「アジアの未来」
HOME

フロントページ
速報
7日の概要
8日の概要
会議日程
講師紹介
アジアの未来
2000
1999
1998
1997
日経アジア賞
English
スピーチ・テキスト
開会あいさつ
鶴田 卓彦 日本経済新聞社社長
 日本経済新聞社の鶴田でございます。

 本日、ここに第7回国際交流会議「アジアの未来」を開催できますことを本当に嬉しく思います。

 日本経済新聞社はアジアの人々の相互理解を深めるため、1995年から毎年、この会議を開いて参りました。これまでに講師として海外からお招きした方は、今回ご出席の方々を含め16カ国・地域から79人を数えます。日本の講師の方々38人を加えますと、117人のアジアの政治・経済のリーダーの方々に出席して頂いたことになります。

 こうした大規模な国際会議は日経の力だけでは、とてもできません。数多くの企業、機関のご協力を得るとともに、多数の聴講者の方々や内外の報道機関のご参加に支えられて参りました。在京の各国大使館、日本の政府・外務省の方々にも大変お世話になりました。この場をお借りして改めて厚くお礼を申し上げます。

 さて、今回の会議のテーマは「グローバリズムを超えて――新たな競争と協調への道」です。

 冷戦後の90年代には、中国など旧東側諸国の市場経済化と、金融をはじめとする経済のグローバル化が猛烈な勢いで進みました。高度成長を続けたアジア経済は、その過程で97年の通貨・金融危機という大きな試練を経験しました。

そうした深刻な体験を踏まえて、緊急時に外貨を融通し合う通貨スワップ協定が生まれました。アセアン諸国と日中韓3国が広範な地域の問題を話し合う「アセアン・プラス3(スリー)」の枠組みが機能し始めたのも評価できることです。

 しかし、21世紀の冒頭に立ってアジアを眺めてみますと、不透明な要素が少なくありません。昨年のご挨拶で申しあげた、巨額の不良債権を抱える金融システムや、企業経営を圧迫している過剰な債務などの構造的な問題の解決は、日本を含めてなお道半ばであります。

 アジアの経済成長に大きく影響する米国経済の回復見通しや、構造改革待ったなしの日本経済の行方もまだはっきりしません。IT(情報技術)の普及がアジアの産業、経済をどう変えていくのか、はたして経済格差の解消につながるのか、も注目点のひとつです。 またWTO(世界貿易機関)加盟をめざす中国が巨額の外国直接投資を吸収し、世界的な生産拠点として台頭してきたのに伴い、アジア諸国が中国とどう競争し、どう協力するか――という新たなテーマも浮上しています。世界に開かれた地域協力のあるべきシナリオには、こうした新しい要素を盛り込んでいく必要があります。

 この地域は政治的には、朝鮮半島の南北関係、中台関係など21世紀に持ち越された大きな課題を抱えています。最近のインドネシアの国内情勢や、日米と中国の微妙な関係など、いくつか心配な問題もあります。

 日本を含めアジアの国や企業がこうした課題にどう対処し、シナリオを描こうとしているのか。ご出席の方々に自由に発言して頂き、21世紀のアジアが歩む道を探って頂きたいと存じます。この会議にご参加の皆様が、アジアの未来を展望するための手がかりをつかんで頂ければ幸いです。

 「アジアの声」がこの会議から、新聞、テレビ、インターネットなどを通じて世界に発信されていくことは、主催者としての大きな喜びです。日経は、協力・提携関係にある各国の報道機関とともに、今回も内外への発信を続けます。

本日は朝早くから国際交流会議「アジアの未来」にご出席を頂き、本当にありがとうございました。

(以上)

一覧へ戻る

Copyright 2001 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.