第236回 和歌山県ご当地グルメ(その2) 祝! 近大水産研卒業

特別編集委員 野瀬泰申


すっかり近代的になったJR大阪駅
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すっかり近代的になったJR大阪駅

 先週末、実食の旅で関西方面に行ってきた。初任地が大阪で、以来3回、通算7年半も大阪勤務だったので、大阪が第二のふるさとになった。

 幼かった子どもを連れて京都や神戸に何度も行った。家族の記憶が残る場所がそこここにある。

 今回はそんな場所を訪ねてみようと思ったのだが、歳月は無慈悲である。風景がすっかり変わった所もあったし、外国人観光客が押し寄せて歩くのもままならないような所もあった。

行列の後ろの壁がかつての「スナックパーク」
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行列の後ろの壁がかつての「スナックパーク」

 でもね、少しばかりセンチメンタルジャーニーができたのよ。変わっていない思い出の地を巡るささやかな時間が持てた。食べる方はうまくいかなかったが、そこはデスクが爆食して補ってくれたであろう。

 そんな旅のリポートは来週書くとして、和歌山県編の2回目である。

 和歌山の大物ご当地グルメは、やはりラーメンでしょう。

井出商店の中華そば(原さん提供)
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井出商店の中華そば(原さん提供)

MNo.8

 和歌山ラーメンの名門・井出商店。早すしや卵が無造作に並び、自己申告の文化が生きる和歌山ラーメンそのものの店です。駅から近く、便利でうまい。和歌山の玄関です。
 もうひとつは山為食堂。スープの底に骨の粉が沈む、濃い〜〜〜味のラーメンです。
 写真がないのですが、お勧めが福井食堂(ぶらくり丁の近所)で、一見すると怪しい大衆食堂です。でも出てくるラーメンは和歌山ラーメン。専業に負けてない味です。しかも、ここの焼き飯が絶対にチャーハンではない! ソース味の焼き飯なのです。絶対に焼き飯なのです。ぶらくり丁へ行かれる方は是非ここへ!(大阪の原さん)

骨粉はとんこつラーメンの証(原さん提供)
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骨粉はとんこつラーメンの証(原さん提供)

 スープは豚骨醤油系。かまぼこが入ることが多い。卓上に鯖の押しずし(早すし)とゆで卵が置いてあって、すべて自己申告制。「ラーメン」ではなく「中華そば」と呼ぶ。

 実は京都でラーメンを食べようと思っていた。しかしその日は雨で、いろいろな注意報だか警報が出ていて、傘を差しての夜の町歩きには不向きな天気であった。

 結局、有名な店は諦めてホテルに近い店に入った。そこにやってきたご婦人がラーメンを注文した。それを見てラーメンをやめ、ギョウザにした。ギョウザは正解だった。

卓上にゆで卵(原さん提供)
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卓上にゆで卵(原さん提供)

 ということで、いまの私はややラーメン欠乏症である。卓上にゆで卵があるところは久留米と同じであるから、そのことも私の食欲をそそってくれる。

 さらに鯖の押しずしは私の好物であるからして、早く和歌山に行きラーメンを食べたいのである。

大量の刻みネギ(中林20系さん提供)
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大量の刻みネギ(中林20系さん提供)

MNo.9

 和歌山といえばかつて東京でも話題をさらった和歌山ラーメン(中華そば)が有名ですが、以前和歌山に泊まった際、ちょっと変わったラーメン店に伺いました。
 その店、普通の中華そばでさえ大量の刻みネギがのっているという…噂は本当でした。全てが藪の中です。で、下にきちんと麺や具があって安心したものです。
 その店はオシャレでニューウェーブ系な感じだったからか、「はやなれ寿司」を置いてなかったんです。まあその分、酒のつまみが充実していましたが。
 全ての店で置いているわけじゃないのかと、その夜は諦めました。でもホテルに戻る途中のコンビニに何となく立ち寄ったところ…おむすび関連の棚の、手巻寿司のところにこのようなスタイルで並んでいました。

安心…(中林20系さん提供)
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安心…(中林20系さん提供)

 おかげで諦めていた名物をいただけたのですが、さすが和歌山だとちょっとうれしくなった夜でした(中林20系さん)

コンビニにもはやなれ寿司(中林20系さん提供)
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コンビニにもはやなれ寿司(中林20系さん提供)

