第155回 広島県ご当地グルメ(その1) 「ウニクレソン」で「がんす」

特別編集委員 野瀬泰申


 今週からは、広島県編がスタートします。100万都市広島市を中心に、地理的にも経済・行政的にも中国地方の中心となっている県です。人口が多く、海にも山にも恵まれていることから、多様な食文化の広がりが予想できます。はたしてどんなご当地グルメが登場するのでしょうか。いよいよスタートです。
 今週のおかわりは、デスクが、東京・銀座にある広島県のアンテナショップ「tau」をご紹介します
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豊川稲荷はお散歩好適地
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豊川稲荷はお散歩好適地

 第8回B−1グランプリin豊川が今週末に迫った。私のPCのメールはそれに関するやり取りで満杯である。何が何だかわからないようなスピードで追い込み作業が続いている。

 2年前の姫路大会から大会前日の全出展団体によるパレードが恒例になってきた。パレードは支部大会にも広がっており、B−1名物になりつつある。今年も8日午後4時過ぎから豊川駅前商店街を舞台に、にぎやかにパレードが練り歩く。

みそかつのせなどバラエティー豊かな豊川いなり寿司
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みそかつのせなどバラエティー豊かな豊川いなり寿司

 今回は中京圏初の開催である。

 名古屋はもちろん、静岡県浜松市という大都市も近い。またまた大変なにぎわいになるだろうが、豊川稲荷と門前町というお散歩好適地もあるので、楽しんでいただきたい。

 時間があれば近くの温泉地や旧東海道にある御油の松並木などに足を伸ばすのもいい。

 前回、「孫がほしい」と書いたら「ほぼ同い年、名古屋出身、西海岸在住」さんから、生後3カ月のお孫さんの写真が届いた。

かわいいお寿司(ほぼ同い年、名古屋出身、西海岸在住さん提供)
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かわいいお寿司(ほぼ同い年、名古屋出身、西海岸在住さん提供)

「申し訳ありませんが、一足お先に初孫に恵まれました」とある。ハロウイーンの衣装で「エビのにぎり寿司」ですと。頭のところに赤いガリと緑のワサビも付いている。

 手づくり? 市販品?

 どっちにしても赤ちゃんのかわいいこと。

 グヤジー。

 おーし。広島県編に突入しよう。

 広島県の食べ物は「食べ物 新日本奇行」でもたびたび登場した。この方の記憶にも刻まれている。

売り切れでした(ミルフォードさん提供)
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売り切れでした(ミルフォードさん提供)

MNo.1

 呉を訪ねたときのレポートです。
 真っ先に向かったのは「メロンパン」本店。「食べ物 新日本奇行」の名テーマ「メロンパンとサンライズ」の回で紹介されていたのが、この店を知ったきっかけ。
 近畿、中国地方を中心に根付いているというラグビーボールを半分に切ったような楕円形で、中には白あんが入っている「メロンパン」。
 東京モンの自分がメロンパンと呼んでいる物件を「サンライズ」と呼ぶ地域があるという事実。目からウロコがこそぎ落とされたような衝撃でした。
 さらに輪をかけて、呉には「メロンパン」という名の店があり、その店の「メロンパン」は楕円形ながら中にはカスタードクリームが入っているという。

コッペパン
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コッペパン

 そして呉では、いわゆる円形でビスケット生地のかかった東京のメロンパンを「コッペパン」と呼ぶという。チャンスがあれば、ぜひ現地で確かめたい。その念願が叶ったわけです。
 しかし……時間が遅かったこともあり、ショーケースは見事にからっぽ。全部売り切れ。別の場所にある支店は改装中、呉そごうのショップも売り切れ。「メロンパン」以外の人気メニュー「ナナパン」(板チョコが入っている)、「平和パン」「アンフライ」も全滅。うーーむ、残念無念。ここにまた一つ、宿題が残ってしまったのでした。
 呉の街では、冷麺は1年中食べられているソウルフード。つるつるの平打ち麺、チャーシュー、ゆで卵、キュウリ、エビのトッピング。甘酸っぱくて、ピリッと辛いタレが特長。韓国系の冷麺というより、冷やし中華に似た感じでしょうか。

