おかわり 食文化発信も寺の役割〜「弁当」「ふりかけ」プロデュース、興福寺僧侶に聞く



五重塔も美しい興福寺
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五重塔も美しい興福寺

 奈良といえば、数々の歴史ある寺院が思い浮かびます。その中でも、著名な国宝・重要文化財を多数収めた「国宝館」を有し、日々訪れる人が絶えないのが興福寺です。9月3日には東京・上野公園にある東京藝術大学美術館で「国宝 興福寺仏頭展」(主催:東京藝術大学、法相宗大本山興福寺、日本経済新聞社)もスタートしました。

 今年の春、その興福寺が弁当やふりかけをプロデュースした、というニュースが話題を呼びました。なぜ寺が食品の開発に取り組んだのか。企画を担当した興福寺の録事(ろくじ)、辻 明俊さんにお話を聞きました。

 

寺で普段食べているものを弁当に

――お寺で食べ物を企画するのも珍しいですね。

 そうですか? でも考えてみてください。古代より、日本には仏教とともに様々な文化が入ってきました。食文化もしかりで、僧侶が伝えたとされる食べ物は数多くあります。

 寺には、それらを日本の社会に広めていくという、文化の発信拠点のような役割があったんですね。その現代版を、と考えていくうちに、お弁当とか、ふりかけができました。

辻 明俊さん
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辻 明俊さん

――お弁当の企画は、以前から考えていたんですか?

 ええ、3年前ぐらいから話をしていました。ただお弁当は製造工程も多岐にわたりますし、すぐに実現するのはハードルが高い。そこで、まずは奈良ホテルさんと共同で大和茶や古代米の入ったクッキーを作ったりして、少しずつ実績を重ねていきました。そうする中で、「精進ふりかけ」もできたんです。

――そして、今年の4月に興福寺監修弁当「心」が期間限定で発売になりました(900円、ジェイアール東海パッセンジャーズ)。興福寺としては、どのような形でかかわったのでしょう。

 興福寺の“秘伝のレシピ”を提供して、私たちが普段食べているものを再現していただきました。「ナスとこんにゃくの田楽味噌」などです。ご飯には精進ふりかけもかかっています。

――反響はどうでしたか。

 大きかったですよ。販売期間を当初の予定より1カ月延長したほどです。もし機会があれば、また取り組んでみたいですね。

 

精進ふりかけはパスタにも合う

精進ふりかけ「あを」と「丹(に)」。1袋400円で、仏頭展の会場でも購入できる
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精進ふりかけ「あを」と「丹(に)」。1袋400円で、仏頭展の会場でも購入できる

――反響といえば、ふりかけも話題に…

 ええ、Yahoo!検索でも急上昇しました(笑)。

――こちらは期間限定でなく、現在も興福寺で販売され人気を呼んでいる。「あを」と「丹(に)」の2種類がありますね。

 手軽なお土産にも使っていただけるよう、容器もビンではなく袋にしました。精進ふりかけですから植物のみを使うのですが、それだと「うまみ」を出すのがとても難しい。いろいろ工夫した結果、「あを」にはワサビ、「丹」にはトマトが入っています。

 精進というだけでなく、寺の「五色幕」にちなんで、4色の素材を盛り込んでいるのも特徴です。

――あと1色は?

 ご飯です。

――なるほど!

 ふりかけですから、温かいご飯にかければおいしそうな香りが立つのはもちろんですが、この精進ふりかけは冷たいものにも合いますよ。サラダとか、冷奴とか。

――かなり研究されたんですね。

 僕自身も料理が好きでいろいろ試していますが、ツイッターでこのふりかけについて書いてくださっている方の意見を参考にしたり、そうした方に「ふりかけ非公式応援大使」に就任していただいたりもしています。

新開発の「よし」。薬壷のイラストが目印だ
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新開発の「よし」。薬壷のイラストが目印だ

――ところで「あを」「丹」と来れば…

 このほど「よし」を開発しました。仏頭展の会場でも買えますよ。

――これで「あをによし」がそろったと。「よし」はどんな味なんですか?

 ショウガを使っています。塩分を減らすなど健康志向にもなっているので、パッケージのイラストは薬壺をイメージしてみました。

 ショウガ味は意外に応用範囲が広く、ヨーグルトや、アイスクリームにも合うようです。僕の試したところでは、オリーブオイルで軽く炒めて、パスタにからめるとおいしかったですね。

 

奈良にもうまいものはある

――今回、食べBの奈良編に寄せられた投稿には、「奈良の食といってもイメージが沸かない」という声がありました。奈良で育った辻さんから見てどうですか?

「国宝 興福寺仏頭展」内覧会のテープカット
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「国宝 興福寺仏頭展」内覧会のテープカット

 うーん、決してそんなことはないと思いますよ。どうしても「海がない」というイメージがあるのでそう感じるのかもしれませんが、十津川あたりの南部に行けば、川魚はもちろん、和歌山に近いですから海の幸も楽しめます。牡丹鍋などもありますね。

 奈良市中心部も、「宇陀金ごぼう」「大和まな」といった大和野菜や、大和茶の生産地が近く、食材は豊かです。

 確かに、以前はこうした食の魅力を外に向けて発信できていなかったかもしれません。ですが奈良県も食のブランド化には力を入れていますし、平城遷都1300年祭を機に、地元の人たちの間でも積極的に地域をアピールしていこう、という姿勢が出てきています。

 仏頭展や、精進ふりかけがきっかけになり、奈良にも足を運んでいただけたら嬉しいですね。

(一芸)

2013年9月6日

◆「国宝 興福寺仏頭展」公式サイト http://butto.exhn.jp/

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