第96回 滋賀県ご当地グルメ(その2) 名前は「トン」でも鶏肉よ

特別編集委員 野瀬泰申


 前回「滋賀県メール求む」と呼びかけたところ、たくさんのメールをいただきました。中にはお友達に「何かない?」とまで呼びかけてくださって…。うれしい限りです。ありがとうございます。湖の西から東から、滋賀県ならではの食文化があぶりだされます。
 今週のおかわりは、デスクが北海道まで、「ご地グルメ」と呼ばれる網走ちゃんぽんを食べに行ってきました。あわせてご覧ください。
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レバ刺し
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レバ刺し

 牛のレバ刺しがご禁制になるというので、焼き肉店には「最後のレバ刺し」目当ての客が行列をつくったというニュースが流れた。

 私は加熱したレバーはときどき食べるが、生は食べたことがない。食べる予定もないままご禁制になってしまった。

 ファンの方々は肝を冷やしたかもしれないけれど、私の人生に何の関係もないニュースであった。

 ごめん。

 これが禁酒法かなんかだったら、自衛隊出動だな。

くまモンに会えるかな?
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くまモンに会えるかな?

デスク そのときは、ともに闘います。

 ところでいま、熊本県実食編の予定を固めている。あそこに行って、どこに行ってとあれこれ考えているのである。

 私は明確な目的と、十分な余裕を持って訪ねる先を決めたのであるが、別行動するデスクはまたしても暴食の旅をやらかしそうな勢いである。

「そんなに頑張って○○ばかり食べたら命にかかわるよ」と言っているのに車、電車、フェリーを乗り継いで、あの店この店の制覇に意欲をみなぎらせている。

どか盛りソースかつ丼
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どか盛りソースかつ丼

 長野県駒ケ根市でどか盛りソースかつ丼を食べ、伊那に移動してローメンを詰め込み、車に戻ったときは顔が真っ青。脂汗を流して苦しんだことを忘れてしまったのね。

デスク いい思い出です(きっぱり)。

 どうなっても知らんけんね。

 ということで滋賀県編。

インパクト大
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インパクト大

MNo.5

 近江の赤こんにゃく。必ず出るぞと思っておりましたが、やはり出ました。あれは袋のままの写真より切って並べた写真がよりインパクトがあると思います。
 現在海外のために実物写真を送ることができないのが非常に残念です。
 ある日、近江在住、京都勤務だったいとこが昼の弁当を開けて食べようとした瞬間、同僚から驚きの声が。
 「あんた、すごいな! お弁当にレバ刺しいれてー!」
 はい、レバ刺しではありません、赤こんにゃくの炒り煮だったんですね。叔母からその話を聞き、母と私は大笑いしたのでした。いや、無理もない。
 子どものころ、祖父母の家に遊びに行くとよく夕食に出たのですが、あの血の色のこんにゃくにはどうも尻込みしましたから。
 ただ、他県に嫁いだ母にとって「赤こんにゃく」はソウルフードらしく、たまに無性に食べたくなるそうです。私には理解できませんが。だって違いはただ赤いだけのなに…(ハーフ近江人さん)

こんにゃくのレバ刺し
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こんにゃくのレバ刺し

 そうなのである。レバ刺しが食べられなくなってサビシイ人生を送ることになった諸兄姉は、赤こんにゃくで我慢するのである。ごま油や白ごまをかけて、なりきりで食べるのである。

 私は近所のスーパーでこのようなものを捕捉した。

 「こんにゃくのレバ刺し」

 旧レバ刺し人間向けの代替食品である。しかも34キロカロリーとヘルシーである。

 テレビでこれとは別の商品が大々的に取り上げられていた。

けっこう美味しかった(デスク)
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けっこう美味しかった(デスク)

 食べたい?

 再び言う。

 こんにゃくって、こんにゃ食い方があったの?

 ハーフ近江人さんのメールの後半に「滋賀のソウルフードの王者、鮒ずし。実食候補に是非いれて下さい。今では超高級珍味。ただ子どものころはあれが冷蔵庫に入っていると開けるたびに匂いがすごくて閉口したものです。私はどうしても食べられませんでした。 そして今も食べられません」とある。

鮒ずし(大阪の原さん提供)
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鮒ずし(大阪の原さん提供)

 鮒ずしは大阪勤務時代に食べた。場所は千里の国立民族学博物館館長室。石毛直道さんが館長のときにお訪ねして、午後5時以降の石毛バーで「あて」の中の1品として出てきた。

 「これは匂いがほとんどないものです」

 と石毛さんが言った通り、味だけ濃厚で匂いは感じなかった。よほどの高級品であったのか、値段に関係なくそのようなものを選抜したのか。

 鮒ずしのような「なれずし」は発酵の度合いが凄い分、匂いはきつい。それが好かれたり嫌われたりする理由である。

赤こんにゃく(ミルフォードさん提供)
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赤こんにゃく(ミルフォードさん提供)

