おかわり 油まみれの県北〜デスク版栃木県実食編



できたての武平まんじゅう
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できたての武平まんじゅう

 栃木実食編、初日はまず県南に向かった野瀬とは別行動をとり、県北の日光へ向かいました。現地で落ち合ったのは、本編で大活躍してくださった碓氷光正さんと松田祥世さんのご夫妻。今回は烏山の案内に先立って、県北の取材もコーディネートしていただきました。

 最初に向かったのは、日光の武平まんじゅうです。

 武平まんじゅうは地元で人気という蒸しまんじゅう。黒糖が練り込まれた皮の食感が特徴で、ジェルのように歯にまとわりつきます。

十分に冷まして、乾燥させる
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十分に冷まして、乾燥させる

 蒸し時間は何と12時間。大きなせいろを1時間に1段ずつ下に入れていき、12段積み上がれば完成です。蒸し上がりは熱いうえに水分が多く痛みやすいので、十分に冷まして、乾燥させてから包装します。

 蒸かしたて熱々のものも試食させていただいたのですが、できたては独特の粘りつくような食感が弱く、蒸し上がった後の過程も重要なのだと改めて思いました。ご主人は、毎朝2時起きでまんじゅう作りを続けていらっしゃるそうです。シンプルですが、実はとても手間のかかるまんじゅうです。

「れんがya」の白焼きそば
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「れんがya」の白焼きそば

 次は日光の白焼きそば。実際に栃木県に行くまで「焼きそばは県南のもの」という認識でした。栃木などを中心とするジャガイモの入ったソース焼きそばが栃木のご当地焼きそばだと思っていたのです。

 しかし碓氷さんと話をして行く中で、それが思い込みであることを知らされました。栃木県は県南だけでなく、県内各地に地域性を持った焼きそばがあり、それぞれに愛されているのです。今回の栃木県実食編前半戦は、期せずして、栃木県北の焼きそば食べ比べとなりました。

白い麺に存在感の薄いイカ
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白い麺に存在感の薄いイカ

 食べ比べの第1弾になった日光の白焼きそばは、名前の通り、真っ白い蒸し麺が特徴です。下焼きしておいたものを、注文を受けてからさらに焼き直して提供します。盛んに麺を持ち上げて炒めるため、麺がブチブチに切れてしまうのも特徴。すすらずに、かきこむようにして食べる焼きそばです。

 味付けはソースなのですが、ごく薄味で、自分の好みでソースをかけ加えながら食べるものだそうです。日光でも有数の人気店という「れんがya」さんは、具がイカとキャベツのみ、しかも具の存在感がとても薄い、麺中心のシンプルな焼きそばでした

日光の天然氷
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日光の天然氷

 脂っこい焼きそばの口直しに選んだのはかき氷です。おじゃましたのは「松月氷室」。日光では古くから天然氷の生産が盛んです。冬の間にできた天然氷を氷室に保存しておき、それでかき氷を作ります。店内には木製の冷蔵庫もあり、歴史の深さがうかがい知れます

 お店に向かう道すがら、松田さんが「食べても頭が痛くならない」とおっしゃっていたのですが、食べてみるとその意味がよく分かりました。

 自然の温度変化の中で長い時間をかけてゆっくりと固まっていく氷は美しいほどの透明度。そして、水と外気との間の部分だけが浮かびながら凍るので、全体にふわっとした、何とも柔らかい氷なのです。

口の中で氷が「ほどける」
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口の中で氷が「ほどける」

 口に入れた瞬間、さらっと氷の結晶が「ほどけ」ます。

 一般にかき氷というとしゃりしゃりとした食感、つまり氷を砕いたような感覚があるのですが、天然氷はまさに削り取ったという感覚。食べている間に外側で溶けた水分が、中心部の冷たさとともに固まるようなこともありません。

 抹茶あずきミルク生イチゴと野イチゴのハーフ&ハーフを食べたのですが、シロップも自家製だそうで、とてもやさしい甘さでした。何より、氷の舌触りがくせになりそう。とても寒かったにもかかわらず。

「貫太郎」の白焼きそば
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「貫太郎」の白焼きそば

 口の中がさっぱりしたら、再び焼きそばに挑みます。向かった先は「貫太郎」。先ほどの「れんがya」はかつて元々「山本屋」という屋号で営業していたお店を現オーナーが引き継いだそうなのですが「貫太郎」の焼きそばは「山本屋」時代の白焼きそばがモデルなのだとか。ぶつぶつには切れれずに、しっかりソースの味がする白焼きそばでした。

 具はやはりイカとキャベツでしたが「れんがya」とは違い、しっかりと存在感が認識できました。

 日光を後にして宇都宮へと移動します。向かったのは「やきそば・もんじ かみやま」。今度は宇都宮の焼きそばです。

二度蒸しの麺をさらにお店でも蒸す
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二度蒸しの麺をさらにお店でも蒸す

 店構えは典型的な「学校前の駄菓子屋」店の中には所狭しと鉄板が並んでいて、それを囲むように木製のベンチが並べられています。そのベンチが見事なまでに子供仕様なのです。あまりの座面の低さに、腰掛けようとするとひっくり返りそうでした。

 店の前には「宇都宮名物本せいろ蒸焼そば」の幟。二度蒸しの麺をさらにお店でも蒸すとのこと。具はやはりイカでした。内陸、海なし県の栃木ですからスルメを戻して使うのかと思いきや、見せていただいたのは生のイカでした。なぜこれほどまでかたくなに栃木県北の焼きそばは具がイカなんだろう?

