インターネットアワード2001
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■パネルセッション
「21世紀のIT〜変わるビジネスと関西」
上野 至大氏(うえの・みちとも) 67年(昭42年)九大工卒、日本電信電話公社(現NTT)入社。96年NTT取締役。99年NTT西日本副社長、新世代通信網開発センター社長兼務。57歳。

IT不況の現実

 司会 まず、情報技術(IT)不況といわれているが、皆さんにこの局面をどうとらえ、考えているかをうかがいたい。

 上野 いわゆるIT不況は、米国でインターネットを媒介にした経済成長に行き過ぎた期待がかけられたことが、1つのきっかけになったと思う。IT関連企業の株価がバブル的に上がり、市場で得られた資金により大きな投資を行ったものの、物流など現実のビジネスとの連携の不備もあって、各社が掲げたビジネスモデル通りにうまく収益が得られなかった。

 ただ、こうしたことはITのハードウエアを作る側が不況に入ったということで、実際にITを使う側の企業は総じて順調に推移している。調整の場面はあっても、この先、スパイラル(らせん)状に成長していくとみている。

 櫛木 今回のIT不況というのは、ハードウエアの生産と需要のサイクルがかみ合わなくなったことからきている。それを最も先鋭的に示す分野がパソコンと携帯電話だ。パソコンの場合は「ムーアの法則」で3年で四倍の性能向上が進むといわれる。価格が一定で大幅に性能が上がった次の新製品が半年か1年で市場に出てくる。ところが買い替え需要のサイクルは2年から4年くらいが一般的なので需給のサイクルが合わない。家庭に一応普及してくると、新規の購入者も減ってくる。

 携帯電話については一説によると、SCM(サプライチェーンマネジメント)とEMS(電子機器の製造受託サービス)のサイクルが合わなくなったという。SCM導入で注文が減ってくるとリアルタイムで供給を抑えるようになった。ところが、生産を外部のEMSにお願いする形になってから、設備投資や部品発注を加減するブレーキが十分利かなくなっている。

 ただし、現在も需要が底堅い商品がずいぶんある。例えばDVD(デジタル多用途ディスク)機器は好調で、デジタル放送対応テレビもようやく伸びてきた。

 小野田 私どもは現在、IT不況というものを感じていない。ハードウエアの方たちが極めて大きな成長を遂げた反動として、しばしIT不況といわれる調整局面に入っていると理解している。

 しかし、私どものようなソフトウエア、サービス提供者の側にとっては順調に市場が拡大している。当社が手掛ける宿泊予約サービスについてみると、5年半前に始めたサービスに、ついに世の中が注目してくれたというところだ。

 新庄 マクロ的にみると、国内総生産(GDP)のマイナス成長という見通しが出て、鉱工業生産指数が下がり、IT関連のハードの生産が落ち込んでいるの事実だ。しかし、だからといってすべての産業が低迷しているのではなく、サービス産業は底堅い。消費はさほど悪くなっていない。IT関連では、米国のITバブル崩壊が影を落としている。


▽講 師
上野 至大 NTT西日本副社長
小野田 純 ベストリザーブ社長
櫛木 好明 松下電器産業常務取締役
新庄 浩二 神戸大学大学院経済学研究科教授
▽司 会
坪田 知己 日本経済新聞社 日経デジタルコア設立事務局代表幹事兼電子メディア局次長

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