MNo.6

 滋賀県といえば。琵琶湖。といえば、鮒ずしではないかな、と。
 なんでも、日本最古のお寿司というのが鮒寿司。お酒のおつまみですね。くせがあるので、好き嫌いは多分にわかれるかと。
 それから、赤こんにゃく!
 織田信長が、その派手好きな性格ゆえ、こんにゃくも赤くしてしまえ!といって、つくられたという説があるそうです。
 もちろん、こんにゃくなので、それそのものに味はなくて…煮込み方で味も決まるのではないかと。
 そして、八日市に料亭「招福楼」という老舗がありまして…そこで出している赤こんにゃくはもちろん鮒ずしは…それはもう。とても食べやすくて発酵系が苦手な人も、意外と食べられるのではないかと思います。ただ、お値段はそれに比例します(個別にそれだけでは売っていないようです)。
 あと、この季節ですと鮎ですかね。
 ひれに塩をふっていない、生きたまま焼いた鮎は、やっぱり美味しいと思います。天然ものでも、死んでから焼いてしまうと……(あかざさん)

モロコ(いけずな京女さん提供)
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モロコ(いけずな京女さん提供)

 説明不要である。というか滋賀県民にとって赤こんにゃくと鮒ずしが出てくれば、ともかく安心であろう。

 鮎は稚鮎(ちあゆ)。この天ぷらが美味いったらありゃしない。でも量が少ないのでなかなか当たらない。

 それとモロコ。この天ぷらもいいぞ。とてもいいぞ。

 東海道を歩いたとき、大津でモロコの天ぷらを食べたけんね。

 「招福楼」の東京店が丸ビルに入っているが、行ったことはない。高級すぎて行けない。

MNo.7

 石山寺のお土産店で「ふなずしパイ」をみつけました。バター生地のサクッとしたパイの上に、チーズのアクセントがあり、うわさに聞く鮒寿司の臭みもなくビールのおつまみにもGoodです(お名前ありません)

駒ヶ根ソースかつ丼パイ
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駒ヶ根ソースかつ丼パイ

 これで匂い問題は解消。あとは静岡の「うなぎパイ」とどう勝負するかである。

 次はおなじみのこの方。ご当地グルメを掘り当てた。

トンちゃん焼き(大阪の原さん提供)
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トンちゃん焼き(大阪の原さん提供)

MNo.8

 高島市安曇川(あどがわ)ですが、駅前は寂れてしまい、バイパス近くに活気がある、近年典型的な地方都市です。
 道の駅でお目当ての「トンちゃん焼き」に突撃。名前はトンだが鶏肉という…何で?
 味付けは味噌系で岐阜の鶏ちゃんに似ているような似てないような…パクパク。
 道の駅には湖の幸がいっぱい。エビや鮎、しじみのご飯の友だらけ。豆の煮物はニシンで味付けや、川エビで味付けなどが京都〜滋賀近辺らしさです。
 野菜類では日野菜(赤くて細長いカブ?)が局所的名産かなあ? ちょっとほろ苦かった記憶が。

アドベリー(大阪の原さん提供)
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アドベリー(大阪の原さん提供)

 果物のアドベリーはグズベリーや桑の実に似た「安曇川のベリー」だそうで。甘酸っぱくて野性味たっぷり。柔らかすぎて生では流通に乗らない一品です。6〜7月限定品。パクパク。
 道ばたには醤油樽が看板代わりにごろんごろん。車や家と比べると、でかい!
 モロコなどの生から醤油煮・飴煮などが売られている店で鮒ずしの「米漬け」「酒粕漬け」を目撃。さらにはウグイのなれずしも。
 バリエーションが豊富でした。結局しじみの醤油煮をパクパク。
 帰り道で比叡山に寄り道してお猿さんに挨拶して参りました。パクパク(大阪の原さん)

日野菜(大阪の原さん提供)
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日野菜(大阪の原さん提供)

 高島では戦前から「トンちゃん焼き」あるいは「とんちゃん焼き」が食べられてきた。メールにあるように鶏肉である。それを味噌味で調えた焼き肉と思えばいい。

 鶏の焼き肉がご当地グルメとして定着している町に三重県松阪市がある。松阪牛で有名なのに地元で焼き肉というと鶏なのである。

 これでまちおこしをしている「Doit! 松阪鶏焼き肉隊」が愛Bリーグの中日本支部会員となった。

 中日本支部が関係するイベントで、皆さんの口に入るかもしれない。

MNo.9

 栗東の鮒ずしより臭いと言われるナマズ寿司、柔らかすぎて県外に出ていかない湖魚 ウロリの佃煮なんていかがですか?(杉本奈於子さん)

ドジョウなど湖の恵(いけずな京女さん提供)
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ドジョウなど湖の恵(いけずな京女さん提供)