もんじゃ焼きそば
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もんじゃ焼きそば

 もんじゃ焼き屋なのでもんじゃも食べたのですが、それ以上に興味深かったのはもんじ焼きそば。もんじゃの生地にはたっぷりマヨネーズが入っていて、ちょっとホワイトソースのような感覚です。その中に焼きそばが入っています。地域性のあるものではなく、個店のメニューと言うことでしたが、もんじゃと焼きそばのありそうでなかなかないコンビネーションはちょっとくせになりそうです。

 さて、宇都宮に着いたならば餃子を食べないわけにはいきません。本編で取り上げた「宇都宮餃子と言えば」の2店に行ってきました。

「正嗣宮島本店」の焼き餃子
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「正嗣宮島本店」の焼き餃子

 まずは「正嗣宮島本店」。野菜が大半のあっさり餃子です。水餃子はスープではなく、お湯で茹でただけ。お湯に浸かったまま「いい湯だな」状態で供されます。あっさり感が際立っていて、酢とラー油のみで味わうべし、ということが実感できました。

 悲しかったのは、ライスもビールも置いていないこと。あるのは餃子、焼きと水、テイクアウトのみ。美味しい餃子を食べるとどうしてもビールが飲みたくなってしまう性分の僕としては、ちょっと苦痛でした。

「みんみん」の焼き餃子
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「みんみん」の焼き餃子

 続いてもうひとつの有名店「みんみん」にも行ってきました。

 あっさりの「正嗣宮島本店」とは対照的に肉がたっぷりと入っています。ですので、脂を流すためのビールは不可欠です。餃子をぱくりのビールをゴクリが繰り返されます。

 ビールという救世主さえいれば、揚げ餃子でももちろん食べやすい。「みんみん」には揚げもありました。揚げの油にも肉の脂にも、タレに少し醤油を加えたくなる気持ちはよく分かりました。

唯一の目印
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唯一の目印

 さぁ、宇都宮の夜もいよいよ佳境です。最後は宇都宮のご当地から揚げ「兜揚げ」でシメることになっていたのですが、その前に碓氷さんの「宇都宮の焼きそばならここだけは欠かせない」というお店に連れて行っていただきました。

 通称「名無しの焼きそば」。市街中心部にあるお店には看板が一切ありません。あるのはつぎあてだらけの「やきそば」の白い暖簾だけ。不思議感満載のお店です。

 唯一のメニューである焼きそばはとても不思議な食感です。まるでスナック菓子のよう。調理場の鉄板下には昔ならの丸いガスコンロ。いかにも火力が弱そうで、キャベツを押しつけるように加熱していました。

「名無しの焼きそば」
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「名無しの焼きそば」

 具はキャベツのみで、希望があれがキャベツなし、つまりそばのみも可能。碓氷さんいわく、先代はキャベツなしが基本形だったのだとか。値段は普通盛りで250円です。

 メニューを始め、店内の張り紙が不思議感をいっそう引き立てます。営業時間は「正午ごろ〜」。そもそも開店時間が「ごろ」ですし、閉店時間に関しては書いてすらありません。お冷やのセルフサービスはいいとして、張り紙が示すのはごく普通の水道の蛇口です

 テイクアウトは経木に包んで販売します。経木で包むと焼きそばの水分が適度に保たれ、時間がたっても美味しく食べられるのだとか。

兜揚げ
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兜揚げ

 さぁ、いよいよ仕上げの兜揚げです。1日でいったいどれだけ食べたんでしょうか。

 兜揚げとはいわゆる鶏肉の「半身揚げ」です。手羽の部分を外側にしてふたつ並べると、見た目が武具の兜に似ていることが名前の由来だそうです。腿を除く、胸から手羽にかけての部分を大胆に唐揚げにしてあります。これにかぶりつくのです。

 胸肉がメインですので、唐揚げながら、脂感はやや抑えられています。とはいえ、これに腿肉がついていたらたぶん食べきれないでしょうね。元々食べごたえをセールスポイントに人気が広まったというだけに、お腹にずしんと来るメニューでした。

 兜揚げを出すお店のシメは決まってそばだそうです。残念ながら、朝から食べ通しの身としては、最後にそばをすする胃袋の余裕はもうありませんでした。

(デスク)

2013年5月10日
 

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