第184回 大分県ご当地グルメ(その3) やきそば食べにヒタ走る

特別編集委員 野瀬泰申


 石川県実食編で、のんびり温泉に浸かって英気を養った野瀬。さぁいざ大分県編の後半戦へ、と力んではみたものの、今週はなぜかメールがぱったり…。
 それでも、これまでにいただいていた情報から、さらなる大分県の食の魅力を探り出していきます。
 今週のおかわりは、先週末、岩手県岩手郡岩手町で開催されたご当地グルメによるまちおこしイベントをデスクがリポートします
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(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい記事の県別一覧はこちら食についてのメール投稿先はこちら

鳥もつ隊の皆さん
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鳥もつ隊の皆さん

 今週末は山梨県実食の旅に出る。

 山梨は東京から近い。近いけど、そう頻繁には行かない。いや行かなかった。しかし甲府鳥もつ煮でみなさまの縁をとりもつ隊(鳥もつ隊)の皆さんと知り合ってからは、頻繁に行くようになったのである。

 その結果、街中の大まかな地図は頭の中に入っているし、どこでどんなものが食べられるのか、およその見当もつく。

 とは言え、しょせんはよそ者である。未知の食べ物、飲み物がたくさんあるはずである。

勝手知ったる甲府のまち
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勝手知ったる甲府のまち

 行くのが大変なところはデスクに任せ、私は電車で山梨県をうろうろしながら「ぶうちゅー」とかワインとか「おざら」とかを体験しようと思う。

「せいだのたまじ」はどこで食べられるのかな。

 まあ、ゆっくり旅しよう。

 と思っていたら台風8号が関東に接近中。行けるのかな。

 今週は大分県編の3回目。1回目にちょっと登場した別府のあれから始めよう。

盛岡冷麺
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盛岡冷麺

MNo.18

 私、岩手出身、ただいま、岩手在住です。岩手といえば冷麺。私たちは「平壌冷麺」と言って育ちましたが、いまは、盛岡冷麺といわれるようになりました(すこし、違和感があるのですが)。平壌冷麺から数えて40年ほど冷麺を食しております。
 あるとき、テレビ番組で「別府冷麺」というものがあることを知りました。見るからに、岩手の冷麺にそっくりな冷麺でした。
 ネットで通販を探すと、ありました。そこで、取り寄せて食べました。麺とスープとキムチ、牛チャーシュー、ゴマが詰めあわされていました。すこし、麺が細めですかね。
 冷麺、う、うまい。麺とスープのバランスがいい。スープがうまい。

デスクが食べた岩手の温麺
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デスクが食べた岩手の温麺

 キムチがキャベツと大根。これは、昔、岩手で家で冷麺を食べるときに使っていた市販の冷麺用キムチと同じ。今でも、家ではこれでなければという人がいます。
 岩手でこの冷麺を店で出したら、うまい方のランクに入るでしょう。
 そして驚いたのが、温麺。冷麺をゆでて、締めて、温めなおして、温めたスープに入れるというもの。
 岩手の温麺は、クッパやカルビクッパの冷麺版という感じなのですが、この温麺は、あっさりしていて、赤い悪魔も入っていません。温麺に関しては、別府に軍配をあげます。この温麺を出す店が近くにあれば、月1や、飲んだ締めには必ず食べに行きますね。
 岩手、大分で冷麺交流、東京、大阪の韓国料理店などを入れて、冷麺サミットをやれたらいいですねぇ(ござ引きさん)

別府の冷麺は評価が高い
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別府の冷麺は評価が高い

 別府冷麺の評価が高い。それも盛岡冷麺を40年も食べ続けてきた方の評価であるから、別府の皆さんは胸を張っていいのではないか。

 実食の旅では必須事項になった。

 大分の魚は美味いと書いた。どのように美味いのか。次のメールで想像がつく。

サバのりゅうきゅう
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サバのりゅうきゅう

MNo.19

 我が家で「魚」というと「刺身」を指すので、お刺身の話が多いです。
 子どものころから「りゅうきゅう」が好物で、大学進学と共に一人暮らしを開始するにあたって母からは、自分でりゅうきゅうを作って食べるのは禁止されました。魚の鮮度が見分けられないから食あたりが心配だったようです。
 最近知ったのですが、ふぐを肝つきで食べるのって大分だけなんですか?
 ふぐに限らず、スーパーで売っている白身のお刺身には肝、ネギ、カボス、皮の湯引きは付き物と思っていましたが、よそでは違うんでしょうか?

