。ワサビとお出しでいただく、甘くないゴマ豆腐を食べたときはショックでした……美味しくて。
 甘いと「長崎が近い」、甘くないと「長崎が遠い」と表現するとの話ですが、私の両親は「砂糖屋の近か」「砂糖屋の遠か」と言います(カルミンさん)


久留米で食べたミルクセーキ
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久留米で食べたミルクセーキ

 長崎の食べるミルクセーキについては「食べ物 新日本奇行」の「ミルクセーキとプリンアラモード」の回で、かなり論じている。そこにも書いたが久留米でもミルクセーキは「食べる」もので、そのための長いスプーンがついてくる。

 それで育った私はミルクセーキが「飲む」ものであるとは思っていなかった。長崎を起点とする北部九州独自の食べ物らしい。

 それから私はこれまで1度もカルピスの原液をコーラで割ったことはない。これからもないであろう。

 コーラで割るのは焼酎かウイスキーかラムにしたいものである。


 甘いごま豆腐やピーナツ豆腐については、できれば知らなかったことにしたいものである。

 とは言うものの甘い赤飯、甘い茶わん蒸し、甘いたまご豆腐など、土地によっては意表を突くものが甘いことも多いので、驚かないようにしたいものである。

トルコライス(ミルフォードさん提供)
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トルコライス(ミルフォードさん提供)

 九州で甘い物に出合ったら「長崎の砂糖屋の近か」と叫ぶのがよかろう。


 カルミンさんのメールには前回、ミルフォードさんからいただいたメールに登場した「ミラクルトイレ」の正体が書かれている。


 「ミルフォードさんの発見なさったミラクルトイレ、何のことはありません。普通のトイレです。メイク直し用のミラーがオシャレな感じで配置されている辺りが、ちょっと違った印象でしょうか。ミラーの配置の仕方が、どことなくミラーハウスを彷彿とさせるような……」

 ミラクルトイレは長崎駅隣接の商業施設「アミュプラザ長崎」にあるそうな。


 そのミルフォードさんから、こんな話題と写真が届いている。


シースケーキ(ミルフォードさん提供)
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シースケーキ(ミルフォードさん提供)

MNo.11

 「シースケーキ」は「シースクリーム」とも呼ばれる長崎の食の方言。長崎市内のケーキ屋さんの定番です。地元を離れてみて、初めて長崎にしかないケーキだと気が付いた人もいるとか。
 ショートケーキのイチゴの代わりに黄桃とパイナップルがのった四角形のケーキ。私は浜町の「梅月堂」で食べました。
 見た目が「豆のサヤ」に似ていたことから、サヤを英語で言おうとしたところ、刀の鞘(sheath)と間違えたことから名づけられたとか。


 私は写真をしばらく見詰め続けた。見覚えがあるのである。デジャビュ。

 ひょっとすると子どものころ、いただき物かなにかで食べたことがあるのかもしれない。

 苦味がきいたコーヒーと合いそう。


「松翁軒」のチョコラーテ。「カステラは生きています」
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「松翁軒」のチョコラーテ。「カステラは生きています」

MNo.12

 大学時代に大村市出身の友人がいました。学生時代に1度長崎に出かける機会があり、これは食っておけという物はなんだと聞いたところ「松翁軒」のチョコラーテと教わりました。
 「福砂屋」のオランダカステラじゃないんですね。当然買って帰り、美味しい思いをさせていただきました(名古屋のす〜さん)


 「松翁軒」はカステラ元祖、創業300年の老舗。チョコラ−テはチョコ味のカステラで、明治期に開発されたという。

 これにも既視感があるのは、やはり子どものころ口にしたことがあるからだろう。


 甘い食べ物が続いた。何か飲み物は?


