番外編 天ぷら中華のフリーダムな世界(一芸)


姫路「えきそば」も天ぷら中華の一種か
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姫路「えきそば」も天ぷら中華の一種か

 愛媛編で何度も話題となった「天ぷら中華」。それは文字通り、中華そばに天ぷらがのった一品であります。愛媛県第1回でこれを紹介してくれた「かまだかいち」さんのメールには「今治市、西条市で見かける」とありました。さらに、広島県でも天ぷら中華があることから「瀬戸内天ぷら中華圏」が存在するのでは、という話に発展しました。

 第2回では「ごんた」さんから「かつては青森県弘前市のそば屋さんにあった。最近は見かけないが、自作して食べている」との報告が。野瀬は山形市のそば屋さんで見たとのこと。第3回ではnozakiさんが、姫路市の「えきそば」が天ぷら中華ではないか、と指摘。兵庫県編に登場した姫路のえきそばは、中華麺を使っているのです。さらに尾張旭市のある店ではうどん、そば、中華そばなど各種麺を取り扱っており、トッピングも自由に選べるので天ぷら中華にして食べる人も多い、というリポートもありました。

 自分も姫路の「えきそば」は、昼夜2食続けていただいたほどのファンなので、天ぷら中華には大いに興味を持ちました。そこで、SNSのフェイスブック上に試験的に開設している食べBページで、皆さんに天ぷら中華を食べたことがあるか聞いてみました。

 結果は8月3日現在で「食べたことがある」15票、「食べたことがない」97票。やはり未体験者が圧倒的に多いのですが、食べたことがある、という人のコメントは興味深いものでした。

 「北海道南西部、倶知安町のそば屋さんで食べた」「東京都心の立ち食い店で中華そばに天ぷらをトッピングして食べた」など各地の目撃情報の中に「高校の学食で食べた」との証言が3件もあったのです。うち2件は「頼めば作ってくれた」といういわば裏メニュー。

 第3回のnozakiさんのメールでは、より大衆向けの店で天ぷら中華が発生する確率が高いのでは、という分析がありました。料理としての完成度を追求するよりも、客が好きなものを好きなように食べる、そういう気軽な店だからこそのメニューなのでしょうか。であれば、学食に天ぷら中華が顔を出すのも納得できます。

都内の店で天ぷら中華実食
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都内の店で天ぷら中華実食

 ここまで来ると、どうにも天ぷら中華が食べたくなってきました。そこでフェイスブックのコメントにあった都心の店に行って食べてみました。なるほど、天ぷら中華です。「えきそば」よりも、よりラーメンに近い感じですが、スープのだしが和風なので、天ぷらによく合います。

 

 第2回の「ごんた」さんは自作しているそうですが、ひょっとしてカップラーメンとカップそばを組み合わせれば、手軽に「カップ天ぷら中華」ができるのではないか。そう考えた自分は、さっそく自宅のストックからその両者を取り出しました。私の部屋には、扉を開けるとラーメンが充満しているコーナーがあります。アニメ「オバケのQ太郎」で、小池さんの部屋の押入れを開けたらラーメンがぎっしり、というシーンがありましたが、あれを想像していただければ幸いであります。

カップ天ぷら中華?
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カップ天ぷら中華?

 カップそばの天ぷらだけを取り出し、和風しょう油ラーメンの上にのせてお湯を注ぎます。待つこと4分。フタを開けた瞬間、これはうまそうだと直感しました。その予感どおり、なかなかのお味。和風の出しを選んだこと、粉末スープだけを使い液体スープを使わなかったことが勝因だったかもしれません。もちろんその後、残ったそばとラーメンのかやくは「チャーシューそば」にしておいしくいただきました。

 

 しかし翌日、ふと考えました。天ぷら中華には和風出し、というのが定式化されているようだが、それ以外のスープで作ったらどうなるのだろう。nozakiさんのメールには「みそ中華」に天ぷらもいける、という情報がありました。

 そこで今度は、カップの「味噌ラーメン」「塩ラーメン」「とんこつラーメン」を用意。さすがに1杯ごとにカップそばを開けるのはきついので、スーパーで天ぷら盛り合わせを買ってきました。

(左上から時計周りに)スーパーで購入した天ぷら盛り合わせ、味噌天ぷら中華、塩天ぷら中華、とんこつ天ぷら中華
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(左上から時計周りに)スーパーで購入した天ぷら盛り合わせ、味噌天ぷら中華、塩天ぷら中華、とんこつ天ぷら中華

(1)味噌ラーメン

 味噌に天ぷら、と両方とも和風なものですから、これは何となく合いそう。「味噌天ぷら」という料理もありますし、味噌煮込みうどんに天ぷらがのっているのも見たことがあります。ただ、カップラーメンの味噌味はちょっと濃すぎて、天ぷらの味を消してしまっているようでした。合わないわけではありませんが、ちょっと調整が必要です。

(2)塩ラーメン

 塩に天ぷらですから、合わない道理がない。味噌に比べてあっさりしているので、天ぷらの味をうまく引き立て、これはおいしい。ただ、意外性もありません。

(3)とんこつラーメン

 これは合わないだろうなあ、と思ったのですが、食べてびっくり。とんこつのまろやかな出しが、天ぷらの衣とあいまって不思議なうまさをかもし出しています。

 

 天ぷら中華は、思ったよりも懐の深い世界のようです。こうなると、意地でも「これは天ぷら中華にならない」というラーメンを探したくなってきました。

 ラーメン在庫をかきわけてみると、ありました。昨年、食べBの「千葉県編」で紹介した「勝浦タンタンメン」のカップ版。芝麻醤(チーマージャン)を使わずに、スープ全体が赤くなるまでラー油を注いで辛くするのが勝浦タンタンメンです。この強烈さでは、さすがに天ぷら中華は成立しないでしょう。

勝浦タンタン天ぷら中華(仮称)
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勝浦タンタン天ぷら中華(仮称)

 フタを開けて天ぷらを乗せてみると、すぐに天ぷらの衣が周辺から赤くなっていきます。毛細管現象というやつでしょうか。ラー油がどんどんしみこんでいくのです。天ぷらを一口。そしてスープをすすり、麺をいただきます。

 あれ……?

 おいしいではないですか。天ぷらとラー油って、意外に合うのかも。すでに4杯目ですから相当お腹はきつくなっていますが、その辛さが食欲を刺激し一気に食べ進めることができました。恐るべし、勝浦タンタンメン。

 

 何とも自由すぎる天ぷら中華の世界。大衆店の自由な発想が生んだものだとすれば、それは当然なのかもしれません。

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