第53回 群馬ご当地グルメ(その3) みんなだんご汁をすいとんよ

特別編集委員 野瀬泰申

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 群馬県人に話題を振ると話が止まらなくなるという焼きまんじゅう。県北部では「味噌まんじゅう」の名で親しまれているそうです。群馬を語る上で欠かせないご当地グルメの登場です。
 番外編では、デスクが実食編まで待ちきれずに伊勢崎まで焼きまんじゅうを食べに行ってきました。一緒にご覧ください。

 食べBのFacebookページを開設しました(http://www.facebook.com/tabebforum)。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください

 ★引き続き群馬県ならではの食べ物情報を大募集中です。

(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら

豊下さんとあべのアメちゃんハイボール(ご本人提供)
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豊下さんとあべのアメちゃんハイボール(ご本人提供)

 このところ私の周辺で話題になっているものがある。

 「あべのアメちゃんハイボール」

 「あべの」は大阪市阿倍野区の「あべの」。

 「アメちゃん」は「飴ちゃん」。

 そう、某大手飲料メーカーとコラボしてこれを開発したのは「食べ物 新日本奇行」をお読みいただいていた方ならご存じの「飴屋のおっさん」こと豊下製菓の豊下さんなのである。

 ハイボールに果汁をたっぷり含んだ飴を入れると、次第に飴が溶けて色や香り、味がしみだしてくる。想像しただけで楽しそうな大人の飲み物である。

前橋の居酒屋で食べたチャーハン。天然メガ盛り。ラーメンを頼んだら…
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前橋の居酒屋で食べたチャーハン。天然メガ盛り。ラーメンを頼んだら…

 名前からわかるように、いまのところ阿倍野周辺の店でしか飲めない超ご当地ドリンク。

 専用の飴が全国販売となれば東京でも飲めるのだろうが、それでは希少性が損なわれる。阿倍野から大阪全域、関西へと広がり、それから全国展開となるのだろう。あるいはどこまでも阿倍野限定を通すのかも。

 「奇行」では「飴ちゃんと呼びますか?」という設問の下に、様々な意見をいただいた。中でも飴が本業の豊下さんには飴の基本からご教示願ったことを思い出す。

 さて群馬県である。濃密かつ多彩なメールの束をいただいている。やはり焼きまんじゅうが熱い。焼きたて。

沼田の火群庵(ほむらあん)の従来型焼きまんじゅう(下)と榛東村の若林堂の小ぶりな「コロ焼きまんじゅう」(上)(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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沼田の火群庵(ほむらあん)の従来型焼きまんじゅう(下)と榛東村の若林堂の小ぶりな「コロ焼きまんじゅう」(上)(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

MNo.15

 まず「味噌まんじゅう」についてです。群馬県北部の利根沼田地方では「味噌まんじゅう」と呼ばれ、地域のソウルフードとして古来より根付いている食べ物です。「焼きまんじゅう」と同じようなものではありますが、ネーミングにこだわりがあり、この辺では誰が何と言っても「味噌まんじゅう」なのです。
 特に沼田市内の「東見屋まんじゅう店」は文政8年(1825)創業という歴史を誇り、頑固なまでに昔ながらの米麹の酒種のみを使ってまんじゅうを製造しており、ここのお店でしか 味わえない風味豊かな味噌まんじゅうを提供してくれます。ほぼ常連だけで売り切れてしまうという、地域住民に愛されるお店です。
 「つみっこ」とか「すいとん」とも呼ばれている食べ物ですが、沼田では「だんご汁」と呼ばれています。中でも「たきもと」は根強い人気を誇り、クチコミでスキー客なども訪れています。こちらの特徴は鴨汁ベースで仕上げられているところで、1口サイズのもちもちしてやわらかいだんごがその汁にからみ、かつて貧しいイメージであった「すいとん」を上品で贅沢なものにまで高めていると言っても過言ではありません。
 市内にはとんかつ店が割と多く、市民に愛されている揚げ物系のお店が多いような気がします。ほのかにニンニクの効いた「山口精肉店」の特製メンチが人気で、沼田高校前にある「角田精肉店」には夕方になると部活帰りの高校生が群がり、分厚いハムを使用したハムカツが人気の一品となっています(沼田市観光交流課 田村悟さん)

伊勢崎の老舗は「焼まんじゅう」
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伊勢崎の老舗は「焼まんじゅう」

 前橋や高崎では「焼きまんじゅう」だが県北の沼田では、どうしても何があっても「味噌まんじゅう」。県内でも場所が違うと呼び名が変わることはあるにしても、これは相当厳格な気配である。「だんご汁」もしかり。

 皆さんがお住まいのところでも、似たようなことがあるのであろうか。

 久留米の「ダルム」を博多じゃどげん言いよるとやろか。シロね。


埼玉県本庄市でも「つみっこ」
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埼玉県本庄市でも「つみっこ」