BANZAIサイダー(いけずな京女さん提供)
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BANZAIサイダー(いけずな京女さん提供)

MNo.13

 まだまだ「龍馬伝」あやかりブームに沸く京都では、龍馬ゆかりの地のひとつ、長崎への関心も高まっております。おかげで通常見かけることのない、長崎の珍しいもんがスーパーで買えたりします。例えば長崎の地サイダー「BANZAIサイダー」。
 「BANZAI」とは1904年にイギリス人のロバート・ニール・ウォーカー氏が日本で初めての大量生産を開始した飲料水のこと。
 当時、飲料水は小売店の店先で量り売りが一般的でした。もちろんブランドなどありません。ちゃんとした名前が付けられ、ラベルが貼られ、しかも大量に生産された清涼飲料水としては日本初のブランドとのこと。
 「BANZAI」は「ばんざーい、ばんざーい」のバンザイ、当時の祝賀ムードを反映したものだと言われています。
 その当時の製法を基に復活されたのが「BANZAIサイダー」で、シャンパンサイダー香料・砂糖・酸味料のみで製造された、どぎつくなく大人の味の炭酸飲料でございます。
 一口飲むと、文明開化の音が聞こえてきますよ(いけずな京女さん)


 このところ地サイダーブーム。富山県黒部市の宇奈月温泉では「黒部の泡水(あわみず)」が登場したそうな。温泉水を使った「つべつべ焼きそば」もある。「つべつべ」とは「つるつるすべすべ」を意味する方言。温泉らしいネーミングである。


 郷土料理方面にも目を配ろう。


乾麺の「六兵衛うどん」(上)と「イギリス」(下)(あかさくらさん提供)
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乾麺の「六兵衛うどん」(上)と「イギリス」(下)(あかさくらさん提供)

MNo.14

 島原での有名なものといえば「寒ざらし」と「六兵衛(ろくべえ)」です。前者は簡単にいえば、砂糖水の中に小さな白玉を浮かべて、湧き出る地下水で冷やして食べる夏の清涼剤です。
 かつて、それはそれは風情のある「銀水」という名の寒ざらし屋が、市内の湧き水がこんこんとわき出す泉の傍らにありました。しかし1人で切り盛りするお婆さんが亡くなって廃業してしまい、寂しい思いをしている人がたくさんいます。
 六兵衛はサツマイモ粉と小麦粉を混ぜてこねたものを、トタン板に穴を開けたような器具を使って鍋の上から押し出して作ります。ちょうど韓国冷麺の作り方を手動で行ったような風情の、救荒食料をそのルーツに持つ麺類の一種です。うどんのような出し汁に浮かべて食べます。最近は麺としての六兵衛をあまり見かけません。
 今では麺類ではなく、中に芋あんや小豆あんを入れて「ろくべ饅頭」として売られていたりします。
 それから「いぎりす」はいぎす草という海藻を煮出して、その汁が固まることを利用した食べ物です。中に色々な野菜などを入れて味噌や醤油で味付けしますが、味付けや入れる野菜などは家庭によって違います。地元系スーパーでは惣菜コーナーに並んでいます(あかさくらさん)


 先に雲仙普賢岳噴火の際に現地デスクとして赴いたことを書いたが、いまから200年以上前にも普賢岳は噴火していた。「島原大変」である。

いぎす草
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いぎす草

 1792年、普賢岳が噴火し島原の町の背後にある眉山が崩落、津波が起きた。津波は対岸の肥後の国にも被害を与え「島原大変肥後迷惑」と言われた。

 その折の凶作をしのぐために考え出されたのが六兵衛であるという。


 「いぎりす」は四国から移住してきた人びとが今治の「いぎす豆腐」の製法を伝えたものとの説がある。多分そうであろう。


 寒ざらしはいかにも夏の食べ物らしい。湧き水の冷たさがしのばれる。


 あかさくらさんのメールの末尾にこんな話が。


うどん屋にまで唐揚げテイクアウトのお知らせ(上左)、鶏の唐揚げ(上右と下)(あかさくらさん提供)
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うどん屋にまで唐揚げテイクアウトのお知らせ(上左)、鶏の唐揚げ(上右と下)(あかさくらさん提供)