 そうですよね。あの個性的で醤油の味が強調された和歌山の中華そばを食べるなら、そばに鯖の押しずしにいてほしい。ちょっと唾が出て来た。

 写真を見て神戸で食べた「ネギラーメン」を思い出した。刻んだネギが富士山盛りになっていて往生したのである。あれはやり過ぎだったが、写真のものなら大丈夫かも。

 それにしても和歌山の中華専門店や食堂の名前に「丸」とか「まる」が付く比率が異常に高いのはなぜだろう。

 次のメールは近大マグロに関するもの。

卒業証書付き(ちりとてちんさん提供)
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卒業証書付き(ちりとてちんさん提供)

MNo.10

 予約がなかなか取れない、行列が出来るお店で有名になった「近畿大学水産研究所」。そこで出されるお魚は、和歌山で養殖されています。奄美や富山にも実験場や養殖場がありますが。
 ハマチ、ヒラメ、ブリ、カンパチ、クロマグロ、クエなど。クロマグロを完全養殖に成功するまでに30年以上もかかったそうです。
 こちらでいただくお魚には、ちゃんと卒業証書が添えられ、学歴詐称はしていません。
 養殖とは思えないほどのマグロでした(ちりとてちんさん)

コリドー街にも
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コリドー街にも

 和歌山県の白浜に近畿大学臨海研究所があって、私が大阪在勤中から養殖マグロが話題になっていた。ある先輩記者はネタがなくなるとそこに行って、小ネタを仕入れて書いていた。

 それがついにクロマグロの完全養殖に成功し、名前は水産研究所に変わり、ほかの魚種の養殖にも拡大した。メールにある研究所は研究施設のことではなく、近畿大学が養殖した魚と和歌山の食材を提供している店のことである。

 大阪のほか東京の銀座・コリドー街にもあるが、込んでいてなかなか入れないらしい。前を通りかかった折に見たら、行列ができていた。

 続いて甘いもの。

わかやまポンチ(ヤマぴーさん提供)
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わかやまポンチ(ヤマぴーさん提供)

MNo.11

 フルーツ王国・和歌山が生んだご当地スイーツとして「わかやまポンチ」があります。その特徴は、和歌山県産のフルーツが使用されていることはもちろん、何といっても梅が入っていること。条件を満たせば味の制限はないので、お店によってさまざまなアレンジがあります。
「わかやまポンチ」は、地元のフルーツを使った新しいスイーツで地域を盛り上げたいという想いを持った、飲食店やホテル、学校、行政などが一緒になった取り組みでもあります。
 5年前からご当地スイーツで地域振興に取り組む地域を「ライバル」に、毎年ご当地スイーツバトルを開催するなど、和歌山県を越えて日本全国に広がり始めています。
 季節に応じた、多彩な味わいの「わかやまポンチ」。ぜひいろいろと食べ比べてみてくださいね(ヤマぴーさん)

フルーツ王国和歌山
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フルーツ王国和歌山

 無から有を生むような創作グルメには首をかしげることが多いが、この和歌山ポンチは肩に力が入っていなくて好感が持てる。県産フルーツと梅を使うことだけが条件なら自由度も高い。広がり定着することを祈る。というか食後に食べてみたい。

 次は伝統的なスイーツ。

おおやさ(いけずな京女さん)
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おおやさ(いけずな京女さん)

MNo.12

 福井県編の最後に出てきた「きな粉飯」ですが、普通に食べていました。京都人はきな粉好きなんで、いつも戸棚にあるんですよね。なので、朝ごはんにはふりかけにしてました、はい。
 それで思い出したのが、和歌山市雑賀崎地区の「おおやさ」と呼ばれる草だんご(よもぎ団子)。草だんごが5つ串に刺してあって、結構なボリュームです。これに黒蜜ときな粉をまぶして食べるという、ゴージャスな和スイーツです。
「おおやさ」という変わった名前は、1本の串に刺してある団子の数が5個とは「おお(多)いやさぇ」→「おおやさ」。もしくは、こんなに大きいのに1本50円〜80円と「おお、安い」→「おおやさ」と聞いております。オヤジギャグ?
 とっても甘〜くってボリュームがあってヘビーな、美味しいおやつです。雑賀崎地区の皆さんはこれが大好きなんだそうですよ(いけずな京女さん)

きょうだい多い?(いけずな京女さん)
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きょうだい多い?(いけずな京女さん)