ワンタン入り冷麺(ミルフォードさん提供)
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ワンタン入り冷麺(ミルフォードさん提供)

 「メロンパン」本店から歩いて向かった先は、呉冷麺のルーツとも言われる老舗「珍来軒」。しかし……またしても売り切れ(涙)。残念、ツイテない。それでは、と矛先を、これまた冷麺の人気店「呉龍」に変更し、テクテク歩く。
 こちらは……大丈夫でした。珍来軒の弟子筋の店と聞いています。ご主人のヒラメキで開発されたという「ワンタン入り冷麺」が名物。鶏がら中心にとった出し、ちょっとトロミのある、甘酸っぱいタレ。平打ち麺。堪能いたしました。アイテテヨカッタ(ミルフォードさん)

メロンパンのメロンパン
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メロンパンのメロンパン

 続きがあるのだが、今回は呉を代表する食べ物2題に絞った。

 「メロンパンとサンライズ」は拙著「天ぷらにソースをかけますか?」に収録している。話しただけでは理解してもらえないのがこのメロンパンとサンライズの謎である。

 私も呉の「メロンパン」にお邪魔して「メロンパンの由来」を取材したが、文献が残っていないので、確定的なことは言えないものの「ラグビーボール型になったのはチキンライスの型を使ったからで、メロンの形とは関係ない」とのことであった。

珍来軒の冷麺
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珍来軒の冷麺

 写真が残っている。姿形を見ないとわからなのである。

 呉の冷麺は提供する店が限られているにもかかわらず、ご当地グルメの地位を確固たるものにしている。

 私は珍来軒で食べた。平打ち麺が最大の特徴で、これ1発でいわゆる冷麺、冷やし中華との差異が明らかである。

 ミルフォードさんには重要情報を大量にいただいている。順次紹介していこう。

 次の物件は復活を目指す郷土料理。復活するといいな。

もぶり飯(大竹商工会議所の廣岡さん提供)
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もぶり飯(大竹商工会議所の廣岡さん提供)

MNo.2

 「もぶり飯」はお祝い事(上棟式など)、お祭りなど、古くから人が集まる際に振舞う大竹の郷土料理。
 いろいろな具材を混ぜる(方言=もぶる)ことから「もぶり飯」と名付けられたと聞いています。
 白飯に具材のシイタケ、甘く煮た黒豆、ニンジン、キヌサヤを混ぜ、野球ボールより少し大きめに丸め、手で持ってかぶりついて食べます。
 季節によってはアサリが入っています。
 各地域、家庭によって、多少味付けは違いますが、おむすびと違い甘めの味付けが特徴です。時期によっては酢飯を使うこともあります。
 時代とともに、もぶり飯を振舞う機会も少なくなり、郷土料理であることを知らない若者も増えています。作る家庭も少なくなりました。
 もぶり飯の復活を願い、今年度、地元の商店街振興組合が飲食店の協力を得て毎月限定販売を行っています。
 「懐かしい……」と買いに来られるご年配の方、初めて目にし、どんな味なのか試しに買われる方、リピーターの方、あっという間に売り切れてしまう状況です。
 大竹の郷土料理として、後世にも伝えたい料理のひとつです(大竹商工会議所の廣岡さん)

もぶり飯の具材(大竹商工会議所の廣岡さん提供)
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もぶり飯の具材(大竹商工会議所の廣岡さん提供)

 大竹市は厳島(宮島)の対岸で広島湾に面している。にもかかわらず、この「もぶり飯」には海のものが入っていない。季節によってアサリが混じる程度である。岡山の祭り寿司や愛媛の松山寿司が海産物尽くしなのとは対照的。どうしてであろうか。

 でも美味そうである。

 郷土料理は家庭料理。メールの文末にあるように次の世代に引き継げるといい。

 尾道の喫茶店のこのような物件が存在する。知ってましたか?

