第61回 愛媛ご当地グルメ(その4、最終回) 「冷やいちゃんぽん」に肝冷やす

特別編集委員 野瀬泰申


 愛媛県グルメ、いよいよ最終回となりました。6月12日に「今日から毎日、どんどんメールを送りつけます!」と宣言し、それを実行してくれた松山の坂本さん、本当にありがとうございました。おかげで無事ここまでたどり着けました。
 今回は、愛媛県から「B級ご当地グルメの祭典 B−1グランプリ」の支部大会に出展して大奮闘した今治の焼豚玉子飯も登場します。最後の最後まで、愛媛の味を存分にお楽しみください。
 今週の番外編は、「天ぷら中華」に関し一芸クンが様々に考察し、自分の舌と胃でそれを実証しています合わせてご覧ください。

  食べBのFacebookページを開設しました(http://www.facebook.com/tabebforum)。実食編地図など、オリジナルコンテンツも掲載していますのでぜひご利用ください。

(「食べB」へ初めて訪れた方は「食べB入門編」をご覧下さい食についてのメール投稿先はこちら


 2011年8月4日からラジオNIKKEIの番組「アサカツ!!」を担当している。8月の毎週木曜朝の放送なので計4回の出演。

マイクに向かってしゃべる
<写真を拡大>

マイクに向かってしゃべる

 前回掲載した一芸クンリポートの写真の通り、私はたった1人でスタジオに入りマイクに向かってしゃべるのだが、これは実にサビシイ。

 聞き手や司会者がいれば成り行きで何とかなる。しかし1人ではどの程度のテンションでやればいいのか、おやじギャグを入れていいものかどうか、つい口走った小ネタが受けているのかいないのか、そんなことが全然わからないのである。

 しかも台本がない。これは大変なことである。台本なしで1回20分間をよどみなく話すのはプロでも難しいであろう。それを素人の私がやっているところがオソロシイ。録音でよかった。生だったら放送事故続出。

 ともかくこれも社業である。会社へのご奉公である。

 あと3カ月で定年。もうちょっとだな。

 さて愛媛県編も最終回を迎えた。前回、兵庫県実食リポートが挟まったが今週で大団円を迎える。

ミルコーク(nozakiさん提供)
<写真を拡大>

ミルコーク(nozakiさん提供)

MNo.26

 愛媛県とは全く関係ありませんが、新しい飲み物を発見しました。
 ミルコークです。牛乳がシュワシュワしてなかなか美味です。牛乳とコーラの混合比は1:1でお願いします(nozakiさん)

 いきなり本題と関係ないメールで申し訳ない。

 関係はないが、長崎県編に登場し、私も実食した「カルコーク」を思い出したのである。ミルコークがどこで活躍しているかは書かれていないのでわからないが、案外、カルピス+コーラ、ミルク+コーラのような異種格闘技における混合ダブルスみたいな物件は幅広く存在しているのかもしれない。

 次のメールも愛媛県とは無関係。

山形・天童、水車そばのざる中華
<写真を拡大>

山形・天童、水車そばのざる中華

MNo.27

 山形県庁(所在地:山形市)の食堂には「ざるそば」「ざるうどん」「ざる中華」がメニューにありますが、誰もなんの疑問も持ちませんねえ。
 個人的には「冷やしたぬきそば」がオススメ。大根おろしとレモンがいい感じ。
 最近、ツイッターで、冷やし中華の元祖の一つである仙台市民から「冷やし中華にマヨネーズなんて信じられない」旨の書き込みがありました。隣の福島や山形ではマヨネーズは一般的なようなんですが、おなじ東北でもこうも違うという。
 もっとも福島でも浜通り・中通り・会津で食文化は異なりますし、山形も村山・置賜・庄内・最上で食文化はおろか方言まで異なります。天気予報も違うよ。

山形・河北町の冷たい鳥中華
<写真を拡大>

山形・河北町の冷たい鳥中華

 余談ですが、予想を超える大盛況で混乱したことがニュースになった「東北六魂祭」は、東北6県の県庁所在地の祭りを集めたものなので、あれがうちを代表する祭りなのか、という異論もあるそうな。
 来年以降「輪番」開催する計画もあるそうですが、あくまでも「東北のお祭りのショーケース」と思っていただいて、余裕があったら実物を体験していただくということで、ひとつよろしくお願いします。
 個人的には、応援のためにも被災地のお祭り優先でご検討いただき、その次には被災地を支えている各地のお祭りをご検討いただければなあと(とくめえきぼんぬ@東北さん)

