第179回 香川県ご当地グルメ(その3) 煮物の天ぷら、うどんにのせて

特別編集委員 野瀬泰申


 うどん県、再開です。いりこ酒、甘いお雑煮、さらには鳥の肉やレバーなどが入ったお好み焼きの存在が、発掘され、いよいよ「うどんだけではない県」の側面が明らかになってきました。今週は、うどんと並び、香川県内で広く愛されているあの豆も登場します。どんな豆かって? 香川県編第3回のスタートです。
 そして今週のおかわりでは、その「豆」をデスクが食べています
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小浜温泉観光協会、右にチャンポンマン、左にオバマ大統領
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小浜温泉観光協会、右にチャンポンマン、左にオバマ大統領

 先週末、愛Bリーグ九州支部総会に出るため島原半島の小浜温泉に行った。

 NHK長崎放送局が制作したBSドラマ「私の父はチャンポンマン」が好評を博し、ついに6月27日、地上波で放送されることになった。ただし九州・沖縄地区限定。

 主演は山口智充さんで、小浜チャンポンでまちおこしを始める公務員の役。彼に協力する食堂の三代目もいて、私などは愛Bリーグ加盟団体「小浜ちゃんぽん愛好会」のメンバーと完全にダブる。

 だってモデルなのである。

海のそばから100度を超す温泉が湧き出す
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海のそばから100度を超す温泉が湧き出す

 というわけでドラマの舞台でモデルになった人々と共に、一夜騒いできたのであった。

 それはともかく、島原半島はジオパークに指定されていて、小浜温泉にも105度のお湯が自噴するところが見られる。もともとは海の中から温泉が湧いていたが、そこを埋め立てて温泉地にした。だから小浜温泉のあちこちで湯気が上がっている。

 なんだか凄い温泉地である。

 源泉掛け流しの温泉に入ったが、出たくないほど気持ちがよかった。

帰途、諫早で食べたチャンポン麺の皿うどん。これがもともとの皿うどん。ウスターソースが必須
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帰途、諫早で食べたチャンポン麺の皿うどん。これがもともとの皿うどん。ウスターソースが必須

 と長崎県のことはこれくらいに。本題は香川県である。

 前回はあん入り雑煮で終わった。その続きから。

香川県のお雑煮
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香川県のお雑煮

MNo.17

 香川県西部の祖父母の家では、あん入り餅を投入していました。祖母は気を使って、あん入りかあんなしかどちらか聞いてくれていました。
 岡山育ちの私は、当初何を言われているのかわからず「あんなし」が当たり前だろう程度に答えていました。
 味噌は農家なので自家製の味噌か、地元で一般に販売されている味噌だったと記憶しています。ほかの家ではどうかわかりませんが、農家の一般的な食事でも、田舎味噌だったと思います(さぬきうどんさん)

大曲など秋田県南のお雑煮は納豆汁
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大曲など秋田県南のお雑煮は納豆汁

 いつだったか全国の皆さんから「うちの雑煮」の写真を送っていただく企画をやった。そのときに集まった各種雑煮のバラエティーに驚いたものだった。そもそも餅が入らない雑煮もあるくらいなのである。

 しかし集落が違えば味も具も違うと言われるのが雑煮。あん餅入り雑煮も驚くに当たらない。いや驚くか。

 でも家庭料理なので外の人間は食べる機会がまずない。いやあるか。

デスクは昨夏、猛暑の金比羅参りでダイエット、水分補給もカロリーゼロで
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デスクは昨夏、猛暑の金比羅参りでダイエット、水分補給もカロリーゼロで

MNo.18

 あん餅雑煮については、全くの家庭料理であることと、お正月の季節料理であることから、なかなか食べさせてくれる店がないと思います。
 ですが、私がいつも行っている高松市屋島山上の旅館桃太郎さんの桃太郎茶屋は、年中このあん餅雑煮を食べさせてくれる貴重なお店です。
 休日にダイエットのために始めた屋島への山登り。瀬戸内の島々を見下ろすなんとも美しい景色を堪能し、山登りで少々疲れた体に、ここのあん餅雑煮はもう最高です。ぜひ山登りをしてご賞味あれ(AKIさん)

