「アジアの未来」
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日経アジア賞
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自由貿易協定、アジア全域に
杉浦 正健 外務副大臣
 ただ今、御紹介いただきました、杉浦正健でございます。

 この度、日本経済新聞社の主催により第7回国際交流会議「アジアの未来」と題する会議でありますが、このように盛大に催されましたことを、まずもって心からお喜び申し上る次第でございます。この会議には、報告者として、マハティール首相はじめ3人の現役のトップ・リーダーの方もご参会でございますし、シアソンさんという私が若い頃から存じ上げている立派な方も参加されているわけでありますが、そういったシンポジウムで、基調演説・報告をするという大役を仰せつかったわけでありますが、個人的に大変光栄に存じている次第でございます。

(アジアと私の青春)

 まず、テーマとの関係で、私とアジアとの関わりを最初の申させていただくことをお許しいただきたいと思います。私は、大学時代に、私の人生の恩師でございます穂積五一先生との出会いがございました。大学3年生になって本郷に行ったわけですが、その時に穂積五一先生が主宰されていた、今でもございますが、「新星学寮」という寮にたまたまご縁があって入ったわけであります。その新星学寮は、戦前は「至軒寮」と言ったようですが、戦前の憲法学の泰斗である上杉慎吉先生、「至軒」と号されていたわけでありますが、その先生のお名前を取って「至軒寮」と言っていたようです。穂積五一先生は、上杉先生の高弟なのですが、ずっとその寮を守って、官途にもつかず、若い青年たちの訓育に従事してこられた方です。大変な人格者でした。

 その新星学寮は、戦前から、当時植民地であった朝鮮半島、台湾あるいは中国からの留学生も多数出入りしており、いわば梁山泊のような感じだったようです。戦後は、名前も新星学寮と変えたわけですが、穂積先生が主宰され、多くのアジアの方々が出入りしていたわけです。

 私が本郷に行った年に、日本の政治の先達は大変素晴らしいと思うのですが、いわゆる国費留学生が日本に来始めました。正確に言うと、昭和29年から受け入れており、1年間東京外語大学や大阪外語大学で日本語を勉強して、昭和30年度から各大学のキャンパスに来られるようになったわけです。

 私は穂積先生にご指導いただきまして、東京大学アジア学生友好会という会を作り、留学生の方々のお世話を始めました。その後穂積先生の発案で、今駒込にアジア文化会館という留学生の会館がありますが、その設立に参画いたしました。一旦川崎製鉄に就職しましたが、呼び戻されて、その会館の創業に加わり、通産省所管の海外技術者研修協会(AOTS)、今は立派な大事業をやっている団体になっていますが、その創立にも関わったわけでございます。

 私がそういう活動に取り組んだ理由は、あの戦争直後、「国破れて山河あり」、荒廃した日本の国土に何故東南アジアからの若者が勉強をしに来る気になったのかと同じ世代の人間として非常に興味を持ったわけです。彼らのお世話をすることから始まって、親しくなるにつれ、ますます私の興味は深まり、とうとう終いには川崎製鉄を辞めて、いわば今ではODAの事業ですが、そこに飛び込みました。最初は給料は出なかったのですが、青春を打ち込むことになったわけです。

 ここで冒頭に申し上げたかったのは、アジアの若者たちとのつきあいの中で痛感したこととして、過去のあの一連の戦争、十五年戦争とも言いますが、あるいはもっと言えば明治維新以来、日本が日清、日露戦争、シベリア出兵等々、第一次世界大戦も含めて、いわゆる戦前日本がアジアを戦場として、村山内閣(談話)のあの表現によれば「侵略」行為により甚大な損害を与えた、あの戦争の傷跡が非常に深いということです。中には、日本に留学した理由として、「日本は戦争でわれわれにひどい被害を与えた敵で、敵をどうやっつけるか、敵を知らなければ駄目だから日本に留学した」ということを親しくなってから言う友人もいたぐらいです。