鯖の刺身 もちろん生です
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鯖の刺身 もちろん生です

 現在の住まいである浜松では、スーパーで白身のお刺身自体を、あまり見かけません。マグロ&カツオで売り場が赤いです。
 あと、別府ではハモの湯引きも普通にスーパーで見かけると思います。我が家では、お盆休みや天候不良でスーパーに刺身がないときに、しかたなくハモにする感じでした。酢味噌で食べます。
 会社の飲み会で「サバの刺身が食べたい」と言ったら「あるじゃん」と言って目の前のシメ鯖を指されました。シメ鯖って全国的には刺身に含まれるんですか?
 大分の年取り魚はブリだと思います。ある年、お歳暮で偶然ブリが2匹重なり、3人家族で苦労しました。
 まずは母が2匹分さばくのに苦労し、せっかくなのでお刺身で食べたいんだけど3人では限界があり、えらく豪華なアラ煮が出てきたりしました(にやさん)

山梨県人と正反対?
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山梨県人と正反対?

 九州は白身魚王国である。昔、博多の寿司屋で3回連続マグロを頼んだら怒られた。

「どうしてうまか白身ば食べんで、うもなか赤身ばっかり食べるとね!」

 ではなぜ九州は白身魚王国なのか。答えは簡単。赤身の魚がほとんど取れないからである。

 大分県では特別にふぐの肝が食べられるというのは危険な誤解である。大分県のHPに「ふぐの内臓は食べられません!!」という特大の文字で書かれたPDFが掲載されている

大分県のホームページより
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大分県のホームページより

「ふぐの内臓(一部種類のシラコは除く)は有毒部位であり、これを提供すると食品衛生法違反となり、罰せられます」

「ふぐの毒力は青酸カリ(毒物)の約1000倍です。加熱しても、水洗いしても毒は残ります」

「ふぐ中毒防止の決め手は、肝臓(キモ)・卵巣(マコ)などの有毒部位を絶対に食べないことです」

 ということで「大分県ではふぐの肝を食べることが許されている」というのは命に関わるブラックな都市伝説と言える。

 大分県全県を覆い尽くす鶏肉文化。「ごまだし」のふるさと佐伯市にもからあげはある。しかし……。

モモの一本揚げ(岩崎さん提供)
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モモの一本揚げ(岩崎さん提供)

MNo.20

 佐伯で一般的にはからあげといえば、鳥のモモか手羽元の一本揚げが出てきます。醤油ベースの衣をつけない素揚げは、衣がないので油のベトベト感もなく冷めても美味しいと定評があります。市内ではこの一本揚げが昔から親しまれており、これを主として扱う創業40年以上のお店があります(佐伯ごまだしうどん大作戦の岩崎さん)

佐伯の寿司(岩崎さん提供)
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佐伯の寿司(岩崎さん提供)

 同じ大分県でも場所によってからあげの部位や大きさが異なる。面白い現象である。モモや手羽元の一本揚げはどちらも重量級である。佐伯が漁師町であることと関係があるのだろうか。

 佐伯には実食の旅で行く。寿司を食べたい。9月なら伊勢エビ祭りが始まっているのだが。ポンカンソフトもいいな。

 日田。これを忘れてはいけない。

日田やきそば
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日田やきそば

MNo.21

 ソースの香ばしい香りに誘われて、ラーメン屋さんののれんをくぐると、大きな鉄板があるのが日田の町です。サッとゆでた麺を鉄板に敷いて両面をじっくり焼き、大量のモヤシを使うので、麺のパリパリ感とモヤシのシャキシャキ感が特徴です。
 ラーメン屋さんならではのラーメンスープと一緒に食べるのが日田らしい食べ方です。お店に入ってから、いつもラーメンにしようか、やきそばにしようかものすごく迷います(はるPさん)

