第201回 大分県実食編 やっぱり、トリあえず鶏です

特別編集委員 野瀬泰申


 テレビの特番収録で、このところご無沙汰だった実食編。いよいよ再開します。今回は、野瀬が県南部の佐伯と同西部の日田、デスクが北部の中津・宇佐、中部沿岸の別府、大分と回ってきました。はたしてどんなご当地グルメが登場するのか。乞うご期待。
 今週のおかわりは、デスク版大分県実食編です
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大分空港に着きました
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大分空港に着きました

 2014年11月24日、大分県実食の旅に出た。

 羽田を朝の8時前にたつ飛行機で大分に向かった。デスクも同じ便だったが、席が離れていたので気分は一人旅。

 機内で朝ご飯を食べたり、新聞を読んだりしているうちに大分空港に着いた。大分に行くたびに思うのだが、空港はどうして別府や大分など人口密度の高い、すなわち需要が最も大きい地域から離れたところにあるのだろうか。路線バスでほぼ1時間。遠い。

 ともかく、取りあえず別府に行こう。

はい別府に着きました
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はい別府に着きました

 はい着きました。

 ここからいきなりデスクと別行動になる。デスクは県の北部と中部の海沿いを転々とし、私は南部の佐伯、西部の日田を回る。デスクの後ろ姿を見送った後、別府駅のホームに急ぎ、滑り込んできた特急、ソニック何号だかに乗り、大分駅で宮崎空港行きの特急に乗り換えた。

 大分駅を出てしばらくすると、私のスマホがメールを受信したことを知らせた。佐伯ごまだしうどん大作戦の「夜の王子様」こと高木さんからだった。高木さんと大作戦笑顔担当の河野さんには3連休の初日にもかかわらず、佐伯をご案内していただくことになっている。

日豊海岸はリアス式海岸
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日豊海岸はリアス式海岸

 その高木さんからのメールには「津久見を過ぎたあたりから日豊海岸の景色が楽しめると思います」とあった。

 おうそうか。海岸か。母の実家が日豊本線沿いにあったので、子どものころは何度か日豊本線に乗っているが、それは福岡県内のことであって、さらに南の大分県、それも宮崎に近いこの辺りは未知の土地である。日豊海岸て、どんな海岸だろう。

 期待して海側をずっと見ていた。すると本当に津久見を過ぎると美しい凪いだ海が線路に迫ってきた。知らなかったがこの辺りはリアス式海岸という。魚が豊富に違いない。

お昼は「つね三」
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お昼は「つね三」

 佐伯駅に着くと改札を出たところに高木さん、河野さんの笑顔があった。

「どうもどうも。お休みのところすみません」

「いえいえ、佐伯にようこそ」

 というような挨拶もそこそこに、最初の目的地に向かった。飲食店が集まった一角にある「つね三(さん)」という店がそうであった。

 お昼に食べるのは「あじすしうどんセット」。アジの握りを5個とうどんで、この店のうどんはすべてごまだしうどんである。

ごまだしうどん。混ぜる前
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ごまだしうどん。混ぜる前

 ごまだしは、皆さんご存じのようにエソなどの魚の身を焼き、ゴマ、その他企業(家庭)秘密を加えて練ったもの。いわば万能出しである。

 たっぷりのごまだしを丼のお湯で溶けば、はいできあがり。簡単でそして美味しい。

 その横にアジの握りがある。生魚を食べられなくなって久しい私であるが、佐伯に来たなら海のものを口にしたいと思い、注文した。

 わさび醤油をちょいと漬けて口に運ぶ。東京の寿司に比べるとやや大ぶりで、アジの身も分厚い。

混ぜた後のごまだしうどんとアジ寿司
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混ぜた後のごまだしうどんとアジ寿司

 もぐもぐ。

 おー、食べられる。いや、実にいい。新鮮な魚なら大丈夫なんだ。

 朝ご飯が軽かったので、あっという間に完食した。これで800円である。

 周辺は「夜になったらにぎわうんだろうな」と思わせる飲食店が軒を連ねている。さすが県南の中心都市である。

 食後、まちを案内してもらった。

佐伯は城下町 櫓門が残る
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佐伯は城下町 櫓門が残る

 佐伯は城下町で鶴屋城という山城があった。いまは公園になっていて三の丸櫓門だけが残る。しかしその横から重厚な武家屋敷が続き、歩いているだけで歴史の流れに包まれる思いがする。こんなまちだったんだ、佐伯って。