 京都で茶団子を食べようと思ったが、1人前3串であったので、お腹の具合と相談して断念した。だんねんだった。

「おおやさ」は1串5個と全国平均の串団子より1個多い。胃袋に余裕がないと無理かも。関係ないが「だんご3兄弟」という歌がはやったとき、音楽関係者の中から「1人足りないのではないか」という声があがったことを思い出した。

 東京のスーパーでも買える「ほねく」について。

たっちょほねく丼(有田市産業振興課提供)
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たっちょほねく丼(有田市産業振興課提供)

MNo.13

 和歌山県有田市には、地元で獲れたタチウオなどの魚を骨ごとすりつぶして揚げた「ほねく」があり、地元家庭で食べられています。
 そのタチウオは有田市が水揚量全国一です。有田箕島漁港ではリヤカーに魚をのせて「競り」会場まで運びます。黄色で統一された多くの漁船から、多くのリヤカーにのせられたタチウオなどが運ばれる様は箕島漁港独特です。高級魚になったタチウオですが、地元では普通にスーパーに並んでいます。
 タチウオは地元では「たっちょ」と呼ばれます。たっちょのほねくを丼にしたのが「たっちょほねく丼」。全国丼連盟主催の「全国丼グランプリ2014」ご当地丼部門の金賞を受賞しています(おつるさん)

リヤカー部隊(有田市産業振興課提供)
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リヤカー部隊(有田市産業振興課提供)

 箕島漁港のリヤカー部隊は見ものであろう。いかにも活気がありそう。タチウオは昔、安い割に美味い魚という位置づけであったのが、いつの間にか高級魚になってしまった。かつては海に近い町に行くと、河口の橋から糸を垂らして釣っているおじさんの姿があったものだが。

「ほねく」は近所のスーパーにいつも置いてある。ときどき買ってるよー。

 田辺市も海の幸に恵まれている。

紀州ひろめ(田辺市水産課提供)
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紀州ひろめ(田辺市水産課提供)

MNo.14

 紀州ひろめ(ひとはめわかめ)はワカメと同種同属で、田辺以外では千葉県や三重県の一部など全国でもごく限られた海域にしか分布していません。柔らかくてとろみがあり、湯にくぐらせると一瞬にして鮮やかなグリーンに変わるので、毎回うれしい気分にさせてくれます。田辺市民は梅の花とともにひろめがスーパーに並ぶのを見て、春を感じます。我が家では例年3月、ひろめしゃぶしゃぶパーティーを開くほどです。
 また田辺地方ではカツオの人気は絶大です。特に春にだけ食べられる「もちがつお」の人気は大変なもので、これ食べたさに地元民は足しげく居酒屋へ通います。通はお店玄関で「もち、ある?」と聞き、なければ帰るほど。

イガミ(田辺市水産課提供)
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イガミ(田辺市水産課提供)

「ケンケン鰹」という一本釣り漁で釣りあげられ、かつ直ぐに絞められて、夕方に市場に揚がったカツオが見事な流通システムでお店に届けられてこそ味わえる「もちがつお」。あぁ、食べたくなってきました。
 昔からお正月や秋の祭りなどのハレの日の食膳には欠くことのできない魚がイガミです。 正式名はブダイですが、このぶさいくな魚のことを紀南の人々はイガミとしか言いません
 ちょうどこれからイガミ釣りのシーズンに入りますが、特に年の瀬になると「イガミがないと正月が来ない」と言われるほどです。
 イガミの煮付けは温かいものもおいしいですが、骨から煮汁に溶けだしたゼラチン質が冷めて固まった煮こごりと食べるのはたまりません(大久保さん)

もちがつお(田辺市観光振興課提供)
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もちがつお(田辺市観光振興課提供)

 紀州ひろめのしゃぶしゃぶ。もちがつお。イガミの煮こごり。どれもこれも田辺に行かなければ食べられない貴重な食である。

 いずれも季節があるので、いつ行っても口にできるわけではない。そこがまた素敵なところである。

 酒に合いそうだなあ。いいなあ。

 個店、または複数店のメニューにも見るべきものがある。

せち焼き(ゆんさん提供)
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せち焼き(ゆんさん提供)