 「最近は鶏の唐揚げが流行っていて、市内にあるチェーンのうどん屋でも持ち帰り唐揚げコーナーが出来るなど、持ち帰り鶏の唐揚げ屋、あるいは鶏の唐揚げが充実した総菜屋など色々あって、面白いことになっています。

 市内で評判が良い唐揚げを2種類ゲットして食べ比べてみましたが、確かに各店で味付けなどが違って甲乙つけがたいような状況になっています。唐揚げの買い方が変わっていて、1人前と値段表示はありますが、だいたいの人は『1000円がと(1000円分)』とか『2000円がと』とか言って結構たくさん買います」


 大分県中津市状態になっているのであろうか。九州は本当によく鶏肉を食べる。

 「がと」は久留米弁と同じ。


 「1人前」という言葉が出たが……。


皿うどん太麺(ミルフォードさん提供)
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皿うどん太麺(ミルフォードさん提供)

MNo.15

 昔々のその昔、卒業直前に長崎にいた中学校時代の友人を訪ねて初めて九州に行きました。下宿に4日泊めてもらい長崎市内をあちこち回りました。「ちゃんぽん」「皿うどん」「とんこつラーメン」など多くの初体験をしましたが、一番記憶に残ったのが観光通りの「吉宗(よっそう)」でした。
 下足番から木の札を渡されたのも初めてでした。そしてなんと言っても「ひとり前」です。「茶碗蒸し」と「蒸し寿司」のセットがそう呼ばれていました。ネーミングに感心しながら「あっ」という間に完食しました。美味かったなあ!
 私の中では「ひとり前」=長崎になっています(煮豆ライスさん)


黄色いソバが阪急ソバに進出?(大阪の原さん提供)
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黄色いソバが阪急ソバに進出?(大阪の原さん提供)

 「ひとり前」。久留米でも言うような気がする。

 久留米ではラーメンは「1丁」でも「ひとつ」でもなく「1杯」である。


 テーマとは無関係だが、大阪の原さんから「姫路の黄色い駅そばが大阪にも進出している」との情報が届いた。

 姫路の駅そばは、そばではなくかん水を使った中華麺なのでやや黄色い。

 姫路は来年の第6回B−1グランプリの開催地。開催を前に早くも何かのインボーが動き始めたのであろうか。


 今回はこれから歯の手術。ルンルンルンと楽しくないってば。

 今週はここまで。引き続き長崎メールを待つ。


 いま手術から帰ってきた。術後、若い歯科衛生士が「今日は入浴と飲酒と激しい運動はやめて下さい」と言ったので「全部やります」と答えたら彼女の顔が引きつった。イケナイおじさんでごめんなさい。

 おおそうじゃった。ぐるなびの「たべたび(食べたB)」が更新された。

(特別編集委員 野瀬泰申)


>> 今週のレポート「ご当地“美”級グルメ『とやまスイーツ』実食 in Tokyo」はこちらから。



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2010年12月10日


■長崎県編
・その1 長崎はマヨが甘かった翔べ!天正遣欧少年の夢
・その2 カルコークは「砂糖屋の近か」ご当地“美”級グルメ「とやまスイーツ」実食 in Tokyo美級グルメ
・その3 竜眼はアルマジロの親戚である富山で「B級ご当地グルメでまちおこしセミナー」開催(一芸)
・最終回 蛍光食品の傾向と対策カルコーク選手権(一芸)
・実食編(前編) 五島で食べる五島地グルメ一芸クンの食べB修行記〜ちゃんぽん番町の野望〜
・実食編(後編) 三度の飯より佐世保のサンド一芸クンの食べB修行記〜ひとりデザートバイキング編〜


■入門編:「食べBって何?」という方はこちらからご覧下さい
■実食編:<映像リポート>はこちら
料理・素材名から探す(インデックス)ページはこちら


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