チャイダー
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チャイダー

MNo.3

 尾道は現在「しまなみ海道」の拠点の一つとして、瀬戸内の島々で採られた柑橘類(広島はレモンの生産盛ん)、その柑橘類を使ったジェラートなど菓子類が最近よく知られています。
 また映画のロケ地として有名な尾道にはたくさんの観光客が訪れます。若年者の安近短の格好の小旅行先としての需要も高いようで、従来から知られるラーメンや尾道式お好み焼き、そして前述のようにジェラートであるとか、なかなかハイレベルなパン屋やカフェといったものもあります。
 その市内のカフェなどでキワモノ的に人気なのが「チャイダー」というものです。緑茶に甘味料と炭酸が入っています。ジェラートが最近の正統派新名物なら、チャイダーはまさにキワモノです。
 より地元に根ざした物を、という場合は「ふるさとレモン」をオススメします(横浜市 YKヒルビリーさん)

砂肝入りのお好み焼き
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砂肝入りのお好み焼き

 愛媛実食編の帰途、今治から「しまなみ海道」を走破して尾道を訪れた。確かに若い観光客が多く、ラーメン店にはどこも長い列ができていた。

 私たちが入ったのはお好み焼きの店。年季を感じさせる店で、女性が1人で切り盛りしていた。そこで食べたのが砂肝入りにお好み焼き。珍しいものであった。

 しかし私は以前から広島県内には独特の砂肝料理文化があると思っている。広島市で最も高級といわれるホテルのパーティーで砂肝が出ているのを見て確信したのである。

ふるさとレモン
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ふるさとレモン

 それはそうと「チャイダー」は一体誰が作ったのか。静岡県は負けていないか。

 実食編でチャイダーを飲む。ふるさとレモンも飲む。

 次のメールには尾道のもう一つのご当地飲みものが出現する。

でべら(大阪の原さん提供)
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でべら(大阪の原さん提供)

MNo.4

 さて、朝日vs読売で究極vs至高の対決を行うと聞いて「じゃあ日経はチャブニチュードで参戦し、海原雄山と野瀬さんがちゃぶ台をひっくり返し『食えるか〜!』と叫ぶしかないな」と思った今日このごろ、皆さんいかがお過ごしでしょうか?
 さて広島です。東部に住んでいたので話題がちょっと偏りますがご容赦を。
 「でべら」は尾道名物。ぱくぱく。
 尾道日曜市は、駅前商店街で朝からやっている市ですが、生きた魚から唐揚げ〜天ぷらまで多種多様。ぱくぱく。
 向島から先の島々はミカン類の栽培が盛んで、小さなミカンが丸ごと入った大福があります。はっきり言って、小さくて、皮が固くパンッと張ったミカンが、味が濃くて好きです。大福に入ったミカンは味が濃いものでGood!

日本の代表飲料(大阪の原さん提供)
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日本の代表飲料(大阪の原さん提供)

 地ソーダ「ヤポネ」。日本の代表飲料だそうです。でも尾道近辺でしか飲めません。尾道商店街ではサイダーを茶で割った「チャイダー」を売っている店もあります。
 尾道ラーメンは既に全国区です。地域固有種としては、ここは、やはり「中華うどん」「天ぷら中華」「きつね中華」を推します。「つたふじ」「みやち」などで普通に供されています。 東尾道〜尾道界隈では珍しくありませんが、ちょっと離れると見かけなくなります。
 また、ラーメン屋で「おでん」が年中用意されている店が見られるのも、福山〜尾道あたりからかな? 西に向かうと広島市では常識化していますが、東側の岡山〜兵庫ではあまり見ません。どこかに境界線があるのでしょうけど、どこなんでしょうか?(大阪の原さん)

