「ASP 3分間用語解説」

 IT(情報通信技術)は企業競争力の源とも言われるが、導入・維持には思いのほかコストがかかる。ハードはもちろん、応用ソフトの導入・維持費用も莫大だ。
 たとえば、キャッシュフロー経営とBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の決め手として期待されるERP(基幹業務パッケージ)。これは導入に数千万円かかるのがざら。低価格の中堅企業向けERPもIT企業は出してきたが、負担はそれでも大きい。
 最近話題のASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)は、水道や電気のように必要なときに必要なソフトの機能だけをネットワークを通じて提供する事業者だ。
 ASPは応用ソフトの導入・維持費用の圧迫に苦しむ中堅企業の救世主として呼び声が高い。まるごとソフトを購入して使用するより安く済む。何より、今までひそかに膨らんでいた隠れた維持費用が大幅に削減できると期待されるからだ。

企業情報システムの導入・維持費用の大幅削減が期待されるASP

 ASPは、自社のサーバに応用ソフトを集めて、その機能をユーザ企業に提供する。機能を提供するチャネルには、セキュリティを強化したインターネットなどのネットワークを使う(図1)。
 これは、ユーザ企業から見ると、ハードもソフトも安上がりで済むしくみだ。まず、自社に応用ソフトのためのサーバを置かなくて済む。ハードと応用ソフトの導入費用とサーバを維持・管理する管理者がいらなくなる。
 また、応用ソフトはふつうクライアントと呼ばれる手元のコンピュータから利用するが、このコストがぐんと安くなる。
現在の応用ソフトは、サーバではなくクライアント上で動かすもの。一人一台体制となると、クライアントの応用ソフトの維持や入れ替えにかかる管理費用もかなりのものだ。
しかし、ASPを利用すると、応用ソフトはサーバ上で動き、手元のクライアントは入力を受け付けたり、応用ソフトの処理結果を表示するだけの役割となる。
クライアントの維持費用が安くなるうえ、どんなクライアントでも同じ処理ができれば、最新型のパソコンを入れなくてもよい。古いパソコンをずっと使いつづければいいのだ。
そのため、今後ASPが普及すると、パソコンはASPサービスの付属品のような扱いになるという予測を立てる識者もいる。
 コストをぐんと低減できることから、ASPは企業のIT化を一気に促進する妙薬という期待が広がっている。

40億ドル市場の期待がふくらむASP、サービスメニューの拡大が普及の鍵か

 一昨年あたりからASPは米国で話題になり、昨年から大手ERPベンダやコンピュータ企業がサービス提供に乗り出し始めた。
最近米国の大手調査会社IDCが発表したところでは、99年のASP世界市場は2億9600万ドル。2003年には約40億ドルの市場に成長するといわれている。
日本でも、昨年末から大手コンピュータ企業がASPビジネスに名乗りをあげた。ERPやSFA(営業支援システム)のASPなどを計画している。国内大手コンピュータ企業では、2000億円以上をASP事業に投資するところもある。期待は大きい。
ASPを名乗る事業が、実際いくつか始まっている。現在のところ、企業間ECのサーバ管理代行やグループウェア、電子メールのサーバ管理代行などインターネット関連の事業が多い。いままでサーバ・ホスティング(サーバ貸し)といわれていた事業の延長として、自然にASPへと多くの企業が参入している。
また、IT企業以外の業種でもユーザ企業の立場にとどまらず、ASPへと参入するチャンスが開けている。というのも、応用ソフトの時間貸しを超えて、さらに複合型のサービスを提供するASPがこの先に見えているからだ。実験的なものでは、社宅の管理を代行するサービスや介護保険情報を管理するサービスが始まっている。今後の市場とサービスの広がりが期待される。(フリーライター・大谷卓史)


「ASP の最新がわかる!」
日経産業新聞ならではのASP総合リンク集

・日経産業新聞1999年11月24日掲載特集
 「中堅・中小企業の戦略的情報化投資を支援」


・ 日経産業新聞2000年1月11日掲載特集
 「情報通信業界を席けんするASP ―ASPサミット告知編」

・ 日経産業新聞2000年2月21日掲載特集
 「IT革命をリードするASP最新情報を提供―ASP SUMMIT TOKYO Preview


・ 日経産業新聞2000年2月29日掲載特集
 「ASP元年を迎える日本市場―ネットワーク時代の中核ビジネスモデルへ


・ 日経産業新聞2000年5月18日掲載特集
 「6月7日からASP Summit Tokyo Spring開催」


・ 日経産業新聞2000年7月4日掲載特集
 「立ち上がり始めた日本のASP市場−ASP Summit Tokyo Spring」



「ASP 関連製品・サービス」



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