 ざる中華は山形や青森の日常食なのに、域外にはまず存在しない。冷やし中華にマヨネーズも中部日本と東北の一部に限られたものである。

 地域における食の文化は保守的でなかなか変化しない。だから「食の方言」という概念が成立し「食べ物 新日本奇行」も、この「食べB」も成り立つのである。

 その一方で、人の流れによって広く伝播する食べ物もある。

佐伯ごまだしうどん
<写真を拡大>

佐伯ごまだしうどん

MNo.28

 お魚系のぶっかけ飯のあたりを読んでいて思ったのですが「さつま」と「冷や汁(宮崎)」の関連について、私は佐伯市の「ごまだしうどん」がこの間を埋めるのではないかと思うんです。
 ちょっと調べてみると、佐伯市には「さつま」という名前の全く同じ郷土料理が伝わっているようですし(製法も食べ方も名前も一緒)。
 ごまだしうどんと冷や汁の類似性は以前から気になっていて、焼いた魚を摺ってごまを加え、焼いた味噌や醤油で味を付けて、後はご飯にかけるかうどんの出しにするかの違いだなと思っていました。愛媛のさつまが、海づたいに佐伯に伝わり、さつまとして分布。それがごまだしにもなって、さらに冷や汁になったのではないかなぁと(キュウリを入れたり、氷を入れたり…進化しているのかなぁと)。

ごまだし
<写真を拡大>

ごまだし

 佐伯市からは愛媛県の端っこが見えます。ものすごく近いんです。むろん、高知県も。愛媛からスタートして海岸を南下していったのではないかと想像しています。
「ひゅうが」は、マグロの町として売り出し中の大分県津久見市の郷土料理です。もちろんアジやイワシではなくマグロで作っています。佐伯市では同じ料理(ブリなどで作ります)を「あつめし」と呼んでいるようです。
 また愛媛の「いぎす豆腐」は、長崎県島原市では「いぎりす」として伝わっています愛媛はお豆腐を主体としているようですが、島原では米ぬかで(何と!)作るようです。
 島原の乱の後、小豆島から移住した人々によって伝えられたのではないかと想像します。おそうめんと一緒かな。素人のぼんやりした想像ですが、いかがでしょうか?(カルミンさん)

よくかき混ぜた「ひゅうが飯」
<写真を拡大>

よくかき混ぜた「ひゅうが飯」

 ルーツが何で、どこをどの順番で伝播していったか私には見当もつかないが、カルミンさんがおっしゃるように、やはり関連性はあるのであろう。

 マグロでつくる津久見の「ひゅうが」は別にして、これら魚系ぶっかけ飯の材料となる魚が沿岸漁業で獲れる魚種であることに注目したい。このメールに登場した地域はすべて瀬戸内、九州東岸に属し、沿岸漁業が盛んなところである。しかも近い。

 示唆に富むメールである。

 それでは愛媛県編を終えるにあたって、これまで大活躍してくださった「松山の坂本さん」のメールを蔵出しする。

カレーちゃんぽん(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

カレーちゃんぽん(松山の坂本さん提供)

MNo.29

 八幡浜のちゃんぽんが好きです。なんか変な方向に発展をしています。
「カレーちゃんぽん」。カレー粉で味付け……とかじゃなくて、おそらくちゃんぽんの出し汁にカレーを入れていると思います。ちゃんぽんの具材である豚肉と、カレーの具材として牛肉も入っててなんだかお徳。しかも「上」を頼んだのでイカ、エビ、ゆで卵も入ってますよ!豪華!
 夏場だけの「冷やいちゃんぽん」。「冷やし」じゃなくて「冷やい」ってのがいいですよね。彩りの錦糸玉子と削りかまぼこもキュート!!
 そして「皿ちゃんぽん」。柔らかいゆでちゃんぽん麺の上にあんかけがのってます。皿から溢れんばかりの……っていうか実際に溢れてる。八幡浜でちゃんぽんを食べるとちょいちょい皿から溢れてます。

冷やいちゃんぽん(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

冷やいちゃんぽん(松山の坂本さん提供)

 これらのちゃんぽんはフェリー乗り場近くのフジ観光で食べられます。オムライス定食とかとんかつ定食とか色々あるのですが、各種のちゃんぽんを制覇するのに忙しくて他のメニューも食べてみたいのになかなかそこまで行きません。
 お土産売り場と旅館と喫茶店が一緒になったような、フェリーの出発前に家族連れとかトラックドライバーとかが「とりあえずちゃんぽんでも食うか」っていう雰囲気の、ホントになんでもない食堂です。すごく好き。
 普通の食堂がなぜこんなにちゃんぽんを発展させているのかは、謎です。