岡山県と香川県を結ぶ本四連絡橋
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岡山県と香川県を結ぶ本四連絡橋

 小学校6年生のとき、高知の戦友を訪ねる父に連れられて四国縦断の旅をした。その折、源平の古戦場、屋島を訪ねて瀬戸内の美しい風景を眺めたことを思い出す。

 山登りもいいが、バスの便もある。実食の旅では当時の記憶を胸に、センチメンタルジャーニーをしようかな。

 続いてしょうゆ豆。東京のさぬきうどんの店でも出している。

しょうゆ豆
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しょうゆ豆

MNo.19

 高松に住んでいる地元民として「こういうのあったよ」として紹介するのが「しょうゆ豆」です。そら豆を炒って、甘い醤油タレに漬け込んだ珍味的な食べ物です。子どもころは給食に出ていました。
 大人になってからは食べる機会がぐっと減りましたが、骨付鳥の「一鶴」とかだと、おつまみメニューにあったりします。ただ、香川県民の誰もが好む味ではないです。
 余談ですが「かしわバター」は本家がやめて今は系列店が色々出していますが、昔の味に一番近いのは高松市水田駅の近くにある「かしわの武内」というお店です(Muhouさん)

任された!(A-changさん提供)
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任された!(A-changさん提供)

 東京には2種類のさぬきうどんの店がある。食事専門店と、食事と酒の店である。私がときどき行くのは後者で、いりこの天ぷら、卵の天ぷらなどをつまみに取る。そんな中にしょうゆ豆がある。私は好きである。

 かしわバターはデスクに任せる。よーく調べて実食するように。はしごは厳禁。

デスク …(絶句)。

そら豆の醤油漬け
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そら豆の醤油漬け

MNo.20

 香川でうどん以外の美味い物としてすぐに思い浮ぶのが「しょうゆ豆」です。そら豆の醤油漬けなのですが、結構クセになる味わいです。
 初めて食べたのは銀座のさぬきうどん店。その後、香川出身の知人にお土産でいただいたりしてハマりました。
 うどんといえば、中学校の修学旅行が四国で、そのとき金比羅さんも訪れて、昼食にたらいに入ったうどんをいただいたのですが、これが冷めているわ伸びているわで最悪。
 なじみのない汁(いりこ出しだったんですね)の味もあって、あまり良い印象がありませんでした。
 いくら修学旅行生相手だからといって、あんまりアレな物を出すと後々のファンを減らしてしまいます。
 今は前述の知人に開眼させられて、さぬきうどん(都内が主なので「風」ですが)大好きです(こばりんさん)

本文とは関係ありません(豆津橋渡さん提供)
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本文とは関係ありません(豆津橋渡さん提供)

 修学旅行は人数が多い。短時間で大量の食事を用意しなければならない。作り置きでしのぐことになる。その結果、「アレな」ものになる。

 職場旅行などが華やかだった時代も似たようなものだった。「刺し身の干物」に「冷やし天ぷら」は珍しくなかった。

 しかしバブル経済が崩壊して団体旅行が激減した。そのため温泉旅館は料理人を置けなくなり、いくつかの旅館が共同で仕出し屋から料理を取り、客に出す温泉地も現れた。

 私が泊まった宿もその一つだった。夜の食卓に幕の内弁当を分解したような小皿が並び、私は涙にくれた。外で食べようにも居酒屋1軒なく、ぼそぼそと食べる以外になかったのである。おかげで「チャブ」を1本書くことができたが……。

 香川県には面白い名前の郷土料理がある。

まんばのけんちゃん
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まんばのけんちゃん

MNo.21

 郷土料理としては、雑煮やしょうゆ豆はあまりに有名ですが私は「まんばのけんちゃん」という料理が大好きです。
 高菜の仲間であるマンバを豆腐や油揚げと一緒に炒め煮にしたもの。家庭料理なので、私は給食や家庭でしか食べたことはありませんが、観光客向けに出す居酒屋もあるようです(タケモトさん)

