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| 基調講演するサンノゼ市副CIOのジョン・ウォルトン氏 |
自治体、本質的に変わる――市民の満足度を最優先
サンノゼ市(カリフォルニア州)は100万人の人口をもつ全米11番目の都市だ。電子自治体に取り組み始めたのは96年。推進力は市民と特定の政治家、特に(シリコンバレーに本社を置く)ヒューレット・パッカード(HP)出身のゴンザレス市長だったと思う。
電子自治体への取り組みを通じて我々が学んだことは、インターネットは行政のサービスを電子的に提供する単なるツールを超えて、自治体自身に本質的な変革をもたらすということだ。
当市の取り組みは3つの段階に区別できる。最初は従来の対面式の行政サービスをネットに移し替える「情報発信」の段階だ。当時、既に部署が独自にサイトを設けていたが、用語やデザインも統一されておらず使いづらかったため、サイトの統一を図った。全体として見た目や感じに一体感があり、安心して使えるサイトを再構築した。いわばブランドを再構築したのだ。
調査で利用者の人種構成が多様だと分かっていたので、一部のサイトでは英語以外の言葉も表記に加え、双方向の音声システムも取り入れた。市は先端の電話応答システムを導入。オペレーターが年中無休で対応し、サイト利用者の問い合わせに応えたり、使い方を教える仕組みも作った。
次に「双方向サービス」の段階に進んだ。8000人の職員が市民から連絡を受けられるよう、全員に電子メールアドレスを与えた。現在、1日5万通を受け取っている。
メールの場合、市民は「すぐに返事をもらえる」と期待する。サービスセンターを作り、タイムリーに良い返事ができたか、答えに満足してもらえたかなどを確認している。これはうまくいっている。
政策決定への市民の関与を高める試みもある。市民が意見を述べる評議委員会が各地で開かれており、そのネット放送を始めた。委員会に参加できなかった市民も放送を見て、後から意見を言えるようになった。企業向けには「建設許可オンライン」を提供。ネット上で申請・許可を済ませられるようにした。
今は第3段階の「統合」の時期を迎えている。まず自治体との関係。当市はカリフォルニア州にあり、多くの自治体に取り囲まれている。電話や水道などの公共事業は民間が担当している。だから市民がネットでなにかを問い合わせたいとき、どこに行けばよいか混乱してしまう。そこで国、州、周辺自治体とポータル(入り口)サイトを作り、情報を共有した。
プライバシー保護やセキュリティーの水準、各種制度の擦り合わせもやった。例えば、カリフォルニア州法にはすべての取引、例えば5ドルの建設許可申請にも本人の署名が必要という規定がある。そこで、サイト上で電子署名という技術を使えるようにした。
電子政府はコストがかかるため、市のあり方にも変化が生じた。まず、アウトソーシング(業務の外部委託)の活用。従来、市にも技術やシステム担当者がいたが、多くの優れたハイテク企業への委託に切り替えた。職員の募集・採用活動などにも活用している。
市の組織も変わっていった。部署の壁を超えたサービスが求められるようになり、分野別の横断組織を作った。そこでの職員の働きをきちんと評価できるように共通の指標を設けた。
我々が電子自治体の試みを始めたとき、シリコンバレーは情報技術(IT)革命の熱気に包まれていた。今やITバブルが崩壊し、電子化を進める上での是非の議論すらある。しかし、我々は不況だからこそ、自治体の基本的な役割をみつめ直すためにも、電子自治体の試みを続けるべきだと確信している。