皿ちゃんぽん(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

皿ちゃんぽん(松山の坂本さん提供)

 私は北部九州の「チャンポン(カタカナ表記)」と同名ながら異なる「ちゃんぽん(平仮名表記)」を広い心で許容するようになって、血圧が上がらなくなった。

 デスクが現地で実食した「尼崎ちゃんぽん」に対しても「スキにしなさい」という態度である。あんかけ醤油ラーメンである「山陰ちゃんぽん」についても「この際、尼ちゃんと兄弟であることをカミングアウトしなさい」と助言する余裕さえ持ち合わせている。

 従って愛媛の八幡浜、あるいは宇和島のちゃんぽんに対する視線も慈愛に満ちている。

「ちゃんぽんにカレーを入れるな」とか「皿にのせるな」とか「冷やしてどうする気だ」とか言わないのである。

 口に出した途端に私の心はぽっきりと折れ、とめどなく涙が流れるに違いないと思うから。

今治ラーメン(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

今治ラーメン(松山の坂本さん提供)

MNo.30

 今治ラーメンとは出しがエソ、鯛、いりこ、トッピングは宮窪の海苔、大三島のレモン、すまき、鶏チャーシュー、味つけは伯方の塩、鯛の香油、酒は山丹正宗。
 一昨年、某ラーメン店店主の発した「今治でもご当地ラーメンができんかなあ」という呟きが大きく広がって、いろんな人がかかわって、一昨年の「おんまく(今治の夏祭り)」でデビューしました。
 どこまでも透き通ったスープ。氷が浮いているのが冷やし今治ラーメン。鯛香油が浮いてる方が熱い今治ラーメン。
 なにが凄いって、これが500円で食べられるっていうのが凄いことだと思うんですよ。

さっぱり塩味、いりこだし(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

さっぱり塩味、いりこだし(松山の坂本さん提供)

 すごく美味しいです。さっぱり塩味、いりこだし。
 今治ラーメン普及委員会は、講習会を積極的に開いていて、いまでは色々なお店で食べられるようになっています。嬉しい。
 昨年末、「えひめ産業文化まつり」の会場で、今治ラーメン(青いのぼり)と焼き豚玉子飯に長蛇の列で、びっくりでした。

「おじさんの目にも涙」
<写真を拡大>

「おじさんの目にも涙」

 今治ラーメン普及委員会の皆さんにお目にかかったことがある。このラーメンが誕生して間もないころで、まだ限定販売だった。最近、提供店が増えているらしいのは喜ばしいことである。

 有名なラーメン職人に頼らず自力で開発したところが頼もしい。地元の人に愛されて定着してほしいものである。

 焼豚玉子飯は今年の近畿・中国・四国B−1グランプリでブロンズグランプリに輝いた。表彰式で「今治焼豚玉子飯世界普及委員会」の皆さんが「おじさんの目にも涙」になったことを思い出す。勢いがついてきいたかな。

海食風焼豚玉子飯(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

海食風焼豚玉子飯(松山の坂本さん提供)

MNo.31

 今治の商店街にある「まちなか広場 ほんからどんどん」に先日行ってきました。
 物販コーナー、憩いの場、飲食コーナーと狭いながらも一通りそろってます!
 普通の焼豚玉子飯は600円、隣に海食風焼豚玉子飯600円というのを発見して、同じ値段だしこっちを頼んでみました。もうすでにアレンジ版ができているとは頼もしい。
 やっぱり「富士宮やきそばパン」とか「横手やきそばドロップ」とか「シロコロホルモンスナック」とか色々派生商品が出てきて「なんじゃこりゃ」とか言いながらも馴染んでいって定着するんですよね。

地元産の小エビとちりめんじゃこにこだわり(松山の坂本さん提供)
<写真を拡大>

地元産の小エビとちりめんじゃこにこだわり(松山の坂本さん提供)

「焼豚玉子飯はこうでなくちゃいけない!!!!!」ってあんまり厳格になりすぎてもね。そんな高尚な料理でもないですし。
 海食風焼豚玉子飯は海苔たっぷり、ちりめんじゃこがカリカリで、とってもとっても美味しかったです!!!
 普通の焼豚玉子飯って玉子2個がデフォルトなので、途中で飽きるんですよね。
 ちりめんじゃこ入りって単純なアレンジだけどいいアクセントになって食べ飽きません。すばらしい。つくづくちりめんじゃこが好きになりました。