MNo.16

 小さいころよく食べた「すいとん」。50代半ばになると、懐かしく美味しくて健康食です
 ご年配に「すいとん」の話をすると各家庭で味付けにこだわりがあり、話が盛り上がります(文化舎建築さん)

 ほら、こちらは「すいとん」派。間違っても「だんご汁」ではない。

いせ「さ」き
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いせ「さ」き

MNo.17

 「もんじゃき」と呼ぶエリアもありますが、私のエリアでは「もんじ」または「もんじ焼き」。ちなみに甘い「もんじ」のシロップは「イチゴ味」のみです。
 現在は市町村合併で、旧境町・赤堀町・東村も統合されており、そして伊勢崎に移り住んでくる人も多々いますが、この中での旧伊勢崎生まれの見分け方。「いせさき」を、なぜか「いっさき」と呼ぶのです。理由はわかりませんが、これで判断できます。
 うどんの家庭での小分け単位「ちょっぽ」。私の娘の嫁入り先で、義理の母親がこんな表現をして、笑ってしまったそうな。私のエリアでは「てがら」と表現するからです。片手にのるくらいの量だからでしょうか? 「手の分」からの訛りでしょうか? 不明ですが、そんな呼び方をするエリアもあります(群馬県伊勢崎市出身、沖縄在住、無職な46歳さん)

伊勢崎のもんじゃき。これを「かんまして」「おんまける」
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伊勢崎のもんじゃき。これを「かんまして」「おんまける」

 「もんじゃき」ではなく「もんじ」。「ちょっぽ」ではなく「てがら」。覚えておきたいものであるが、たぶんすぐに忘れるだろうな。

 九州では「原」を「はる」と読む。地名では春日原(かすがばる)、西都原(さいとばる)、原田(はるだ)などなど。これが全部読めれば九州人。

 しかし人名の原田は「はるだ」ではなく「はらだ」。「中島」という名字で「なかしま」と濁らなければ九州出身者の疑い濃厚。

スバル360、通称てんとうむし
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スバル360、通称てんとうむし

MNo.18

 うどんの玉の単位は「ちょ(っ)ぽ」だけでなく、地域で単位が異なります。
 「ひとてがら、ふたてがら」……桐生・太田北部。
 「ひとちょっぽ、ふたちょっぽ」……前橋北部、勢多西部。
 「ひとぼっち、ふたぼっち」……西毛 (せいもう)。
 古くはうどんは草の実から作られるそばより格上とされ、ハレの日の食べ物であったので、めでたい日や人寄せのときにふるまわれていました(すずき@東毛さん)

 あれま、「ぼっち」まで出てきた。

アイスまんじゅう(ミルフォードさん提供)
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アイスまんじゅう(ミルフォードさん提供)

 すずき@東毛さんのメールには次のような単語が。

「桐生地区のローカルアイス、シロフジのアイスまんじゅう」「桐生のお菓子、花ぱん」「館林で有名ななまず料理……なまず天丼」「スバルの町太田のスバル最中、スバルサブレ」

 その中にこんな文章が。

 「桐生には『子供洋食』というローカルフーズがあります。桐生〜足利〜栃木では焼きそばにポテトが入っています。子供洋食はポテト入焼きそばから麺を抜いた感じといえばよいでしょうか」

 桐生においてコロリンシュウマイとタメを張る子供洋食。「小供」とも書く。掘り出し物であろう。ジャガイモもソース味で炒めたものだが、洋食と言い張っているところが良い。

小供洋食(ミルフォードさん提供)
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小供洋食(ミルフォードさん提供)

 かつて大阪勤務時代に、大阪出身の上司が言っていた。「ボクが子どものころ、お好み焼きのことを洋食焼き、言うとったんや。一銭洋食も似たようなもんやったな。ソースがかかったら洋食や。そんなもんやで。洋食やから食べるときはナイフとフォークや」

 子供洋食も、カギはソースであろう。

 ポテト入り、もしくはジャガイモ入り焼きそばは群馬と栃木の県境をまたいで存在する。運んだのは両毛線。この問題に関する栃木県からの発言を次回、紹介する。

 なにも考えずに「医療人のための群馬弁講座」を検索していただきたい。音が出るだんべ。

甘じょっぱい?
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甘じょっぱい?

MNo.19

 焼きまんじゅうは上州人のソウルフード。2010年度の公立高校入試問題にも焼きまんじゅう関連の問題が出題されました。焼きまんじゅうが県民に深く愛されているのがおわかりになると思います。
 ところで、上州人がよく使う「甘じょっぱい」は方言でしょうか? 同じ職場の東京出身者に聞いたら「甘じょっぱい」という言葉は使わないと言うのです。では甘い+しょっぱいを何と表現するのかと尋ねたら「甘辛い」だと。
 上州人は「甘じょっぱい」と「甘辛い」を使い分けます。甘い+辛いが「甘辛い」です。もし東京では「甘じょっぱい」を使わないとすると、上州人の方が明らかに味覚が豊かと言えるのかも(こにタン@グッドぐんまさん)

 はい、甘じょっぱいと言う人は手を挙げて。出身地はどこ?