尾道日曜市でぱくぱく(大阪の原さん提供)
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尾道日曜市でぱくぱく(大阪の原さん提供)

 「でべら」はタマガンゾウビラメのこと。縄を通して干す光景は冬の尾道の風物詩になっている。

 硬いのでトンカチでたたいてから火にかける。私には無理。

 尾道に限らず、瀬戸内海沿岸だとわりあい見かける。

「ヤポネ」とは日本のことであろう。スケールがでかい名前なのに尾道周辺にしかないところがかわいい。

「ソーダ」というのもいい。

小さなミカンが丸ごと入った大福(大阪の原さん提供)
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小さなミカンが丸ごと入った大福(大阪の原さん提供)

 これも飲もうかね。

「天ぷら中華」「きつね中華」はラーメンの上にえび天やきつねがのったもの。私は広島市内でいくつか見かけたので広島のものかと思っていたが、尾道界隈のものであったか。

 このメールの冒頭部分、他社の企画なのでコメントはしないが「美味しんぼ」30周年企画であるらしい。我が業界も大変なのである。

 ラーメンが続く。

広島ラーメン(中林20系さん提供)
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広島ラーメン(中林20系さん提供)

MNo.5

 広島でラーメンと言えば備後の尾道ラーメンが有名ですが、安芸の広島市界隈にも「広島ラーメン」と呼ばれるラーメンが存在してます。
 茶褐色に濁った豚骨醤油スープからは濃厚そうな味わいを想像しがちですが、それを裏切るがごときあっさりさっぱりな味わいなんですよね。標準でゆでモヤシがのることも特徴だそうです。
 広島ラーメンはまだ全国的には知る人ぞ知る存在なんじゃないかとも思いますので、ぜひ現地で実食していただきたいと思います。
 余談ですが、福山市出身の仕事仲間は、広島市よりは岡山市に親しみを感じると申しておりました。備州つながりもありましょうが、食文化も備後と安芸で分かれる何かがあるのではないか(=お好み焼きがそうらしいですが)とも思います(中林20系さん)

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 デスクに指令。「広島ラーメン」について至急研究せよ。

 デスク らじゃ。早速広島ブランドショップ「tau」で家庭用広島ラーメンを手に入れてきました。つけ麺は激辛がデフォルトのようです。好奇心に火がつきました。ぜひとも現地で「いい汗」をかきたいです。

 備後と安芸の食文化の分布については皆さんからの考究を待ちたい。

がんす(いけずな京女さん提供)
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がんす(いけずな京女さん提供)

MNo.6

 「がんす」という練り製品を、ご存知でしょうか。呉市や広島市の草津地区を中心に食べられている揚げかまぼこです。
 すり身にパン粉をつけて上げるのは、北九州の魚ロッケと同じですが、こちらは長方形なのが特徴。
 すり身には野菜や一味唐辛子が入っています。サクサク香ばしいパン粉とすり身の旨み、野菜の甘みに一味がピリッとアクセントになって、ぶちうまい! なんちゅうても、ビールのおつまみにぴったりでございます。
 で、この「がんす」を広島県内から全国に広めようと活躍されているのが「がんす娘」。

がんす娘(いけずな京女さん提供)
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がんす娘(いけずな京女さん提供)

 呉市の老舗かまぼこ屋・三宅水産の娘さんで、ふだんは地元のスーパーを中心に試食販売したはります。
 がんす娘さんに、聞いてみました。
 「がんす、てどういう意味ですか?」
 「広島弁で、“〜です”という意味でがんす。」
 「ということは“これはがんすです”は、“これはがんすでがんす”?」
 「そうでがんす」
 「“がんすはおいしいです”は?」
 「がんすはおいしいでがんす」
 ……キリがないので、ここでやめときました。
 とてもユニークで明るいキャラクターです、実食編でぜひがんす娘に会いに行ってください(いけずな京女さん)