 出ました。栗東市・三輪神社の大祭の神事で出される「ドジョウずし」。間違いではない。ドジョウのなれ寿司の中にナマズも入っているのである。

 ドジョウのなれずしを作るのは全国でもここだけというので、食の民族学ではよく話題になる。

 ウロリは何かの稚魚だが、私は見たことも食べたこともない。

 琵琶湖では外来魚ブルーギルが異常繁殖して問題になっている。ウロリのような小さな魚はブルーギルに駆逐されているのではないかと心配している。

 地元ではブルーギルを食べて減らそうと、さまざまな料理法が研究されているが、実際に食べてみた同僚記者の話だと、味は栃木県の今市であったという。

 続いて滋賀県の印象記。

滋賀の佃煮類(大阪の原さん提供)
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滋賀の佃煮類(大阪の原さん提供)

MNo.10

 東京から滋賀に転勤した親戚からの情報です。
 ▽卵焼き・煮物は甘くない。甘いのは「気持ち悪い」。が、しかし、それだからと言って出されたら甘くても食べる。
 ▽醤油も好きではない。出し汁が好き。薄い色の仕上がりが好き。が、しかし、京都には負けると思ってる。
 ▽北部のつるやのサラダパン(コッペパンにスリットを入れ、マーガリン+たくあん+マヨネーズ)が有名。が、しかし、南部の人間からしたら「えー?」
 ▽おでんはスジが入っている。が、さして好きではない。
 ▽というか、滋賀の人間は「我が県の食の個性なし」と思っている(蓮沼さん)

たぬきうどん@京都
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たぬきうどん@京都

 甘くなく出しがきいた卵焼き、すなわち出し巻き。おでんの牛すじ。まさしく関西である。

 だが滋賀県のきつねうどんは刻んだ油揚げがそのままのったものではないか? 大阪の人が見たら「これ、きつねちゃう。きざみや」と言うのではないか?

 滋賀の食文化は十分に個性的である。

をかべ(ミルフォードさん提供)
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をかべ(ミルフォードさん提供)

MNo.11

 私は彦根出身(高校まで在住してました)で、ちゃんぽん岡部の記事および1号店の写真は懐かしく拝見しました。
 滋賀県民は琵琶湖の資源とともに生活しており(1)えび豆(2)鮎やモロコの甘醤油煮も鮒すし同様に料理として食されています(お名前ありますが書けません)

にしん豆も(大阪の原さん提供)
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にしん豆も(大阪の原さん提供)

 小社関連会社の社員からである。

 彦根で生まれ育った人々にとって「をかべ」のちゃんぽんはやはりソウルフードなのであろう。

 でも九州のチャンポンも食べてみてほしいものである。

 「えび豆」とはどんな豆?

 琵琶湖で捕れるスジエビと大豆を煮たもので、土産品にもなっている。

 ハゼ科のイサザと大豆を煮ると「イサザ豆」。

MNo.12

 ご存じかと思いますが「うなぎのじゅんじゅん」を是非。近江八幡のひさご寿司などが有名ですが、湖北の長浜あたりで食べるようです。要はうなぎのすき焼きです(社内からすみませんさん)

山椒をかけすぎでうなぎの「ひりひり」(デスク)
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山椒をかけすぎでうなぎの「ひりひり」(デスク)

 小社社員である。今週は関係者からのメールが多い。でも歓迎なのである。

 「じゅんじゅん」というのはすき焼きが煮えるときの音からきたものではないだろうか。「イサザのじゅんじゅん」という料理もある。

 和歌山県新宮市辺りではサンマをすき焼きにする。「じふ」とか「じふ煮」と呼ばれて「じふ」は煮える音からとされている。

 以上、どれも美味そうな話ばかりであったが、ときに美味くないものにも出くわす。

伝説の「靴底ピザ」、すごく「あんない」
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伝説の「靴底ピザ」、すごく「あんない」

MNo.13

 滋賀県出身の同僚に「何かネタない?」と水を向けたところ、こんな情報が寄せられました。
 「今ぱっと思い浮かんだのは『不味い』っていうことを『あんない』っていいます。味ないからの変形だと想像はつきます。滋賀の人ならだれでも日常的にいう言葉ですが、滋賀以外ではあまり聞かない言葉です。
 お隣の京都や福井では『あじない』と言うとのことですが、実際にはどうなのでしょう?」(ミルフォードさん)

ん?
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ん?

 このあんパン、あんないネ。 ん?

 今週はこれまで。

 滋賀もいろいろあるじゃないか。京都の隣で何かと気を使っているかもしれないが、胸張って行こうぜ。

(特別編集委員 野瀬泰申)

★今週のおかわり(番外編改め)はちくわで出合い、麺が紡いだ網走ちゃんぽん(デスク)です。合わせてご覧ください。

実食編 琵琶湖周食の歌

滋賀県編(その1) たくあんは、いかにしてサラダになりしか

滋賀県編(その3) 老眼なのにきんし丼

滋賀県編(その4) 人間は葦を食う生き物である。アシからず


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2012年7月6日

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