天ぷらはうどんと食べるもの(大阪の原さん提供)
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天ぷらはうどんと食べるもの(大阪の原さん提供)

「まんばのけんちゃん」。誰かのあだ名ではない。「まんば」は高菜に似た野菜。「けんちゃん」は「けんちん」から出たらしい。

 この料理については本紙火曜夕刊の「食ナビ」で誰かが書くようなので、その機会に譲る。

「天ぷらにソースをかけますか?」で「NO」が圧倒的だった香川県。理由は「天ぷらはうどんと一緒に食べるものなので、ソースは不要」というものであった。

 その香川県の天ぷらにはに一大特徴があるらしい。

うどんに薬味のネギは不可欠
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うどんに薬味のネギは不可欠

MNo.22

 スーパーの冷凍食品売り場の冷凍うどんの面積がどのスーパーでも一番大きいです。本当に香川県民はどれだけうどんを食べているのでしょうか? そういう我が家にも5玉入り2セットは常備しております。
 うどんには薬味のネギが欠かせませんが、春〜夏は細いネギ、秋〜冬は中ネギとなるのが一般的です。職場から近いうどん屋さんは年中細ネギです。冬はどこからネギを購入しているか興味津々です。
 学生時代を過ごした京都で、細ネギを買いに行くとどこもなくて、京都では「あさつき」と呼ぶことを知りました。
 さて、うどん以外ですが、徳島出身高松在住の友だちから「こっちの人は何でも天ぷらにするよね〜」と言われて初めて気づきました。そういえば、そうかも。

天ぷら?
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天ぷら?

 タケノコの炊いたもの、葉ゴボウの炊いたもの、ゴボウの炊いたもの、昆布の炊いたものなどなど、味付きのものを天ぷらにしてよく食べます。またこれをかけうどんにのせると美味しいです。
 近所のうどん屋さんでは、味付けの高野豆腐の天ぷらがあります。かむとじゅわ〜と出し汁が出ていいのですが、揚げたては熱い出し汁で口の中をやけどするので要注意です。
 長天を天ぷらと呼ぶのも香川県ならではでしょうか? 香川県民もときどき、どっちの天ぷら? と悩みます(いしまるさん)

香川のうどん店の天ぷら
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香川のうどん店の天ぷら

 いいメールをいただいた。香川のうどんの店で出る天ぷらには驚かされる。先述したいりこの天ぷらはどこにでもあるものではないし、ウインナの天ぷらも珍しい。

 煮た物をさらに衣をつけて揚げるというのは、古くなりかけたものの再生措置なのか、それとももう一手間かけることによってごちそう感を増そうというのか。それとも「天ぷらはうどんとともに食べなければならない」と信じる香川県民が、食べたいものを手当たり次第に天ぷらに仕立てたのか。

「これをかけうどんにのせると美味しいです」という文面からすると、最後の仮説が当たっているかも。

 ここでスイーツをひとつ。

名物かまど(いけずな京女さん提供)
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名物かまど(いけずな京女さん提供)

MNo.23

 昔むかし、こんぴらさん(金毘羅宮)にお参りに行った人が皆、必ずお土産に買うてくるのが「名物かまど」でした。なので、こんぴらさんで作ってるのかと思てました子どものころは。
 本当は、かつて塩業で栄えた坂出市が発祥です。
 天平時代、行基という偉いお坊さんが讃岐国阿野の海岸に至り、乙女たちが上手に塩をとれないのを哀れみ、かまどで塩を造る方法を教えたという故事から生まれました。
 その後大人になり、仕事で高松に行ったのが初香川県でしたが、駅にもデパートにも「名物かまど」が溢れていたので、ああこれは香川県の伝統ある代表銘菓なのだとわかった次第。
 もちろん、私も香川県に行ったらかならずお土産に買うて帰ります、美味しいですもんね(いけずな京女さん)

1368段への入り口には「かまど」の大看板
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1368段への入り口には「かまど」の大看板

 父との四国縦断の旅で金比羅宮に詣でた。もの凄い階段があって、籠で上まで運んでくれる商売があった。いまもあるのかな?