 それから魚市場に行った。真っ青な空。真っ青な海。海鳥が1羽飛んでいる。

 市場は終わっていたが、市場食堂は営業中であった。しかし食べたばかりなので、外から眺めて終わり。

各種ごまだし販売中
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各種ごまだし販売中

 そばに「さいき 海の市場」という民営の施設があった。こういう店は大好きである。

 まず目に入ったのは「いりこ」、すなわち煮干しの山。佐伯はいりこの産地でもあった。しかしながらお土産にするにはかさばるので、佐伯のいりこを使った出しパックを買う。

 棚には各種「ごまだし」の商品が並び、その中に愛Bリーグ公認商品もあったので、迷わず買う。

 鮮魚のコーナーに「ひめいち」という赤い魚があった。山口県編で登場した「金太郎」を覚えておられるだろうか。あれと同じ「ヒメジ」である。日本海側のものかと思っていたが、佐伯でも食べることを初めて知った。

お寿司がすごい
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お寿司がすごい

 そしてお寿司のコーナーはご覧の通りである。握り寿司の詰め合わせはまるで寿司屋で注文したみたいな本格派。ものもいい。

 アジ寿司がある。りゅうきゅう丼がある。「ほほたれ」もある。

 先ほどの「ひめいち」もそうだが、佐伯には魚の地方名が多く残っている。「つね三」のメニューには「モイカ」とあった。アオリイカのことである。「オイズ」はトコブシ。そして「ほほたれ」はカタクチイワシのこと

 地方名が残っているということは、標準和名が広がるはるか前から食べていた証しと言えるだろう。

佐伯は造船のまち
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佐伯は造船のまち

 町中を車で回っていると造船所が見えた。そう、佐伯は造船のまちでもある。近くに「平和祈念館 やわらぎ」の建物が立っている。

 戦前、ここには佐伯海軍航空隊があった。そして真珠湾を攻撃する連合艦隊は佐伯から出撃したのであった。日本は対米英戦争に突入し、敗戦のときを迎える。祈念館の裏には日米の仲直りを物語る碑(いしぶみ)があった。

「ちょっと疲れたね」

 ということで、蔵を改造したカフェに入る。一杯だてのコーヒーにシュークリーム。最近の私は甘い物も食べる。

若鶏のもも(半身の素揚げ)
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若鶏のもも(半身の素揚げ)

 ここで夕方までホテルで休憩。夜の部に備えた。

 夜の部は「二八(にっぱち)」でスタートした。最近、経営者が代わったそうだが、メニューも味も不変、人気も不変である。

 予約をしていたからすんなり入れたが、暗くなるに従ってお客がどんどんやって来る。午前11時開店だそうで、早い時間から飲んでいたらしい漁師グループがにぎやかである。

 ここで大作戦スーパードライバーの出口さんが加わって総勢4人に。高木さんがメニューも見ずに注文する。

若鶏の羽
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若鶏の羽

 登場したのは「若鶏の唐揚げ(もも)」「若鶏の唐揚げ(羽)」「若鶏のチロリン揚げ」であった。ももは問答無用の半身揚げ。羽は手羽先とか手羽元とかチマチマしたのではなく、羽そのものであった。いずれも素揚げ。

 チロリン揚げはいわゆる骨付きの空揚げで、名前の由来は不明とのこと。ニンニク醤油の軽い下味がついている。

 本編で大分県民がいかに鶏肉を好むかを確認した。鶏肉がないと生きていけないヒトが最も多く暮らすのが大分県である。それにしても、海の幸に恵まれた佐伯にあっても、このような状態である。

 これから「からあげ」という言葉が頻出する。日経辞書では「空揚げ」だが、メニュー名、店名によって「唐揚げ」「からあげ」と使い分ける。気にしないで読んでいただきたい。

チロリン揚げとそろい踏み
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チロリン揚げとそろい踏み

 高木さんは言う。

「佐伯も持ち帰りの空揚げ専門店が多いですよ」

 では大分県民にうかがいたい。

「どうしてそんなに鶏が好きなの?」

 大量の鶏肉を平らげ、その他各種揚げ物を嚥下し、次に向かったのは寿司屋であった。「寿司割烹 第三金波」である。この店は日本中の銘酒が飲める。聞いたこともないような酒もある。店主お薦めの冷酒をちびちびやりながら、地魚を食べようという趣向である。高木さんたちには、私が生魚を食べられないことは伝えていないので、こうなった。