 日本とアジアの関係を考える場合、あの戦争がアジアに対して、あるいは戦争に至る日韓併合、あるいは日清戦争による台湾の取得を含め、戦前わが民族がアジアに対して行ってきたこと、これが未だに非常に深い傷跡を残しており、まだ癒えていないという事実は、われわれ日本人、日本民族が肝に銘じなければならない点だと思っております。あまり話しているとこれだけで終わってしまいますから、この辺りで止めますが、あの戦争は、私個人の考えでありますが、中国の左伝でございます五不〓(ごふい、「い」は「是+韋」で「良い」という意=編集部注)という言葉、「徳を度らず、力を量らず、親を親しまず、辞を明らかにせず、有罪を察せず」、これを五不〓といいますが、「五不〓を犯して而て以て人を伐つ。その師を喪うや亦宣ならずや」(安岡正篤 百朝集 88頁)、そんなことをして戦争に負けるのは当たり前だという趣旨のことでございますが、私はあの戦争に至るわが国の歩みというのは、その五不〓を犯していたというふうに言わざるを得ないと思っております。この点は、深くは触れません。これからの、今も、例えば日中にしても、日韓にしても、教科書問題等々起こっておりますけれども、深いところで被害を受けた方々の心に与えた、あるいは身体、生命、財産に与えた莫大な損害、あの戦争で私共日本も軍人・軍属だけで200万も亡くなるという大変な損害を被った、正に「国破れて山河あり」だったわけでありますが、同時に、その戦争によって深い傷跡をアジア全域に未だに残していて、癒えていないということが根底にあるんだということは肝に銘じなければならないと私は思っているわけであります。

(穂積先生の訓え)

 穂積先生の考え方ですが、穂積先生からご指導いただいたアジアの学生とのつきあいの中でも、強調されたのは、人間としての1対1のつきあい、そして全人格的な和合が大事だということであります。「和して同ぜず」という言葉がございますが、「どんな立場の人間であっても人間だ。1対1で全人格的に理解し合うことは可能だ」という信念でございました。アジアの未来を考える場合、アジアと私の関わり合いを考える場合に、この留学生との長いつきあいで得た私のいわば信念と言ってもいいと思いますが、「日本はアジアの一員であり、アジアと共に生きる」ということが最も大事だという信念を、若い時代からの自分自身の歩みで体得させていただいている次第であります。

(福田ドクトリン)

 日本政府の対アジア外交について述べる際に、まず触れなければならないのは、私の政治的な恩師であります福田赳夫元総理が提唱されたいわゆる福田ドクトリンでございます。今から四半世紀前の1977年でございますが、ASEAN諸国歴訪の際、マニラでスピーチをなさり、いわゆる福田ドクトリンを発表されたわけでございます。福田元総理は、我が国が平和に徹し軍事大国にはならないこと、また、東南アジアの国々との間で幅広い分野について相互信頼関係を築き上げていくんだ、その信頼関係は1対1の「対等な協力者(イコール・パートナーシップ)」としてASEAN諸国の自主努力に積極的に日本は貢献していくんだという決意を述べました。今でも東南アジアを訪問する際に、各国首脳から、福田ドクトリンに触れていただく機会が非常に多いわけであります。福田ドクトリンは、私にとりましては、穂積先生の訓えに通ずるものであり、今後の対アジア外交の基本だと私は思っている次第でございます。

(四半世紀の回顧)