MNo.15

(1)せち焼き 御坊市の「やました」
 せち焼きは、御坊の方言で「むちゃくちゃにする」という意の「せちがう」が由来。焼きそばを小麦粉を使わず、卵で固めお好み焼き状にしたもので、非常においしいです。
(2)釣鐘饅頭 日高川町の「松屋本舗」「レストラン雲水」「あんちん」
 日高川町にある道成寺にまつわる「安珍清姫伝説」をもとに作られた焼き饅頭で、道成寺の門前で購入することができます。お店によって、味が若干違いますので、ぜひ食べ比べをしてください。
(3)天狗力餅 由良町の菓匠「錦花堂」
 由良町にある興国寺の「天狗が一晩でお寺を再建した」という伝説にちなんだお菓子。ふ焼き煎餅に求肥餅が挟まれていて、求肥餅の優しい甘さが絶妙です。

天狗力餅(ゆんさん提供)

天狗力餅(ゆんさん提供)

(4)かえるまんじゅう 印南町の「日の出堂」
 印南町に「かえる橋」が完成したのを記念して作られた饅頭。白あんに卵黄を加えた黄身あんで優しい味がし、食べるのがもったいないくらいかわいいです。
(5)しらすジェラート 美浜町の「谷国水産」
 美浜町に江戸時代から続く地曳網漁で、しらすを釜揚げしています。そのしらすを使い、ジェラートの中に練りこんだアイスです。しらすの生っぽさはなく、塩アイスに似た味わいがします。
(6)梅酒大福 みなべ町の「かつら堂」
 梅酒で漬けた柔らかい梅をお餅で包み、種の代わりにカスタードと白あんが入っている大福。 白あんとカスタードという「和」と「洋」を組み合わせており、まろやかな甘みが絶妙な一品です。

衣奈そだち(ゆんさん提供)
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衣奈そだち(ゆんさん提供)

(7)とまと梅 みなべ町「ほんまもんふるさと産地直売所」
 紀州南高梅を高糖度のミニトマト「優糖星」の果汁で漬け込んだ新感覚のデザート梅干し。梅干しの酸味がトマトの果汁で程よく調和され、酸っぱくなく、甘くてとてもおいしいです。「第10回魅力ある日本のお土産コンテスト」で、グランプリを獲得ました。
(8)衣奈そだち 由良町の「道の駅白崎海洋公園」
 由良町衣奈湾で養殖されたわかめの軸を使用した佃煮。しそ、山椒、生姜の3種類があり、風味豊かな優しい味付けで、熱々のご飯と相性抜群。
(9)はまキャベツスペシャル 美浜町の「はまキャベツ」
 スルメイカや貝柱などが入ったお好み焼きに、自家製のタルタルソースをのせて、キウイフルーツをトッピングした一品。タルタルソースとキウイフルーツの程よい酸味が絶品です。

松いちごのクラッシュアイス(ゆんさん提供)

松いちごのクラッシュアイス(ゆんさん提供)

(10)松いちごのクラッシュアイス 美浜町「はないちご農園」
 煙樹ヶ浜の松林の松葉を混ぜた堆肥(松葉堆肥)を使い、和歌山県のオリジナル品種のいちご「まりひめ」を冷凍し、バニラアイスといちごソースをかけた新食感スイーツ。
 甘さと甘酸っぱさがコラボされていて、とてもおいしい。
(11)かく玉焼き 御坊市の「笑味や」
 御坊では、「人を見たけりゃ御坊祭」と言われるぐらい大きな秋祭り「御坊祭」が10/4〜5に行われます。このときに、余興奉納で御坊市内の9ヶ所から「四つ太鼓」と呼ばれる太鼓台が登場します。この「四つ太鼓」をイメージして作られたお好み焼きで、勇壮さと熱気が伝わってくる一品です(ゆんさん)

はまキャベツスペシャル(ゆんさん提供)
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はまキャベツスペシャル(ゆんさん提供)

 店はそれぞれ自慢の品をこしらえようとする。あるいは何気なくつくったものが、大ヒットする。出張で各地に行くと、行列の店、品切れご免の店によく出合う。そんな中から未来のご当地グルメが生まれるかも。

 今週はこれまで。次回は大阪・京都まとめて実食の旅編である。

 和歌山県編も後半2回が残っている。メールの在庫が乏しくなった。皆さんのお力添えを。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「高野山、熊野、パンダ…魅惑の和歌山へ旅に出よう」です。ぜひお読みください。

和歌山県編(その1) 「じゃばら」は自腹で買いましょう

和歌山県編(その3) 紀州はスシの国ですし

和歌山県編(その4) なれ鮨vs湯浅の醤油

和歌山県実食編 君にこのシラスを知らすたい


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2015年9月11日

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