いきなりサバの刺身登場
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いきなりサバの刺身登場

 だが、昼間のアジ寿司でやや自信を取り戻した私は、むしろ「勇躍」という感じで、カウンターの客となったのだった。

 最初のつまみは「サバの刺身」。九州ではサバは刺身で食べるのが基本。肉厚のさっきとれたばかりといった風情のサバをいただく。

 わーお、食える。うれしい。

 ついでキビナゴの一夜干しをあぶったもの。うまーい。お酒がススム君である。

キビナゴの一夜干しあぶり
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キビナゴの一夜干しあぶり

 ここで大分県におけるフグの肝の話が出た。

 ご主人が微笑を浮かべて言う。

「ありますよ。出しますか?」

 というのはジョークである。大分県だけはフグの肝を食べてもいいらしい、というのは危険な都市伝説であって、決して食べてはいけないのである。

 そろそろ寿司といきますか。

 私は、メニューにないものを注文した。

地物の魚だけで一人前
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地物の魚だけで一人前

「地魚だけで1人前できますか?」

「お安いご用」

 登場したのがこれ。右上から反時計回りに、と説明したいのだが、3列になっているので難しい。私のメモも怪しい。

 まあ右上がアジ、その左がアオリイカ、次いでカツオにマダイ、アカアシエビにサバ、ウニ、左下の白いのはクロムツであろうか。

 何はともあれ、声を大にして言いたい。

ウニは軍艦にしないで出た
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ウニは軍艦にしないで出た

「食べられたぞー。1個も残さなかったぞー。美味かったぞー」

 残りの人生で後何回ご飯をいただけるかわからない。ただし、これまで食べてきた回数より、うんと少ないことだけは確実である。だから食べられなくなったものも、再び食べられるようになりたい。そんな願いが今夜はかなった。佐伯のお魚さん、ありがとう。

 翌朝7時2分、佐伯発の博多行き特急に乗ることになっていた。ところがホテルの朝食は6時半からだという。食べていては電車に間に合わない。

翌朝、大分経由で日田へ
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翌朝、大分経由で日田へ

 仕方なく駅前の24時間スーパーで前の晩に買っていたパンを持って電車に乗った。途中で食べたが不味かった。

 日豊本線を北上して大分へ。そこで久大本線の特急、ゆふ何号かに乗って久留米方面に行く。途中に日田がある。

 線路は単線で電化されていない。ディーゼル機関車が山腹が両脇から迫る線路を走る。窓に木々の枝葉が触れそうである。

 先人は川に沿って苦心惨憺、鉄路を切り開いたのであろう。家々は少なく、あっても樹林で見えない。

三隈川 屋形船の前で釣り糸を垂らす人あり
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三隈川 屋形船の前で釣り糸を垂らす人あり

 湯布院に近づくと、にわかに霧が出てきた。お天道さまも隠れるほどの深い霧である。盆地の朝霧であった。

 日田まで3時間弱。県内でも遠い。日田は以前から、県都大分ではなく、経済・文化とも三隈川−筑後川で結ばれている久留米とのつながりが強かったと聞いたが、険しい道のことを思えば確かにそうであったろう。かつて川は高速道路であったのだから。

 やっと日田に着いたぞ。

 駅には日田やきそば研究会の木下さんの笑顔があった。

日田の祇園山鉾(2013年7月)
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日田の祇園山鉾(2013年7月)

 日田では祇園山鉾が盛大に催される。山車は巨大である。「日田祇園山鉾会館」で実物を見ることができる。

 その向いの八坂神社にあるのが「むらくもの松」。樹齢300年以上の松が地に沿って長く長く枝を伸ばしている。全長35メートル。観光客は気がつかないらしいが、ちょっとした見ものである。

 そろそろお昼を食べなくちゃ。狙いは「みくま飯店」の日田やきそばであるが、昼時に行ったら行列を覚悟しなければならない。11時半に入った。それでもほぼ満席状態。何なんだ、この人気は。