 福田元総理のいわゆるマニラ・スピーチに前後して、世紀を越えて戦後今日に至るまで、アジアには誰もが想像し得なかった程の変化が起こりました。私の若い頃は、アジア諸国は独立は達成しましたが、「停滞するアジア」と言われ、アジアに繁栄は来ないのではないかという悲観的な見方が多かったのですが、冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩壊し、アジアにおいては「東アジアの奇跡」と呼ばれる80年代後半から90年代初めにかけての高度経済成長があったことは、もう皆様ご案内の通りです。劇的な変化でございます。我が国も、ここにいらっしゃる経済界の方々を中心として、アジアとの経済関係はこの間非常に緊密なものになりました。どんどん企業が進出し、貿易が増進され、戦後の日本からは想像されないようなアジア諸国との緊密な経済関係もうち立てられるようになったのであります。その一方で、97年には、通貨・金融危機が襲いました。経済的な手痛い打撃を被ったこともご案内の通りです。我が国からも積極的に支援を行い、宮沢プラン等いろいろ協力させていただき、最近は回復基調にありますが、まだ予断を許しません。こういう中で、米国と我が国、米国は今経済的に繁栄しており、主として我が国が経済を回復して、そしてアジアの方々の期待に応えるということが非常に大事な時期になっていることはご案内の通りですが、その辺りについては今晩小泉総理からお話があると思います。

(21世紀の我が国の外交・安全保障)

 去る5月7日、小泉総理は、所信表明演説の中で、次の通り述べました。小泉総理は、ご承知の通り、福田元総理の愛弟子であり、私は、福田元総理の理念を最も純粋に受け継いでいる方だと思っています。私も小泉総理の考えや気持ちは十分にわかる立場におり、理解し共鳴している一人だと思っています。小泉総理は、日本の外交についてこのように言っています。

 「日本が平和のうちに繁栄するためには、国際協調を貫くことが重要です。二度と国際社会から孤立し、戦火を交えるようなことがあってはなりません。日本の繁栄は、有効に機能してきた日米関係の上に成り立っております。日米同盟関係を基礎にして、中国、韓国、ロシア等の近隣諸国との友好関係を維持発展させていくことが大切であります。我が国は、国際社会を担う主要国の一つとして、21世紀にふさわしい国際的システムの構築に主導的役割を果たしてまいります。その一環として、国連改革の実現や、世界貿易機関を中心とする自由貿易体制の強化、更には地球環境問題などに主体的に取り組みます。」と述べています。

(対アジア外交の基本路線)

 我が国外交の基本姿勢は、今申し上げた小泉総理の言葉に表れていますが、この中で特に「アジア」とは触れていませんが、この中でアジア諸国との友好関係が非常に重要であると言うことは申すまでもなく、我が国の外交としてずっと取られてきた基本的立場です。ヨーロッパに比べて、アジアにおける地域協力の進展は、この地域は非常に多様性に富んだ地域であり、また、先程私が触れさせていただいた戦争の傷跡もあり、ヨーロッパのように直線的にはいかないと思っています。現在のアジアは二国間関係を基本として、重層的で緩やかな多国間枠組みを通じた連携を強める努力がされてきています。そこで、私も二国間関係、多国間枠組み等について簡単に触れさせていただきたいと思います。

(日中関係・日韓関係・朝鮮半島)

 まず日中関係、日韓関係・朝鮮半島との関係ですが、最近の日中関係及び日韓関係については、大局的には良好な関係が維持されてきていますが、同時に様々な懸案があることも、皆様ご案内の通りです。しかし、これらの困難も必ず克服されると私は確信しています。我が国と非常に重要かつ地理的にも歴史的にも離れられない二つの隣国との関係を更に大きく発展させていかなければならないという基本認識の下で、これから色々な智恵を出し合い、様々な課題に取り組んでいくことが大切だと思っています。最近は、日本・中国・韓国は、それぞれの二国間関係から、三国の協力関係も構築してきています。こういった三国関係の一層の発展に尽力していかなければならないと思っています。

 朝鮮半島においては、いわば冷戦の残滓ともいうべき分断状況が続いておりますが、昨年6月には歴史的な南北首脳会談が開催される等、前向きに南北統一が進み始めているということは素晴らしいことだと思います。北朝鮮がこの地域における安全保障の現実的な、具体的な脅威であるということは申し上げるまでもございません。こうした中で、私どもは、我が国は、今後とも日朝国交正常化交渉に、米韓日各国との連携の下に、引き続き粘り強く取り組んでいきます。