 ではここでVOTEをしよう。「甘じょっぱい」と「言う」か「言わない」か、そして「この言い方をするようになった出身地または居住地」はどこか…。

 デスク VOTEはフェースブックページのほうでやっております。こちらからどうぞ。そうそう、その「甘じょっぱい」の食べてきました。番外編はこちらから

 こにタン@グッドぐんまさんのメールには続きがある。

「コロ焼きまんじゅう」なら口の周りにタレは付かない?(Poco@焼きまんじゅうさん提供)
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「コロ焼きまんじゅう」なら口の周りにタレは付かない?(Poco@焼きまんじゅうさん提供)

 「沼田市のフリアンパン洋菓子店(地元では単に「フリアン」と呼ばれる)には、みそパンという有名な名物パンがあります。オリジナルのソフトフランスパンに焼きまんじゅうのタレと同じ甘い味噌ダレが挟まれています。

 焼きまんじゅうは食べるときに口の周りにタレが付いてしまうので、それを気にする女性は食べにくいという点がありますが、それを解消しようというのが、このパンができたきっかけだそうです」

 みそパンのモデルは焼きまんじゅう。思えばすごいことである。

やきまんバーガー(おおらか青年会議所の新井さん提供)
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やきまんバーガー(おおらか青年会議所の新井さん提供)

MNo.20

 2009年に「地域の名物を新しくつくろう」ということで、群馬県のソウルフード、焼まんじゅうをバンズにして中に肉を挟みハンバーガーの形状にした「やきまんバーガー」を考案しました。
 毎月第4日曜日に邑楽郡大泉町で開催される「世界のグルメ横丁」というイベントにやきまんバーガーを出店し続けております。大泉町は外国人比率が高い町で、世界のグルメ横丁は様々な国の料理が出店されるイベントです(おおらか青年会議所の新井さん)

 そこまで焼きまんじゅうを愛している? これもすごいことである。

あがしし(吾妻郡で獲れた野生のイノシシ)を使った「あがししコロッケバーガー」(四万温泉柏屋の柏原益夫さん提供)
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あがしし(吾妻郡で獲れた野生のイノシシ)を使った「あがししコロッケバーガー」(四万温泉柏屋の柏原益夫さん提供)

MNo.21

 富岡市の青年会議所が新しくご当地B級グルメにしようと頑張っているメニューがあります。「こんカツ」といいまして、こんにゃくをフライにしてウスターソースにくぐらせて食べるというヘルシー?な新食感食べ物です。駄菓子屋さんで売っていたソースカツを厚くしたような??
 7月に行われる「とみおか夏祭り」やいろいろなイベントで紹介しています(富岡市に住むDALIKONさん)

 富岡では、こんカツを食べながら婚活をする人がいないと言い切れないところが良い。大変良い。

 しかしながらモノがコンニャクなので、ぬらりくらりとはぐらかされる可能性を否定できないところがちょっと悲しい。

 今週の最後はこのメール。群馬を知らない方から。

本物(いけずな京女さん提供)
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本物(いけずな京女さん提供)

MNo.22

 群馬には学生のころ行った(通った)ことがあるくらいで当地の食文化は知りません。ただ味噌パンの記事が小生の人生のひとつの謎を解いてくれました。日本には味噌パンの文化があるのですね。
 小生広島出身ですが、この半世紀に1度だけ味噌パンを食べたことがあります。それは30年前のことなのですがコロンビアの首都ボゴタでイタリア人の旅の連れがどこでどうしたのか味噌と梅干を手に入れてきたのです。
 そして味噌をパンに塗ってこれを食べろと。味噌は味噌汁かカキの土手鍋でしか食したことがなかったので、ちょっとひいてしまいました。味は覚えていない、変なものを食べさせられたという記憶だけが残りました。
 同じ醗酵食品のチーズを塗る感じでいるのかなとその時は思っていました。が日本にそういう食習慣がある。ということは仏教カブレの彼女は、多分イタリアで群馬出身の僧にでも習ったのであろうかと。
 少なくともヘンな外人にノセられたのではなかった。今度群馬に行ったら本物の味噌パンを味わいたいと思います(赤銅さん)

 地球規模の話である。ボゴタでイタリア人に勧められて初めてみそパンを食べるという経験は、誰もが持てるものではない。というか極めてレアな体験であろう。

 かくもインターナショナルなみそパンは、群馬県人の頭上に燦然と輝いている。

 群馬県編は次回の「その4」で終了。続いて愛媛県を取り上げる。ご関係の方々、どうぞよろしく。

 ではまた来週。


(特別編集委員 野瀬泰申)



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2011年6月10日


群馬B級グルメ(その2) 湯気立つシュウマイ、上昇キリュウ
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