日田やきそば制作中
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日田やきそば制作中

 カウンターが空いていたので木下さんと並んで席を取った。できるまで調理の様子を斜め後ろから見学した。

 ゆでた中華麺をラードで焼き、焦げ目を付ける。豚肉をのせて、そこに大量のモヤシとネギを投入。裏返して焼き、ソースを加えて炒める。その作業が高速で進行する。お見事。

 ラーメン用のとんこつスープが付く。このスープを飲むと、次はラーメンにしようと思う。でも再訪したらまたやきそばを食べるんだろうな。

町中のあちこちに和菓子屋さんが
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町中のあちこちに和菓子屋さんが

 食後、儒学者、廣瀬淡窓(たんそう)の私塾、咸宜園(国史跡)に行き、研究会のはるPさんと合流した。

 でもって町歩きタイムとなったのであるが、観察対象は「和菓子の店」と「鶏関係」である。

 日田は天領だった古い町で温泉があって屋形船があって、夏は鵜飼いで、アユが名物といった観光パンフレット的なイメージが強いが、地元の人の食は別であろう。そこで事前に木下さんと相談したところ浮かび上がったのがこの2点だった。

「もみじ」と鶏刺し
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「もみじ」と鶏刺し

 創業70年の鶏肉専門店「鳥市本店」に行く。ガラスケースに鶏の空揚げがあるものの、鶏の脚だけを甘辛く煮た「もみじ」が鎮座している。

「いやいやうちは昔から刺身です」

 というご主人が奥から持ってきて見せてくれたのは、いわゆる鶏刺しであった。もちろん火を加えず、そのまま食べる。

「日田では鶏は刺身で食べるのが当たり前」

鶏刺しです
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鶏刺しです

 木下さんが言葉を添える。

 次いで「元祖 地どりのタタキ」の看板を掲げる「泰勝軒」。ご覧のような大皿で売っている。「酒肴に食卓に地鳥のタタキをどうぞ」の看板が店先に置いてあるように、やはり日田では鶏は刺身らしいのである。

 ここで地元のお二人は仕事があったため、私は単独で町歩きすることにした。和菓子の店が多い。それも茶席で出るような高級和菓子ではなく、そばまんじゅうとかようかんが売りである。

「一枚流し」のようかん
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「一枚流し」のようかん

 私は本編に登場した「一枚流し」のようかんを2種類買った。そのうちの1軒で「細長く充てんする技術がなかったころは一枚流しでした。いまもそれを守っています」という話を聞いた。

 そうこうするうちに駅前の喫茶店の前に来た。ここは昨年の九州B−1グランプリin日田が開かれた折、暑さを避けて入った店である。

 ドアを開けてテーブルに座る。アイスコーヒーを注文しようと思っていた私は、自分でも意外なものを頼んでいた。

「プリンアラモードください」

 何で? どうして?

 自問したが答えは特にない。

半世紀ぶりのプリンアラモード
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半世紀ぶりのプリンアラモード

 私はプリンアラモード食べない歴50年であることを思い出し「今日食べておかないと、死ぬまで食べないかもしれない」と考えたらしかった。

 ともかく、半世紀ぶりのプリンアラモードであった。

 また食べよーっと。

 おっと時間だ。「季節料理 そのだ」を予約してある。再び3人は合流して店に入った。この店はうどん、ちゃんぽん、やきそばもあって一見食堂のようだが、フグもしゃも鍋も出す本格派なのである。

どちらも生でどうぞ
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どちらも生でどうぞ

 木下さんが特別にしゃも鍋の簡易版をお願いしてあるという。行ってみると今夜の宴会の準備に忙しい様子だったが、ご主人も奥さんも人柄の良さを全開にして応対してくださった。

 この大きな皿に盛りつけられているのが、しゃもの身と肝。しゃも鍋というから骨付きのぶつ切りを豪快に放り込むものと思っていたのだが、薄造りである。

「いやいや、これは鍋に入れてもいいですが、刺身で食べていただきたいのです」

人生初肝刺しに挑戦
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人生初肝刺しに挑戦

「肝もですか?」

「そうです。食べてみますか?」

 私は63年に及ぶ人生で1度も鶏の肝を生で食べたことがない。想像すらしていない言葉に、一瞬体が固まった。でもでも、佐伯では生魚が食べられた。ひょっとして鶏の肝も食べられるかもしれない。