うまいでがんす(いけずな京女さん提供)
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うまいでがんす(いけずな京女さん提供)

 がんす娘はお店のために頑張っている。親孝行である。地元じゃ有名人みたい。

 デスク、興味があったらネットに彼女のスケジュールが公開されているらしいからチェックしといて。

 デスク さっそくスケジュール帳をチェックしました。けっこうタイプかも。興味津々。

ベンベン(ちりとてちんさん提供)
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ベンベン(ちりとてちんさん提供)

MNo.7

 広島といえば、島田洋七さんのギャグで一躍有名になった「もみじまんじゅ〜!」を思い浮かべます。
 広島から出張に来られた方のお土産は、決まって「もみじまんじゅう」。カステラ生地に包まれたあんこは、紫色でビカッと光ってます。
 そして、数年前からあんこだけでなくチョコ、チーズ、抹茶などバラエティに富み、どれをいただこうか、迷う楽しみが増えました。
 先日、職場でいただいたお土産は「あたらしもみじ」という名のもみじまんじゅうでした。
 ♪まんじゅうのようでまんじゅうでない、ベンベン
 ケーキのようでケーキでない、ベンベン
 食べるとレモンのかほりが、喉の奥から鼻の奥へふわわ〜んと抜けて行きました。
 次は、どんな「もみじまんじゅう」が売り出されるんでしょうね(ちりとてちんさん

チョコやクリームチーズ味も
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チョコやクリームチーズ味も

 広島に行ってお土産に迷ったら、これに落ち着く。仙台の「萩の月」と同じ立ち位置であろう。

 私も子どもへの土産に買ったことがあるが、下の娘はこう言ったのである。

 「お父さん、私があんこ嫌いだってこと忘れたの?」

 「はい、忘れていました」

 次は「あたらしもみじ」でリベンジだ。

雪消し鍋(庄原市観光協会提供)
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雪消し鍋(庄原市観光協会提供)

MNo.8

 「雪消し鍋」は、お雑煮に似た庄原の郷土料理のひとつです。すりおろした大根に出し汁をかけたとき、おろしが崩れる様子を春の雪解けにたとえています。そして厳しい寒さの中で早く雪が溶けて欲しいという願いが込められています。
 雪深い比婆地方に伝わる、ほっこりと温まるご当地グルメです。地域によって若干 具材が変わります(キョロやまくんさん)

やってみますか?
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やってみますか?

 「お雑煮に似た」とあるから餅が入るのであろう。広島でも山間部は雪深いのである。

 私は昔「雪鍋」というものをつくったことがある。

 具は鶏のササミとカブ。そこに大根おろしを大量に入れる。具が全部白いから雪鍋。ポン酢に紅葉下ろしを入れたものにつけて食べる。「雪」系の鍋、やってみますか?

 広島駅を降りると球場が見える。

マツダスタジアム(松山の坂本さん提供)

マツダスタジアム(松山の坂本さん提供)

MNo.9

 広島の思い出といえば広島市民球場。「ちから」でうどんを食べて「むさし」のおむすび買って、広島市民球場でカープうどんを食べたらもうお腹いっぱいなので、帰り道でお好み焼き食べようとするとどれかを諦めなくちゃいけないんですよ?! これは辛い……選べない。
 個人的に広島のお好み焼きは「うどん入り」が好きです。10年ぐらい前だったかなあ、小さなお好み焼き屋さんに入るとバイカーのお姉さんと相席になり(相席というものが普段あまりないのですごくドキドキします)、いろんな地域の食べ物について話してくれました。そのお姉さんが「うどん入りがもっちりして美味しいのよ」と教えてくれたのでした。

カープうどん(松山の坂本さん提供)

カープうどん(松山の坂本さん提供)

