おかわり 佐賀・武雄温泉と東京駅の不思議な共通性



武雄温泉の楼門
<写真を拡大>

武雄温泉の楼門

 2012年秋に保存・復原工事を終えた東京駅丸の内駅舎。駅舎の八角形のドーム天井には、東西南北を除く8つの方角を表す8種類の動物のレリーフが飾られていました。十二支のうちの8つの動物です。

 では残りの4つはどこへ行ったのか?

 2013年4月、東京駅丸の内駅舎を設計した建築家・辰野金吾が同じく設計した佐賀県武雄温泉の楼門に飾られていた4つの動物がその4つと同じであることが分かりました。

設計図には、3つの楼門
<写真を拡大>

設計図には、3つの楼門

 佐賀県編のスタートを前に、佐賀のご当地グルメの下見も兼ねて、日本の近代建築史を代表する辰野金吾の意匠を確認しに行って来ました。

 武雄温泉は1300年前に書かれた「肥前風土記」の中にも記された歴史ある温泉です。明治末期になって、地元の実業家・宮原忠直氏が、温泉をレジャーランド化する壮大な計画に着手します。

 その設計を委ねられたのが、地元佐賀県唐津出身の辰野金吾でした。

釘を一切使わない天平式楼門
<写真を拡大>

釘を一切使わない天平式楼門

 残された設計図では、楼門が3つあり、施設全体の規模も現在より大きなものでしたが、結局完成した楼門はひとつだけでした。

 1914年に竣工した朱塗りの楼門は、竜宮を思わせる鮮やかな色彩と形で、釘を一切使わない天平式楼門と呼ばれるものです。

 楼門の天井には動物の形に彫られた通気口があるのですが、この動物が東京駅になかったと一致したのです。

(左上から時計回りに)子、卯、午、酉
<写真を拡大>

(左上から時計回りに)子、卯、午、酉

 東京駅舎の竣工が1914年、楼門がその翌年ですから、辰野が何らかの意図を持って干支を振り分けたであろうことは容易に想像がつきます。ただし、本当に意図的だったのか、またその意図が何であったかは今のところ解明されていません。

 この「残りの4つ発見」は、新聞やテレビのニュースでも報じられました。今回現地で、実物を撮影させていただくことになったのですが、楼門だけでなく、その背後に建つ武雄温泉新館も合わせて、ほかにもいくつかの興味深い事実があることを教えていただきました。

八角形の男湯、女湯
<写真を拡大>

八角形の男湯、女湯

 まずは、設計図に描かれた3つの門。東京駅丸の内駅舎も左右のドームと皇居へ一直線につながる車寄せのある中央と3つの出入り口があります

 そして新館にある現在は使われていない浴場。新館の背後に男湯・女湯と左右に分かれているのですが、この浴場の形状が、東京駅のドームと同じ八角形なのです。

 さらに興味深いのは、新館の建具。浴場男湯のガラス戸は右側が手前にはめられているのに対し、女湯のガラス戸は左側が手前。そうです。洋服の右前・左前の性別と同じなのです。

内外でデザインが異なるガラス戸
<写真を拡大>

内外でデザインが異なるガラス戸

 そして2階の座敷にあるガラス戸も、1枚の戸にもかかわらず、内側からは障子のような和風デザインに見えるのに対し、外側からは中華風に見えるようデザインされています。

 細かいところに様々なこだわりが見て取れるのです。

 東京駅丸の内駅舎に続き、昨年、武雄温泉楼門の復原工事が行われました。その完成を記念して、普段は国の重要文化財として立ち入りが制限されている楼門の内部が、1月19日までの期間限定で公開されています。

 今なら、自分の目で直接、東京駅と武雄温泉楼門の二つのパズルを組み合わせて見ることができます。

 楼門・新館だけでなく、1300年もの歴史を持つ温泉ですから、他にも歴史的、文化的に興味深い遺物がいくつも館内に残されています。

辰野金吾設計の旧唐津銀行本店
<写真を拡大>

辰野金吾設計の旧唐津銀行本店

 佐賀県は武雄温泉の他にも、有田伊万里という陶器のまちがあります。唐津も唐津焼で知られます

 そうそう唐津ではやはり辰野金吾が設計した旧唐津銀行本店が保存・公開されています。吉野ヶ里遺跡もあります。ご当地グルメ、郷土料理を堪能しつつ、旅をするにはもってこいの県と言えます。

 一度行ってみるといいですよ。

(デスク)

2014年1月10日

【PR】

【PR】

【PR】

大人のレストランガイド

大人のレストランガイド

NIKKEI×ぐるなびが提供する、大人のためのグルメガイド。接待や会食、ビジネスシーンなどにおすすめのお店情報をご紹介。

ぐるなびWoman

ぐるなびWOMAN

女性のための女子会・デートのグルメ情報サイト。おすすめのレストランや居酒屋をこだわりやシーンに合わせて検索できます。

ぐるなびWedding

貸切パーティコレクション

企業向け貸切、OB会etc… 少人数〜大人数でも貸切OKのレストラン

結納・顔合わせ

特別な日を過ごすための完全個室のお店情報や、マナー・段取りまで

このサイトについて

日本経済新聞社について