 しゃものササミや各種肝の刺身を、甘い醤油にゆずこしょうを溶いたものに浸して口に運んだ。

しゃも鍋登場
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しゃも鍋登場

 あれあれー。生臭さ皆無。味わう余裕はないものの、苦にはならない。こうして人生初鶏刺し、肝刺しに成功したのであった。

 次いで小鍋が出てきた。しゃも鍋である。しゃもの肉は刺身用の薄造りを無造作に放り込んだもの。

 これも臭みがないどころか、適度な歯応えがあって、かむほどに味がしみ出してくる。最後は乾麺のそばを入れて締めたのだが、鶏好きにはたまらいに違いない。日田に名店あり。

スナズリの何とか
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スナズリの何とか

 宿に戻って、三隈川夕景などを撮影した。カメラが変わったので、写りがいい。

 またまた集合して駅前へ。地元飲んべえ御用達の「鶏・鰻料理 陣屋」で乾杯する。またしても鶏である。木下さんの好物「スナズリの何とか」や焼き鳥を注文した。スナズリは生である。さすがに手が出ない。

 ウナギは白焼き。頭が付いていて腹開き。完全に上方風である。だが、そばにユズがある。大分はカボスじゃないの?

ウナギの白焼きにユズ!
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ウナギの白焼きにユズ!

 そうじゃなくて、ウナギにユズですか?

 これも乗り越えるべき人生の試練と思い定め、ユズを搾って白焼きを食べてみた。

 相当な試練であった。

ここでは鶏の空揚げに酢醤油をかけるんです

 木下さんは、ドバドバと酢醤油がかかった鶏の空揚げをほお張った。鶏天はそうやって食べるが、から揚げでしょう?

 その試練に立ち向かう勇気が、私にはなかった。

駅前広場ににぎわいを
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駅前広場ににぎわいを

 そうやって駅前広場に進出した。夜のにぎわい創出のために、NPO法人が「ひた杉屋台横町」を開いている。地元名産の日田杉だけでこしらえた屋台である。

 飲み直し、食べ直す。いつの間にか、店を終わった「みくま飯店」のご主人も来ていて、キャハハー状態になった。

 その隙に食べたのが、この「がめ煮」である。

「がめ煮は1年中食べるんですよ」

 木下さんが言う。いわゆる筑前煮で、鶏肉が入っている。久留米の我が家では正月だけのものだが、日田では日常のおかずらしい。どこまでいっても鶏肉である。

がめ煮を食べる
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がめ煮を食べる

 こうして日田の夜は更けていった。更けつつも私は考えていた。大分県の北部には中津、宇佐という巨大鶏の空揚げ都市がある。別府、大分にはとり天が蟠踞(ばんきょ)している。

 南部の佐伯では鶏の半身揚げ、羽の空揚げ、チロリン揚げが勢力を張っている。

 つまり恐らく大分県民は日本一鶏の揚げたものが好きな県民であろう。いや間違いない。しかし、内陸部の日田に来ると、揚げるのではなく鶏を刺身で食べるのが主流である。というか、日田市民ほど鶏刺しを食べる市民はほかにいないのではないか。これは日田の新しい観光資源になるのではいか。

和菓子は庶民的な菓子
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和菓子は庶民的な菓子

 そして天領日田には管理のために交代で派遣される武士がわずかにいるだけで、町は有力な町民が差配していた。つまり町民文化のまちであった。

 だから、そこで生まれ根付いた和菓子は茶席のものではなく、日常の贈答と茶飲み話に彩りを添える庶民的な菓子であったのではないか。そばまんじゅうとか、ようかんのような。

 そんなことを考えていたら急に睡魔が襲ってきた。

 とっととホテルに帰って布団に潜り込んだのだった。

*映像はflashビデオです。一部機種では再生できないことがあります。ご容赦ください。


(特別編集委員 野瀬泰申)


★今週のおかわりは「ニラ豚、キャベツが美味さのカギ握る〜デスク版実食編」です。ぜひお読みください。

大分県編(その1) 鶏トリとり鳥大分県

大分県編(その2) 椎茸、ほしいたけ食べなさい

大分県編(その3) やきそば食べにヒタ走る

大分県編(その4) ほっぺたにカボスが当たって大痛けん。


 


●筆者(特別編集委員 野瀬泰申)へのお気軽メールはこちら(tabeb@nex.nikkei.co.jp

2014年12月5日

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