(ASEAN)

 次にASEAN地域についてでありますが、私どもは、ASEANを東アジアの平和と繁栄のパートナーと位置付けていることは、ご案内の通りでございます。今後とも、協力関係の一層の発展に努力して参ります。99年のカンボジア加盟により、ASEANはASEAN10の悲願を達成しましたが、新規加盟国と原加盟国との経済格差の問題や、加盟国内の政情不安定等、統合の進展を妨げる要因も少なくありません。

(インドネシア・東チモール・ミャンマー)

 例えば、大国インドネシアは現在、政治的に非常に不安定な状況にあることはご案内の通りであり、私どもは、一刻も早いインドネシアの政治的安定と経済回復を強く望み、できるだけのご協力をさせていただきたいと思っています。インドネシアの安定が、我が国を含むこの地域の安定の鍵であることは、申し上げるまでもございません。

 東チモールは、独立に向けた国造りに取り組んでいるところですが、我が国もそのためにできる限りの支援を行っていきたいと思っております。

 ミャンマーにおける軍事政権と、アウン・サン・スー・チー女史率いる民主化勢力との対話の進展にも関心を持っています。昨年、私はミャンマーに行って参りましたが、あの広大な土地、イラワジ川等大変な水に恵まれています。将来地球が食糧不足に襲われる場合に、少し灌漑設備が改善されれば、素晴らしい食糧生産基地になるのではないかという印象を持ちました。ミャンマーが一刻も早く、対話と協調の政治を取り戻し、国際社会で大きい役割を果たすことを願う次第です。

(新規加盟国支援・日シンガポール新時代経済連携協定)

 我が国は、ASEAN加盟国間の格差是正のためのASEANの取り組みである「ASEAN統合イニシアティブ」を支持し、人材育成、メコン川流域開発、ITの各分野を中心に、様々な支援策を実施しています。経済面では、相互関係がますます深まっている状況を踏まえ、貿易・投資自由化のみならず、幅広い協力を行うための日本・シンガポール経済提携協定の締結交渉をシンガポールとの間で進めています。年内に協定が成立するようにお互い努力していますが、この協定の締結を第一歩として、相当期間はかかると思いますが、ASEAN全体あるいは東アジアを含めたアジア全域において自由な貿易、経済提携ができる枠組みを構築していく方向が目指されるべきだと私は考えている次第です。

(多国間枠組みの協力関係の進展と関係の重層化)

 多国間枠組みの協力関係の進展と関係の重層化については、皆様ご案内の通り、着実な二国間あるいは日・ASEAN間等の協力関係に加え、様々な進展が見られています。79年から続いているASEAN拡大外相会議(PMC)に加え、80年代以降は、アジア太平洋経済協力(APEC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア欧州会合(ASEM)、ASEAN+3(日中韓)、更に日中韓首脳会合など、重層的な地域的枠組みが少しずつ広がりをみせています。多様性に満ちたアジアの現状にかんがみて、こういった努力が強化され、重層的なアプローチが開かれた取り組みとして、もちろん中には米国が参加しているものもあり、ヨーロッパが参加しているものもあるという形で、開かれた取り組みとして更に様々な形で推進されていくことが、お互いの信頼関係を築き上げていく上で重要だと考えています。

(WTO)

 WTOの問題については多くは触れませんが、アジアの繁栄のためには、ルールに基づく貿易体制を強化し、多国間の貿易自由化が必要だという点は、申すまでもありません。本年11月のドーハでのWTO閣僚会議の際に新ラウンドを立ち上げることが重要ですが、この交渉ではアジア諸国・地域を含む全ての加盟国・地域が利益を享受できるよう、努力しなければならないと思っている次第です。

(交流を通じた相互理解の促進)