 それ以来、広島で食べるお好み焼きはうどん入りが定番。大きなバイクに乗って 全国を旅してたお姉さん、今の私と同世代ぐらいかなあ……。
 マツダスタジアムになって初年度のオールスター(2009年)にも行きました。広島市民球場のほのぼのとした雰囲気が好きだったのですが、そんな郷愁を吹き飛ばすほど素敵な球場でした。
 何よりも大事なことは、カープうどんが食べられるということです。
 「広島に絶えてカープうどんのなかりせば胃も心ものどけからまし」(広島にカープうどんがもしなければ、他の球場グルメも色々食べられるしこんなに悩まなくても済むのになあ の意)
 尾道ラーメンだってつけ麺だって球場で食べたらきっと美味しいだろうし、球場で飲むビールと枝豆、うーん最高だな〜。でもとりあえずでカープうどんを食べてるからそんなに食べられない現実。
 フェリーに乗ったらとりあえずうどん食べちゃうのと同じですね(松山の坂本さん)

カープファン専用居酒屋?(ミルフォードさん提供)
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カープファン専用居酒屋?(ミルフォードさん提供)

 妄想さく裂。坂本さんの頭の中には広島のいろいろな食べ物の映像が乱舞している。

 最後はこのメール。強烈にして印象的である。

中ちゃんのうにクレソン(みんみん(♂)さん提供)
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中ちゃんのうにクレソン(みんみん(♂)さん提供)

MNo.10

 ずいぶん前の話になりますが、おしゃれな立ち呑みの先駆けとなる「BUCHI」という店が渋谷にオープンしたばかりのころ。「ウニクレソン」という人気メニューがありました。
 「この、ウニクレソンって、“中ちゃん”のでしょ?」
 私がこう尋ねると、この店の女性オーナーは一瞬、ぎょっとした顔をしました。
 「…そうなんですよ。私たち広島出身で、中ちゃんの ウニクレソンが大好きで」
 女性オーナーはあっさりと “ちゃっかりいただいちゃったメニュー”であることを認めました。
 その、広島にある鉄板焼きの店「中ちゃん」のウニクレソン。生ウニとクレソンを鉄板で炒め、醤油をまわしかけて味付けしただけのメニューなのですが、これがもう信じられないほど美味しいのです。

改装前の中ちゃん(みんみん(♂)さん提供)
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改装前の中ちゃん(みんみん(♂)さん提供)

 しかもお店自体も信じられないほど古くて汚くて。広島の繁華街・薬研堀の深部、ソープ街のど真ん中にある、これぞバラックといった感じの建物。数年前に改装したため、まだきれいになりましたが、以前は壁紙ははがれ、天井はいまにも崩れ落ちそう。
 食器も調味料もただただ鉄板の周りに雑然と置かれ、いつ捨てられたかわからないものがあたりに散乱していました。決して誇張ではなく。
 しかしそれでもウニクレソンをはじめ、料理はすべて美味しく、勘定も安く済んでしまっていたのです。
 この「ウニクレソン」、最近では市内のお好み焼き店などにも広がり始めていて、“隠れた広島名物”として認知されつつあるようです(みんみん(♂)さん)

行くべし(みんみん(♂)さん提供)
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行くべし(みんみん(♂)さん提供)

 ウニとクレソンを醤油味でまとめようとする「自由」さの勝利であろう。

 メールを読んでいると、改装前の店は壮絶を極めたみたいである。にもかかわらず客はウニクレソンその他を食べたくて飲みたくて通った。そこまでの力があった。

 つまり店はきれいになり味は変わらない。行くべし。

 今週はこれまで。次回は豊川B−1特集のため本編はお休みである。広島県ご関係の方は「その2」に向けた準備をよろしく。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわりは「広島ブランドショップ『tau』に行ってきました」です。ぜひお読みください。

広島県編(その2) 消えた包丁、ホルモン天

広島県編(その3) 天ぷら中華はどこにある?

広島県編(その4) 辛ければいいのか? 君たちは

広島県実食編 タコ足が「朝日養素」に敬礼す


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2013年11月8日

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