目玉焼き2個がデフォルト
<写真を拡大>

目玉焼き2個がデフォルト

 丼飯に焼き豚をのせ、目玉焼き2個をトッピングしてたれをかけたものが焼豚玉子飯。決定的に野菜を欠く。「そんなもんより腹一杯になることの方が大事だ」という高校生悶絶の食べ物なのである。ということを今治出身で「高校の帰りに焼豚玉子飯を激しく食べていました」という同僚が力説していた。

 今治焼豚玉子飯世界普及委員会のB−1仕様のものはハーフサイズなので、目玉焼きは1個である。姫路の会場で盛んに試食をすすめていただいたのであるが、ホテルの朝食を済ませたばかりだったので遠慮した。空腹のときに食べてこそ、本当の味がわかる。実食編では絶対食べるぞ半分だけ。

 以上、3通とも松山の坂本さんからのメールであった。

 若々しい文章であり、愛媛大好きというココロがあふれる内容であった。ありがとうございました。

ホゴ(ミルフォードさん提供)
<写真を拡大>

ホゴ(ミルフォードさん提供)

MNo.32

 到底採用されそうにないことを書いてみます。
 私は定年が近いおっさんです。酒を飲むのに、松山ではチャブニチュード対象店は少ないと思います。
 昔、吉行淳之介さんが飲み屋の大集積を地元で支えているというようなことを書かれましたが、まさにその通り。都会の呑み助が松山に来て、その方の感性で選んだ居酒屋に入れば、ほぼ満足していただけるのではないでしょうか。
 地元民は瀬戸内のメバルやホゴ(カサゴ)などの雑魚を常食、珍重していたのですが、近年の不景気気分で4000円飲み放題コミのような店が繁盛し、残念なことに、おっさんまで低価格に走っています。みんながもうかる、楽しい街に戻したいですね。
 愛媛に実食でいらっしゃるのなら、ぜひ美味しい地魚をご賞味いただきたいです(重松さん)

群馬のジャンボトンカツ食べたい(デスク)
<写真を拡大>

群馬のジャンボトンカツ食べたい(デスク)

 愛媛に行くと「タモリ」を探す。地の魚である。サングラスをかけて泳いでいるのですぐわかる。瀬戸内には市場に出ない魚が多いが、その中には恐ろしく美味いものが隠れている。また松山の居酒屋「酒八」に行くことになるのであろうか。

 愛媛実食編が楽しみであるが、その前に群馬実食編取材が待っている。

 デスク、群馬にはいつ行くの?

デスク ものすごいエネルギーを費やしてやっと兵庫実食編が終わったと思ってたところなのに…。至急段取ります。

 12日と19日の更新はお盆休みと言うことで休載する。ただし、デスクと一芸クンが何かネタを用意しているらしい。そしてデスクから重要なお知らせ。

新潟で栃尾のあぶらげ食べたい(デスク)
<写真を拡大>

新潟で栃尾のあぶらげ食べたい(デスク)

デスク平伏 先週「それから愛媛県のあとは秋田県と決定。ご関係の方はご準備を」と赤い大きな文字で告知しましたが、諸事情で愛媛県のあとは新潟県に変更します。ご容赦ください。

 次回更新は26日になる。この26日更新分から新潟県編に突入する。なので新潟県メールはお盆の前後に送っていただけると大変助かるのである。

 夏休みに新潟に帰省してのメールと写真などいただければ嬉しい。

 それまではラジオNIKKEIの番組でお耳にかかりましょう。


(特別編集委員 野瀬泰申)


>> ★今週の番外編「天ぷら中華のフリーダムな世界(一芸)」はこちらからどうぞご覧下さい。



 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2011年8月5日

【PR】

【PR】

【PR】

大人のレストランガイド

大人のレストランガイド

NIKKEI×ぐるなびが提供する、大人のためのグルメガイド。接待や会食、ビジネスシーンなどにおすすめのお店情報をご紹介。

ぐるなびWoman

ぐるなびWOMAN

女性のための女子会・デートのグルメ情報サイト。おすすめのレストランや居酒屋をこだわりやシーンに合わせて検索できます。

ぐるなびWedding

貸切パーティコレクション

企業向け貸切、OB会etc… 少人数〜大人数でも貸切OKのレストラン

結納・顔合わせ

特別な日を過ごすための完全個室のお店情報や、マナー・段取りまで

このサイトについて

日本経済新聞社について