 交流を通じた相互理解の推進が重要であることは申し上げるまでもありません。人道支援、人材育成・インフラ整備といった経済協力のみならず、「人の姿」を大事にする交流というものが大切だと思っています。首脳・大臣レベル、行政レベルのみならず、議員間の交流、国会にはほとんどの国との間に友好議連が存在していますが、そうした議員間の交流、あるいは市町村、姉妹都市があちこちと提携されているのはご案内の通りですが、そういった草の根レベルを含む様々なレベルでアジアとの交流を強化することにより、お互いの信頼関係を築き上げていくことが大切だと思っています。

(新たな交流プログラム)

 そうした中で、新たな交流プログラムとして、我が国は、多くものを実施しております。その主要なものをいくつか申し上げると、先程申し上げた留学生の受け入れもそうであり、ASEAN+3首脳会議で小渕総理が発表した「東アジアの人材の育成と交流の強化のためのプラン」等もそうです。

 三つの例を更にご紹介すると、一つ目が昨年日・ASEAN首脳会議において森総理が提案した「日・ASEAN高校生交流プログラム」です。相互に高校生を受け入れる包括的な交流支援として、現在準備が進められているところです。

 二つ目は、「ASEAN工学系高等教育ネットワーク」、通称「SEED-Net」です。これは、ASEAN域内の大学間のネットワークづくりの支援策でありますが、日本の大学との関係強化も目的とするものです。

 三つ目は、「ASEAN SCHOOL-Netプログラム」です。ASEAN域内の学校同士の交流をIT技術を使って深めるためにASEANが推進しているプログラムであり、我が国としてもこれに賛同し、世銀を通じて財政面の支援を行う意図を既に表明しています。

 (結語)

 終わりに一言申させていただきますが、本日ここにお集まりの方々は、東南アジアに関係する方々が多いことと思いますので、マングローブという木をご存じの方が多いと思います。マングローブの木は世界中にありますが、特に東南アジアでは、かつてはほとんど全ての海岸沿いにマングローブ林がありました。今は相当に破壊されています。マングローブの木は、一本の幹だけではなく、多数の支柱を作ります。根は海水の中を広く這い、気根を空気中に出し、呼吸をしています。種は親の木から落下して潮の流れに乗り、流れ着いた場所に根を張り、次々と塩水と淡水の混じり合う地域に増えていきます。そして、大きな巨木から小さな木まで、マングローブ林を形成するわけであります。マングローブの下には、ほかの多種多様な植物が育ち、魚のいい住みかでもあり、エビなどは特に好んで集まります。小動物、鳥たちが憩う場所でもあります。マングローブ林は、外海の荒波、台風等を防いでくれます。また、土地を海水に浸食されるのを防ぎ、つまり土地を守る役割も果たしていると同時に、マングローブ林の下に土を集める働きがあり、海岸にあるマングローブ林はあたかも防波堤のように相成っており、いわば土地を増やす森だとも言われています。マングローブ林の下で多くの人たちが、魚を獲り、木を切り出しては炭を作る等々、古来から生計を営んできたわけです。

 私は、日本の外交は、このマングローブのような外交でなければならない、日中も大切、日韓も大切ですが、多くの国々、多くの民族、人種、アジアは多様であり、それらの方々のところにしっかりと一本の根ではなくたくさんの根を下ろし、幹、支柱を下ろし、根をはり、そしてそれらの方々の日々の暮らしや土地が守られ、外界の嵐からそれらの方々を守る役割を、日本の外交、われわれの努力が果たせたらアジアの方々の心からあの戦争の傷跡がいつの日か消える日が来るのではないかと思っている次第です。日本の将来にとっても、そのマングローブの森の下で生活してこられたASEANをはじめとするアジアの方々の協力が必要であることは、申し上げるまでもございません。我々の努力とアジアの方々の努力が合わさって、アジアの未来がこの21世紀以降、最近果たしてきたアジアの奇跡を更に上回る奇跡を生んで、素晴らしい未来となるように心から願いまして、私の基調講演を終わらせていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

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