両面を焦げ目がつくまで焼く
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両面を焦げ目がつくまで焼く

 B−1グランプリでご存じの方も多いであろう「日田やきそば」。ゆでた麺を鉄板で焦げ目がつくまで焼く。これは東京の中華の店で出る五目焼きそばと同じだが、五目焼きそばがその上から具をかけるのに対し、日田やきそばはその後、モヤシや豚肉を混ぜながら炒め、ソース味で仕上げるのである。

 富士宮のそれとも横手のそれとも浪江のそれとも違う食感と味わいである。

 加えて日田やきそばは食堂メニューではなく、ラーメン店にあるもの。この点も特異である。

日田やきそばにはとんこつラーメンスープが必須
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日田やきそばにはとんこつラーメンスープが必須

 従って日田のラーメン店は鉄板常備。日本では日田でしか見ることができない情景である。

 辛いもの登場。しかしこれは例外的に許せる。

ゆず胡椒(いけずな京女さん提供)
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ゆず胡椒(いけずな京女さん提供)

MNo.22

 20数年前、私にも「女子大生」と名乗ることが許された時代があったのですよ。
 当時、京都の大学には九州から進学してくる人が(理由はわかりませんが)多くて、同級生には九州全県の人がいました。また、卒業してそのまま京都で就職する人もいたので、たぶん今でも九州出身者が多いです。
 そのせいか「ゆず胡椒」も当時から京都市内で販売されていました。
 今や九州全域から全国区になりました「ゆず胡椒」ですが、その発祥は大分県日田市、1960年代とされています(もっとも、別府市は日田説に異議を申し立てているそうです)。
 野瀬さんに解説するのも何ですけど、胡椒はペッパーではなく青唐辛子ですよね。刻んだ青唐辛子にゆずの皮と塩を混ぜてすりつぶし、熟成させた調味料です。同級生からは鍋物や麺類の薬味に使うのだと教えてもらいました。
 その後10数年たって、初めて久留米に行ったとき、餃子にゆず胡椒をつけて食べているのを見て「目からウロコ」。今や、餃子にラー油には戻ることができません。
 それにしても久留米の餃子の美味しかったこと。ああ、宇宙一の餃子、また食べに行きたいなあ。大分ちゃうし(いけずな京女さん)

博多で食べた餃子 ゆず胡椒が「デフォルト」
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博多で食べた餃子 ゆず胡椒が「デフォルト」

 久留米からも京都の大学に行く者は少なくない。私の同級生にも何人かいる。九州から見ると東京は遠いが京都は近い。距離的にもそうだし、意識の上でも近い感じなのである。

 それはともかく、ゆず胡椒は大分生まれ。英彦山の修験者がこしらえたという説を昔聞いた覚えがあるが、メールにもあるように誕生は1960年代だと言われている。

 歴史は浅くとも、九州北部ではうどん、やきとり、焼き肉、餃子と何にでもゆず胡椒なのである。

「宇宙一」は皮が「半開き」
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「宇宙一」は皮が「半開き」

 久留米の餃子はそんなに美味かったですか? うん確かに美味い。今度帰ったら食べよーっと。

 ということで今回はおしまい。メールが残り少なく、最終回がピンチになりそうなのである。

 大分県関係の皆さん、メールを待っちょるよ。

デスク 大分県の次は沖縄県です。沖縄県関係者の方も「準備体操」をよろしくお願いします。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「キャベツのまちでキャベツの祭典」です。ぜひお読みください。

大分県編(その1) 鶏トリとり鳥大分県

大分県編(その2) 椎茸、ほしいたけ食べなさい

大分県編(その4) ほっぺたにカボスが当たって大痛けん。

大分県編(その4) ほっぺたにカボスが当たって大痛けん。

大分県実食編 やっぱり、トリあえず鶏です


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年7月11日

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