 旅費を節約する必要があったのと、父もまだ若かったので自分たちの足で登った。

「名物かまど」。確かに食べたことがある。写真を見て思い出した。ただそれが金比羅山であったのか、地べたに下りてからであったのかは不明。

 最後は香川県の瀬戸内の島々を巡ろう。

香川県産のピーナツ(nozakiさん提供)
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香川県産のピーナツ(nozakiさん提供)

MNo.24

 昨年、香川県の島々中心に「瀬戸内国際芸術祭」が開催され、普通だったらまず訪れることのない、瀬戸内海の小さな島々の生活も垣間見ることができました。そういうことで、私が体験した香川県の食事情をダイジェストでレポートします。
<男木島、女木島>
 県の東部の高松からフェリーで30分ほど離れた、男木島(おぎしま)、女木島(めぎしま)では落花生が作られており、塩ゆで、甘煮などがよく食されているそうです。男木島で手作りの「ピーナツ味噌」をいただきましたが、美味すぎてあっという間になくなりました。落花生にアツいのは千葉県だけじゃないんですね。

いりこ飯(nozakiさん提供)
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いりこ飯(nozakiさん提供)

<豊島>
 かつては産業廃棄物の不法投棄で、今は「豊島美術館」ですっかり有名 になった豊島(てしま)ですが、名前の通り豊な島です
 フェリー乗り場の近くに、「いちご家」というスイーツショップ(というか倉庫)があり、豊島で採れたいちごを使った、かき氷、ソフトクリーム、クレープ、ジュースなどが販売されており、観光客(特に女性)の人気を博しています。
<伊吹島>
 香川県の西のはずれにあり、別名、「いりこの島」とも呼ばれています。イワシの好漁場にあり、いりこの生産が盛んです。

いりこちりめんアイス(nozakiさん提供)
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いりこちりめんアイス(nozakiさん提供)

 島の港の付近には、「イリ場」と呼ばれるいりこの加工場があり、鮮度が命のイワシは船から直接ホースで加工場の釜へ吸い上げられるようになっています。
 イワシ漁の最盛期はちょうどこれからの季節で、時期によりとれるイワシの大きさが変化します。うどん出しやつくだ煮だけではなく「いりこ飯」など、大きさや味に応じた「いりこの島」ならではの利用法があるようです。
<観音寺>
 寛永通宝で有名な歴史ある港町で、映画「青春デンデケデケデケ」の舞台ともなりました。伊吹島への定期船がこの港から出ており「いりこちりめんアイス」なども売られています。
 すっかり人口が少なくなった伊吹島の島民の中には、観音寺に住んで、用事があるときだけ定期船で通っている方もいらっしゃるようです。

六方焼(右)と栗まんじゅう(nozakiさん提供)
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六方焼(右)と栗まんじゅう(nozakiさん提供)

<大島>
 ハンセン病の「国立療養所大島青松園」のある島です。その昔入所者に和菓子職人がいらっしゃって「六方(ろっぽう)焼」や「栗まんじゅう」など、うどん粉を使った菓子をふるまっていたことがあるそうです。
 写真の四角いのが六方焼きで、今現在も入所者の方々と交流を深めながら活動されているボランティアの方々が、入所者の方々から聴き取りをして再現されたものだそうです(nozakiさん)

伊吹島のいり場(nozakiさん提供)
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伊吹島のいり場(nozakiさん提供)

 いい旅をしましたね。広島実食の旅で連絡船に乗って島を訪ねたが、香川県側の島々も魅力にあふれている。

 いりこの伊吹島はぜひ訪れてみたいものである。

 これで香川県に関するメールはほぼ払底した。来週の最終回がピンチである。ご関係の方はどうぞよろしく。

デスク 香川県の次は大分県です。関係者の方、ご準備をよろしくお願いいたします。

(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは香川のしょうゆ豆、食べてみましたです。ぜひお読みください。

香川県編(その1) 湯船のうどんでお祝いだ

香川県編(その2) いりこをあぶってお酒にポン

香川県編(その4) どじょう汁をどうじょう。


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年6月6日

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